ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン! HOT FUZZ

作曲:デヴィッド・アーノルド
Composed by DAVID ARNOLD

指揮:ニコラス・ドッド
Conducted by NICHOLAS DODD

追加音楽:マイケル・プライス
Additional music by MICHAEL PRICE

(米La-La Land Records / LLLCD1621)

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2007年製作のイギリス=フランス合作映画(日本公開は2008年7月)。監督は「ショーン・オブ・ザ・デッド」(2004)「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」(2013)「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」(2010)「ベイビー・ドライバー」(2017)「ラストナイト・イン・ソーホー」(2021)等のエドガー・ライト(1974〜)。出演はサイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジム・ブロードベント、ティモシー・ダルトン、パディ・コンシダイン、ビル・ナイ、ビリー・ホワイトロー、ポール・フリーマン、ステュアート・ウィルソン、ケヴィン・エルドン、エドワード・ウッドワード、マーティン・フリーマン、スティーヴ・クーガン、ビル・ベイリー、デヴィッド・ブラッドリー、レイフ・スポール、カール・ジョンソン、オリヴィア・コールマン、ケン・クラナム、ピーター・ワイト、アン・リード、ジュリア・ディーキン、パトリシア・フランクリン、アダム・バクストン、ロン・クック、ルーシー・パンチ、デヴィッド・スレルフォール、スティーヴン・マーチャント、ケイト・ブランシェット、ピーター・ジャクソン他。脚本はエドガー・ライトとサイモン・ペッグ。撮影はジェス・ホール。

ロンドン警視庁の勤勉な警察官ニコラス・エンジェル巡査(ペッグ)は、あまりの優秀さに上司や同僚たちの反感を買い、のどかな田舎町サンドフォードの警察署に左遷されてしまう。そこでは事件らしい事件も起こらず、途方に暮れるニコラス。おまけに無理やり組まされた相棒のダニー・バターマン巡査(フロスト)は、脳天気な上に無類の警察映画オタクだった。そんな中、明らかに不審な死が相次いで発生するが、町の人々は事故だと言って心配する様子もない。仕方なく、単独で捜査を進めるニコラスだったが……。ゾンビ映画のパロディ「ショーン・オブ・ザ・デッド」を手がけたエドガー・ライトとサイモン・ペッグが、刑事映画のジャンルに挑んだアクション・コメディ。イギリスの実力派俳優たちで脇を固めたマニアックなキャストが楽しい。特にジェームズ・ボンド俳優のティモシー・ダルトンはこの上なく情けない最期を遂げる悪役を演じており、これを引き受けた彼の役者根性は立派。

音楽は「スターゲイト」(1994)「インデペンデンス・デイ」(1996)「GODZILLA ゴジラ」(1998)「007/カジノ・ロワイヤル」(2006)「007/慰めの報酬」(2008)「ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島」(2010)「(TV)SHERLOCK/シャーロック」(2010〜2017)「(TV)グッド・オーメンズ」(2019)「(TV)ドラキュラ伯爵」(2020)等のデヴィッド・アーノルド(1962〜)。このスコアは、公開当時の2007年にイギリスのUniversal Islandレーベルから劇中の挿入歌を集めた全22曲入りのコンピレーションCD(Universal Island Records 1724756)が出ていたが、これにはアーノルド作曲のスコアは「Theme from Hot Fuzz」と「The Hot Fuzz Suite」の2曲のみが収録されていた。その後、2022年に米Back Lot Musicからスコア6曲/約39分がダウンロード販売されていたが、米La-La Landレーベルが2023年7月にリリースしたこのCDは2枚組になっており、全32曲/約111分収録のエクスパンデッド盤で、1500枚限定プレス。

