バックドラフト BACKDRAFT
作曲:ハンス・ジマー
Composed by HANS ZIMMER
指揮:シャーリー・ウォーカー
Conducted by SHIRLEY WALKER
(米Intrada / Intrada Special Collection Volume
511)
1991年製作のアメリカ映画。監督は「スプラッシュ」(1984)「コクーン」(1985)「ウィロー」(1988)「遥かなる大地へ」(1992)「アポロ13」(1995)「身代金」(1996)「ビューティフル・マインド」(2001)「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)「天使と悪魔」(2009)「ラッシュ/プライドと友情」(2013)「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」(2018)「13人の命」(2022)等のロン・ハワード(1954〜)。出演はカート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィン、ロバート・デ・ニーロ、ドナルド・サザーランド、ジェニファー・ジェイソン・リー、スコット・グレン、レベッカ・デモーネイ、ジェイソン・ゲドリック、J・T・ウォルシュ、トニー・モッカス・Sr、セドリック・ヤング、フアン・ラミレス、ケヴィン・ケイシー、ジャック・マクギー、クリント・ハワード他。脚本はグレゴリー・ワイデン。撮影はミカエル・サロモン。
幼い頃に消化作業中の父(ラッセル)の死を目の当たりにしたブライアン・マッカフリー(ボールドウィン)は、職を転々とした末に故郷シカゴに新米消防士として戻って来た。彼が友人のティム・クリツミンスキー(ゲドリック)と共に配属された17小隊には、昔から不仲な兄のスティーヴン(ラッセル2役)や、父の部下だったジョン・アドコックス(グレン)らがいた。着任早々、火災現場に向かったブライアンは、そこでスティーヴンの英雄的な活躍を目にする。しかし、現場に駆けつけた火炎調査官のドナルド・リムゲイル(デ・ニーロ)は、これを放火だと断定した。ブライアンはパーティで昔の恋人ジェニファー・ヴェイトカス(ジェイソン・リー)と再会し、彼女が秘書を務める市議会議員マーティン・スウェイザク(ウォルシュ)を紹介される。スウェイザクに言われてリムゲイルの助手となったブライアンは、連続放火犯を追うリムゲイルから、炎を熟知している犯人が“バックドラフト”(密閉された火災現場に可燃性の一酸化炭素ガスが溜まった状態で窓を開いたりすると、急速に酸素が取り込まれて爆発を引き起こす現象)を起こさせて特定の人物を爆死させるだけで、火事は起こさないようにしていると指摘されるが……。製作費は約4000万ドル。全世界興行収入は約1億5237万ドル。1991年度アカデミー賞の視覚効果賞、音響賞、音響効果編集賞にノミネートされている。脚本を執筆したグレゴリー・ワイデンは元消防士で、このストーリーはバックドラフトによる友人の死をベースにしている。デ・ニーロが演じたドン・リムゲイルは実在の火炎調査官で、本作にも別の役で出演している。劇中で多くのスタントを自らこなしたラッセル、ボールドウィン、グレン、ケイシーに感銘を受けたスタント・コーディネーターのウォルター・スコットは、彼らの名前をスタントマンのクレジットにも含めることにしたという。
音楽は「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)「フロスト×ニクソン」(2008)「天使と悪魔」(2009)「ラッシュ/プライドと友情」(2013)「インフェルノ」(2016)等でもロン・ハワード監督と組んでいるハンス・ジマー(1957〜)。このスコアは、公開当時の1991年にBMG/Milan/RCAレーベルから全10曲/約43分収録のサントラCD(BMG/Milan/RCA
3141-2-R)が出ていた(ミキシングはジョージ・マーティン)が、Intradaレーベルが2024年6月にリリースした全28曲/約99分収録のこのCDは、2枚組となっており、1枚目にコンプリートスコアとエクストラ、2枚目に1991年盤の内容を収録。限定プレス。
CD1枚目の冒頭「Backdraft Main Titles」は、ヒロイックかつダイナミックな“燃える”映画音楽の代表的な主題によるメインタイトルで、ジマーが作曲したベストの主題の1つだろう。日本ではこの映画のメインの主題というより、1993年からフジテレビ系列等で放送されたバラエティ番組『料理の鉄人』に流用されたことで有名になった(ジマー自身はこの番組を見たことがないらしいが、このおかげで日本ですごく有名になった、と語っている)。「The
Real Thing」「One Case Won't Do」は、静かにドラマティックな曲。「Burnt Out Beamer」は、リズミックでスリリングなタッチの曲。「Mannequin
Fire」は、メインの主題を織り込んだストイックでダイナミックなサスペンス音楽。「Save My
Baby」「Swayzak's OK」は、パーカッシヴなサスペンスアクション音楽。「You Win」は、ストイックなタッチの曲。「In
Another Life」「Who Doesn't Love Fire?」は、抑制されたサスペンス音楽。「Show Me
Your Firetruck - She's Hot and Smokey - Tim Burns」は、ジェントルなタッチの主題から、抑制されたサスペンス音楽、ダイナミックでストイックなサスペンス音楽へ展開。「After
the Fight」は、パーカッシヴな曲。「What's This Job All About?」「The Ex Is
Back?」「I Just Can't Anymore」は、ジェントルなタッチの曲。「Final Fire – Who's
Your Brother?」は、抑制されたサスペンス調から、ストイックでダイナミックなアクション音楽、ジェントルな主題へ。「Funeral」は、メインの主題のバリエーション。「Hard
Lesson to Learn」は、ジェントルなタッチのイントロからコーラスを加えたメインの主題のリプライズへ展開し、締めくくる。最後にエクストラとして「Flashlight」「Backdraft
Main Titles (Alternate Mix)」の2曲を収録。ハンス・ジマーが初めて大編成オーケストラ(120人編成)を起用したスコアで、オーケストレーションと指揮はシャーリー・ウォーカーが担当。
このCDは、劇中で放火の常習者ロナルド・バーテルを演じ、2024年6月20日に死去したカナダ人の名優ドナルド・サザーランド(1935〜2024)に捧げられている。尚、1991年リリースのBMG/Milan/RCA盤CDに含まれていたブルース・ホーンスビー&ザ・レンジのヴォーカルによる「Set
Me In Motion」「The Show Goes On」は、このCDには収録されていない。
(2024年9月)
Hans Zimmer
Copyright (C) 2024 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.