オリヴァー・ネルソン
 Oliver Nelson

Date of Birth: 1932/6/4
Place of Birth: St. Louis, Missouri, USA
Date of Death: 1975/10/28
Mini Biography:
Oliver Edward Nelson began playing piano at age six and picked up the saxophone when he was eleven. Later he continued his musical education at Washington University in St. Louis, as well as studying with composer Elliott Carter. Nelson gained practical experience by playing in bands with Erskine Hawkins, Louie Bellson, Quincy Jones and Duke Ellington. In the late 1950s he began recording with his own ensemble and earned attention as a promising jazz artist with the release of LPs like "The Blues and the Abstract Truth" (1961). One of his better-known efforts is the score for "Alfie" (1966), where he collaborated with sax man Sonny Rollins. Nelson's arrangements provide a buoyant, swinging backdrop for Rollins' assured playing. However, he is also sensitive to the film's quieter moments. The breadth of Nelson's ability as an arranger/orchestrator is demonstrated by his contribution to "Ultimo tango a Parigi" (1972). In his work with Gato Barbieri on this film, Nelson moves from the melancholy ruminations of the opening cue to the brittle elegance of the tango to the driving sound of a large ensemble. The score for "Zig Zag" (1970) is an example of Nelson's work as a composer. In this soundtrack he creates tension by combining dense harmonies and aggressive percussion. It has been suggested that Nelson's hectic schedule, which included work as composer, arranger, performer and teacher, may have helped to bring about his early death. He suffered a fatal heart attack at the age of 43.

 


ガンファイターの最後 DEATH OF A GUNFIGHTER
(未公開)類人猿捜索隊 SKULLDUGGERY

作曲:オリヴァー・ネルソン
Composed by OLIVER NELSON

指揮:オリヴァー・ネルソン、スタンリー・ウィルソン
Conducted by OLIVER NELSON, STANLEY WILSON

演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony

(米La-La Land Records / LLLCD 1642)

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アメリカの作曲家オリヴァー・ネルソン(1932〜1975)が手がけたスコア2作品をカップリングにしたCDで、いずれのスコアもこれが初アルバム化。1500枚限定プレス。

「ガンファイターの最後(DEATH OF A GUNFIGHTER)」は、1969年製作のアメリカ映画。監督は「(TV)西部の流れ者ジェシー・ジェームス」(1965)「赤い仔馬」(1973)「(未公開)ハックルベリー・フィンの冒険」(1975)等のロバート・トッテン(1937〜1995)と、「殺人者たち」(1964)「刑事マディガン」(1967)「白い肌の異常な夜」(1971)「ダーティハリー」(1971)「突破口!」(1973)「ラスト・シューティスト」(1976)「テレフォン」(1977)等のドン・シーゲル(1912〜1991)だが、クレジット上の表記は“アラン・スミシー”となっている。出演はリチャード・ウィドマーク、レナ・ホーン、キャロル・オコナー、デヴィッド・オパトッシュ、ケント・スミス、ジャクリーン・スコット、モーガン・ウッドワード、ラリー・ゲイツ、ダブ・テイラー、ジョン・サクソン、ダーリーン・カー、マイケル・マクグリーヴィ、ローヤル・ダーノ、ジミー・ライドン、キャスリーン・フリーマン、ハリー・ケリー・Jr、ジェームズ・オハラ他。ルイス・B・パットンの原作『Death of a Gunfighter』を基にジョセフ・カルヴェリが脚本を執筆。撮影はアンドリュー・ジャクソン。

近代化の波が押し寄せるテキサスの町コットンウッド・スプリングで保安官を務めるフランク・パッチ(ウィドマーク)は、夜のパトロール中に、かつて自分の妻ローリー(スコット)と不倫関係があった事からパッチを恨んでいたルーク・ミルズ(ライドン)に襲撃され、反撃して彼を銃殺してしまう。兼ねてから彼を煙たがっていた町の実力者たちから辞職を迫られたパッチは、これを拒否して、自分に与えられた権力と暴力により実力者たちを押さえ込んでいく。やがて、パッチを狙った事件が起こり、次々と死者が出ていくが……。日本でのテレビ放映時の吹替キャストはリチャード・ウィドマーク(大塚周夫)、レナ・ホーン(瀬能礼子)、キャロル・オコナー(滝口順平)、デヴィッド・オパトッシュ(塩見竜介)、ケント・スミス(宮川洋一)、ジャクリーン・スコット(此島愛子)、モーガン・ウッドワード(川久保潔)、ラリー・ゲイツ(千葉耕市)、ジョン・サクソン(仲村秀生)、ローヤル・ダーノ(北村弘一)、ジェームズ・オハラ(徳丸完)他。

