フレッド・カーリン
  Fred Karlin

Date of Birth: 1936/6/16
Place of Birth: Chicago, Illinois, USA
Date of Death: 2004/3/26

Mini Biography:
Karlin began playing trumpet in 1950, and studied jazz composition with William Russo. He received a B.A. from Amherst College in 1956, graduating cum laude. While at Amherst, he studied with Alvin Etler, Professor of Music at Smith College and wrote his String Quartet No. 2 as his honors thesis. From 1958 through 1966, he worked in New York City, and composed and arranged for a number of jazz bands, including Benny Goodman, Harry James, Chubby Jackson, Bill Russo, and the Meg Welles Quintet. In 1963 he studied orchestration with Rayburn Wright, and in 1964 began studying conducting with Tibor Serly. In 1967 he was asked by Alan J. Pukula and Robert Mulligan to score "Up the Down Staircase". In 1969, after scoring his fourth film "The Sterile Cuckoo", he and his family moved to Los Angeles. He has since scored over 30 motion pictures and more than one hundred television movies and miniseries. He served on the Board of Governors of the Academy of Motion Picture Arts and Sciences from 1972 through 1975, and also the Board of the Composers and Lyricists Guild. He wrote (with his friend Rayburn Wright) a textbook on the art and craft of film composition "ON THE TRACK: A GUIDE TO CONTEMPORARY FILM SCORING" in 1990, and also wrote "LISTENING TO MOVIES: THE FILM LOVER'S GUIDE TO FILM MUSIC" in 1994.

 


ウエストワールド WESTWORLD

作曲・指揮:フレッド・カーリン
Composed and Conducted by FRED KARLIN

(米Chapter III / CHA 1003-2)

「アンドロメダ・・・」(1971)「ライジング・サン」(1993)「ジュラシック・パーク」(1993)「ディスクロージャー」(1994)「コンゴ」(1995)「スフィア」(1998)「13ウォーリアーズ」(1999)等の原作者であり、自ら「コーマ」(1977)「大列車強盗」(1978)「未来警察」(1985)等の監督も担当しているマイケル・クライトンが監督・脚本を手がけたSFスリラー。出演はユル・ブリンナー、リチャード・ベンジャミン、ジェームズ・ブローリン、ノーマン・バートールド、アラン・オッペンハイマー、ヴィクトリア・ショー、スティーヴ・フランケン他。撮影はジーン・ポリト。

「西部開拓時代の世界」「中世の世界」等様々な過去の世界を疑似体験できる巨大遊園地デロス・ランドを主人公たち(ベンジャミン、ブローリン)が訪れる。ここでは訪問客以外の住民が全てコンピュータ制御のロボットになっていて、西部の世界ではガンマンとの決闘になってもロボットの銃の方が少し遅れて発射され、客が必ず勝つようにプログラムされている。ところがロボットたちを制御しているメインコンピュータが故障したことでロボットたちが突然人間を襲いはじめる・・・。ユル・ブリンナーが「荒野の七人」の時と同じコスチュームでロボット・ガンマンを不気味に演じている。この映画にはピーター・フォンダが主演した「未来世界」という続編があるが、クライトンが後に発表した「ジュラシック・パーク」も基本的に同じ設定である。

フレッド・カーリンによる音楽は、冒頭の「The Western Warble」と続く「Theme from Westworld」がギターやバンジョー、口笛等による明るく軽快なウエスタン音楽だが、この底抜けの明るさがかえって不気味な印象を残す。「Chase from Westworld」は映画の後半、ブリンナー扮するロボット・ガンマンがベンジャミン扮する主人公を延々と追跡するシーンに繰り返し流れるストレートなアクション音楽で、アコースティックな楽器に電子音楽を加えたサスペンスフルなタッチが秀逸。

フレッド・カーリンが手がけたその他のスコアには「下り階段をのぼれ」(1967)「レッド・ムーン」(1968)「合併結婚」(1968)「ふたりの誓い」(1970)「さらば青春の日」(1971)「(TV)ジェーン・ピットマン/ある黒人の生涯」(1974)「未来世界」(1976)「カリフォルニア・ドリーミング」(1978)「未来元年・破壊都市」(1979)等があり、80年代以降はTV映画を中心に作曲を手がけている。「ふたりの誓い」の主題歌「For All We Know」で1970年度アカデミー賞の歌曲賞を受賞。また、映画音楽に関する立派な著書もある。
サントラCDはほとんどリリースされていないが、自作を集めた以下のコンピレーションCDがある。

