ケイン号の叛乱 THE CAINE MUTINY
作曲:マックス・スタイナー
Composed by MAX STEINER
指揮:モリス・ストロフ
Conducted by MORRIS STOLOFF
(米Intrada / Intrada Special Collection
Volume 382)
1954年製作のアメリカ映画。監督は「十字砲火」(1947)「若き獅子たち」(1958)「ワーロック」(1959)「荒野を歩け」(1961)「蜃気楼」(1965)「狼たちの影」(1975)等のエドワード・ドミトリク(1908〜1999)。出演はハンフリー・ボガート、ホセ・ファーラー、ヴァン・ジョンソン、フレッド・マクマレイ、ロバート・フランシス、メイ・ウィン(ドナ・リー・ヒッキー)、トム・タリー、E・G・マーシャル、アーサー・フランツ、リー・マーヴィン、ウォーナー・アンダーソン、クロード・エイキンス、キャサリン・ウォーレン、ホイット・ビッセル他。「初恋」(1958)「(TV)戦争の嵐」(1983)「(TV)戦争と追憶」(1988)等のハーマン・ウォークによるピューリッツァ賞受賞の同名小説を基にスタンリー・ロバーツが脚本を執筆。撮影はフランツ・プレイナー。製作は「渚にて」(1959)「ニュールンベルグ裁判」(1961)「おかしなおかしなおかしな世界」(1963)「愚か者の船」(1965)「招かれざる客」(1967)「ドミノ・ターゲット」(1976)等の製作・監督を手がけたスタンリー・クレイマー(1913〜2001)。プリンストン大学を卒業したウィリー(フランシス)は、ナイトクラブ歌手の恋人メイ(ウィン)に別れを告げ、海軍少尉候補生として駆逐艦ケイン号に乗りこんだ。ケイン号では副官スティーヴ・マリク大尉(ジョンソン)が艦を切り回していたが、間もなく新艦長のフィリップ・フランシス・クィーグ中佐(ボガート)が着任する。しかし、クィーグは魚雷演習中の事故の責任を部下になすりつけたことで、信頼を一挙に失うのだった。ケイン号が猛烈な台風に遭遇した際、クィーグに艦の指揮を任せられないと判断したマリクは、艦長に反抗して指揮をとり、艦を救った。マリクとウィリーは反逆罪で軍法会議にかけられるが、弁護士のグリーンウォルド中尉(ファーラー)が巧妙な質問によりクィーグが偏執狂であることを証明する……。一見威厳ある指揮官のようだが、実はとてつもない臆病者であるクィーグを演じたボガートが見事。1954年度アカデミー賞の作品賞、主演男優賞(ハンフリー・ボガート)、助演男優賞(トム・タリー)、脚色賞、劇・喜劇映画音楽賞、編集賞、録音賞にノミネートされている。1988年に「(TV)軍事法廷/駆逐艦ケイン号の叛乱(THE
CAINE MUTINY COURT-MARTIAL)」(製作・監督:ロバート・アルトマン、出演:ブラッド・デイヴィス、ジェフ・ダニエルズ他)としてリメイクされている。
音楽は、オーストリア出身で「風と共に去りぬ」(1939)「ヨーク軍曹」(1941)「カサブランカ」(1943)「キー・ラーゴ」(1948)「黄金」(1948)「ドン・ファンの冒険」(1949)「大海戦史」(1959)「避暑地の出来事」(1959)等多数の作品のスコアを手がけ、ハリウッド黄金期を代表する名作曲家であるマックス・スタイナー(1888〜1971)。「Main
Title」は、豪快で勇壮な正統派のマーチから、後半ジェントルでロマンティックなラヴテーマへと展開。スコア全体がこのメインのマーチの主題とラヴテーマのバリエーションで構成されている。続く「I
Can't Believe That You're In Love With Me (Vocal)」は、ジミー・マクヒュー作曲、クラレンス・ギャスキル作詞によるラヴテーマで、ヴォーカルはジョー・アン・グリアー。「I
Can't Believe That You're In Love With Me (Instrumental)」は、ラヴテーマのインストゥルメンタル版で、編曲はジョージ・デューニング。「Keith
Meets Navy」「Lost Paravane」「Meet Queeg」「De Vriess Leaves」「Off to Target」「To the
Barn」「Mother Meets May」「The Plaque」「Queeg Rants」「Greenwald Takes Case」等は、メインのマーチのバリエーション。「Top
to Bottom」は、ややコミカルなタッチの曲。「Shirt Tail」「Mental
Disorders」「Berries, Anyone?」「On the Bible」は、ダークなタッチのサスペンス音楽。「Love
in the Valley」「Phone May」は、ラヴテーマのバリエーション。「Escort Jacob」は、ヒロイックなタッチの曲。「Yellow
Streak」「See Halsey」「Storm Warning」は、メインの主題を織り込んだサスペンスアクション音楽。「End
Title」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。最後にエクストラとして、映画で流れたバージョンの「Main
Title / I Can't Believe That You're In Love With Me (Vocal)」等3曲を収録。
この作品は、公開当時(1954年)に米RCAレーベルが映画のセリフ、効果音、音楽のハイライトを収録したLP(RCA Victor
LOC-1013)をリリース(全く音楽のない軍法会議のシーンも全編収録)したが、法的な問題のために少数をプレスしたのみでキャンセルされてしまった。大半が回収されて廃棄されたため流通枚数が非常に少なく、最も高額で取引されているトップレアのサントラ盤の1つで、その価値は約1万ドルとも言われている。今回米IntradaレーベルがリリースしたCDは、マックス・スタイナー作曲のスコアのみを収録したコンプリート・スコア盤(全28曲/53:25)。スタイナーの代表作の1つであるクラシック・フィルムスコアの貴重な音源の初リリースで、限定プレス。
尚、RCA盤の収録内容は以下の通り。
1. The Bright Young Men
2. I Can't Believe That
You're In Love With Me
3. The Junkyard Navy
4.
The Tow
5. Yellowstain
Blues
6. Mental
Disorders
7. Heavy
Weather Ahead
8. The
Typhoon
9. The Court
Martial
(2017年9月)
Max Steiner
Soundtrack Reviewに戻る
Copyright (C) 2017 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.