撮影開始から25日経過した時点で、当初監督していたロバート・トッテンは主演のリチャード・ウィドマークとの意見の相違から解雇され、後任としてドン・シーゲルが起用されてその後9日間で撮影を完了させた。本編の大半をトッテンが監督したことから、シーゲルはクレジットへの名前の表記を辞退したが、ウィドマークがトッテンの監督クレジットに反対したため、妥協案として“アラン・スミシー”という架空の名義が監督として表記された。“アラン・スミシー”は、監督が何等かの理由でクレジットに名前を載せたくない場合に、全米監督協会に申請することでクレジットされる名義で、最初の使用は1968年のジャド・テイラー監督による「(TV)夏の日にさよなら」。その後「ハートに火をつけて」(デニス・ホッパー監督)や「デューン スーパープレミアム 砂の惑星特別編」(デヴィッド・リンチ監督)等でも使われている。

オリヴァー・ネルソンのスコアは、「Sweet Apple Wine」が、ヒロインのクレア・クィンタナを演じたアメリカのジャズ歌手レナ・ホーン(1917〜2010)のヴォーカルによるドラマティックでメランコリックなタッチの主題歌(作曲:オリヴァー・ネルソン、作詞:キャロル・ホール)。「Emblem」「Father and Son」は、静かにドラマティックなタッチの曲。「Main Title (‘Death of a Gunfighter’)」は、主題歌と同じメインの主題によるドラマティックでメランコリックなメインタイトルで、この主題は「Claire Asleep」「Will Gets His」「Light Gun Battle」「Last Walk」でも繰り返される。「Claire / Cottonwood Spring / Good Night Marshal」は、明るく快活なタッチからジェントルな主題、メインの主題へと展開。「Dark Stable」「Grim Walk / Oxley and Rifle」は、ダークで不吉なサスペンス音楽。「Poor Luke」は、メランコリックでドラマティックなタッチ。「Fish Pond / Get Up Pa」は、静かにドラマティックな主題から後半ダイナミックなサスペンス音楽へ。「Cool Off」は、明るく躍動的なタッチから後半抑制されたサスペンス音楽へ。「Damn It Andy / Confused Patch / Goodbye Frank」は、抑制されたサスペンス調からドラマティックな主題へ。「Wedding Day」は、ジェントルでドラマティックな曲。「End Title (‘Death of a Gunfighter’)」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。「Sweet Apple Wine (Long Version)」は、レナ・ホーンのヴォーカルによる主題歌のロング・バージョン。

「(未公開)類人猿捜索隊(SKULLDUGGERY)」は、1970年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でテレビ放映済)。監督は「放射能X」(1954)「リオ・コンチョス」(1964)「電撃フリント・アタック作戦」(1967)「刑事」(1968)「続・夜の大捜査線」(1970)等のゴードン・ダグラス(1907〜1993)。出演はバート・レイノルズ、スーザン・クラーク、ロジャー・C・カーメル、ポール・ハブシュミット、チップス・ラファーティ、アレクサンダー・ノックス、パット鈴木、エドワード・フォックス、ウィルフリッド・ハイド=ホワイト、ウィリアム・マーシャル、リス・ウィリアムス、モート・マーシャル、マイケル・セント・クレア、ブッカー・ブラッドショー、ジョン・キンバーリー他。「海の沈黙」(1947)等のフランスの作家ヴェルコール(1902〜1991/本名:ジャン=マルセル・ドゥ・ブリュヤール)の原作『Les animaux naturales(You Shall Know Them)』を基に、ネルソン・ギディングが脚本を執筆。撮影はロバート・モレノ。VFXをアルバート・ホイットロック、衣装デザインをイーディス・ヘッドが手がけている。

人類学者のシビル・グリーム博士(クラーク)は、類人猿から人間への進化における“失われた環”と考えられる種の骨を探してパプアニューギニアへとやって来た。現地で出会ったダグラス・テンプル(レイノルズ)とオットー・クレップス(カーメル)も彼女に同行し、彼らはそこにカラーテレビのブラウン管のスクリーンをコーティングするために使用される貴重な燐光物質が豊富に存在することを発見する。一方、グリーム博士はそこで知性の優れた新種の類人猿を発見して“トロピス”と名付け、彼女の資金提供者である実業家ヴァンクルイセン(ハブシュミット)に報告するが、製造業を展開するヴァンクルイセンは“トロピス”たちを安価な労働力として活用できないかと考えるのだった……。当初は「暗黒の大統領カポネ」(1959)「ガンファイトへの招待」(1964)リチャード・ウィルソン(1915〜1991)が監督していたが、途中で解雇されてゴードン・ダグラスが後任に起用された。製作費は約450万ドル。

