(未公開)CONSEIL DE FAMILLE
(未公開)LE POINT DE MIRE
作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES DELERUE
(仏Music Box Records /
MBR-187)
ジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)が1970〜1980年代にスコアを手がけた2作品のカップリング。1000枚限定プレス。
「(未公開)CONSEIL DE FAMILLE」は、1986年製作のフランス映画(英語題名は「FAMILY
COUNCIL」)。監督は「Z」(1969)「戒厳令」(1973)「ミッシング」(1982)「背信の日々」(1988)「ミュージックボックス」(1989)「マッド・シティ」(1997)等のギリシャ出身のコンスタンタン・コスタ=ガヴラス(1933〜)。出演はジョニー・アリデイ、ファニー・アルダン、ギイ・マルシャン、ローラン・ロモール、レミ・マルタン、ジュリエット・ルネ、カロリーヌ・ポション、アン=ジゼル・グラス、ファブリス・ルシーニ、ジェローム・バリエール、マキシム・ボーグラン、クローディーヌ・ベルグ、ジュリアン・ベルトー、フランソワーズ・ベット、フランソワ・ルヴァンタル他。フランシス・リックの原作を基にコスタ=ガヴラスが脚本を執筆。撮影はロベール・アラズラキ。刑務所から出所したばかりのプロの窃盗犯(アリデイ)は、家族を養うためにすぐに盗みを再開するが、仕事が軌道に乗り始めると、自分の子供も助っ人に駆り出すようになる。社会派ドラマを得意とするコスタ=ガヴラス監督が手がけた“盗み”をファミリービジネスとする家族を描くコメディ・タッチのスリラー。
ジョルジュ・ドルリューのスコアは、「L'arrivée
du père」がハーモニカによるややメランコリックで気だるいタッチのメインの主題。この主題は「Intimité」「À
l'aéroport」「Thème de famille (Variation)」でも登場する。「Le pont des
Arts」は、アコーディオンをフィーチャーしたメランコリックなワルツ調の主題からリズミックな主題へ。「Premier
chantier」「Les Bulgares se déchaînent」は、抑制されたサスペンス音楽。「Thème de
Sophie」「Sophie et François」は、メランコリックで美しいソフィーの主題。「Paysage
familial」は、チェロをフィーチャーしたドラマティックな曲。「Jogging」「François et les
tireurs」は、リズミックでスリリングな曲。「La prière de Martine / Éducation
sexuelle」は、フルートとアコーディオンをフィーチャーしたドルリューらしいジェントルな曲。「Intimité
familiale / Pas de conscience」「La magie du grenier」「La route d'Aurillac」は、チェロをフィーチャーしたメランコリックなタッチの曲。「La
surprise / Étrange chantier」「Le dernier chantier」「Suspense」は、サスペンス調の曲。「La
famille en vacances」「Le cha-cha-cha des vacances」は、明るくリズミックな曲。「Départ
en vacances」は、アコーディオンをフィーチャーしたドラマティックかつメランコリックな曲。「Monique et
Faucon」は、ジェントルなワルツ。「Martine dans sa chambre」は、フルートによるジェントルな曲。「Le
chantier」は、サックスをフィーチャーした軽快なジャズ・ベースの曲。「Générique de fin (Thème
de famille)」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。
このスコアは1984年にフランスのMilanレーベルから全14曲/約27分収録のサントラLP(Milan A-264)が出ていたが、このMusic
Boxレーベルが2021年5月にリリースしたCDは全26曲/約50分のスコアを収録。
「(未公開)LE POINT DE MIRE」は、1977年製作のフランス映画(英語題名は「FOCAL
POINT」)。監督はベルギー出身のジャン=クロード・トラモン(1930〜1996)で、これは彼の監督デビュー作。出演はアニー・ジラルド、ジャック・デュトロン、ジャン・ブイーズ、クロード・ドーファン、ミシェル・ロバン、フィリップ・ルーロー、ルシアン・ル・マルシャン、クリスティーヌ・ローラン、シルヴィア・バデスク、フランソワーズ・ブリオン、マティアス・アビッシュ、ジェス・アン、ジャン・レスコ、ジャン=クロード・ブリアリ、ミシェル・ブラン他。「戦場にかける橋」(1957)「猿の惑星」(1968)「(TV)欺き」(2016)等のピエール・ブール(1912〜1994)の原作を基にジェラール・ブラッシュとジャン=クロード・トラモンが脚本を執筆。撮影は「死刑台のエレベーター」(1957)「太陽がいっぱい」(1960)「サムライ」(1967)「仁義」(1970)等の名手アンリ・ドカエ。フォト・ジャーナリストのダニエル・ゴール(ジラルド)は、夫ミシェル(ブリアリ)のアントワープでの事故死の真相を調査するうちに、アメリカの外務大臣ジョン・W・マックスウェル(ルーロー)を暗殺しようとする陰謀を突き止めるが……。
ジョルジュ・ドルリューのスコアは、「Thème
de Danielle」がアコーディオンによるメランコリックなタッチのダニエルの主題で、この主題は「Le
courrier」「Le viseur」「L'appartement」でも繰り返される。「La maison de
Madame Yvonne」「La cassette」は、ダークなサスペンス音楽。「Danielle et Julien」は、ジェントルなアコーディオンによるワルツ。「Thème
de Julien」は、フルートをフィーチャーしたメランコリックでややエスニックなタッチのジュリアン(デュトロン)の主題。「Final」は、ドラマティックなタッチからアコーディオンによるメインの主題へと展開するフィナーレ。
このスコアはフランスのDeesseレーベルから「Thème de Danielle」「Thème de Julien」の2曲のみ収録したEP(Deesse
DPX 725)が出ていたが、このMusic BoxレーベルのCDには全9曲/約18分のスコアを収録。
(2021年9月)
Georges Delerue
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