(未公開)LA REVOLUTION FRANCAISE
作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted
by
GEORGES DELERUE
演奏:ブリティッシュ交響楽団
Performed by the British
Symphony Orchestra
(仏Music Box Records / MBR-053)
1989年製作のフランス=イタリア=西ドイツ=カナダ=イギリス合作映画。第一部「LES ANNEES LUMIERE(THE LIGHT
YEARS)」と第二部「LES ANNEES TERRIBLES(THE
TERRIBLE YEARS)」の2部構成となっており、第一部の監督は「冒険者たち」(1967)「ラムの大通り」(1971)「追想」(1975)「愛する者の名において」(1982)「夏に抱かれて」(1987)等のロベール・アンリコ(1931〜2001)、第二部の監督は「未来世界」(1976)「アウトローブルース」(1977)「探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!」(1982)「(TV)南北戦争物語
愛と自由への大地」(1985)「(TV)英雄物語/ナポレオンとジョセフィーヌ」(1987)「(TV)ダニエル・スティール/タイタニック」(1996)等のリチャード・T・ヘフロン(1930〜2007)。出演はクラウス・マリア・ブランダウアー、ジェーン・シーモア、フランソワ・クリュゼ、ジャン=フランソワ・バルメ、アンジェイ・セヴェリン、マリアンヌ・バスレール、ピーター・ユスティノフ、クラウディア・カルディナーレ、サム・ニール、ヴィットリオ・メッツォジョルノ、ジャン=フランソワ・ステヴナン、ガブリエル・ラズール、マッシモ・ジロッティ、ミシェル・ガラブリュ、ミシェル・デュショーソワ、フィリピーヌ・ルロワ=ボーリュー、クリストファー・リー、クリストファー・トンプソン、ジャン・ブイーズ他。脚本はロベール・アンリコ、リチャード・T・ヘフロン、デヴィッド・アンブローズ、ダニエル・ブーランジェとフレッド・A・ワイラー。撮影はフランソワ・カトンヌとバーナード・ジッツァーマン。衣装はカトリーヌ・ルテリエ。前近代的な社会体制を変革して近代ブルジョア社会を樹立した18世紀フランスの市民革命を描く6時間超の歴史ドラマで、フランス革命200周年を記念して製作されたもの(劇場公開時の成績は不調で、後にミニ・シリーズとしてテレビ放映された)。第一部は1774年からパリ市民と義勇兵が王権を停止してフランス国王ルイ16世一家を幽閉した1792年の“8月10日事件”までを描き、第二部はルイ16世、マリー・アントワネット、ダントン、デムーラン、ロベスピエール等のギロチンによる処刑により“恐怖の時代”が終わる1794年までを描く。クラウス・マリア・ブランダウアーが革命時の政治家ジョルジュ・ジャック・ダントン、ジェーン・シーモアが王妃マリー・アントワネット、フランソワ・クリュゼがダントン派の政治家カミーユ・デムーラン、ジャン=フランソワ・バルメがルイ16世、アンジェイ・セヴェリンが史上初の恐怖政治を主導した政治家マクシミリアン・ロベスピエール、クリストファー・リーが死刑執行人シャルル=アンリ・サンソンを演じる。
音楽はジョルジュ・ドルリューが作曲。このスコアは過去に仏PolydorレーベルからサントラLPとCDが出ていたが、今回「25周年記念」としてMusic
Boxレーベルがリリースした2枚組CDは、未発表曲を35分以上追加したコンプリートスコアで、新たにリマスターすることで音質を改善するとともに、Polydor盤ではステレオの左右音声が逆転していたものを修正している。CD1枚目(映画の第一部のスコアを収録)の冒頭「Hymne
a la Liberte (version
orchestrale)」は、オーケストラとコーラスによる大らかで格調高いマーチ調のメインの主題(自由の賛歌)で、ドルリューの個性が強く出た名曲。このメインの主題は「Premier
appel revolutionnaire」「A la Bastille」「Abolition des
privileges」等で何度も繰り返される。「Le lever du Roi」「Le hameau de la
Reine」「La Fete」「Fersen et Marie-Antoinette」「La Reine et ses
enfants」は、ジェントルな宮廷音楽。「Ouverture des Etats generaux」「Declaration
des Droits de l'Homme」は、荘厳なタッチの曲。「Prise de la
Bastille」は、サスペンス音楽。「Fete des barricades」「Fete au Champ de
Mars」は、明るく快活な曲。「La marche des
femmes」は、ストイックなタッチの曲。「Appels et
serment」は、荘厳なファンファーレ。「Mort de Mirabeau」「L'ombre de la
guerre」「Fin de la royaute」は、静かにトラジックな曲。「Defaite des regiments
francais」は、ダイナミックでドラマティックな曲。「La
Marseillaise」は、コーラスによる「ラ・マルセイエーズ」(フランス革命時にマルセイユ義勇兵が歌ったことで知られ、フランス国歌となっている)。最後の「Hymne
a la Liberte」は、メインの主題をアメリカの著名なソプラノ歌手ジェシー・ノーマンが歌ったバージョン。その後にボーナストラックとして、10曲を追加収録。CD2枚目(映画の第二部のスコアを収録)は、1枚目と同じ「Hymne
a la Liberte (version
orchestrale)」で始まるが、“恐怖の時代”を象徴するように、全編を通して暗く陰鬱な曲が連続する。「Depart de
la famille royale」「La Fayette」「Saint-Just」「La tristesse du Roi」「Le vote pour la
mort du Roi」「La mort de Gabrielle」「Danton est de
retour」等は、トラジックなタッチの曲。「Les Prussiens」「Folie et
massacres」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Francais contre
Prussiens」の後半は、躍動的でヒロイックなタッチへ。「Marat」「Le complot」「La folie de
Robespierre」は、ダークなサスペンス音楽。「Le destin de Marie-Antoinette」「Les
executions」「Execution de Danton et Desmoulins」「Execution de
Robespierre」は、主要なキャラクターの処刑を描いたドラマティックな曲。ラストの「Epilogue」は、コーラスを織り込んだ荘厳なエピローグ。2枚目の最後にも、ボーナストラックとして、メインの主題のドルリューによるピアノ・デモ等11曲を追加収録。ドルリューの後期のスコア中でも最もスケールが大きい力作。約128分を収録。1500枚限定プレス。
(2014年11月)
Georges Delerue
Soundtrack
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