オリヴァー・ネルソンのスコアは、「Main Title (‘Skullduggery’)」が、パーカッシヴでリズミックなイントロからダークで不吉なタッチの主題へと展開するメインタイトル。「Tool Shed / Smash the Bottle」「Salty Bones」は、軽快なジャズからややコミカルでミステリアスなタッチへ。「Paddlers」は、軽快でリズミックな曲。「Boat Trip」は、明るく快活なタッチの曲。「The Trip Continues」は、リズミックでドラマティックな曲。「Sack Time」は、フルートとストリングスによるジェントルなタッチの曲。「Rain Forest」「Let's Get Out」も、フルートとストリングスによるドラマティックなサスペンス音楽。「Him Lost」「Come In / Hidden Valley」「Enter Tropis」「Missing Link Murder / Head Lines」も、ドラマティックなサスペンス音楽。「Don't Keep Your Fossils Waiting」「Trek Back」は、パーカッシヴかつリズミックな曲。「Rover or Sport」「Bare Midriff / Morris Minor」は、ミステリアスなタッチのジャズ。「How About a Kiss」は、、ジェントルなタッチの曲。「Mining Operation」は、不吉なサスペンス音楽。「He Was Born Dead」「Topazia's Rag Doll」は、ドラマティックでメランコリックな曲。「End Title (‘Skullduggery’)」は、フルートとストリングスによるドラマティックなエンドタイトル。


オリヴァー・ネルソンは、セント・ルイスのワシントン大学で音楽教育を受けるとともに、作曲家のエリオット・カーターに師事した。また、アースキン・ホーキンズ、ルーイ・ベルソン、クインシー・ジョーンズ、デューク・エリントン等のバンドで演奏することで経験を積んでいった。1950年代後半から、ネルソンは自らのジャズ・バンドで演奏しはじめ、『The Blues and the Abstract Truth』等のLPレコードをリリースした。自ら映画音楽を作曲するかたわら、ベルナルド・ベルトルッチ監督の「ラストタンゴ・イン・パリ」(1972)では、ガトー・バルビエリ作曲のスコアの編曲とオーケストレーションを担当した。ネルソンは1975年に43歳の若さで心臓発作により死去している。

オリヴァー・ネルソンが手がけたスコアには
「(TV)鬼警部アイアンサイド(Ironside)」(1967〜1975)
「(TV)イスタンブール特急(Istanbul Express)」(1968)
「(TV)スパイのライセンス(It Takes a Thief)」(1968〜1970)
「(TV)ネーム・オブ・ザ・ゲーム(The Name of the Game)」(1968〜1970)
「ガンファイターの最後(Death of a Gunfighter)」(1969)
「(未公開/TV)The Bold Ones: The New Doctors」(1969)
「(TV)バージニアン(The Virginian)」(1970)
「(未公開)類人猿捜索隊(Skullduggery)」(1970)
「(未公開/TV)Dial Hot Line」(1970)
「(未公開)Zig Zag」(1970)
「(未公開/TV)Matt Lincoln」(1970)
「(未公開/TV)The Cliff」(1970)
「(TV)ロングストリート(Longstreet)」(1971〜1972)
「(TV)四次元への招待(Night Gallery)」(1971〜1972)
「(未公開/TV)Cutter」(1972)
「(TV)刑事コロンボ/悪の温室(The Greenhouse Jungle)」(1972)
「(TV)刑事コロンボ/二つの顔(Double Shock)」(1973)
「(未公開/TV)I Love a Mystery」(1973)
「(未公開/TV)The Alpha Caper」(1973)
「(未公開/TV)Money to Burn」(1973)
「(TV)600万ドルの男/対決! サイボーグ国際誘拐シンジケート(The Six Million Dollar Man: The Solid Gold Kidnapping)」(1973)
「(TV)特捜追跡班チェイス(Chase)」(1973)
「(TV)600万ドルの男(The Six Million Dollar Man)」(1974〜1976)
等がある。


(2024年7月)

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