イルカの日 THE DAY OF THE DOLPHIN

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES DELERUE

(スペインQuartet Records / QR498)

 ★TOWER.JPで購入

   ★AMAZON.CO.JPで購入 


1973年製作のアメリカ映画(日本公開は1974年6月)。監督は「バージニア・ウルフなんかこわくない」(1966)「卒業」(1967)「キャッチ22」(1970)「シルクウッド」(1983)「ワーキング・ガール」(1988)「心の旅」(1991)「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(2007)等のマイク・ニコルズ(1931〜2014)。出演はジョージ・C・スコット、トリッシュ・ヴァン・ディーヴァー、ポール・ソルヴィノ、ジョン・デナー、セヴァーン・ダーデン、エリザベス・ウィルソン、ウィリアム・ローリック、フィリス・デイヴィス、パット・ザリカ、ジョン・コークス、エドワード・ハーマン、レスリー・チャールソン、ヴィクトリア・ラチモ、ジョン・デヴィッド・カーソン、フリッツ・ウィーヴァー他。ロベール・メルルの原作を基にバック・ヘンリーが脚本を執筆。撮影はウィリアム・A・フレイカー。製作総指揮はジョセフ・E・レヴィン。

世界的に著名な海洋動物学者ジェイク・テレル博士(スコット)は、フロリダ沖合いの小島にイルカの研究施設を保有していた。その施設ではイルカに簡単な英語を教えていたが、テレルは自分の研究が政治に悪用されることを恐れ、スポンサーであるフランクリン財団にも研究内容を報告していなかった。財団の管理官ハロルド・デマイロ(ウィーヴァー)が、研究の具体的成果をこれ以上秘密にするなら援助を打ち切ると通告してきたので、テレルはやむを得ず彼を研究所に案内し、彼の友人だという政府調査機関のカーティス・マホーニー(ソルヴィノ)の訪問を許してしまった。次にやって来た財団の理事5人は、テレルと英語で会話するイルカのファーを見て驚く。テレルと妻のマギー(ディーヴァー)が財団の事務局に招待された隙に、財団のまわし者だった研究助手のデヴィッド(コークス)がイルカたちを連れ去ってしまう。財団の理事たちはイルカを訓練して、時限装置付きの機雷を大統領の乗ったヨットの船底に仕掛けようと企んでいた……。製作費は約850万ドル、全世界興行収入は約230万ドル。1973年度アカデミー賞の作曲賞と音響賞にノミネートされている。本作は当初ロマン・ポランスキーが監督し、ジャック・ニコルソンが主演する予定だったが、ポランスキーがロケハンでイギリスに滞在中だった1969年8月9日に、彼の妻シャロン・テイトがチャールズ・マンソンを信奉する狂信者たちによって自宅で惨殺されるとの事件が起こった。

音楽はフランス人のジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)で、これは彼が手がけたアメリカ映画の中でも特に有名なスコア(上述の通りアカデミー賞の作曲賞にノミネートされている)。このスコアは、1974年に米Avco Embassyレーベルから全14曲/約33分収録のサントラLP(Avco Embassy AV 11014-598)が、1977年に日本のH&Lレーベルから同内容のLP(H&L Records VIP-7230)が出ており、1991年に日本のSLCレーベルから同内容のCD(Soundtrack Listeners Communications SLCS 7036)、2001年に日本のビクターエンタテインメント・レーベルから同内容のCD(VICP 61178)が出ている。その後、2008年に米Perceptoレーベルから全25曲/約41分収録のCD(Percepto Records PERCEPTO-025/1500枚限定プレス)が出ているが、2022年8月にQuartetレーベルがリリースしたこのCDは全38曲/約76分を収録し、レストア/リマスターされている。

前半の14曲はオリジナルのサントラアルバムと同じプログラムで、冒頭の「Theme From "The Day of the Dolphin"」は、情感に満ちたメランコリックで美しいメインの主題。ドルリューの代表作の1つで、ハープシコード(チェンバロ)の切ない音色が印象的な名曲。「Eye of the Dolphin and the Red Ball」「Dolphin Hunt (They're Sneaking up on Us)」「Dummy Mine (Mr. Stone in Alpha House)」は、ダークで不吉なサスペンス音楽。「Reunion」は、ヴィヴァルディ風の明るく快活でクラシカルなタッチの曲。「Finding the Flag」「Circles and Squares」「Whirpool」は、抑制されたタッチのサスペンス音楽。「Nocturne」は、クラリネットとフルートをフィーチャーしたメインの主題のバリエーション。「The Chase」は、躍動的なタッチのサスペンス音楽で、後半クラシカルなタッチへ。「Return to the Island (Goodbye)」は、フルートをフィーチャーしたメランコリックなタッチの曲。「Farewell」は、クラリネットとフルートによるメランコリックなタッチからメインの主題、重厚なサスペンス音楽へ展開。「End Title」は、クラリネットとストリングスをフィーチャーしたメインの主題によるエンドタイトル。「Theme From "The Day of the Dolphin"」は、メインの主題のリプライズ。15曲目以降は実際に映画で使われたコンプリートスコアで、アルバム版と曲が重複しているが、ミキシングや長さに違いがある。最後のトラック(38曲目)の「Theme From "the Day of the Dolphin" (Single Version)」は、イルカの鳴き声のSEが入ったメインテーマのシングル・バージョン。

本CDの収録曲は以下の通り。

●Quartet Records / QR498

1. Theme From "The Day of the Dolphin" (02:21)
2. Eye of the Dolphin and the Red Ball (01:11)
3. Reunion (01:34)
4. Finding the Flag (02:17)
5. Circles and Squares (01:49)
6. Whirpool (01:23)
7. Dolphin Hunt (They're Sneaking Up On Us) (01:53)
8. Nocturne (03:23)
9. The Chase (03:33)
10. Return to the Island (Goodbye) (01:58)
11. Dummy Mine (Mr. Stone in Alpha House) (02:53)
12. Farewell (06:34)
13. End Title (01:54)
14. Theme From "The Day of the Dolphin" (01:16)

THE FILM SCORE

15. Eye of the Dolphin (00:38)
16. The Dolphin and the Red Ball (00:35)
17. Circles and Squares (01:48)
18. Brain Waves / Mahoney Revealed (01:08)
19. Return to the Island (01:02)
20. Silent Games (03:23)
21. Mahoney Meets Demilo (01:50)
22. Alpha Speaks / Alpha Meets Beta (01:36)
23. Alpha Loves Beta (01:10)
24. Whirpool (01:22)
25. Reunion (01:33)
26. They're Sneaking Up On Us (00:57)
27. Mahoney in the Woods / Alpha House / Light on the Horizon (02:17)
28. Night Approach to the Island (00:33)
29. The Dummy Mine (01:28)
30. Finding the Flag (02:17)
31. Goodbye (00:58)
32. Dolphin Hunt (00:59)
33. Alpha Returns (00:37)
34. The Chase (03:33)
35. Farewell (06:31)
36. End Credits (01:52)

Bonus Tracks

37. Reunion (Alternate) (01:33)
38. Theme From "the Day of the Dolphin" (Single Version) (02:36)

Total Duration: 01:16:15

(2022年11月)

Georges Delerue

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2022  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.