(未公開/TV)TOURS DU MONDE, TOURS DU CIELLES

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES DELERUE

演奏:パリ管弦楽団
Performed by L'Orchestre de Paris

(仏Music Box Records / MBR-140)

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1991年製作のフランスのドキュメンタリー・テレビシリーズ(52分×10話)。監督はロベール・パンサール=ベッソン(1950〜2011)。フランスの哲学者・文筆家ミシェル・セール(1930〜)や、フランスの天体物理学者ピエール・レナ(1937〜)等への宇宙の法則に関するインタビューと、数年にわたり35カ国で撮影された地球の様々な地域の映像や宇宙の映像を通じて、天体観察や天文学の歴史を綴った作品で、放映当時は天文学を学ぶ全ての人々が見るべき画期的な科学ドキュメンタリーと評価されていた。

音楽はフランスの作曲家ジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)。「Générique début」は、ジェントルで美しいメインタイトル。「Stellaire 1」は、クラシカルで情感豊かな曲で、まさにドルリューのベストパターン。実に美しい。「Stellaire 2」も、ジェントルなタッチの曲。「Stellaire 3」は、メインの主題のバリエーション。「Stellaire 4」は、情感豊かでドラマティックな曲。「Générique fin」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。この後に、惑星を表現した各20秒ほどの短い主題が連続するが、「Saturne」「Jupiter」は、ダークなタッチ、「Terre」「Mars」「Mercure」は、リリカルなタッチ、「Vénus」は情感豊かなタッチ。ドルリューの個性が強く表れた、キャリア後年の傑作スコアの1つ。

このアルバムには、1948年に(23歳の)ジョルジュ・ドルリューが最初に作曲した弦楽四重奏「PREMIER QUATUOR À CORDES」も収録されており、「真珠の耳飾りの少女」(2003)「クィーン」(2006)「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(2008)「英国王のスピーチ」(2010)「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017)等のフランスの作曲家アレクサンドル・デスプラ(1961〜)の指揮によりトラフィック・クインテット(Le Traffic Quintet)が演奏している(2009年録音)。第一楽章「Premier mouvement」は、クールかつスリリングで躍動的。第二楽章「Deuxième mouvement」は、ピッチカートによる繊細なタッチ。第三楽章「Troisième mouvement」は、ややアブストラクトで不吉なタッチ。第四楽章「Quatrième mouvement」は、ダイナミックで躍動的。映画音楽作曲家がクラシック音楽を作曲すると、無機質でつまらない作品になることが多いが、このドルリューの弦楽四重奏は独創的で聞き応えがある。

トラフィック・クインテットhttps://www.trafficquintet.com/)は、ジャック・オーディアール監督の「(未公開)つつましき詐欺師(Un héros très discret)」(1996)アレクサンドル・デスプラが作曲したスコアを演奏するために編成された弦楽五重奏団で、その後もコンサートや映画祭等で演奏を続けている。ヴァイオリン(ドミニク・ルモニエ、チボー・ヴィユー)、ヴィオラ(エステル・ヴィヨー)、チェロ(ラファエル・ペロー)、ダブルベース(フィリップ・ノアレ)で構成。

「TOURS DU MONDE, TOURS DU CIEL」のスコアは、仏Berthemontレーベルが1997年に全11曲収録のサントラCD(Berthemont 8039331)をリリースしているが、このMusic BoxレーベルのCDは未収録だったメインタイトルを追加した上にリマスターされており、750枚限定プレス。
(2018年10月)

Georges Delerue

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