(未公開)パートナーズ PARTNERS

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES DELERUE

(スペインQuartet Records / QR141)

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1982年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。監督は「(TV)フレンズ」(1994〜1998)「(TV)NYボンビー・ガール」(2011〜)等のジェームズ・バロウズ。出演はライアン・オニール、ジョン・ハート、ケネス・マクミラン、ロビン・ダグラス、ジェイ・ロビンソン、デニース・ガリック、ジョセフ・R・シカーリ、マイケル・マクガイア、リック・ジェイソン、ジェームズ・レマー、ジェニファー・アシュレー、ダレル・ラーソン、トニー・マーチ、シーモン・グラス、スティーヴン・ライシュ他。脚本は「おかしなおかしな大冒険」(1973)「Mr.レディMr.マダム」(1978)「サンデー・ラバーズ」(1980)等の脚本や「3人の逃亡者」(1988)「奇人たちの晩餐会」(1998)「メルシィ!人生」(2000)「ルビー&カンタン」(2003)等の脚本・監督を手がけているフランス人のフランシス・ヴェベール(1937〜)で、「Mr.レディMr.マダム」がアメリカでも公開されてヒットしたことからゲイを主題にした脚本の依頼がヴェベールに来るようになり、彼がフランス語で書いた脚本を英訳したものが採用された。撮影はヴィクター・J・ケンパー。ハリウッドのゲイ・コミュニティでの連続殺人事件を潜入捜査するため、ゲイ・カップルに偽装することを命じられた2人の警官――ストレートでマッチョ・タイプのベンソン(オニール)とゲイのカーウィン(ハート)を描く犯罪コメディ。主役の2人には、(なんと)クリント・イーストウッド=ウッディ・アレン、ジェームズ・カーン=ダドリー・ムーアという組み合わせも検討されたらしい。

音楽はフランス人のジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)で、これは彼がフランスからハリウッドに移住しようとしていた頃に手がけたスコアの1つ。結果としてドルリューの作曲したスコアは合計12分程度しか劇中で使用されず、それ以外はポップソングと、ジョルジョ・モロダー、デイヴ・フランク、チャールズ・フォックス等がパラマウントの別の映画に作曲した音楽に差し替えられた。このCDでは、未使用となった曲を含むドルリューのフル・スコアを彼が当初想定していた順序に並べて収録している。「Partners Theme」は、明るく快活でジェントルなドルリュー節によるメインテーマ。「1M2 / 1M3」は、ハーモニカをフィーチャーしたややコミカルなタッチから、後半明るく躍動的な主題へ。「Meet Hardelstam」「The Market」「8M4」「Kerwin Searches House / Close Encounters / The Invitation」等は、サスペンス音楽。「3M1」は、ややコミカルなタッチのサスペンス音楽。「M51」は、メインの主題のバリエーション。「I Need Some Air」は、快活でジェントルなタッチ。「The First Clue」「Where's Everyone?」「Kerwin's Suspicion」は、メランコリックなタッチの曲。「M52」は、明るくダイナミックなアクション音楽だが、チャールズ・フォックス作曲の「ファール・プレイ」でのカー・チェイス・シーンの曲と同じフレーズ。「Domestic Scene」「I'm no Crying」は、メランコリックかつ情感豊かで、ドルリューらしい曲。「M61 / M62」 は、コミカルなタッチのイントロからサスペンス調へ。「The Bait」は、ミステリアスなタッチのジャズからダークなサスペンス音楽、重厚なアクション音楽へと展開。「10M1 / 10M3」は、ドルリューには珍しいラロ・シフリン調の70年代刑事アクション風サスペンスアクション音楽。「Thanks Kerwin」は、ギターをフィーチャーしたメランコリックなタッチ。「Find Benson / I Want the Negatives」は、ダイナミックなアクション音楽からダークなサスペンス音楽へ。ラストの「Partners Theme」は、メインの主題のリプライズ。最後にボーナストラックとしてジャズのスタンダードを3曲収録。渡米しようとしていたドルリューが、意識的にハリウッド流の明快なタッチのスコアを書いているように思えるが、結果としてそのほとんどが未使用となったのは彼としても残念だっただろう。彼のフィルモグラフィー中ではかなりレアなスコアの初サントラ化で、1000枚限定プレス。
(2014年4月)

Georges Delerue

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