(未公開)彼女のアリバイ HER ALIBI

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES DELERUE 

(米Intrada / Intrada Special Collection Vol.283)

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1985年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。監督は「キング・ダビデ/愛と闘いの伝説」(1985)「ドライビング Miss デイジー」(1989)「グッドマン・イン・アフリカ」(1994)「ダブル・ジョパディー」(1999)「小さな村の小さなダンサー」(2009)等のブルース・ベレスフォード(1940〜)。出演はトム・セレック、ポーリーナ・ポリスコワ、ウィリアム・ダニエルズ、ジェームズ・ファレンティーノ、ハード・ハットフィールド、ロナルド・ガットマン、ヴィクター・アーゴ、パトリック・ウェイン、テス・ハーパー、ビル・スミトロヴィッチ、ボボ・ルイス、ジェーン・ウェルチ、オースティン・ヘイ、W・ベンソン・テリー、ジョーン・コープランド他。脚本はチャーリー・ピータース。撮影は「回転」(1961)「エレファント・マン」(1980)「フランス軍中尉の女」(1981)「砂の惑星」(1984)「グローリー」(1989)「ケープ・フィアー」(1991)「ストレイト・ストーリー」(1999)等を手がけ、「人類SOS!」(1962)「フランケンシュタインの怒り」(1964)「テラー博士の恐怖」(1964)「残酷の沼」(1967)「帰って来たドラキュラ」(1968)等のSF・ホラー作品の監督としても知られるフレディ・フランシス(1917〜2007)。女たらしの探偵ピーター・スウィフトを主人公にした連作ミステリ小説の作家フィル・ブラックウッド(セレック)は、創作上のスランプに陥っており、ネタ探しのために裁判所を訪れる。そこで彼は、男を鋏で刺殺したとの容疑をかけられた美しいルーマニア人女性ニナ(ポリスコワ)と出会う。これは小説のネタになると思ったフィルは、牧師に扮してニナに嘘のアリバイの提供を持ちかけ、彼女を自由の身にする。ニナを自分の山荘に連れていったフィリップは、彼女に魅かれていくが、ニナは次第に不審な行動を始め、遂にフィルの身にも危険が迫るようになる……。

音楽はブルース・ベレスフォード監督と「ロンリー・ハート」(1986)「(未公開)ジョンソンの生き方」(1990)「ブラック・ローブ」(1991)「(未公開)リッチ・イン・ラブ」(1992)でも組んでいるジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)。「Main Title」は、ミステリアスでサスペンスフルな主題から、ドラマティックでこの上なく美しいニナの主題へと展開するメインタイトル。このミステリアスな主題とニナの主題のバリエーションは、スコア全編で何度も登場する。「Wild Source」は、ピアノとストリングスによるジェントルなジャズ。「Enter Nina」「True Confessions」「Nina Tries to Escape」「The Dead Cat」は、ツィンバロム(中欧・東欧の打弦楽器)をフィーチャーしたニナな主題のエキゾチックなアレンジメント。後半は、ややとぼけたタッチのルーマニア人の悪役(ニナとその家族を追っている)の主題。「Nina」「Shopping for Knives」等は、ミステリアスな主題のバリエーション。「Welcome Home」「Dinner with Nina」「The Book Store」は、ジェントルなタッチの曲。「The Knife」「Bow and Arrow Run(Alternate)」「Poison Panic」「Another Dead Roach」等は、サスペンス音楽。「Chase」「Panic in Motion (Alternate)」は、躍動的なサスペンスアクション音楽。「The Haircut」「Nina's Passion」「Nina Leaves」も、ニナの主題のバリエーション。「Bow and Arrow Run」は、ドルリューらしいヒロイックなマーチ調の主題を含むサスペンス音楽。「The Dream Sequence」「The Scissors」は、不気味なタッチのサスペンス音楽。「End Credits」は、ニナの主題のリプライズによるエンドクレジット。名曲。最後に、エクストラ・トラックとして代替テイクと、劇中でソース音楽として流れるサーカス音楽(ドルリューが得意とするジャンル)の計18曲を収録。合計約79分。
ハリウッドに進出して以降のドルリューのベストスコアの1つだろう。未使用曲を含むコンプリート・スコアの初CD化で、限定プレス。
(2014年9月)

Georges Delerue

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