シッピング・ニュース THE SHIPPING NEWS
作曲:クリストファー・ヤング Composed by CHRISTOPHER YOUNG 指揮:アラン・ウィルソン 演奏:フィルハーモニア管弦楽団 (米Milan / 73138-35983-2) |
このCD(輸入盤)を購入する |
このCD(国内盤)を購入する |
2001年製作のアメリカ映画(日本公開は2002年)。監督は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」(1985)「ギルバート・グレイプ」(1993)「サイダーハウス・ルール」(1999)「ショコラ」(2000)等のラッセ・ハルストレム。出演はケヴィン・スペイシー、ジュリアン・ムーア、ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ピート・ポスルスウェイト、リス・アイファンズ、ゴードン・ピンセント、スコット・グレン、ジェイソン・ベア、ラリー・パイン、ロバート・ジョイ他。ピュリッツァー賞と全米図書賞をダブル受賞したE・アニー・プルーのベストセラー小説を基にロバート・ネルソン・ジェイコブスが脚本を執筆。撮影はオリヴァー・ステイプルトン。絶望の淵に沈んだひとりの中年男が、移り住んだ小さな漁港での日々の生活を通して自らを取り戻していくさまを描くドラマ(映画自体のレビューは「Quick! Film Review」をご参照)。
音楽はホラーやサスペンス映画を得意とするクリストファー・ヤングが担当しているが、彼にとっては珍しいストレートなヒューマンドラマであり、ベストスコアの1つ「告発」(1995)にも通ずるエモーショナルで深みのあるオーケストラルスコアを提供している。冒頭の「Shipping
News」は民族色を帯びた情感豊かなメインテーマで、後半パワフルに盛り上がる。この主題は「Killick
- Claw Harbor」「Seal Flipper Pie」「Death Storm」「Sail On」等で全体を通して様々なバリエーションで登場するが、彼の音楽としては比較的明確なメロディラインをもった主題で、印象に残る。「The
Gammy Bird」や「Dutsi Jig」といった明らかに民族音楽的な曲は、逆に誰が作曲しても同じような感じになってしまい、作曲家の個性が出せないので難しいところ。劇中では効果的だが、音楽単独で聴くとあまり面白くない。「Deep
Water Down」はジャズ・ベースの暗めの曲で、ヤングの個性が感じられる。ドラマティックな「Asleep
With the Angel」も良い。ロンドンの名門フィルハーモニア管弦楽団が演奏しているが、オーケストラよりもUilean
Pipe、Penny Whistle、Hurdy Gurdyといったソロ楽器が前面に出た音作りになっている。
(2002年4月)
Copyright (C) 2002 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.