ブレス・ザ・チャイルド   BLESS THE CHILD

作曲:クリストファー・ヤング
Composed by CHRISTOPHER YOUNG

指揮:アラン・ウィルソン
Conducted by ALAN WILSON

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演奏:ロンドン・メトロポリタン管弦楽団
Performed by the London Metropolitan Orchestra

(米GNP Crescendo / GNPD 8066)


「マスク」「イレイザー」等のチャック・ラッセルが2000年に監督したホラー。出演はキム・ベイシンガー、ジミー・スミッツ、ルーファス・セウェル、イアン・ホルム、クリスティーナ・リッチ、アンジェラ・ベティス、ホリストン・コールマン、マイケル・ガストン、ルミ・カヴァゾス、ディミトラ・アーリス、ユージーン・リピンスキー他。キャシー・キャッシュ・スペルマンの原作を基に、トーマス・リックマン、クリフォード・グリーン、エレン・グリーンが脚本を執筆。撮影はピーター・メンジーズ Jr.が担当。

雨の日のクリスマスイブ、NY病院の看護婦マギー(ベイシンガー)の前に彼女の妹ジェナ(ベティス)が現れ、生まれたばかりの子供コディ(コールマン)を託していく。マギーはコディを自分の娘のように育てるが、その6年後にまたもジェナが現れ、彼女の怪しい夫(セウェル)と共にコディを誘拐する。オカルト絡みの事件を専門とするFBI捜査官のトラヴィス(スミッツ)がコディの行方を追うが、邪教の集団は少女の持つ特殊なパワーを暗黒面に利用しようとしていた・・・。

音楽はホラーやファンタジー映画を手がけることが多いクリストファー・ヤング。ここではゆったりとしたテンポの重厚なオーケストラサウンドに、不気味なコーラスとシンセサイザーを加えたスコアを展開しており、彼の初期の傑作である「ヘル・レイザー」「ザ・フライ2/二世誕生」にも通ずる本格的なホラー音楽となっている。まるで邪悪な呪文を唱えているようなアンソニー・スケールスによるラテン語のバリトン・ソロが、何とも名状しがたい不吉なタッチを加えている。「Kyrie Eleison (Lord Have Mercy Upon Us)」の中盤や後半のオーケストラとコーラスによるドラマティックな盛り上がりや、「Dies Irae (Day of Wrath)」の前半のダイナミックなアクションスコア、「Lux Aeterna (Eternal Light)」での神秘的なボーイ・ソプラノにコーラスが徐々に加わる荘厳なフィナーレ等、今やこのジャンルのベテラン作曲家らしい風格を感じさせる。

クリストファー・ヤングの手がけたその他の作品には、「(未公開)バラ色の報酬/1000万ドルを追え!(High Point)」(1980)「エルム街の悪夢2/フレディの復讐」(1985)「スペースインベーダー」(1986)「屋根裏部屋の花たち」(1987)「ヘル・レイザー」(1987)「(未公開)幽霊伝説/フランケンシュタイン誕生秘話(Haunted Summer)」(1988)「ヘルレイザー2」(1988)「BAT★21/バット21」(1988)「ザ・フライ2/二世誕生」(1988)「(未公開)ブライト・エンジェル/旅立ちの予感」(1989)「(未公開)ザ・ハウス/屋根裏の悪魔(Hider in the House)」(1989)「ラピッド・ファイアー」(1992)「(未公開)バーグラント」(1992)「(未公開)ジェニファー8」(1992)「(未公開)ダーク・ハーフ」(1993)「水曜日に抱かれる女(Dream Lover)」(1993)「(未公開)不倫法廷(Judicial Consent)」(1994)「バーチュオシティ」(1995)「コピーキャット」(1995)「スピーシーズ/種の起源」(1995)「告発」(1995)「ノーマ・ジーンとマリリン」(1996)「ホワイトハウスの陰謀」(1997)「ルール」(1998)「ラウンダーズ」(1998)「沈黙のジェラシー」(1998)「フラッド」(1998)「エントラップメント」(1999)「ザ・ハリケーン」(1999)「ワンダー・ボーイズ」(2000)等がある。

全体に暗く重苦しいタッチのスコアが多い人だが、サントラ盤のカバーによく掲載されている彼の顔写真を見ると、いつもやけに明るい爽やかな笑顔で写っており、音楽とのギャップに苦しむ。
(2000年10月)

Christopher Young

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