Date of Birth: 1929/2/20
Place of Birth: Yokohama, Japan
Date of Death: 1997/4/10
Mini Biography:
東京音楽学校(東京芸大)研究科を卒業して1951年、パリ国立音楽院に留学。同年、「スフェノグラム」が国際現代音楽祭入選。最先端の技法を持ち帰り、1953年には團伊玖磨、芥川也寸志と共に「三人の会」を結成し、日本初の電子音楽など新技法によるモダニズムを追求した。しかし、1958年の大作「涅槃(ねはん)交響曲」では声明(しょうみょう)を取り入れるなど日本の伝統音楽への回帰を示し、「BUNRAKU」などで新境地を開いた。代表作は、ほかにオペラ「金閣寺」「古事記」、オラトリオ「日蓮上人」などがある。映画音楽も数多く手がけ、1966年から30年以上続いたTV「題名のない音楽会」の名司会ぶりは、広く茶の間に親しまれた。尾高賞(1958、1962年)、3回の毎日映画コンクール音楽賞、菊池寛賞(1971年)などを受け、1986年には紫綬褒章を受章している。日本作曲家協議会会長。一方では、日本の伝統的な精神文化に対する深い愛着から、保守層を代表する論客としても知られ、積極的な改憲論を展開。1983年に発足した「日本を守る国民会議」の議長も務めた。
天地創造 THE BIBLE...IN THE BEGINNING
作曲:黛 敏郎
Composed by TOSHIRO MAYUZUMI
指揮:フランコ・フェラーラ
Conducted by FRANCO FERRARA
演奏:オーケストラ・チネフォニカ・イタリアーナ、ピエトロ・カラペルッチ合唱団
Performed by Orchestra Cinefonica Italiana、Coro di Pietro Carapellucci
(伊RCA / OST115) 1992
1966年製作のアメリカ/イタリア合作映画。監督はジョン・ヒューストン。出演はマイケル・パークス、ウラ・ベルグリッド、リチャード・ハリス、フランコ・ネロ、ピーター・オトゥール、ジョージ・C・スコット、エヴァ・ガードナー、スティーヴン・ボイド、ジョン・ヒューストン、エレオノラ・ロッシ=ドラゴ、ガブリエル・フェルゼッティ他。脚本はクリストファー・フライ、撮影はジュゼッペ・ロトゥンノ、製作はディノ・デ・ラウレンティスが担当。旧約聖書のエピソードから、アダムとイヴ、カインとアベル、ノアの箱船、バベルの塔、ソドムとゴモラの滅亡などのエピソードが展開されていくスペクタクル。
音楽は日本から黛 敏郎が招かれて作曲を担当した(オーケストラの指揮はイタリアのベテラン、フランコ・フェラーラが担当)。アダムの誕生を描いた「Creazione di Adamo」は、オーケストラが徐々に盛り上がりコーラスが加わってメインの主題へと発展していく荘厳な曲。イヴの誕生を描いた「Creazione di Eva」はオーケストラとコーラスによるドラマティックな曲。カインとアベルを描いた「Caino e Abele」は、ダイナミックな展開のサスペンスフルな曲。ノアの箱船を描いた「Noe」はマーチ風のカラフルな曲。「Il diluvio」はオーケストラによる激しく暴力的な音楽。「Dopo il diluvio」は牧歌的で美しいタッチから軽妙なマーチへと展開。間奏曲「Intermezzo」は栄光に満ちたオーケストラによるメインの主題の演奏からドラマティックなコーラスへと展開していく。バベルの塔を描いた「La torre di Babele」はミステリアスなタッチ。「Abramo - Scena d'amore」は幻想的で美しい曲。ソドムとゴモラの滅亡を描いた「Sodoma」はオーケストラによる不気味なタッチの曲。フィナーレ「Finale」ではメインの主題がオーケストラとコーラスにより感動的に演奏される。この主題は最後のトラックのメインタイトル「Titoli」で最も明確に演奏される。聖書に基づく映画にふさわしい格調の高いドラマティック・スコアだが、メインの主題にどことなく日本的な印象があるのが興味深い。
黛 敏郎は「涅槃交響曲」「曼荼羅交響曲」といった交響楽や、オペラ「金閣寺」、モーリス・ベジャールのバレエに付けた音楽「カブキ」等で知られる作曲家だが、東京オリンピックの記録映画をはじめとした多数の映画音楽も作曲している。彼は生涯に170あまりのフィルムスコアを手がけているが、主たる作品には、「女性三重奏」(1950)「あゝ青春」(1951)「カルメン純情す」(1952)「旅路」(1953)「潮騒」(1954)「女の一生」(1955)「赤線地帯」(1956)「幕末太陽伝」(1957)「張込み」(1958)「炎上」(1958)「果しなき欲望」(1958)「野獣死すべし」(1959)「地図のない町」(1960)「豚と軍艦」(1961)「黒蜥蝪」(1962)「キューポラのある街」(1962)「泥だらけの純情」(1963)「黒い太陽」(1964)「東京オリンピック」(1965)「エロ事師たちより
人類学入門」(1966)「人間蒸発」(1967)「黒部の太陽」(1968)「栄光への5000キロ」(1969)「私が棄てた女」(1969)「富士山頂」(1970)「やくざ戦争
日本の首領」(1977)「日本の首領 野望篇」(1977)「日本の首領
完結篇」(1978)「徳川一族の崩壊」(1980)「序の舞」(1984)等がある。
尚、NHKドラマ部チーフディレクターで、「RAMPO」「すずらん」等劇場映画の監督でもある黛りんたろうは黛 敏郎の長男。
(2002年1月)
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