ヴィドック   VIDOCQ

作曲:ブリューノ・クーレ
Composed by BRUNO COULAIS

指揮:レオス・スヴァロフスキー
Conducted by LEOS SVAROVSKY

演奏:チェコ国立交響楽団
Performed by Czech National Symphony Orchestra

(仏U.L.M. / 014 924 -2)


「エイリアン4」「ジャンヌ・ダルク」等のSFXマン、ピトフ(ジャン=クリストフ・コマール)が初監督したミステリ+ファンタジー。出演はジェラール・ドパルデュー、ギヨーム・カネ、イネス・サストレ、アンドレ・デュソリエ、エディット・スコブ、ムサ・マースクリ、ジャン=ピエール・ゴズ、イザベル・ルノー、ジャン=ポル・デュボワ、アンドレ・バンヴェルン、ジル・アルボナ、ジャン=マルク・ディボー、フランソワ・シャトー、エルザ・キコイーヌ、フレッド・ウリス、リュカントワーヌ・ディケロ、アコニオ・ドーロ、ナタリー・ベキュー、ピエール・マシュレーズ、ミシェル・ルフェーヴル、ドミニク・ザルディ他。脚本は「クリムゾン・リバー」ジャン=クリストフ・グランジェとピトフが担当。撮影はジャン=ピエール・ソーヴェールとジャン=クロード・ティボー。19世紀フランスに実在したとされる元犯罪者・元警官の私立探偵ヴィドック(ドバルデュー)と、連続殺人犯である謎の錬金術師との対決を描く(映画自体のレビューは「Quick! Film Review」をご参照)。

音楽は「キャラバン」「クリムゾン・リバー」等のブリューノ・クーレが担当。オーケストラとコーラスとシンセサイザーの組合わせによる非常にユニークなスコアを提供している。冒頭の「La soufflerie」での静かにミステリアスなタッチは少しジョン・バリーの作風に近い。続く「Introduction」はリズミックなオーケストラとシンセにゴシックホラー風のオルガンをフィーチャーしている。メインタイトルの「Vidocq (Generique debut)」もミステリアスでダークな主題による重厚なオーケストラルスコアで、この主題は「L'Egorgee」でも登場する。「Le premier combat」「La deuxieme revelation」「Le deuxieme combat」等のダイナミックでユニークなアクションスコアも面白い。「Kyrie」はコーラスを主体とした荘厳でドラマティックな曲。「La danse」は幻想的な舞踏音楽。「Les Doubles」「Les temoignages」「La poursuite aux invalides」等の神秘的なタッチも良い。「Hope vol.2」はエンドクレジットに流れるApocalypticaによる主題歌。全体として映画のファンタスティックで謎めいた雰囲気にふさわしい独創的なタッチのスコアとなっている。

ブリューノ・クーレはフランスの若手の中ではしっかりしたアンダースコアを書く実力派で、メジャーな作品を担当することが多いが、いまだに一貫した独自の個性があまり感じられない。今後の作品に期待したい。
(2001年11月 )

Bruno Coulais

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