終電車 LE DERNIER MÉTRO
隣の女 LA FEMME D'À CÔTÉ
日曜日が待ち遠しい! VIVEMENT DIMANCHE!

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES DELERUE

(仏Music Box Records / MBR-170)

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「突然炎のごとく」(1961)「華氏451」(1966)「黒衣の花嫁」(1968)「恋のエチュード」(1971)「映画に愛をこめて アメリカの夜」(1973)「アデルの恋の物語」(1975)等のフランスの映画監督フランソワ・トリュフォー(1932〜1984)の晩年の3作品に盟友ジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)が作曲したスコアのコンピレーション。CD2枚組で、いずれもコンプリート・スコアを収録。

「終電車(LE DERNIER MÉTRO)」は、1980年製作のフランス映画(日本公開は1982年4月/英語題名は「THE LAST METRO」)。出演はカトリーヌ・ドヌーヴ、ジェラール・ドパルデュー、ジャン・ポワレ、アンドレア・フェレオル、ポーレット・デュボスト、ジャン=ルイ・リシャール、モーリス・リッシュ、サビーヌ・オードパン、ハイツ・ベネット、クリスチャン・バルトース、ピエール・ベロ、ルネ・デュプレ、オード・ローラン、アラン・タスマ、リシャール・ボーランジェ他。脚本はフランソワ・トリュフォーとシュザンヌ・シフマン。撮影はネストール・アルメンドロス。第二次大戦中、ナチ占領下のパリ。人々は夜間外出を禁止され、地下鉄の終電車に殺到するのだった。女優のマリオン(ドヌーヴ)は、南米に逃亡したユダヤ人で支配人兼演出家の夫リュカ・シュタイナー(ベネット)の代わりにモンマルトル劇場を切り盛りしていることになっていたが、実はリュカは劇場の地下に潜み、夜の妻の訪問だけを楽しみに国外脱出の機会を待っていた。マリオンは、リュカが翻訳したノルウェーの戯曲『消えた女』をジャン=ルー(ポワレ)の演出で上演しようとしており、相手役には新人のベルナール・グランジェ(ドパルデュー)が起用された。ジャン=ルーはこの戯曲の上演許可のため、ドイツ軍の御用批評家ダクシア(リシャール)とも親しくするのだった……。1980年度アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされ、同年のセザール賞の作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞、音楽賞、撮影賞、音響賞、編集賞、美術賞を受賞している。

ジョルジュ・ドルリューのスコアは、「Générique」が明るく快活でノスタルジックなワルツ調のメインの主題。名曲。「Paris sous l'Occupation」「Arrivée de Daxiat」「Marion et son secret」は、抑制されたサスペンス音楽。「À la Propagandastaffel」は、時計が時間を刻むようなタッチのサスペンス音楽。「Marion et Lucas」は、メインの主題のジェントルなアレンジメント。「L'hôpital」は、情感豊かで美しい曲。「Marion dans sa chambre / Départ de Nadine et Bernard / Nadine et Bernard」は、静かにドラマティックな曲。「Épilogue」は、緊張感のあるサスペンス音楽。「Générique de fin」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。

「隣の女(LA FEMME D'À CÔTÉ)」は、1981年製作のフランス映画(日本公開は1982年12月/英語題名は「THE WOMAN NEXT DOOR」)。出演はジェラール・ドパルデュー、ファニー・アルダン、アンリ・ガルサン、ミシェル・ボームガルトネル、ロジェ・ヴァン・ウール、ヴァロニク・シルヴェール、フィリップ・モリエール=ジュヌー、ニコール・ヴォーティエ、ムリエル・コーム、オリヴィエ・ブケール、カトリーヌ・クラサック、ジャック・プライサシュ、ローラン・テノー他。脚本はフランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマンとジャン・オーレル。撮影はウィリアム・ルプシャンスキー。妻と息子を持ち平凡な生活を送っていた男と、偶然彼の隣に引越して来た昔の恋人との激しい恋と葛藤を描くドラマ。妻アルレット(ボームガルトネル)と幼ない息子と平穏な日々を送っていた32歳のベルナール・クードレイ(ドパルデュー)の隣にボーシャール夫妻が引っ越してきた。夫のフィリップ(ガルサン)は、空港に勤めるベテランの菅制官で、妻マチルド(アルダン)は彼とかなり歳が離れていた。翌日マチルドはベルナールに電話する――実は2人は昔恋人同士だったのだ。ベルナールとマルチドは、お互いに罪の意識を感じながらも再び愛し合うようになる……。

