Date of Birth: 1930/10/8
Place of Birth: Tokyo, Japan
Date of Death: 1996/2/20
Mini Biography:
1948、清瀬保二に師事、作曲を学ぶが、おもに独学。1951、音楽家、画家、演奏家、詩人たち10数人とともに総合的な芸術活動をめざすグループ「実験工房」を結成。1956、映画『狂った果実』の音楽を担当。以降、90を超える映画音楽を作曲、内外の映画音楽賞を多数受賞。1967、ニューヨーク・フィルハーモニック創立125周年記念委嘱、尺八、琵琶、オーケストラのための「ノヴェンバー・ステップス」が、鶴田錦史、横山勝也、小澤征爾指揮同オーケストラによって、ニューヨークで初演される。作品は、コンサート・ピースから電子音楽、映画音楽、舞台音楽、ポップ・ソングまで多岐にわたる。「タケミツ・トーン」と呼ばれた独特の響きは、世界中の演奏家、音楽ファンを魅了した。また1973年から1992年までおこなわれた「Music Today」の音楽監督や、1986年に始まった「サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ」を監修するなど、常に同時代の音楽に高い関心をもち、多くの優れた作曲家を日本に紹介した。名エッセイストとしても知られ、『音、沈黙と測りあえるほどに』などの他多数の著書がある。モービル音楽賞(1981)、朝日賞(1985)、芸術文化勲章(フランス/1985)、モーリス・ラヴェル賞(フランス/1990)、サントリー音楽賞(1991)、NHK放送文化賞(1994)、グレン・グールド賞(カナダ/1996)等を受賞。
ライジング・サン RISING SUN 作曲:武満 徹 指揮:岩城宏之 演奏:東京コンサーツ (米Kritzerland / KR 20026-5) |
1993年製作のアメリカ映画。監督は「SF/ボディ・スナッチャー」(1978)「ライトスタッフ」(1983)「存在の耐えられない軽さ」(1988)「ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女」(1990)「クイルズ」(2000)等のフィリップ・カウフマン。出演はショーン・コネリー、ウェズリー・スナイプス、ハーヴェイ・カイテル、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、ケヴィン・アンダーソン、マコ、レイ・ワイズ、スタン・エギ、スタン・ショー、ティア・カレル、スティーヴ・ブシェミ、タジャナ・パティッツ、ピーター・クロンビー、サム・ロイド、クライド・クサツ、マックス桐島、他。「アンドロメダ…」(1971)「大列車強盗」(1978)「ジュラシック・パーク」(1993)「ディスクロージャー」(1994)「スフィア」(1998)「タイムライン」(2003)等のマイケル・クライトンの原作を基にマイケル・クライトン、フィリップ・カウフマンとマイケル・バックスが脚本を執筆。撮影はマイケル・チャップマン。日米経済摩擦を背景とした殺人ミステリーで、内容がジャパン・バッシングであるとして全米公開時に日系人団体から上映反対の抗議運動が起こった。日本企業ナカモト社がロサンゼルスに建てた超高層ビルの落成パーティの夜、ビル内でコールガールのシェリル(パティッツ)の変死体が発見された。外国人関連の事件を担当するウェブスター・スミス警部補(スナイプス)は、ジョン・コナー警部(コネリー)と共同で捜査を開始。彼らは、ビルの監視カメラによる殺害現場の映像を記録したディスクを入手するが、そこにはナカモトのライバル系列企業の御曹司、エディ・サカムラ(タガワ)が映っていた……。
音楽は日本を代表する現代音楽作曲家の1人である武満
徹(1930〜1996)が作曲しており、これは武満が初めてスコアを手がけたハリウッド映画。「Taiko Drum
Opening」は、幻想的なイントロから、田中誠一&サンフランシスコ太鼓道場(Seiichi Tanaka and
the San Francisco Taiko
Dojo)の演奏によるパーカッションの連打へと展開するオープニングの音楽。「Board Metting」「Drive to