「THE FRED KARLIN COLLECTION VOLUME 1」
  Composed and Conducted by FRED KARLIN
  (米Reel Music / RMFK5701) 1994
    The Autobiography of Miss Jane Pittman (1974)
    Vampire (1979)
    Inside the Third Reich (1982)

(2000年11月)

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レッド・ムーン   THE STALKING MOON

作曲・指揮:フレッド・カーリン
Composed and Conducted by FRED KARLIN

(豪Reel Music Down Under / RMDU 1)

1968年製作のアメリカ映画。監督は「おもいでの夏」(1970)「悪を呼ぶ少年」(1972)「マン・イン・ザ・ムーン/あこがれの人」(1992)等のロバート・マリガン。出演はグレゴリー・ペック、エヴァ・マリー・セイント、ロバート・フォスター、ノーランド・クレイ、ナサニエル・ナルシスコ他。製作は、「パララックス・ビュー」(1974)「大統領の陰謀」(1976)「ソフィーの選択」(1982)「推定無罪」(1990)「ペリカン文書」(1993)「デビル」(1997)等の監督として知られるアラン・J・パクラで、彼はマリガンが監督した「栄光の旅路」(1957)「アラバマ物語」(1962)「マンハッタン物語」(1963)「ハイウェイ」(1964)「サンセット物語」(1965)「下り階段をのぼれ」(1967)等もプロデュースしている。セオドア・V・オルセンの原作を基にアルヴィン・サージェントとウエンデル・メイズが脚本を執筆。撮影はチャールズ・ラング。1881年のアリゾナを舞台に、10年間アパッチに囚われていた白人女性サラ(セイント)とその息子を救出した案内人サム(ペック)と、姿を見せずに彼らを執拗に追跡する子供の父親でアパッチの戦士(ナルシスコ)の死闘を描く、サスペンス調の異色ウエスタン。

音楽は、同じパクラ製作=マリガン監督の「下り階段をのぼれ」のスコアで長編映画デビューしたフレッド・カーリンが作曲しており、これは彼の映画音楽作曲家としてのキャリアの初期の傑作である。映画のトーンに合せ、トラディッショナルな西部劇音楽よりもサスペンスの部分を強調したソリッドなアンダースコアとなっており、カーリンが後に手がけた「ウエストワールド」のスコアにも強い影響を与えている。冒頭の「Main Title」はオーケストラとギターをバックに口笛がメインの主題(主人公サムの主題)を奏でるメインタイトルで、大らかなタッチの西部劇音楽(メロディがローレンス・ローゼンタール作曲の「サウスダコタの戦い」に少し似ている)。この主題は「To Silverton」「To the Cabin」等でフルオーケストラによりダイナミックに演奏される。「Sam Discovers Sarah」は、ややトラジックなトーンのサラの主題で、ミーガン・カーリン(作曲家の妻)の女声をフィーチャーしている。「Sarah's New Home」は同じくサラを描写した別の主題で、よりジェントルなタッチ。「Boy Lost in Sandstorm」「Massacre」はオーケストラによるサスペンス音楽だが、これらの曲や、後半の「Salvaje Escapes」「Stalk and Chase / Nick Dies」「Stalk and Fight / Salvaje Dies」といったアクション音楽でのドライで緊迫したタッチに、カーリンの個性がよく表れていると思う。低音のチターが不気味なタッチを加えている。ラストの「End Titles」は、サムの主題がオーケストラによりリプライズされる。

2002年にリリースされたこのCDは、作曲家のプロモーション用として1,000枚限定でプレスされたものだが、タイトルが「THE FRED KARLIN COLLECTION VOLUME 2」となっているのは、1994年にリリースされたコンピレーション「THE FRED KARLIN COLLECTION VOLUME 1」(米Reel Music / RMFK5701)に続く第二集という位置づけのためである。
(2002年8月)

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未来世界 FUTUREWORLD

作曲・指揮:フレッド・カーリン
Composed and Conducted by FRED KARLIN

(豪Reel Music Down Under / RMDU 1001)

