クリント・マンセル
 Clint Mansell

Date of Birth: 1963/11/7
Place of Birth: Coventry, England, UK
Mini Biography:
Mansell first rose to fame as singer, guitarist, and leader of the band Pop Will Eat Itself, one of the most influential British groups of their day. The "Poppies" (as their fans called them) released seven albums between 1987 and 1996, but as the various members of the group became involved in side projects, PWEI began to splinter, and they decided to call it quits after the release of their final album, Wise up Suckers. After the breakup, Mansell moved to the United States, and began devoting himself to purer electronic sounds as he investigated the possibilities of film composition. In 1998, he completed his first film score, for the independent feature "Pi"; his score received wide acclaim, and "Pi"'s director, Darren Aronofsky, tapped Mansell to score his follow-up, 2000's "Requiem for a Dream". The success of his scores for Aronofsky quickly made him an in-demand film composer, and he scored six films in 2001 and 2002, including "Knockaround Guys", "The Hole", and "Murder By Numbers". In 1999, he produced the debut album by Australian band Lavish, Polaroid, and he has remixed recordings for critical favorites Morcheeba and 12 Rounds.

 


サハラ 死の砂漠を脱出せよ SAHARA

作曲:クリント・マンセル
Composed by CLINT MANSELL

指揮:ニコラス・ドッド
Conducted by NICHOLAS DODD

(米Rykodisc / RCD 10819)

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2005年製作のアメリカ映画。監督は「(TV)インビジブル・マン」(2000)「(TV)TAKEN テイクン」(2002)「クライム・エンジェル」(2003)等のブレック・アイズナー(マイケル・アイズナーの息子らしい)。出演はマシュー・マコノヒー、スティーヴ・ザーン、ペネロペ・クルス、ウィリアム・H・メイシー、ランベール・ウィルソン、グリン・ターマン、デルロイ・リンドー、レイン・ウィルソン、グリン・ターマン、レニー・ジェームズ、パトリック・マラハイド他。国立海中海洋機関(NUMA)のエージェント、ダーク・ピットを主人公とするクライヴ・カッスラー原作のベストセラー小説『死のサハラを脱出せよ』を基に、トーマス・ディーン・ドネリー、ジョシュア・オッペンハイマー、ジョン・C・リチャーズとジェームズ・V・ハートが脚本を執筆。撮影はシーマス・マッガーヴェイ。ダーク・ピット(マコニヒー)は、ナイジェリアとマリの国境付近で発見された1枚の金貨が、南北戦争時に莫大な財宝と共に姿を消した甲鉄艦テキサスを見つける手掛かりになると確信し、金貨の発見現場へ向かう準備をする。一方、世界保健機関(WHO)の研究医エヴァ(クルス)は、ナイジェリアで発生した謎の病原体の感染源がマリにあると判断し、調査に向かおうとするが、通常ルートでの入国が不可能と知り、マリへと目指すピットたちのボートに同乗させてもらう……。主演のマコノヒーにヒーローとしてのカリスマがなく、脇のキャストも地味なので、製作費に1億3000万ドルもかけているわりには全体にB級っぽい。いつも情けない役ばかりのウィリアム・H・メイシーが、ここでは得な役柄を得ている。原作者のクライヴ・カッスラーは、“ダーク・ピット”シリーズのベストセラー小説『タイタニックを引き揚げろ』を映画化した「レイズ・ザ・タイタニック」(1980)の出来があまりに酷かったことで、長らくハリウッドに自作の映画化を承認してこなかった。この「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」についても、映画製作会社のクルセイダー・エンターテインメントが彼に無許可でストーリーを15ヶ所も変更した上、全米での興行成績も不調だったために原作に甚大なダメージを与えたとして、同社に対し1000万ドルの損害賠償を求める訴訟を起こしている。つくづく映画化作品に恵まれていない作家だと思う。

音楽は、イギリスのバンド“Pop Will Eat Itself”の元メンバーで、ダーレン・アロノフスキー監督の「π」(1997)「レクイエム・フォー・ドリーム」(2000)で映画音楽作曲家としてのキャリアをスタートしたクリント・マンセルが作曲している。冒頭の「Ironclad」「Beach Attack!」は、オーケストラとコーラスによるダイナミックなアクション音楽。「Here We Go!」はアフリカン・ヴォーカルによる陽気な歌。その後、「Calliope at Night」「Into the Unknown」「Kazim's Theme」「Discovery at Asselar」「Eva Investigates」「Kazim Arrives」「Death in the Desert」「Ambush」等、アフリカの民族楽器やアラビックのヴォーカル等を加えた劇伴音楽が続く。こういう曲は、劇中ではそれらしく鳴っているが、音楽だけ取り出して聴くと実につまらない。「Hold Tight!」「Hold Tighter!」では、派手なアクション音楽を展開するが、デヴィッド・アーノルドと組むことが多いニコラス・ドッドがオーケストレーションと指揮を担当しているせいか、アーノルド作曲の「007」シリーズのスコアに印象が近い。ここで登場するヒロイックなメインの主題が、「All Aboard!」「Land Yacht」等でも繰り返される。「Fight in Asselar」「Burn Tower」「Bomb Alley/Ironclad Revealed/Victory」等は、激しいアクション音楽だが、あまり独創性はない。ラストに冒頭のアクション音楽「Ironclad」のリミックス版「Rock On!」が収録されている。

クリント・マンセルが手がけた映画音楽には、「π(Pi)」(1998)「レクイエム・フォー・ドリーム(Requiem for a Dream)」(2000)「穴(The Hole)」(2001)「(未公開)World Traveler」(2001)「(未公開)Rain」(2001)「ノックアラウンド・ガイズ(Knockaround Guys)」(2001)「完全犯罪クラブ(Murder by Numbers)」(2002)「(未公開)Every Night the Same Thing」(2002)「SONNY ソニー(Sonny)」(2002)「(TV)CSI: Miami」(2002)「ケイティ(Abandon)」(2002)「(未公開)The Hire: Ticker」(2002)「(未公開)11:14」(2003)「(未公開/TV)Sig det ikke til nogen...」(2004)「サスペクト・ゼロ(Suspect Zero)」(2004)「(TV)C.S.I.: NY」(2004)「サハラ 死の砂漠を脱出せよ(Sahara)」(2005)「(未公開)Doom」(2005)「(未公開)The Fountain」(2005)等がある。
(2005年8月)

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