Connor's Loft」「Girl on the Table」「Body
Examined」等は、サックスによるフィルムノワール調のダークな主題にオンド・マルトノを加えたミステリアスなタッチの曲。「Web
Meets Connor」「Golf Course」「Eddie's
Showdown」等は、尺八をフィーチャーしたサスペンス音楽。「Crime Scene」「Checking out the
Apartment」「Mystery Figure
Revealed」等は、オンド・マルトノを加えたサスペンス音楽。「Arrival at Apartment」「So Eddie
Witnessed the Murder」「Car in Alley」等は、抑制されたサスペンス音楽。「Eddie
Revealed on Disc」「Looking at the Disc」「Security Room」「Senator Morton Gets
Faxed」「Always Leave the Cage Door
Open」等は、ドラマティックなタッチの曲。「Chase」は、重厚なアクション音楽。「Yakuza
Pursuit」「Web's Confession」「Eddie's
Alive」は、サックスをフィーチャーしたサスペンス音楽。「The Hall」「Interrogation」「Nakamoto
Steps」は、アブストラクトなタッチの曲。「Credits」は、サックスによるメインの主題にオンド・マルトノ、尺八、琴を加えたエンドクレジットの音楽。最後に尺八と琴による和楽のソース音楽「Source
Music」、コール・ポーター、デューク・エリントンによるソース音楽「Don't Fence Me In (Cole
Porter)」「Single Petal of a Rose (Duke
Ellington)」、エンドクレジットの短いバージョン「Medley (Credits - Short
Version)」、サンフランシスコ太鼓道場による「Tsunami」(田中誠一作曲)を収録。サックスにより繰り返されるノワール調の主題が、ハリウッド映画音楽のタッチを意識しているように思える。
過去にFoxレーベルから出ていたサントラCDには武満のスコアが26分程度しか収録されていなかったが、この米KritzerlandレーベルのCDは未使用の曲を含む約40分の追加曲を加えたコンプリートスコアの初リリースで、1000枚限定プレス。
武満
徹は、中村登監督の「朱と緑」「つゆのあとさき」「土砂降り」「噛みつかれた顔役」「春を待つ人々」「危険旅行」「いたづら」「斑女」「古都」「二十一歳の父」「紀の川
花の巻・文緒の巻」「甦る大地」、勅使河原宏監督の「ホゼ・トーレス」「おとし穴」「砂の女」「白い朝」「他人の顔」「燃えつきた地図」「サマー・ソルジャー」「アントニー・ガウディー」「利休」「豪姫」、篠田正浩監督の「乾いた湖」「涙を、獅子のたて髪に」「乾いた花」「暗殺」「美しさと哀しみと」「異聞猿飛佐助」「処刑の島」「あかね雲」「心中天網島」「沈黙
SILENCE」「化石の森」「卑弥呼」「桜の森の満開の下」「はなれ瞽女おりん」「鑓の権三」「写楽」、羽仁進監督の「不良少年」「充たされた生活」「彼女と彼」「手をつなぐ子ら」「ブワナ・トシの歌」「初恋・地獄篇」「予言」、小林正樹監督の「からみ合い」「切腹」「怪談」「上意討ち
拝領妻始末」「日本の青春」「いのちぼうにふろう」「化石」「燃える秋」「東京裁判」「食卓のない家」、恩地日出夫監督の「素晴らしい悪女」「女体」「あこがれ」「伊豆の踊り子」「めぐりあい」「太陽の狩人」「しあわせ」、大島渚監督の「東京戦争戦後秘話
映画で遺書を残して死んだ男の物語」「儀式」「夏の妹」「愛の亡霊」、黒澤明監督の「どですかでん」「乱」、市川崑監督の「太平洋ひとりぼっち」「京」、成瀬巳喜男監督の「乱れ雲」、熊井啓監督の「天平の甍」、今村昌平監督の「黒い雨」等、数多くの著名な監督にスコアを提供している。
武満 徹が手がけた映画音楽作品には
「目白三平」(1955)
「銀輪」(19559
「キネカリグラフィ」(1955)
「狂った果実」(1956)
「朱と緑」(1956)
「つゆのあとさき」(1956)
