クラウス・ドルディンガー
  Klaus Doldinger (Klaus Erich Dieter Doldinger)

Date of Birth: 1936/5/12
Place of Birth: Berlin, Germany

Mini Biography:
Doldinger studied piano, clarinet, harmony and music theory at the Robert-Schumann-conservatory in Dusseldorf. He released his first album "Doldinger-Jazz Made in Germany" in 1963, and composed his first film music "Negresco" in 1969. He made his first collaboration with director Wolfgang Petersen for the film "Einer von uns beiden" in 1974. In 1982, he won a German record prize for his score to "Das boot", directed by Petersen, which became a gold disk and the most successful film music produced in Germany. He was awarded a "knight of the Ronneburg" in 1993, and won a "Lifetime Achievement echo Award" from the German Phono academy in 1996.

Official website of Klaus Doldinger: http://www.doldinger.de/

 


U・ボート DAS BOOT

作曲・指揮:クラウス・ドルディンガー
Composed and Conducted by KLAUS DOLDINGER

(独WEA / 240 581-2) 1985

cover
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第二次大戦中のドイツ軍潜水艦U-96の戦いを、反戦映画的なトーンでリアリスティックに描いた1981年製作のドイツ映画(日本初公開は1982年1月)。監督はヴォルフガング・ペーターゼン。出演はユルゲン・プロホノフ、ヘルベルト・グリューネマイヤー、クラウス・ヴェンネマン、フベルタス・ベングッシュ、ベルント・タウバー、マルチン・ゼメルロッゲ、エルウィン・レダー、マルチン・メイ、ハインツ・ホーニッグ、クラウド=オリヴァー・ルドルフ他。ロータル=ギュンター・ブーフハイムの原作を基に、ペーターゼン監督が脚本を執筆。撮影はヨスト・ヴァカーノ

ドイツ出身の作曲家クラウス・ドルディンガーによるスコアは、シンセサイザーを主体とした重苦しいタッチの音楽で、潜水艦内の閉塞感や戦闘の過酷さがよく出ている。メインタイトルである「Das Boot」は、潜水艦のソナー音をイメージしたシンセによるリズムに、ストイックなタッチのシンプルなメインフレーズが展開し、深海を潜航するU・ボートの感覚をうまく表現している。基本的にはこの主題の様々なバリエーションが何度も登場するが、「U 96」ではより速いテンポで勇壮に展開し、「Auslaufen」ではゆっくりとしたテンポで演奏される。「Konvoi」「Heimkehr」「Ruckzug」等明るいタッチの曲もあるが、全体に映画のシリアスなトーンを反映した重くダークな雰囲気で、良くも悪くもドイツ的なイメージのスコアである。

クラウス・ドルディンガーヴォルフガング・ペーターゼン監督と、この「U・ボート」の他に「昼と夜のような黒と白(Schwarz und weiss wie Tage und Nachte)」(1978)「ネバーエンディング・ストーリー(Die Unendliche Geschichte)」(1984)等で組んでいるが、ペーターゼンがその後ハリウッドに進出し、「第5惑星」(1985/音楽:モーリス・ジャール)、「プラスティック・ナイトメア/仮面の情事」(1991/音楽:アラン・シルヴェストリ)、「ザ・シークレット・サービス」(1993/音楽:エンニオ・モリコーネ)、「アウトブレイク」(1995/音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード)、「エアフォース・ワン」(1997/音楽:ジェリー・ゴールドスミス)、「パーフェクトストーム」(2000/音楽:ジェームズ・ホーナー)とメジャーな映画を手がけるようになったのに対し、ドルディンガーはドイツにとどまり、TVシリーズ等のマイナーな仕事を担当している。監督が出世するにつれて最初からコンビを組んでいた作曲家もメジャーになるケースはよくある(ティム・バートンとダニー・エルフマン等)と多いが、彼の場合は最初の3作品で組んだだけでその後は完全に取り残された形となっている。一方、ドルディンガーの作風や実力からすると、彼に「エアフォース・ワン」のようなハイテンションなサスペンスアクション映画のアンダースコアが書けるかどうかは疑問である。

クラウス・ドルディンガーが手がけたその他の作品には、フォルカー・シュレンドルフ監督の「突然裕福になったコンバッハの貧しい人々(Der Plotzliche Reichtum der armen Leute von Kombach)」(1970)「(未公開)パルメット(Dumme sterben nicht aus)」(1998)ジャック・アーノルド監督の「スイス・コネクション(The Swiss Conspiracy)」(1975) 「(未公開)カムバック(Love Is Forever)」(1983)「(未公開)マッド・リベンジャー/復讐の掟(Das Rattennest)」(1987)「(未公開/TV)Nonni und Manni」(1988)「ミー&ヒム(Ich und Er)」(1989)「(未公開)Salz auf unserer Haut」(1992)「(未公開/TV)Hitler: A Profile」(1995)等がある。
(2001年2月)

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ネバーエンディング・ストーリー DIE UNENDLICHE GESCHICHTE

作曲・指揮:クラウス・ドルディンガー
Composed and Conducted by KLAUS DOLDINGER

演奏:グランケ交響楽団
Performed by the Graunke Symphony Orchestra of Munich

(独WEA / 250 396-2) 1984

ミヒャエル・エンデの原作「はてしない物語」を映画化した、1984年製作のドイツ=イギリス合作映画。監督はヴォルフガング・ペーターゼン。出演はノア・ハサウェイ、バレット・オリヴァー、タミー・ストロナッハ、モーゼス・ガン、パトリシア・ヘイズ、シドニー・ブロムリー、ジェラルド・マクラニー、アラン・オッペンハイマー他。脚本はヘルマン・ヴァイゲルと監督のペーターゼンが担当。撮影はヨスト・ヴァカーノ。SFXはILM

少年バスチアン(オリヴァー)が古本屋で見つけた不思議な本の中で展開する、空想の国を舞台にしたヒーローのアトレイユ(ハサウェイ)の活躍を描くファンタジー。犬の顔をした竜ファルコン等ユニークなクリーチャーが多数登場する独特の雰囲気を持った映画だった。この後、実写による続編が2本とアニメーションによるTVシリーズが製作されている。

クラウス・ドルディンガーによるスコアは、シンセサイザーとオーケストラの組合わせによる明るくファンタスティックなタッチの音楽。冒頭の「Flug auf dem Glucksdrachen」は、ファルコンの飛行を表現した軽快なリズムのヒロイックで爽やかな曲で、「Der Elfenbeinturm」ではコーラスを加えて幻想的に展開する。メインタイトルの「Die Unendliche Geschichte (Titelmusik)」はよりミステリアスなタッチの第2主題で、「Im Haulewald」「Phantasien」等でも登場する。「Atreju's Berufung - Auryn Thema」はアトレイユのテーマで、明るくヒロイックなタッチが素晴らしい。後半の第1主題の勇壮なマーチ風の展開も良い。「Mondenkind」ではオーケストラによりドラマティックな盛り上がりを見せる。音楽的な深みはないもののスコア全体の印象が良く、ドルディンガーのベストの仕事だろう。

尚、この作品はアメリカ公開時にジョルジョ・モロダーによる新たな音楽が追加され、日本でもそのバージョンで公開された。これに伴い、アメリカや日本ではモロダーの音楽を追加しドルディンガーの音楽を一部削除したサントラ盤がリリースされたが、ここで紹介しているドイツ盤はドルディンガーのスコアのみを収録したサントラである。
(2001年2月)

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