マリオ・ナシンベーネ映画音楽集 THE FILM MUSIC OF MARIO NASCIMBENE

作曲:マリオ・ナシンベーネ
Composed by MARIO NASCIMBENE

指揮:マリオ・ナシンベーネ、フランコ・フェラーラ、ピエルルイジ・ウルビーニ
Conducted by MARIO NASCIMBENE, FRANCO FERRARA, PIERLUIGI URIBINI

(スペインQuartet Records / QR427)

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<収録曲>

1. 地獄の戦場コマンドス COMMANDOS (1968)
2. (未公開)DONNE SENZA PARADISO - LA STORIA DI SAN MICHELE (1962)
3. 放浪の剣豪 LA CONGIURA DE DIECI (1962)
4. (未公開)I LANCIERI NERI (1962)



「アレキサンダー大王」(1956)「バイキング」(1957)「ソロモンとシバの女王」(1959)「剣と十字架」(1961)「バラバ」(1962)といったハリウッド資本の史劇大作や、「恐竜100万年」(1966)「燃える洞窟」(1967)「恐竜時代」(1969)「原始人100万年」(1970)といった英ハマー・フィルム製作のファンタジー映画のスコアで知られるイタリアの作曲家マリオ・ナシンベーネ(1913〜2002)が1960年代に手がけた4作品のスコアを集めたコンピレーションCD。

1. 地獄の戦場コマンドス COMMANDOS

1968年製作のイタリア=西ドイツ合作映画(日本公開は1969年8月)。監督は「炎のいけにえ」(1974)等のアルマンド・クリスピーノ(1924〜2003)。出演はリー・ヴァン・クリーフ、ジャック・ケリー、ジャンピエロ・アルベルティーニ、マリーノ・マセ、ピエル・パオロ・カポーニ、イヴァーノ・スタッチオーリ、マリル・トロ、アキム・ベルグ、ハインツ・ラインケ、ヘルムート・シュミット他。メナヘム・ゴーラン、ドン・マーティンとアーサー・ブロウナーの原案を基にルチオ・バティストラーダ、アルマンド・クリスピーノ、ステファノ・ストゥルッキと、「歓びの毒牙」(1969)「サスペリア」(1977)「フェノミナ」(1984)等の監督として知られるダリオ・アルジェントが脚本を執筆。撮影はベニート・フラッタリ。1942年の北アフリカ戦線。米軍のサリヴァン軍曹(ヴァン・クリーフ)率いるイタリア系アメリカ人で構成された特殊部隊は、イタリア兵に成りすましてイタリア軍が占拠している広大な砂漠のオアシスのキャンプを奪取し、連合軍上陸まで確保しようとするが……。

マリオ・ナシンベーネのスコアは、(映画で頻繁に使用される)グレゴリオ聖歌の『怒りの日(Dies irae)』の主題を織り込んだ、ダイナミックでミリタリスティックかつサスペンスフルな「Introduzione magica」「Attesa drammatica」「Finale tragico」の3曲を収録。オーケストラの指揮はマリオ・ナシンベーネ

2. (未公開)DONNE SENZA PARADISO - LA STORIA DI SAN MICHELE

1962年製作の西ドイツ=イタリア=フランス合作映画(英語題名は「STORY OF SAN MICHELE」、ドイツ語題名は「AXEL MUNTHE - DER ARZT VON SAN MICHELE」、フランス語題名は「LE LIVRE DE SAN MICHELE」)。監督は「巨艦いまだ沈まず」(1962)「夜は盗みのために」(1967)「マリア・カラス 最後の恋」(2005)等のジョルジオ・カピターニ(1927〜2017)と「路上の夜」(1951)「ザイラーの初恋物語」(1958)「前科者」(1960)等のルドルフ・ユーゲルト(1907〜1979)。出演はO・W・フィッシャー、ロザンナ・スキャフィーノ、ソニア・ツィーマン、マリア・マホー、ヴァレンティナ・コルテーゼ、アントワン・バルペトレ、フェルナン・サルドゥー、ハインツ・エルハルト、レナート・エワート、インゲボルグ・シェーナー他。スエーデン人の医師アクセル・ムンテ(1857〜1949)による1929年の自叙伝『The Story of San Michele』を基にハンス・ヤコービーとハラルト・G・ペテルソンが脚本を執筆。イタリアのカプリ島にサン・ミケーレ荘を建造したことで知られるムンテの生涯を描くドラマ。

マリオ・ナシンベーネのスコアは、「Ouverture S. Michele」がピアノ・コンチェルト風のドラマティックでパワフルな序曲。「Incontro romantico」は、ピアノをフィーチャーしたメランコリックでリリカルな曲。「Tragico e sentito」は、ドラマティックでダイナミックな曲。「Incontro nostalgico」は、メランコリックでドラマティックな曲。「Finale S. Michele」は、コーラスをフィーチャーしたドラマティックでパワフルなピアノ・コンチェルト風のフィナーレ。華麗でドラマティックな傑作スコア。オーケストラの指揮はフランコ・フェラーラ

