クィニー QUEENIE
作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted
by GEORGES DELERUE
(米Intrada / Intrada Special Collection Vol.304)
1987年製作のアメリカのテレビ映画(日本では劇場未公開でNHK衛星第2で放映)。監督は「さよならコロンバス」(1969)「あの空に太陽が」(1975)「パニック・イン・スタジアム」(1976)「ベルーシ/ブルースの消えた夜」(1989)「(TV)ジャクリーン/ケネディが愛した女」(1991)「(TV)マーガレット・ミッチェル物語/わが生涯“風と共に去りぬ”」(1994)等のラリー・ピアース(1930〜)。出演はジョス・アックランド、マーティン・バルサム、クレア・ブルーム、ゲイリー・キャディ、カーク・ダグラス、ジョエル・グレイ、リー・ローソン、サラ・マイルズ、ミア・サラ、トポル、ジョン・カーリン、ケイト・エマ・デイヴィス、セレナ・ゴードン、ジョン・グリロ、アリソン・ドゥーディ他。「(未公開)イズント・シー・グレート」(2000)等のマイケル・コルダの原作を基にウィンストン・ベアード(ジェームズ・ゴールドマン)とエイプリル・スミスが脚本を執筆。撮影はトニー・イミ。原作者マイケル・コルダの叔父で「来るべき世界」(1936)「バグダッドの盗賊」(1940)「ジャングル・ブック」(1942)「第三の男」(1949)等を製作したハンガリー出身のプロデューサー/監督サー・アレクサンダー・コルダ(1893〜1956)の2番目の妻である女優マール・オベロン(1911〜1979)の半生を描いたドラマ(ノンフィクションではなく、原作者の創作が含まれている)。マール・オベロンはインドのボンベイ(現ムンバイ)出身のハリウッド女優(本名はエステル・“クィニー”・トンプソン)で「ドン・ファン」(1934)「紅はこべ」(1934)「嵐ケ丘」(1939)「リディアと四人の恋人」(1941)等に出演している。コルダと離婚した後、サム・ペキンパー監督作品の常連撮影監督だったルシアン・バラードと結婚している。このドラマでは、オベロンをモデルにしたドーン・アヴァロン(ミア・サラ)という女優が、生涯を通して自らをオーストラリアのタスマニア出身のイギリス人であると偽っていたが、実際にはインド出身のクィニー・ケリーという混血の女性で、その出生の秘密が露呈することで女優としてのキャリアが台無しになると恐れていた。カーク・ダグラスがアレクサンダー・コルダをモデルにしたデヴィッド・コーニッグ、クレア・ブルームがクィニーの母ヴィッキーを演じている。
音楽はフランスの作曲家ジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)。ドラマの舞台となるインドのシタール(弦楽器)やタブラー(打楽器)を演奏に織り込むことで、現地のエスニックなタッチを表現している。「Main
Title
(Alternate)」は、フルートとストリングスによるジェントルで美しいラヴ・テーマで、この“ドルリュー節”の優しい主題は「To
the Truth」「Love Montage」「I Need You」「I'll Miss You」「Old
Letters」等で繰り返し登場する。「Main
Title」は、シタールの演奏によるドラマティックなメインの主題で、この主題も「Part Black」「Into
Temple」「Part One End Credits」「Screen Test」「Reunited with Vicky」「Queenie and
Vicky」「David III in Bed」「Part 2 End
Credits」等で登場。「Opening」「Dressing Indian」「Five Years
Later」「Arrival in India」「Following
Vicky」等は、シタールとタブラーによるドラマティックでエスニックなタッチの曲。「Movie
Source」は、明るく快活なワルツ。「Escape from
Teacher」は、ややトラジックなタッチの曲。「Riot」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Queenie
to Burton's」は、荘厳な曲。「Burton and Queenie」「Prunella Finds
Burton」「You're Going Home」「London Bridge」「Looking for
Work」「Transition」等は、メランコリックでダークなタッチの曲。「Queenie's Act No.
1」「Queenie's Act No. 2」は、明るく快活なダンスミュージック風の曲。「Walk in the
Rain」「Driving to David's」「Queenie by
Window」は、ジェントルでリリカルな曲。「Rape」は、トラジックでサスペンスフルな曲。「She
Shouldn't Be Here」「Prunella Finds Queenie」「Letter from
Lucien」は、抑制されたサスペンス音楽。「She's My
Wife」は、メランコリックな主題から後半荘厳なタッチへ。「Flashback
Montage」は、ドラマティックな曲。「Finale」は、ジェントルでリリカルな主題からラヴ・テーマが感動的に盛り上がるフィナーレ。2部構成で4時間近くあるドラマのスコアで、全42曲/78分超が収録されている。このスコアの初CD化で、限定プレス。
(2015年3月)
Georges
Delerue
Copyright (C) 2015 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.