(未公開)UN PROFIL POUR DEUX
作曲・指揮:ウラジミール・コスマ
Composed and Conducted by VLADIMIR COSMA
(仏Larghetto Music / LARGH027)
「ぐうたらバンザイ!」(1969)「(未公開)3人の逃亡者/銀行ギャングは天使を連れて」(1986)「シェフ イン
ラブ」(1996)「幸せはシャンソニア劇場から」(2008)「ロスト・イン・パリ」(2016)等に出演したフランスのベテラン俳優ピエール・リシャール(1934〜)と、「ラ・ブーム」(1980)「ディーバ」(1981)「ル・バル」(1984)「スチューデント」(1988)「プロヴァンス物語/マルセルの夏」(1990)「メルシィ!人生」(2000)等のルーマニア出身の作曲家ウラジミール・コスマ(1940〜)とのコラボレーション作品を集めたCDで、最新作の「(未公開)UN
PROFIL POUR DEUX」がメインとなっている。
「(未公開)UN PROFIL POUR DEUX」は、2017年製作のフランス=オーストリア=ドイツ=ベルギー合作映画(英語題名は「MR.
STEIN GOES ONLINE」)。監督・脚本は、ピエール・リシャールがジェーン・フォンダ、ジェラルディン・チャップリン、クロード・リッシュ等と共演した「みんなで一緒に暮らしたら(ET
SI ON VIVAIT TOUS ENSEMBLE?)」(2011)を手がけたステファン・ローブラン。共演はヤニス・レペール、ファニー・ヴァレット、ステファニー・クライヤンクール、ステファン・ビソー、マシャ・メリル、グスタヴ・ケルヴェルン、ピエール・キウィット、アンナ・ブデルク、フィリップ・シェーヌ、アルチュール・ドゥフェイ他。撮影はプリシラ・ゲデ。妻に先立たれた75歳のピエール(リシャール)は、出会い系サイトに孫娘のボーイフレンドであるアレックス(レペール)の写真を使ってプロファイルを掲載し、フローラ(ヴァレット)と巡り会う。ピエールのエレガントなメッセージに魅了されたフローラは、直接彼に会ってデートしたいと言い出す。思わぬ展開に心躍らされたピエールは、アレックスに自分の代わりにデートに行ってほしいとお願いするが……。
ウラジミール・コスマのスコアは「Un
profil pour deux」が、ハーモニカやツィンバロム(中欧・東欧地域の打弦楽器)をフィーチャーした軽快でリズミックなジャズによるメインタイトル。「La
moto ivre」は、ピアノとハーモニカによるジェントルな曲。「Le vieux grigou」「Vieni qui」「Le
rendez-vous rêvé」は、メランコリックなタッチ。「Dans l'ombre」「Une cigarette
pour deux」「Flora 63」は、ツィンバロムをフィーチャーしたメインの主題。「Ma chère christine
(vocal)」は、ブリージーな女声ヴォーカルによる挿入歌。「Super 8」は、軽快でリズミックな曲。「La
valse de pierrot」は、ジェントルなワルツ調の曲。「Pierre mène l'enquête」は、ややコミカルなタッチの曲。「Techno-tango
sur seine」は、リズミックなタンゴ。「Alex et flora」は、ドラマティックなジャズ。ハーモニカはグレッグ・ズラップ、ツィンバロムとアコーディオンはマリウス・プレダ、ピアノはクロード・サルミエリとウラジミール・コスマ、ギターはスリム・ペザンの演奏。
「(未公開)LE JOUET」は、1976年製作のフランス映画(英語題名は「THE
TOY」)。監督・脚本は「3人の逃亡者」(1988)「ジャガー」(1996)「奇人たちの晩餐会」(1998)「メルシィ!人生」(2000)「ルビー&カンタン」(2003)等のフランシス・ヴェベール(1937〜)。共演はミシェル・ブーケ、ファブリス・グレコ、ジャック・フランソワ、ダニエル・セッカルディ、シャルル・ジェラール、ミシェル・オーモン、スージー・ディソン他。撮影はエチエンヌ・ベッカー。ジャーナリストのフランソワ(リシャール)は、大規模な小売店を取材中に、店のオーナーであり新聞社も保有する実業家ランバル=コシェ(ブーケ)の息子の“おもちゃ”に選ばれてしまうが……。