1976年製作のアメリカ映画。監督は「トラックダウン」(1976)「アウトローブルース」(1977)「マイ・ライフ」(1978)「探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!」(1982)「(TV)V Part V−決戦(ファイナル・バトル)」(1983)「(TV)ダニエル・スティール/タイタニック」(1996)等のリチャード・T・ヘフロン。出演はピーター・フォンダ、ブライス・ダナー、アーサー・ヒル、ユル・ブリンナー、ジョン・P・ライアン、スチュアート・マーゴリン、アレン・ラッデン、ロバート・コーンスウェイト、アンジェラ・グリーン、ダレル・ラーソン、ナンシー・ベル、ジム・アントニオ他。脚本はメイヨ・サイモンとジョージ・シェンク。撮影はハワード・シュワルツ。マイケル・クライトンが監督・脚本を手がけた「ウエストワールド」(1973)の続編だが、製作会社がMGMからロジャー・コーマンのAIPに変わり、監督がTV畑のヘフロンになったことで、よりB級テイストが増した映画となっている。前作「ウエストワールド」で一旦閉鎖されたアミューズメント・パーク“デロス”がリニューアル・オープンするが、この施設に疑念を抱くレポーターのチャック・ブラウニング(フォンダ)とトレイシー・バラード(グウィネス・パルトロウの実母ダナーが扮する)は、パークに潜入し、その秘密を暴こうとする・・。ユル・ブリンナーが前作と同じガンマン役で出演している。1977年度アボリアッツ・ファンタスティック映画祭の正式参加作品。

音楽は前作「ウエストワールド」に引き続き、フレッド・カーリンが作曲している。小編成のオーケストラとシンセサイザーを組み合わせた緊張感のあるサスペンス音楽で、70年代の犯罪アクション映画を思い出させるソリッドなサウンドが個人的には懐かしい。「Main Title / Frenchy Dies / DELOS」は、ストイックなタッチのメインの主題を織り込んだサスペンスフルなメインタイトルではじまる。このメインの主題は「Martian Skiing / Westworld / Nightmare」「Power Plant」「Duffy Dead / Goodbye, Clark / Harry Dead / Tracy Fights Clone」等で異なるアレンジメントにより繰り返し登場する。「Samurai Fight」はオリエンタルなタッチのアクション音楽。「The Dream」はメランコリックな主題から徐々にサスペンスを盛り上げていく。「The Blue Door / Red Control」はミステリアスなタッチ。「Birth of a Clone / Clone Programming / Fight with Duffy」は不気味なサスペンス音楽ではじまり、後半はパワフルなアクション音楽に展開。「The Chase (Part 1-4)」は、「ウエストワールド」での追跡音楽に通ずるヴァイオレントでドライなアクション音楽。乾いた緊張感が素晴らしい。「End Scene」「End Title」はメインの主題のヒロイックなリプライズで締めくくる。アルバムの最後に「ウエストワールド組曲(Suite from Westworld)」が収録されている。

尚、このCDをリリースしている Reel Music Down Under は、フレッド・カーリンのファンであるオーストラリア在住の日本人とその友人たちによって結成されたレーベルで、カーリン自身に直接働きかけて、第1弾の「レッド・ムーン(THE STALKING MOON)」(RMDU 1)をプロモーション盤としてリリースしたという。この「未来世界」はその第3弾で、このレーベルとしては初の正規盤リリースとなる。

第2弾は以下のTV映画の音楽を収録したカーリンの電子音楽スコア集となっているが、本来無機的なシンセサイザーのサウンドを有機的に響かせた実に深みのあるサスペンス音楽に驚かされる。特に冒頭の「(TV)地獄のテロリスト/銃殺!レイプ!恐怖のフライト」のメインタイトルは秀逸。

「THE FRED KARLIN COLLECTION VOLUME 3: ELECTRONIC CHRONICLES」
  Composed and Conducted by FRED KARLIN
  (豪Reel Music Down Under / RMDU 2)
  ・Hostage Flight (TV)地獄のテロリスト/銃殺!レイプ!恐怖のフライト(1985)
  ・Murder C.O.D. (TV)ワイヤートラップ/影なき狙撃者(1990)
  ・Dadah is Death (TV)ミッドナイト・プリズナー(1988)
  ・Final Jeopardy (TV)ミッドナイト・シティ/デトロイト恐怖の一夜(1985)

(2004年10月)

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