フィリップ・シャニー
 Philippe Chany

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ミッション・クレオパトラ ASTERIX & OBELIX: MISSION CLEOPATRE

作曲:フィリップ・シャニー
Composed by PHILIPPE CHANY

指揮:デヴィッド・スネル
Conducted by DAVID SNELL

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(仏Universal / 065 114-2)

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フランス国内で記録的な大ヒットとなったコメディ=スペクタクル。フランスではハリウッド映画等の外国映画と国内で製作されるフランス映画との興行収入の比率が大体50%:50%と言われているが、洋画:邦画が70%:30%程度の日本や、80%:20%程度のその他ヨーロッパ・アジア各国と比べると、いかにフランス国民が自国の映画をよく見ているかということがわかる(もちろん自国の文化を保護しようとするフランス政府の政策の影響もあるだろう)。特にフランス人はコメディが大好きで、歴代の興行収入の1位から20位くらいまではほとんど全てフランス製コメディである(コメディではないのは「フィフス・エレメント」「レオン」といったリュック・ベッソン監督作品くらい)。

この映画も、『アステリックスとオベリックス』というフランスで人気のあるコミック(ルネ・ゴシニーアルベール・ウデルゾ原作)をベースにしたコメディで、監督・脚本は、「彼女たちの関係」(1994)「彼女の彼は、彼女」(1994)「カンヌ映画祭殺人事件」(1994)「ムッシュ・カステラの恋」(1999)等に出演していた俳優で、「ディディエ」(1997)等の監督も務めているアラン・シャバが担当している。出演はジェラール・ドパルデュー、クリスチャン・クラヴィエ、ジャメル・デブーズ、モニカ・ベルッチ、クロード・リッシュ、ジェラール・ダルモン、デュードン、イザベル・ナンティ、エドゥアール・ベール、ジャン・ベンギギ、ピエール・チャルニア、シャンタル・ロービィ、ベルナール・ファルシー、エドゥアール・モントゥート他。この映画の監督のアラン・シャバ、プロデューサーで「愛と宿命の泉」等の監督クロード・ベリ、「クリムゾン・リバー」等の監督マチュー・カソヴィッツ、リュック・ベッソン製作の新作映画「トランスポーター」の監督ルイ・レテリエ等も出演している。撮影はローラン・ダイヨン。

ローマ皇帝シーザー(シャバ)と「3ヶ月以内に新しい宮殿を建造してみせる」との賭けをしたエジプトの女王クレオパトラ(ベルッチ)は、この重大な任務をヌメロビス(デブーズ)に託す。ヌメロビスは旧友のパノラミクス(リッシュ)に助けを求め、彼は自分の護衛に アステリックス(クラヴィエ)とオベリックス(ドパルデュー)を従えてガリアからエジプトへと向かう。が、賭けに負けることを恐れたシーザーは、宮殿の建造現場を襲撃する・・。

音楽は「(未公開)Apres l'amour」(1992)「(未公開)La cite de la peur: une comedie familiale」(1994)「(未公開)Delphine 1, Yvan 0」(1996)等に出演していた俳優で、「La cite de la peur: une comedie familiale」「Delphine 1, Yvan 0」「ディディエ」(1997)等の音楽も担当しているフィリップ・シャニーが作曲している(この映画にも出演している)。俳優出身の映画音楽作曲家というとパトリック・ドイルを思い出すが、彼がケネス・ブラナー監督・主演の「ヘンリー五世」に書いたスコアは「これで何故俳優なの?」と思わせるほど見事な音楽だった。この「ミッション・クレオパトラ」フィリップ・シャニーが作曲したスコアは、ドイルの時ほどのインパクトはないものの、ロンドン交響楽団を高らかに鳴らしたダイナミックなシンフォニック・スコアで、なかなか立派なものである。

「Theme original de film Asterix et Obelix: Mission Cleopatre」は砂漠を舞台にしたスペクタクルにふさわしい壮大でパワフルなオーケストラ音楽で、非常に面白い。このモーリス・ジャール風(と、どうしても感じてしまうが)の主題が、「Top Chronos」「Chantier」「Le Sphinx」等と全編を通じて登場する。「Numerobis Theme」はややコミカルなタッチだが、コメディ映画とはいえスコア全体としては基本的にストレートなスペクタクル音楽になっている。「Les pirates」はフル・オーケストラによるパワフルなイントロからダイナミックなアクション音楽に展開。「Les Romains」もミリタリスティックで力強い。「La poursuite」は激しいアクション・スコア。「Le grand final」はメインの主題のリプライズによる壮大なフィナーレ。その後に続く「Kung fu」はラロ・シフリンのカン・フー音楽のパロディだが、大したことはない。全体としてあまり個性は感じられないが、非常にしっかりしたアンダースコアで感心した。今後の作品にも期待したい。
(2002年10月)

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