ジョルジュ・ドルリューのスコアは、「Générique début」がドラマティックかつサスペンスフルなメインの主題。「Mathilde à sa fenêtre」「Rendez-vous à l'hôtel」「Bernard à sa fenêtre」「Mathilde dans la nuit」「La baleine qui pleure」「Mathilde s'effondre」は、抑制されたサスペンス音楽。「La jalousie」「Évanouissement au parking」は、静かにドラマティックな曲。「Le secret de Madame Jouve」「L'amour dans la voiture」「Ni avec toi, ni sans toi」は、メランコリックかつドラマティックな曲。「Garden-party」は、ライトなダンス・ミュージック。「La violence de Bernard」は、緊張感のあるサスペンス音楽。「Épilogue」は、メインの主題のリプライズによるエピローグ。

「日曜日が待ち遠しい!(VIVEMENT DIMANCHE!)」は、1982年製作のフランス映画(日本公開は1985年5月/英語題名は「CONFIDENTIALLY YOURS」)。出演はファニー・アルダン、ジャン=ルイ・トランティニャン、ジャン=ピエール・カルフォン、フィリップ・ローダンバッシュ、フィリップ・モリエール=ジュヌー、グザヴィエ・サン=マカリー、ジャン=ルイ・リシャール、カロリーヌ・シオル、カステル・カスティ、アニク・ブローブル、ヤン・デデ、ニコール・フェリックス、ジョルジュ・クールーリス、パスカル・ペレグラン、ローラン・テノー他。チャールズ・ウィリアムスの原作『土曜を逃げろ(The Long Saturday Night)』を基にフランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマンとジャン・オーレルが脚本を執筆。撮影はネストール・アルメンドロス、フロラン・バザンとテッサ・ラシーヌ。ある殺人事件にまき込まれた女秘書の活躍を描くサスペンス。バルバラ・ベッケル(アルダン)は、南仏のニースに近い町にあるヴェルセル不動産のオフィスで秘書として働いている。社長のジュリアン・ヴェルセル(トランティニャン)は狩猟好きで、その朝も鴨撃ちに行っていた。彼の留守中に社長夫人のマリー=クリスティーヌ(シオル)から電話が入り、預金を下ろして送って欲しいと依頼されるが、バルバラはオフィスを留守にできないことを理由に断る。一方、警察署長のサンテリ(モリエール=ジュヌー)と助手のジャンブロー刑事(テノー)がオフィスにやって来て、ジュリアンの狩猟仲間のマスリエという男が、その朝やはり鴨撃ちに行って銃で撃ち殺されたとを知らされる。その男はマリー=クリスティーヌの愛人だった……。フランソワ・トリュフォーはアルフレッド・ヒッチコック監督を尊敬しており、彼へのロング・インタビューが『定本 映画術』として出版されている(映画史に残る名著)が、この映画ではヒッチコック風のサスペンスを意識している。トリュフォー監督の遺作で、1983年度英国アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされている。

ジョルジュ・ドルリューのスコアは、「Ah! Barbara (Générique début)」が明るく快活なタッチのメインの主題。「La mort de Massoulier」「Assassinat de Madame V.」「La découverte de Barbara」「Les couloirs de l'hôtel」「Barbara s'est endormie」「La voix anonyme infatigable」「Les photos」「Barbara à l'Eden」「Barbara mène l'enquête」「La fuite de Julien et Barbara」「Les jambes des femmes」「Barbara dans la rue chaude」「Le piège se referme」「Le mystère éclairci」は、抑制されたタッチのサスペンス音楽。「Une voix anonyme」「Barbara se souvient」は、静かにドラマティックな曲。「Intimité troublée / Marie-Christine provocante」は、抑制されたタッチの曲で中盤にジェントルなタッチのジャズのフレーズが挿入される。「Allons voir Nice !」は、ドラマティックでスリリングなタッチ。「L'homme mystérieux / L'embarquement pour civière / Un étrange client」「On retrouve l'étrange client」「Barbara espionne Louison」「Mort de Louison」「Le couteau dans le dos」「Le suicide du bavard」は、緊張感のあるサスペンス音楽。「Java de la rue chaude」は、アコーディオンによる快活な曲。「L'enterrement de Massoulier」は、荘厳なオルガンによる曲。「Tango de la rue chaude」は、アコーディオンをフィーチャーした快活なタンゴ。「Julien et Barbara」は、メランコリックかつドラマティックな曲。「Générique de fin」は、メインの主題のリプライズ。

いずれのスコアも過去にサントラLP/CDがリリースされているが、「終電車」は過去のサントラ盤と同じ内容、「隣の女」と「日曜日が待ち遠しい!」は未発表曲を含んでおり、いずれも新たにリマスターされている。1000枚限定プレス。

ジョルジュ・ドルリューは、この3作品以外にフランソワ・トリュフォー監督と「ピアニストを撃て」(1960)「突然炎のごとく」(1962)「二十歳の恋」(1962)「柔らかい肌」(1963)「恋のエチュード」(1971)「私のように美しい娘」(1972)「映画に愛をこめて アメリカの夜」(1973)「逃げ去る恋」(1978)でも組んでいる。
(2020年2月)

Georges Delerue

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