リオの男 L'HOMME DE RIO

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES DELERUE

(仏Music Box Records / MBR-205)

 ★TOWER.JPで購入

   ★AMAZON.CO.JPで購入 


1964年製作のフランス=イタリア合作映画(英語題名は「THAT MAN FROM RIO」)。監督は「大盗賊」(1961)「まぼろしの市街戦」(1967)「おかしなおかしな大冒険」(1973)「愛と復讐の騎士」(1997)等のフィリップ・ド・ブロカ(1933〜2004)。出演はジャン=ポール・ベルモンド、フランソワーズ・ドルレアック、ジャン・セルヴェ、ロジェ・デュマ、ダニエル・チェカルディ、ミルトン・リベイロ、ウビラシー・デ・オリヴェイラ、サブ・ド・ブラシル、アドルフォ・チェリ、シモーヌ・ルナン、クリスチャン・バゴ、ロベール・ブロム、ルイーズ・シュヴァリエ、マックス・エロイ、ルシアン・レンブール他。脚本は「コニャックの男」(1970)「うず潮」(1975)「シラノ・ド・ベルジュラック」(1990)「プロヴァンスの恋」(1995)「ボン・ヴォヤージュ」(2003)等の監督を手がけているジャン=ポール・ラプノー(1932〜)、「世にも怪奇な物語」(1967)「暗黒街のふたり」(1973)「真夜中の刑事/PYTHON357」(1976)「メナース」(1977)等のダニエル・ブーランジェ(1922〜2014)、「モリエール」(1978)等の監督を手がけているアリアーヌ・ムヌーシュキン(1939〜)とフィリップ・ド・ブロカ。撮影はエドモン・セシャン。

兵士のアドリアン・デュフールケ(ベルモンド)は、休暇でフィアンセのアニエス(ドルレアック)が待つパリにやって来た。パリでは博物館からアマゾンの小像が盗まれるとの事件が起きており、考古学者ノルベール・カタラン教授(セルヴェ)によると、それは3年前に教授とヴィレルモザ氏、マリオ・デ・カストロ氏(チェリ)の3人が発見したもので、彼らは3個の小像をそれぞれ1個ずつ保管し、教授は自分の像を博物館に寄付していた。ヴィレルモザは探検後に死に、リオのある場所に像を隠した。アニエスはヴィレルモザの娘で、小像の秘密を知っていたが、カタラン教授が何者かに連れ去られ、アニエスも誘拐されてしまう。アニエスを連れた男が飛行機でリオに飛ぶのを見たアドリアンは、彼らの後を追ってリオへと向かうが……。ストーリーの設定や展開が、ベルギーの作家エルジェによる世界的人気コミック『タンタン』から多大な影響を受けているという。1964年度アカデミー賞の脚本賞にノミネートされ、同年のNY批評家協会賞の外国映画賞を受賞している。

音楽は「大盗賊」(1961)「ピストン野郎」(1964)「カトマンズの男」(1965)「まぼろしの市街戦」(1967)「君に愛の月影を」(1970)「ベルモンドの怪盗二十面相」(1975)「(未公開)ソフィー・マルソーの愛、革命に生きて」(1988)等、多数の作品でフィリップ・ド・ブロカ監督と組んでいるジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)。このスコアは、1963年にフランスのUnited Artistsレーベルから全4曲収録のEP(United Artists 36045)、1965年にイギリスのUnited Artistsレーベルから全6曲収録のEP(United Artists UEP 1007)が出ており、その後、2006年にフランスのUniversalレーベルから全8曲収録のCD(Universal France 984 349-4/「カトマンズの男」とカップリング)、2009年に米Kritzerlandレーベルから全52曲/約71分収録のCD(Kritzerland KR 20012-3)が出ていたが、フランスのMusic Boxレーベルが2022年1月にリリースしたこのCDは、全32曲/約62分半収録で、新たにリマスターされている。1000枚限定プレス。

「Batucada générique (version film)」は、バトゥカーダ(サンバのサブスタイルで、主題や歌のないパーカッションのみの演奏)によるメインタイトル。「Vol au musée」は、重厚なイントロからリリカルなピアノ、クラリネットへと続き、サスペンス調へ展開。「Huit jours de perme」は、勇壮でダイナミックなマーチによるアドリアンの主題で、「Catalan kidnappé」「L'aventure continue」「Retour à Paris」等でも登場する。「Agnès」は、フルートと口笛をフィーチャーしたメランコリックなアニエスの主題で、「Agnès découvre la vérité」でも登場する。「Bowling brésilien」「Sur le fleuve」は、ギターをフィーチャーしたライトでリズミックな曲。「Le secret des statuettes」「Dans la jungle」「La véritable statuette」「Saut en parachute」は、抑制されたサスペンス音楽。「Sir Winston」「Chez Lola」は、サックスをフィーチャーしたリズミックなラテン・ミュージック。「Adrien en filature」「Aventures brésiliennes」は、オーケストラによるサスペンス音楽。「Les trois statues」「Thème guitare」は、ギターによるメランコリックなタッチの曲。「Agnès et Adrien」「Soirée chez de Castro」は、気だるいタッチのジャズ。「Madame de Castro」は、ピアノをフィーチャーしたリリカルな曲。「Almedina de l'Homme de Rio (Chorando sim)」「O Rio e o mar」は、女声ヴォーカルによるドラマティックなブラジリアン・ソング。「Feu d'artifice」は、ドルリューの個性が出た荘厳なバロック調の曲。「Bienvenue à Rio」は、ギターと口笛をフィーチャーしたラテン・ミュージック。「Chant des pêcheurs (Serenata do mar)」は、男声ヴォーカルとコーラスに口笛を加えたジェントルな挿入歌。「Adrien à la rescousse」「La fin de l'aventure」は、ダイナミックでヒロイックなサスペンスアクション音楽。「Quelle aventure !」は、ピアノのワルツからオーケストラによるクロージングへ。ラストの「Batucada générique」は、バトゥカーダのリプライズ。
(2022年7月)

Georges Delerue

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2022  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.