CD1枚目の冒頭「Theme from Hot Fuzz (Album Suite)」は、リズミックでダイナミックなメインテーマで、「007」風のストイックなタッチが秀逸(デヴィッド・アーノルドはピアース・ブロスナンがジェームズ・ボンドを演じた「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(1997)「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(1999)「007/ダイ・アナザー・デイ」(2002)、ダニエル・クレイグ版の「007/カジノ・ロワイヤル」(2006)「007/慰めの報酬」(2008)のスコアも手がけている)。「Ask the Bosses / Final Bluff Call / Girlfriend Goodbye / Hotel Room / Hoodies in Street」は、牧歌的なファンファーレのイントロから、ダークで不吉なタッチ、ギターを加えたメランコリックでストイックな主題、抑制されたサスペンス音楽へ展開。「Underage Drinking / Leaving the Pub / Plaque / Car Reversal / Jogging With Skinner / Empty Cell」「Sting to Romeo and Juliet / Post-Play Pub Banter / Champagne Murders / Wake Up Call / Nick Takes Charge at the Scene of the Accident」は、不吉なタッチからリズミックなサスペンス音楽へ。「Neighbourhood Watch」は、明るくジェントルな主題から後半不吉なサスペンス音楽へ。「Village Personnel / Nick to Skinner's Office」「Flashback of Murders Explained」は、抑制されたタッチからパーカッシヴなサスペンス音楽へ。「Skinner's Speech / Chasing Peter」は、ダークで不気味なタッチから「007」風のリズミックなサスペンスアクション音楽、オーケストラによる重厚でダイナミックなサスペンス音楽へ。「That Was Brilliant / Notes at the Roadside」は、ミリタリスティックなスネアドラムを織り込んだサスペンス音楽。「Trip to the Farm / Unexploded Bomb / Moving Arms」は、リズミックなイントロからメインの主題を織り込んだサスペンス音楽へ。「Why I Became a Cop」は、ギターをフィーチャーしたメランコリックなタッチの曲。「Skinner Toasts the Deceased / Reveal of the Merchant Killer」は、かすかに響くトランペットを加えた不吉なタッチのサスペンス音楽。「Choosing a DVD」は、メランコリックでドラマティックな主題から後半コーラス入りの荘厳なタッチへ。「Toasting Merchant / Investigating Merchant's Death」「Flashback of Murders Explained / Nick Goes to the Castle」は、不気味なタッチのサスペンス音楽。「Air Rifle / Meeting Messenger by the Church / Inspired Demise of Tim / Frank Organizes Detectives」は、ダークで重厚なタッチから不吉なサスペンス音楽、「オーメン」風のコーラス、重厚でダイナミックなタッチへと展開。「Standing in the Rain / Danny and Nick Make Up」は、メランコリックでドラマティックな主題からリズミックなサスペンス音楽へ。「Miss Tiller's Murder and Chase / Nick Swears a Lot」は、リズミックなサスペンス調からオーケストラによるダイナミックなアクション音楽、不気味なサスペンス音楽へ。「Surveillance Tapes / One Killer」は、パーカッシヴでリズミックなサスペンス音楽からギターとストリングスによるリリカルな主題へ。「Nick Goes Home Alone / Nick Fights Killer」は、メランコリックでドラマティックな主題からコーラスを加えたダイナミックでパーカッシヴなサスペンス音楽へ。

CD2枚目の冒頭「Nick Arrests the Village」は、静かにドラマティックなタッチから抑制されたサスペンス音楽、荘厳なコーラス入りのドラマティックな主題、オーケストラによるダイナミックなアクション音楽へと展開。「Nick in Boot and Drive Away」「Cemetery」「Murder, Murder, Murder (Album Suite)」は、メランコリックでドラマティックな曲。「Hillside Fight」は、優雅でクラシカルな主題から不気味なサスペンス調へ。「Nick on Horse」は、ストイックなタッチのトランペットにコーラスを加えた主題からヒロイックなタッチへ。「Village Shootout / Pub Shootout」「Fight With Lurch / Trolley Charge / Screaming Lady」「Stacker Fight / Car Chase / Model Village Fight」は、メインの主題を織り込んだ「007」風のリズミックでダイナミックなアクション音楽。「Arrests and Danny Shot」は、大らかでヒロイックな主題から後半不吉なサスペンス音楽へ。「Village Idiots (Album Suite)」は、リズミックなサスペンス音楽からコーラス入りのメランコリックでドラマティックな主題、ダイナミックなアクション音楽、メインの主題と展開。「Hotels, and Killers (Album Suite)」は、ギターをフィーチャーしたメランコリックでドラマティックな主題からリズミックなサスペンス音楽へ。オーケストレーションはニコラス・ドッド。追加音楽はマイケル・プライス。追加ノイズはアレックス・ハットン
(2023年11月)

David Arnold

Michael Price

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