ウラジミール・コスマのスコアは「Le
jouet (générique)」が、明るく軽快なメインタイトル。「Les jouets du président」は、ジェントルでリリカルな曲。
「(未公開)JE SUIS TIMIDE... MAIS JE ME SOIGNE」は、1978年製作のフランス映画(英語題名は「I'M
SHY, BUT I'LL HEAL」)。ピエール・リシャール自身が監督しており、共演はアルド・マッチョーネ、ジャック・フランソワ、ミミ・クーテリエ、カトリーヌ・ラシャン、ロベール・ダルバン、ジャン=クロード・マスーリエ、ジャック・ファブリ、ロベール・カステル他。脚本はピエール・リシャール、ジャン=ジャック・アノーとアラン・ゴダール。撮影はクロード・アゴスティーニ。ヴィシーにあるホテルの会計士ピエール・ルノー(リシャール)は気弱な性格で、心理学協会のセールスマン、アルド(マッチョーネ)から本やらテープやらを売りつけられてしまう。彼はホテルに客としてやって来た美女アニエス(クーテリエ)に一目惚れするが……。
ウラジミール・コスマのスコアは「Je
suis timide... mais je me soigne」が、軽快でコミカルなメインタイトル。「Thème
d'agnès」は、ジェントルで爽やかなアニエスの主題。
「おかしなおかしな高校教師(LA MOUTARDE ME MONTE AU NEZ)」は、1974年製作のフランス映画(日本公開は1975年/英語題名は「I'M
LOSING MY TEMPER」)。監督は「ザ・カンニング[IQ=0]」(1980)「フレンチ・コップス」(1984)「ふたり」(1989)「アルレット」(1997)等のクロード・ジディ(1934〜)。共演はジェーン・バーキン、クロード・ピエプリュ、ジャン・マルタン、ダニエル・ミナッツォリ、ヴィットリオ・カプリオーリ、ジュリアン・ギオマール、アンリ・ギイベ他。脚本はクロード・ジディ、ミシェル・ファブルとピエール・リシャール。撮影はアンリ・ドカエ。高校教師のピエール・デュロワ(リシャール)は、生徒のいたずらによって、市長を務める父親の演説用原稿、友人の特ダネ記者の原稿、そして生徒たちの答案をそれぞれ間違えて別の相手に渡してしまうが……。
ウラジミール・コスマのスコアは「La
moutarde me monte au nez (générique)」が、明るくリズミックなメインタイトル。「Les
apaches en folie, pt. 1」は、ヒロイックなウエスタン調の曲。
「冒険喜劇 大出世(LA COURSE A L'ECHALOTE)」は、1975年製作のフランス=西ドイツ合作映画(日本公開は1976年/英語題名は「THE
WILD GOOSE CHASE」)。監督はクロード・ジディ。共演はジェーン・バーキン、ミシェル・オーモン、マルク・ドールニッツ、アマデウス・アウグスト、カトリーヌ・アレグレ、ジャン・マルタン、クロード・ドーファン他。脚本はクロード・ジディ、ミシェル・ファブルとジャン=リュック・ヴルフォフ。撮影はアンリ・ドカエ。銀行員のピエール・ヴィダル(リシャール)は、支店長の不在時に支店の取り仕切りを任されるが、重要書類が入ったスーツケースが盗まれてしまい、警察は彼が犯人だと思い込む……。
ウラジミール・コスマのスコアは「La
course à l'échalote」が、軽快でスラプスティックなタッチのメインタイトル。「S.e.n.X.」は、ジェントルでリリカルな曲。「Chou-fleur」は、クールなジャズ。
コメディ映画を得意とするウラジミール・コスマらしいライトでジェントルなタッチが楽しいアルバムで、冒頭の最新作のスコアでもそのタッチは健在。
(2017年10月)
Vladimir Cosma
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