「土砂降り」(1957)
「噛みつかれた顔役」(1958)
「春を待つ人々」(1959)
「危険旅行」(1959)
「いたづら」(1959)
「ホゼ・トーレス」(1959)
「乾いた湖」(1960)
「もず」(1961)
「不良少年」(1961)
「斑女」(1961)
「人間動物園」(1961)
「充たされた生活」(1962)
「からみ合い」(1962)
「おとし穴」(1962)
「涙を、獅子のたて髪に」(1962)
「切腹」(1962)
「裸体」(1962)
「古都」(1963)
「彼女と彼」(1963)
「太平洋ひとりぼっち」(1963)
「素晴らしい悪女」(1963)
「白と黒」(1963)
「ラヴ」(1963)
「イヴ・クライン」(1963)
「乾いた花」(1964)
「砂の女」(1964)
「二十一歳の父」(1964)
「白い朝」(1964)
「日本脱出」(1964)
「暗殺」(1964)
「日本脱出」(1964)
「手をつなぐ子ら」(1964)
「女体」(1964)
「自転車泥棒」(1964)
「怪談」(1965)
「美しさと哀しみと」(1965)
「ブワナ・トシの歌」(1965)
「最後の審判」(1965)
「異聞猿飛佐助」(1965)
「けものみち」(1965)
「四谷怪談」(1965)
「処刑の島」(1966)
「紀の川
花の巻・文緒の巻」(1966)
「他人の顔」(1966)
「あこがれ」(1966)
「(TV)源義経」(1966)
「電子技術で未来をひらく」(1966)
「あかね雲」(1967)
「上意討ち
拝領妻始末」(1967)
「伊豆の踊り子」(1967)
「乱れ雲」(1967)
「めぐりあい」(1968)
「燃えつきた地図」(1968)
「日本の青春」(1968)
「京」(1968)
「北海道物語」(1968)
「初恋・地獄篇」(1968)
「心中天網島」(1969)
「弾痕」(1969)
「太陽の狩人」(1970)
「東京戦争戦後秘話
映画で遺書を残して死んだ男の物語」(1970)
「どですかでん」(1970)
「甦る大地」(1971)
「儀式」(1971)
「いのちぼうにふろう」(1971)
「沈黙
SILENCE」(1971)
「(TV)天皇の世紀」(1971)
「サマー・ソルジャー」(1972)
「夏の妹」(1972)
「WONDER
WORLD」(1972)
「青幻記
遠い日の母は美しく」(1973)
「化石の森」(1973)
「卑弥呼」(1974)
「しあわせ」(1974)
「化石」(1974)
「桜の森の満開の下」(1975)
「日本刀−宮入行平のわざ−」(1976)
「錆びた炎」(1977)
「はなれ瞽女おりん」(1977)
「愛の亡霊(L'empire
de la passion)」(1978)
「燃える秋」(1978)
「火宅 能『求塚』より」(1979)
「文楽
冥途の飛脚」(1979)
「天平の甍」(1980)
「気」(1980)
「水俣の図
物語」(1981)
「蓮如とその母」(1981)
「(TV)夢千代日記」(1981)
「(TV)続・夢千代日記」(1982)
「予言」(1982)
「東京裁判」(1983)
「(TV)波の盆」(1983)
「アントニー・ガウディー」(1984)
「(TV)新・夢千代日記」(1984)
「乱」(1985)
「食卓のない家」(1985)
「ドキュメント黒澤明
A・K(AK)」(1985)
「火まつり」(1985)
「鑓の権三」(1986)
「ヒロシマという名の少年」(1987)
「嵐が丘」(1988)
「黒い雨」(1989)
「利休」(1989)
「豪姫」(1991)
「(未公開)The
Inland Sea」(1991)
「(未公開)夢窓/庭との語らい(Dream Window: Reflections on the Japanese
Garden)」(1992)
「ライジング・サン(Rising
Sun)」(1993)
「写楽」(1995)
等がある。
武満
徹は、1985年の「乱」でLA批評家協会賞の音楽賞、1995年の「写楽」で日本アカデミー賞の音楽賞を受賞している。
(2013年10月)
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