007/死ぬのは奴らだ LIVE AND LET DIE

作曲・指揮:ジョージ・マーティン
Composed and Conducted by GEORGE MARTIN

(米La-La Land Records / LLLCD1625)

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1973年製作のイギリス映画。監督は「007/ゴールドフィンガー」(1964)「パーマーの危機脱出」(1966)「空軍大戦略」(1969)「007/ダイヤモンドは永遠に」(1971)「007/黄金銃を持つ男」(1974)「ナバロンの嵐」(1978)「クリスタル殺人事件」(1980)「レモ/第1の挑戦」(1985)等のガイ・ハミルトン(1922〜2016)。出演はロジャー・ムーア、ヤフェット・コットー、ジェーン・シーモア、クリフトン・ジェームズ、ジュリアス・W・ハリス、ジェフリー・ホールダー、デヴィッド・ヘディソン、グロリア・ヘンドリー、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、トミー・レイン、アール・ジョリー・ブラウン、ロイ・ステュワート、マデリーン・スミス、シェーン・リマー他。イアン・フレミング(1908〜1964)の原作を基に「007/黄金銃を持つ男」(1974)「007/ダイヤモンドは永遠に」(1971)「カサンドラ・クロス」(1976)「鷲は舞いおりた」(1976)「スーパーマン」(1978)「レディホーク」(1985)等のトム・マンキーウィッツ(1942〜2010)が脚本を執筆。撮影はテッド・ムーア。フレミング原作の“007/ジェームズ・ボンド”シリーズの第8作目で、本作より3代目ボンド俳優のサー・ロジャー・ムーア(1927〜2017)が登板。

麻薬組織を統括するカナンガ博士(コットー)を調査中だったイギリス情報員3人が次々と殺され、情報局の上司“M”(リー)から彼らの死の真相を探るように命じられたジェームズ・ボンド(ムーア)は、ニューヨークへと向かった。しかし彼の行動はカナンガ側に察知されており、拉致されたボンドはタロットカードを操る謎の美女ソリティア(シーモア)の前に連れていかれる。彼女はボンドの死を宣告するが、CIAのフェリックス・ライター(ヘディソン)の助けを得てカナンガの手下たちの襲撃を逃れたボンドは、カナンガの本拠地であるカリブ海の孤島サン・モニクへと向かう……。製作費は約700万ドル。全世界興行収入は約3538万ドル。

音楽は、ビートルズのほぼ全作品のプロデュースを務め「5人目のビートルズ」と称されるイギリスの音楽プロデューサー、ジョージ・マーティン(1926〜2016)が作曲。このスコアは公開当時の1973年に米United Artistsレーベルから全14曲/約31分半収録のサントラLP(United Artists UA-LA 100-G)が出ており、同じ内容のCDも出ていたが、2003年には米Capitol/EMIレーベルから全22曲/約56分収録のCD(Capitol/EMI Records 72435-41421-2-3)が出ていた。La-La Landレーベルが2024年2月にリリースした全47曲/約100分収録の“50周年記念”CDは2枚組となっており、1枚目には初収録となるオリジナル・スコア、2枚目には過去のサントラLPの内容のリマスター版と追加音楽を収録。5000枚限定プレス。

CD1枚目の冒頭「Gun Barrel / Voodoo Ceremony」は、銃口の中に現れたボンドがこちらに向けて銃を発射するいつものオープニングに流れる“ジェームズ・ボンドのテーマ”(作曲:モンティ・ノーマン)から、パーカッシヴなヴードゥー儀式の音楽へと展開。続く「Live And Let Die (Main Title)」は、タイトルバックに流れるポール・マッカートニー&ウィングスによる主題歌(作曲:ポール&リンダ・マッカートニー)で、この曲は1973年度アカデミー賞の歌曲賞にノミネートされている。「Bond to New York」は、ジェントルな主題から後半リズミックなタッチ、ストイックな主題へ。続くリズミックなサスペンス音楽「Whisper Who Dares」でも登場するストイックでドラマティックなタッチの主題は、「Bond Meets Solitaire (Extended Version)」「Snakes Alive (Film Version)」「Bond's Watch」「Solitaire Gets Her Cards」等でも繰り返される。「Oh Cult Voodoo Shop」「Baron Samedi's Dance of Death (Film Version)」「San Monique」「New Orleans」は、軽快でリズミックな曲。「James Bond Theme (Film Version)」は、ノーマン作曲のボンドの主題。「Bond and Rosie」「Low Bridge」は、主題歌のモチーフを織り込んだ曲。「Fortune Telling」「Underground Lair」は、不吉なサスペンス音楽。「Rosie Flees」「The Lovers」は、ボンドの主題と主題歌のモチーフを織り込んだジェントルな曲。「Bond Drops in (Film Version)」「If He Finds It, Kill Him」は、リズミックなサスペンス音楽。「Just a Closer Walk with Thee / New Second Line」は、ハロルド・A・“デューク”・デジャン&ジ・オリンピア・ブラス・バンドの演奏によるビッグバンド・ジャズ(作曲:ミルトン・バティスト)で、ジェリー・フィールディング作曲の「ガントレット」のスコアでも引用されていたゴスペル・ソング。「Fillet of Soul – New Orleans / Live and Let Die / Fillet of Soul – Harlem」は、B・J・アルノーのヴォーカルによるロック・ソングと主題歌。「Trespassers Will Be Eaten (Extended Version)」「Boat Chase」は、ストイックな主題を織り込んだリズミックなサスペンス音楽。「Sacrifice (Film Version)」は、リズミックでパーカッシヴな曲。「On the Train / Finale」は、ジェントルでリズミックなタッチからストイックな主題へ。

CD2枚目の後半に追加音楽として代替テイク等6曲「San Monique (Early Version)」「Boat Chase Pt. 1 (Early Version)」「Fillet of Soul – New Orleans / Live and Let Die / Fillet of Soul – Harlem (Alternate)」「Underground Lair (Alternate Opening)」「Sacrifice (Extended Album Version)」「Baron Samedi's Dance of Death (Extended Album Version)」を収録。


サー・ジョージ・ヘンリー・マーティンは、1965年にアソシエイテッド・インディペンデント・レコーディング(AIR)を設立し、後に取締役会長を務めた。息子はビートルズの音楽総指揮を受け継いだ音楽プロデューサーのジャイルズ・マーティン。ジョージ・マーティンはビートルズ、ウイングスの他にアメリカ、チープ・トリック、ジェフ・ベック、ピーター・セラーズ、セリーヌ・ディオン、エルトン・ジョンといったアーティストのプロデュースも手がけている。

ジョージ・マーティンが作曲を担当した作品には
「(未公開)Crooks Anonymous」(1962)
「(未公開)Calculated Risk」(1963)
「(未公開)Take Me Over」(1963)
「(未公開)Ferry Cross the Mersey」(1964)
「ふたりだけの窓(The Family Way)」(1966)
「(未公開/TV)With a Little Help from my Friends」(1969)
「(未公開)悪の紳士録(Pulp)」(1972)
「007/死ぬのは奴らだ(Live and Let Die)」(1973)
「(未公開)The Optimists of Nine Elms」(1973)
「(未公開)フロリダ・ハチャメチャ・ハイウェイ(Honky Tonk Freeway)」(1981)

がある。

(2024年5月)

George Martin

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