ハワード・ブレイク
  Howard Blake

Date of Birth: 1938
Place of Birth: Enfield, England, UK
Mini Biography:
As a boy, Blake played organ and sang soprano in Gilbert and Sullivan and other operettas. At the age of 18, he was awarded the Hastings Festival Scholarship and attended the Royal Academy of Music where he studied piano and composition. He became a piano session player, arranger and orchestrator at Abbey Road and other studios for several composers, including Stanley Myers, Quincy Jones and Bernard Herrmann. Since the mid-1980s, he has been the musical director of the Sinfonia of London Orchestra.

 


デュエリスト/決闘者 THE DUELLISTS

(未公開)謀略海域・北海の激闘 THE RIDDLE OF THE SANDS

作曲・指揮:ハワード・ブレイク
Composed and Conducted by HOWARD BLAKE

演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the National Philharmonic Orchestra

(米Airstrip One / AOD HB002)

イギリスの映画音楽作曲家ハワード・ブレイクの2作品をカップリングにしたCDで、彼自身のプロモーション用に製作されたもの。

「デュエリスト/決闘者」は、「エイリアン」(1979)「ブレードランナー」(1982)「ブラック・レイン」(1989)「テルマ&ルイーズ」(1991)「G.I.ジェーン」(1997)「グラディエーター」(2000)「ハンニバル」(2001)等のリドリー・スコットが1977年に監督したイギリス映画で、彼の長編デビュー作(日本初公開は1982年)。出演はキース・キャラディーン、ハーヴェイ・カイテル、クリスティナ・レインズ、エドワード・フォックス、ロバート・スティーヴンス、アルバート・フィニー、トム・コンティ、ダイアナ・クイック、ジェニー・ラナカー他。ジョセフ・コンラッドの短編小説「The Duel」を基にジェラルド・ヴォーン・ヒューズが脚本を執筆。撮影はフランク・タイディ、製作はデヴィッド・パットナム

19世紀のヨーロッパを舞台に、決闘に取り憑かれた2人のフランス軍将校の20年に渡る確執と奇妙な関係を描く。主役の2人を演じる役者として、監督のスコットはイギリス人のマイケル・ヨークとオリヴァー・リードを考えていたらしいが、彼らの出演が実現せず、アメリカ人のキャラディーンとカイテルが起用されたという。

ハワード・ブレイクによる音楽は、冒頭の「The Duellists」「Opening Titles」で登場する寂寥感を帯びたトラジックなタッチのメインテーマを中心にスコア全体が展開する。「Mme.deLeon's Salon」「Laura」等ではピアノによりこの主題のバリエーションが演奏される。「Cellar Duel」「Cavalry Duel」「Pistols」「Final Duel in the Woods」といった決闘の場面の音楽は、より前衛的なタッチのサスペンス・スコア。「Military Life」での軽快なマーチや、バロック調の明るい「Armand and Adele」も面白い。ラストの「End Credits」ではメインテーマがフルオーケストラによりドラマティックに演奏される。映画の雰囲気と同様、いかにもイギリス的な暗さをもった美しく繊細なスコア。

ハワード・ブレイクはリドリー・スコットがテレビCMの監督だった頃から彼に音楽を提供していた作曲家で、この映画の後の「エイリアン」でもスコットはブレイクに作曲を依頼するつもりで撮影現場に何度か呼んだりしていたが、映画会社側(20世紀フォックス)の意向でジェリー・ゴールドスミスに変更されたという経緯がある。

 

「(未公開)謀略海域・北海の激闘」は1979年製作のイギリス映画で、監督は「ホワイトロック」(1977)「バーニング」(1981)「スプリット・セカンド」(1992)等のトニー・メイラム。出演はマイケル・ヨーク、サイモン・マッコーキンデール、ジェニー・アガター、アラン・バデル、ユルゲン・アンデルセン、マイケル・シェアード、ハンス・メイヤー、ウォルフ・カーラー、オルガ・ロウ、ロナルド・マーカム他。アースキン・チルダースが1903年に発表した古典的スパイ小説を基にジョン・ベイリーとメイラムが脚本を執筆。撮影はクリストファー・チャリス。20世紀初頭に、イギリス侵攻を企むドイツ軍の策略を知ったイギリスのヨットマン2人(ヨークとマッコーキンデール)がこの計画を阻止しようとする、という冒険もの。監督のトニー・メイラムは「デュエリスト/決闘者」を見て音楽に感銘を受け、リドリー・スコットにハワード・ブレイクを紹介してもらったという。

ここでのブレイクのスコアは、冒頭の「The Riddel of the Sands」とラストの「End Titles」がコーラスとオーケストラを組み合わせた荘厳で少し宗教的なタッチだが、「Barge Building」「Carruthers Investigates the Barn」「Carruthers Reboards the Train」「Rehearsal for Invasion」「Sink the Dulcibella!」等は冒険活劇調のサスペンス・アクション音楽となる。但し、こういった激しい部分もかなり抑えた表現で、いまひとつパワーがなく、エモーションのレベルも低い。ナショナル・フィルの演奏にしては音にあまり深みがなく、全体に軽い印象がある。スコア自体は非常に繊細で上質なものだが、もう少し個性とパンチがあった方がいいような気がする。

ハワード・ブレイクが手がけたその他の映画音楽には、「失われた航海(S.O.S. Titanic)」(1979)「フラッシュ・ゴードン(Flash Gordon)」(1980)「スノーマン(The Snowman)」(1982)「影の私刑(The Lords of Discipline)」(1983)「(未公開)悪魔の棲む家 PART3(Amityville 3-D)」(1983)「(未公開)The Wreck of the Julie Plante」(1985)「(未公開/TV)The Canterville Ghost」(1986)「ひと月の夏(A Month in the Country)」(1987)「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー/夏の夜の夢(A Midsummer Night's Dream)」(1996)等がある。この内、「フラッシュ・ゴードン」と「悪魔の棲む家 PART3」をカップリングにしたプロモーション用CDがSuper Tracksレーベルからリリースされている(HBCD01)。また、彼はクラシック音楽の作曲家としても知られており、フィルハーモニア管弦楽団の委嘱によりダイアナ妃の30歳の誕生日のためのピアノ協奏曲を作曲したりしている。
(2001年4月)

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