枢機卿 THE CARDINAL

作曲・指揮:ジェローム・モロス
Composed and Conducted by JEROME MOROSS

(米Kritzerland / KR 20035-7)

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1963年製作のアメリカ映画(日本公開は1964年6月)。製作・監督は「ローラ殺人事件」(1944)「帰らざる河」(1954)「黄金の腕」(1955)「栄光への脱出」(1960)「野望の系列」(1961)「危険な道」(1965)「バニー・レークは行方不明」(1965)「ローズバッド」(1975)等のオットー・プレミンジャー(1906〜1986)。出演はトム・トライオン、キャロル・リンレー、ドロシー・ギッシュ、マギー・マクナマラ、ビル・ヘイズ、ジョン・サクソン、ジョン・ヒューストン、バージェス・メレディス、ラフ・ヴァローネ、オッシー・デイヴィス、アーサー・ハニカット、パトリック・オニール、マーレイ・ハミルトン、ロミー・シュナイダー、ヴォルフガング・プライス他。ヘンリー・モートン・ロビンソンの原作を基にロバート・ドジアーが脚本を執筆。撮影はレオン・シャムロイ。メイクアップはディック・スミス。タイトルデザインはソウル・バス。若きカトリック神父の苦悩と遍歴を描いたドラマ。1917年、スティーヴン・ファーモイル(トライオン)は聖ヨハネ教会の助任司祭に就任したが、主任司祭とことごとく対立したため、ボストン大教区の枢機卿グレノン大司教(ヒューストン)から地方の貧しい教区への転任を命ぜられる。そこでのファーモイルの成長を認めたグレノン大司教は、彼を自分の下に呼びもどして秘書とした。ボストンの実家に帰ったファーモイルは、妹モナ(リンレー)が異常妊娠で苦しむのを見ながらも堕胎を勧めるわけにいかず、モナは死んでいった。心に大きな傷を受けたファーモイルは、休暇をとって僧服を脱ぎ英語の教師としてウィーンに渡った。そこで女学生アンヌマリー(シュナイダー)と恋愛関係になるが、聖職を捨てきれず、1人ローマへと旅立つのだった……。ヘンリー・モートン・ロビンソン作の原作の主人公は、実在のニューヨーク大司教・教皇ピウス12世の枢機卿フランシス・ジョセフ・スペルマン(1889〜1967)をモデルにしているという。1963年度アカデミー賞の監督賞、助演男優賞(ジョン・ヒューストン)、撮影賞(カラー)、美術監督・装置賞(カラー)、衣装デザイン賞(カラー)にノミネートされ、同年のゴールデン・グローブの作品賞(ドラマ)と助演男優賞(ヒューストン)を受賞している。

音楽は「誇り高き反逆者」(1958)「大いなる西部」(1958)「大将軍」(1965)「レーチェル レーチェル」(1968)「恐竜グワンジ」(1969)等のアメリカの作曲家ジェローム・モロス(1913〜1983)。「Main Title」は、鐘の音のイントロから荘厳でドラマティックかつ美しいメインの主題へと展開するメインタイトル。「Stonebury」は、明るく快活でジェントルな曲。「The Monks of Casamar」は、荘厳なコーラス曲。「Dixieland-Tango」は、陽気なデキシーランドジャズとタンゴ。「The Cardinal's Faith」は、荘厳でジェントルな曲。「They Haven't Got the Girls in the U.S.A.」は、セリフを含む陽気なコーラス曲。「The Cardinal in Vienna」は、明るくジェントルなワルツ。「Annemarie」は、快活なダンスミュージック。「The Cardinal's Decision」は、メインの主題を含むドラマティックでダイナミックな曲。「Way Down South」は、明るく牧歌的なタッチ。「Alleluia」は、ソプラノとコーラスによるハレルヤ。「The Cardinal Themes」は、メインの主題のリプライズ。最後にボーナストラックとして、ピアノやコーラスをフィーチャーしたメインタイトルのよりポップな編曲「Theme from The Cardinal」を収録。聖職者を主人公にしたドラマにふさわしい真摯で美しいスコア。

このスコアは公開当時の1963年に米RCAレーベルから全12曲収録のサントラLP(LSO 1084)が出ており、同じ内容のLPが1980年に米Entr'acteレーベル(ERS 6518)より、CDが1987年に米Preambleレーベル(PRCD 1778)、1999年にスペインのRCAレーベル(74321720552)より再発されているが、このKritzerlandレーベルのCDは未発表曲を1曲追加した再リリースで、1000枚限定プレス。
(2019年4月)

Jerome Moross

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