サマーストーリー A SUMMER STORY
作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES
DELERUE
(仏Music Box Records / MBR-108)
1988年製作のイギリス映画(日本公開は1989年7月)。監督は「天才悪魔フー・マンチュー」(1980)「恐るべき訪問者」(1980)等のピアーズ・ハガード(1939〜)。出演はジェームズ・ウィルビー、イモジェン・スタッブス、スザンナ・ヨーク、ケン・コリー、ジェローム・フリン、リー・ビレット、オリヴァー・ペリー、ハリー・バートン、ソフィー・ウォード、ジョン・エルムズ、カミラ・パワー、ジュリエット・フレミング、スキー・スミス、ジョン・サヴィデント、レイチェル・ジョイス他。『フォーサイト・サガ(The Forsyte Saga)』等のジョン・ゴールズワージー(1867〜1933)の短編小説『林檎の樹(The
Apple
Tree)』を基にペネロープ・モーティマーが脚本を執筆。撮影はケン・マクミラン。今世紀初頭のイギリスを舞台に、2人の若い男女の淡く激しい恋の行方を描くドラマ。1904年の夏、友人ロバート・ガートン(バートン)とダートムア地方を徒歩旅行していた上流階級の青年フランク・アシュトン(ウィルビー)は、足を挫いてしまい、野原で出会った美しい娘ミーガン・デヴィッド(スタッブス)が一緒に暮らしているナラコーム夫人(ヨーク)の農家で世話になる。ミーガンに心魅かれたフランクは、足の怪我を口実にひとり残ることにするが……。
音楽はフランスの作曲家ジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)が作曲しており、フランス映画以外でドルリューが作曲したスコア中でも特筆すべき美しさの傑作。「Ashton
Arrives」は、チェロ・ソロによるジェントルで心を洗われるようなドルリュー節のメインの主題。この繊細で美しいメインの主題は「Falling
in Love」「The Locket」「Abandoned」「Megan in the Field」「Return to the
Hill」等で繰り返し登場する。「We Meet
Megan」は、明るく牧歌的な曲。「Sheep Shearing / Coming to
Town」は、明るく快活な曲。「Megan Leaves Forever」「Night Meeting」「The Green
House」は、メインの主題のトラジックなバリエーション。「The Gentle Maiden
(Instrumental)」「The Gentle Maiden (Instrumental) (Film
Version)」は、繊細で美しいアイルランド民謡。「Love in the
Loft」は、静かにジェントルかつメランコリックな主題からメインの主題へ。「Megan at
Work」は、メインの主題の快活なバリエーション。「Summer
Poem」は、ジェントルで美しい主題から後半メインの主題へ。「Waiting for
Megan」は、サスペンスフルなタッチ。「Devon by Night」「Farewell to
Megan」は、メランコリックな主題。「At the Beach / Flashback and
Rescue」は、明るく快活な主題からメインの主題、不吉なサスペンス音楽へ。「Missed the
Train」は、ドラマティックな曲。「Thinking of
Ashton」は、ジェントルな主題からサスペンス音楽へ。「Ashton's Son (Theme from A Summer
Story)」は、メインの主題のフルバージョンで締めくくる。弦楽器と木管楽器のみで構成されたオーケストラによる演奏で、弦楽器がフランクとその友人たち、木管楽器がミーガンを表現することで、階層の対比を際立たせているスコア。
このスコアは公開当時にVirgin
Recordsレーベルより全20曲/36分のサントラLP/CDが出ていたが、今回フランスのMusic Box
RecordsレーベルからリリースされたCDは未発表曲を含む23曲/49分の拡張盤。
(2017年3月)
Georges
Delerue
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