サン・スーシの女 LA PASSANTE DU
SANS-SOUCI
(未公開)検察官
GARDE
A
VUE
作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES
DELERUE
(仏Music Box Records / MBR-091)
フランスの作曲家ジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)がオーストリア出身の女優ロミー・シュナイダー(1938〜1982)の最後期の2作品に作曲したスコアのカップリング。シュナイダーは1982年5月29日に心臓発作で死去している(享年43歳)。
「サン・スーシの女(LA PASSANTE DU
SANS-SOUCI)」は、1982年製作のフランス=西ドイツ合作映画(日本初公開は1984年3月)。監督は「地獄の貴婦人」(1974)「仮面/死の処方箋」(1976)「甘くない砂糖」(1978)「(未公開)フィレンツェに燃えて/ワーキング・ガールの恋」(1986)「(未公開)映画こそわがビジネス/シャルル・パテの生涯」(1995)等のジャック・ルーフィオ(1928〜2016)。出演はロミー・シュナイダー(遺作)、ミシェル・ピッコリ、ヘルムート・グリーム、ドミニク・ラブリエ、ジェラール・クライン、マチュー・カリエール、ジャック・マルタン、ヴェンデリン・ヴェルナー、マルセル・ボゾネ、クリスティアーヌ・コアンディ、ピエール・ミカエル、ヴェロニク・シルヴェール、マリア・シェル、レイモン・アキロン、ジャン・レノ他。「ライオン」(1962)「昼顔」(1967)「影の軍隊」(1969)等のジョセフ・ケッセルの原作を基にジャック・ルーフィオとジャック・キルスネルが脚本を執筆。撮影はジャン・パンゼ。1981年のパリ。オルリー空港に降り立った世界人権擁護委員会の代表マックス・バウムスタイン(ピッコリ)を、妻リナ(シュナイダー)が出迎える。翌日、パラグアイ大使フェデリコ・ロゴ(カリエール)と面会したマックスは、彼が1933年当時にパリのドイツ大使館で書記官を勤めていたことを確認し、拳銃を取り出すと大使を射殺する。留置場を訪ねたリナに、マックスは過去の経緯を語り始めた――。1933年のべルリン。10歳だったマックスは父をナチスに殺され、知人であるミシェル(グリーム)とエルザ(シュナイダー二役)夫妻の許に引き取られた。しかし抵抗運動の果てにミシェルは逮捕され、エルザに目をつけたドイツ大使は、釈放と引き換えに彼女に迫るのだった……。1982年度セザール賞の音響賞を受賞。
ジョルジュ・ドルリューのスコアは、冒頭の「Chanson
d'exil」がタリラのヴォーカルによるトラジックで美しいメインの主題。続く「Générique」は、美しく悲痛なヴァイオリン・ソロによるメインタイトルで、心に染み入るようなタッチが印象的。「La
valse parisienne」は、優雅なワルツ。「Elsa et Maurice」「Charlotte et son
client」は、ジェントルなピアノ曲。「Max et son père / Photo souvenir」「Une
femme seule avec un enfant」「Le départ de Berlin」「Le retour de Michel」「Elsa et
Michel enfin réunis」は、トラジックでドラマティックな曲。「L'arbre de
Noël」は、明るく快活なダンスミュージック。「Air
tzigane」は、ロシア舞踏音楽風の曲。「Le petit Max au
Rajah」は、ロマンティックなピアノ曲。「La chanson
d'Elsa」は、ハンネローレ・ノルゲンセンのヴォーカルによる優雅でジェントルなドイツ語の歌。「Accordéon
parisien」は、アコーディオンによる快活なワルツ。「Air de
Max」は、メインの主題のバリエーション。「L'attente
d'Elsa」は、サスペンスフルでトラジックな曲。「Air des
rues」は、ドルリューらしい明るくジェントルなワルツ曲。「Goles
Lid」は、タリラのヴォーカルによるメインの主題のイディッシュ語版。
「(未公開)検察官(GARDE A
VUE)」は、1981年製作のフランス映画(日本では劇場未公開でテレビ放映/DVD発売済)。監督は「一番うまい歩き方」(1975)「なまいきシャルロット」(1985)「小さな泥棒」(1988)「伴奏者」(1992)「リュミエールの子供たち」(1995)「(未公開)テレーズの罪」(2011)等のクロード・ミレール(1942〜2012)。出演はリノ・ヴァンチュラ、ミシェル・セロー、ロミー・シュナイダー、ギイ・マルシャン、ディディエ・アゴスティーニ、パトリック・ドゥペイラ、ピエール・マゲロン、アニー・ミレール、セルジュ・マリク、ジャン=クロード・パンシュナ、イヴ・ピニョー、マチュー・シフマン、ミシェル・スシュ、エルザ・ルンギーニ他。ジョン・ウェインライトの原作『Brainwash』を基にクロード・ミレール、ジャン・エルマンとミシェル・オーディアールが脚本を執筆。撮影はブリューノ・ニュイッテン。2人の少女のレイプ殺人事件を捜査するアントワーヌ・ガリアン警部(ヴァンチュラ)は、唯一の容疑者である弁護士ジェローム・マルティノー(セロー)を大晦日の夜に警察署に召還し、延々と尋問するが、マルティノーは頑なに無罪を主張し続ける……。ロミー・シュナイダーはマルティノーの妻シャンタルを演じている。1981年度セザール賞の主演男優賞(ミシェル・セロー)、助演男優賞(ギイ・マルシャン)、脚本賞、編集賞を受賞している。また、同じ原作が2000年に「アンダー・サスピション(UNDER
SUSPICION)」(監督:スティーヴン・ホプキンス、出演:ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン、モニカ・ベルッチ)として映画化されている。
ジョルジュ・ドルリューのスコアは、冒頭の「Chantal
Martinaud」が、彼の個性がよく出たカーニヴァルのワルツ風の明るくジェントルで美しいメインの主題。このメインの主題は「Les
dunes」「Chantal et Camille」「Musique de la pluie」でも繰り返される。「Le fox
de
l'Amazone」は、快活なダンスミュージック。「Belmont」は、明るくノスタルジックなタンゴ曲。「À
la sous-préfecture」は、ジェントルなワルツ曲。
上記2作品とも1982年に仏RCAレーベルからサントラLPが出ていた(「(未公開)検察官」は「(未公開)JOSEPHA」とのカップリング)が、これはLPと同じ音源をリマスターした初CD化。
(2016年10月)
Georges
Delerue
Soundtrack
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