(未公開/TV)EL HOMBRE Y LA TIERRA
作曲・指揮:アントン・ガルシア・アブリル
Composed and Conducted by ANTÓN GARCÍA ABRIL
(スペインQuartet Records /
QR350)2018
1974〜1980年製作のスペインのテレビ・ドキュメンタリー(全124話/英語題名は「MAN
AND EARTH」)。イベリア半島パート「Serie Iberica」(1974)、南米パート「Serie
Venezolana」(1974)、北米パート「Serie Canadiense」(1980)の3パートで構成された自然ドキュメンタリー・シリーズで、大半のエピソードはスペインで撮影され、南米パートはヴェネズエラ、リャノ平原、オリノコ川、アマゾン盆地で撮影された。ピレネーデスマン(モグラ科の哺乳類)のような珍しい動物を初めて映像で捉えたことでも評価が高い。製作・監督を手がけたスペインの博物学者フェリックス・ロドリゲス・デ・ラ・フエンテ(1928〜1980)は、動物行動学の権威で、スペインでは「環境保護主義の父」と呼ばれていた。1980年、イディタロッドトレイル犬ぞりレースの映像を撮影するために訪れたアラスカで、52歳の誕生日に飛行機事故により死去。このため、北米パートのカナダとアラスカのエピソードが撮影された時点で、本シリーズは終了している。
音楽は「ガンマン無頼」(1966)「(未公開)エル・ゾンビ I
死霊騎士団の覚醒」(1972)「熱愛」(1975)「無垢なる聖者」(1984)「(未公開/TV)MONSIGNOR QUIXOTE」(1987)等のスペインの作曲家アントン・ガルシア・アブリル(1933〜)。この「(未公開/TV)EL
HOMBRE Y LA TIERRA」は、放映当時スペインをはじめとしたヨーロッパで広く視聴されていた人気ドキュメンタリー・シリーズで、アブリルのスコアも彼の代表作の1つとなっている。CD4枚組となっており、1〜3枚目の前半まではイベリア半島パート(FAUNA
IBERICA)、3枚目の中間に南米パート(SERIE VENEZOLANA)、3枚目の後半から4枚目に北米パート(SERIE
CANADIENSE、IDITAROD)のスコアを収録(全80曲/約262分)。1000枚限定プレス。
CD1枚目、イベリア半島パートの冒頭「Títulos」は、パーカッシヴで躍動的なタッチのメインタイトル。「Islas
forestales」は、サスペンス調からドラマティックなタッチへ。「La primavera」は、ピアノをフィーチャーしたリリカルなタッチ。「Maternidad
en el bosque」は、リリカルでややメランコリックな主題から後半ミュージックボックス風へ。「El otoño」も、リリカルでややメランコリックな曲。「El
cortejo del oso」は、コミカルなタッチのマーチ。「El invierno」は、ピアノをフィーチャーしたリリカルでドラマティックな曲。「El
águila elige una presa」は、叫び声を織り込んだ不気味なタッチの曲。「Festín en el
bosque」は、ジェントルで快活な曲。「Un cadáver en el campo」は、ダークで重厚な曲。「Las
estepas españolas」「La danza de las aves」「El duende del bosque」は、ジェントルでリリカルな曲。「El
gavilán」は、ピアノをフィーチャーしたメランコリックなタッチ。「Lobos cazando」は、重厚なサスペンス音楽。「Juegos
inocentes en el bosque」は、躍動的な曲。「Hombres a caballo」は、ウエスタン風のストイックなタッチ。「El
alimoche」は、幻想的な曲。
CD2枚目の冒頭「El gran matador」は、コーラスをフィーチャーしたダークでサスペンスフルな曲。「Los
lobeznos 」「El hayedo en otoño」は、静かにドラマティックな曲。「La amenaza del
hombre」は、コーラス入りのウエスタン調の曲。「La gran batida」も、ダイナミックで躍動的なウエスタン調。「El
turón」「Los polluelos de la gaviota」「La pasión de la perdiz roja」「Amanecer en el
bosque」は、明るく快活な曲。「El despertar」「El juego del amor」「Amor
materno」「El examen del raposo」は、メランコリックでドラマティックな曲。「La marcha de
los animales」は、コーラス入りのミリタリスティックなマーチ。「La lucha por la
supervivencia」は、ストイックでドラマティックな曲。「Los primeros pasos I」「El ciclo
de la vida」「Familia reunida」「Los primeros pasos II」は、ジェントルでリリカルな曲。「Los
peligros del bosque」は、女声ヴォーカルをフィーチャーしたパーカッシヴな曲。「Muerte en la
llanura」は、幻想的でドラマティックな曲。「El estímulo amoroso de la primavera」は、ややコミカルで快活なタッチ。
CD3枚目の冒頭「La solemne belleza de las pequeñas cosas」は、ジェントルかつ躍動的な曲。「Delicado
cortejo」「Aves de la estepa」は、ジェントルでリリカルな曲。「El rocío」は、メランコリックでドラマティックな曲。「Atravesando
el río」は、スリリングで躍動的。南米パートの冒頭「Anaconda」は、静かに不吉なタッチ。「Los
llanos venezolanos」は、幻想的な曲。「El jaguar y el tapir」は、躍動的でサスペンスフル。「Fauna
en peligro」は、ダークなサスペンス音楽。北米パートの冒頭「Cataratas Virginia」は、バンジョーとハーモニカをフィーチャーしたジェントルで牧歌的な曲。「La
Gruta Valeria」「Bisontes」「El ciervo uapití」は、ジェントルでリリカルな曲。「Cascanueces」は、ウエスタン調の大らかな曲。「Territorio
del Yukon」は、バンジョーを織り込んだ明るく躍動的な曲。
CD4枚目の冒頭「Grizzlies
desde el aire」と「Campamento de montaña」は、ウエスタン調の長閑でジェントルな曲。「Rescate
del caribú」は、静かにドラマティックな曲。「Glaciares」は、バンジョーとハーモニカによる軽快なタッチ。「Rebecos
blancos en Jasper」「Halcones en cautividad」「Las Rocosas」は、ジェントルでリリカルな曲。イディタロッドのエピソードの「Alaska」は、ウエスタン調の躍動的な曲。「Iditarod,
la carrera de trineos」は、軽快なタッチ。「El perro y el trineo」は、ジェントルでリリカルな曲。「Desierto
de nieve」は、ジェントルでメランコリックなタッチ。最後にボーナスとして「Títulos (serie
venezolana)」「Cántico para Félix」「Llanto para una amarga despedida」を収録。
全体にイージーリスニング的で親しみやすいタッチのスコア。
(2020年12月)
Antón García Abril
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