3. 放浪の剣豪 LA CONGIURA DE DIECI

1962製作のイタリア=フランス合作映画(日本公開は1963年4月/英語題名は「SWORDSMAN OF SIENA」、フランス語題名は「LE MERCENAIRE」)。監督は「ツェッペリン」(1970)「八点鐘が鳴るとき」(1971)「(TV)新・メグレ警視/メグレとベンチの男」(1993)等のエチエンヌ・ペリエ(1931〜2020)、イタリア語版の監督はバッチオ・バンディーニ(1913〜1989)。出演はステュワート・グレンジャー、シルヴァ・コシナ、クリスティーネ・カウフマン、リッカルド・ガローネ、アルベルト・ルポ、マリーナ・ベルティ、テュリオ・カルミナティ、クラウディオ・ゴラ、ファンフュラ、ジウリオ・マルケッティ他。アンソニー・マーシャルの原作を基にマイケル・カニン、フェイ・カニンとアレック・コッペルが脚本を執筆。撮影は「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」(1966)「ウエスタン」(1968)「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(1984)等のセルジオ・レオーネ監督作品で知られるトニーノ・デリ・コリ。悪辣なスペイン人総督ドン・カルロス(ガローネ)が支配するシエナに、用心棒を稼業とするロンドンっ子トーマス・スタンズウッド(グレンジャー)がやって来た。彼は総督と婚約したアルコンティ家の娘オリエッタ(コシナ)のボディガードとして雇われるが……。16世紀イタリアを舞台にした冒険活劇。

マリオ・ナシンベーネのスコアは、「Titoli di testa」がファンファーレに続きヒロイックなマーチ調子の主題、サスペンス音楽へと展開するメインタイトル。「Cocchiere appeso」は、サスペンスアクション音楽から中盤やや調子のはずれたタッチへ。「Lotta di Stanwood」は、メインの主題を織り込んだサスペンスアクション音楽。「Sequenza drammatica」「Sequenza drammatica (pt.2)」「Trionfo」も、メインの主題を含む不気味なサスペンス音楽。「Finale」は、軽妙なタッチのメインの主題からラストは壮大に盛り上がるフィナーレ。オーケストラの指揮はフランコ・フェラーラ

4. (未公開)I LANCIERI NERI

1962年製作のイタリア=フランス合作映画(英語題名は「CHARGE OF THE BLACK LANCERS」、フランス語題名は「LES LANCIERS NOIRS」)。監督は「非難」(1951)「ジークフリード」(1957)「海賊王バイキング」(1960)等のジャコモ・ジェンティローモ(1909〜2001)。出演はメル・ファーラー、イヴォンヌ・フルノー、レティシア・ローマン、ロレッラ・デ・ルカ、ジャン・クラウディオ、アニバレ・ニンキ、フランコ・シルヴァ、ナンド・タンベルラーニ、ジウリオ・バティフェリ、クラウディオ・ビアヴァ他。脚本はオッタヴィオ・アレッシ、ウーゴ・グエラ、ルチアーノ・マルティーノとエルネスト・ガスタルディ。撮影はラファエレ・マスチオッキ。スティーヴン二世王の軍隊を指揮する将軍アンドレア・ディ・テュラ(ファーラー)は、誘拐されたマスチア姫(ローマン)を救出せよとの使命を放棄し、タタールのジャッサ姫(フルノー)に取り込まれてしまった弟のセルジオ(クラウディオ)と闘うことになる……。

マリオ・ナシンベーネのスコアは、「Titoli di testa」が重厚なマーチ調のドラマティックなメインタイトル。「Andrea e Mascia al fiume」「Andrea e Jassa / Fuga dal carcere」は、ジェントルでリリカルな曲。「Arrivo dei polacchi」「Bruciate le capanne!」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Fuga di Jassa」「Jassa in carcere」は、静かにドラマティックな曲。「Discorso di Jassa」は、メインの主題のバリエーション。「Il cavaliere Andrea / Avanzata dei polacchi」「Sergio attacca / Pattuglia polacca」「Carica dei ghirghisi」「Cavalleria ghirghisa / Ritirata dei polacchi」は、ヒロイックな主題からドラマティックな主題へと展開する曲。「L'esercito avanza」は、ドラマティックなマーチ調の曲。「Contrattacco dei ghirghisi / Fuga dei ghirgisi / Sergio corre da Jassa」は、ヒロイックな主題を織り込んだサスペンスアクション音楽。「Finale」は、壮大でドラマティックなフィナーレ。オーケストラの指揮はピエルルイジ・ウルビーニ。

本CDに収録されている「地獄の戦場コマンドス」の3曲と「(未公開)DONNE SENZA PARADISO - LA STORIA DI SAN MICHELE」の5曲は、1968年にイタリアCinevoxレーベルからリリースされたトップ・レアのサントラLP(Cinevox MDF 33/11)に収録されていた内容と同じだが、「放浪の剣豪」「(未公開)I LANCIERI NERI」のスコアは初収録。300枚限定プレス。
(2020年11月)

Mario Nascimbene

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