Date of Birth: 1944/3/20
Place of Birth: Woodford, Essex, England, UK
Mini Biography:
By 1980, John Cameron had long since cut his teeth in film. Among his biggest successes to that date were Ken Loach’s “Kes" (1969), and “A Touch for Class" (1973), which had garnered him an Oscar nomination. The British musician is, however, not primarily known for his work in movies, but for his skill as an arranger: His band CCS produced a chart hit with "Whole Lotta Love". He arranged every Hot Chocolate hit between 1974 and 1979. Most notably, he arranged and conducted the concept album for the initial production of "Les Miserables" and orchestrated the score for every production until 2006. As a jazz musician and composer of musical, John Cameron is one of the leading names in British show business.
Official website of John Cameron: https://www.johncameronmusic.com/
クリスタル殺人事件 THE MIRROR CRACK'D 作曲・指揮:ジョン・キャメロン |
1980年製作のイギリス映画(日本公開は1981年7月)。監督は「007/ゴールドフィンガー」(1964)「パーマーの危機脱出」(1966)「空軍大戦略」(1969)「007/ダイヤモンドは永遠に」(1971)「007/死ぬのは奴らだ」(1973)「ナバロンの嵐」(1978)「レモ/第1の挑戦」(1985)等のガイ・ハミルトン(1922〜2016)。出演はアンジェラ・ランズベリー、ジェラルディン・チャップリン、トニー・カーティス、エドワード・フォックス、ロック・ハドソン、キム・ノヴァク、エリザベス・テイラー、ウェンディ・モーガン、マーガレット・コートネイ、チャールズ・グレイ、モーリーン・ベネット、ヒルデガード・ニール、ジョン・ベネット、ナイジェル・ストック、ピアース・ブロスナン他。アガサ・クリスティー(1890〜1976)によるミス・マープルが主人公のミステリ小説『鏡は横にひび割れて(The
Mirror Crack'd from Side to Side)』を基にジョナサン・ヘイルズとバリー・サンドラーが脚本を執筆。撮影はクリス・チャリス。
1953年、推理好きで知られる老婦人ミス・ジェーン・マープル(ランズベリー)の住むイングランドの片田舎セント・メアリ・ミードでは、久しぶりに復帰する大女優マリーナ・グレッグ(テイラー)、彼女の夫で映画監督のジェイソン・ラッド(ハドソン)をはじめとしたハリウッドの映画関係者がゴシントン荘に長期滞在し、大作映画「スコットランドの女王メアリー」の撮影を進めていた。村をあげての歓迎ムードの中、ゴシントン荘ではマリーナがホステスとなって村の人々を招待し、盛大な交歓パーティが催されていた。今回の映画のプロデューサーであるマーティン・N・フェン(カーティス)が、妻である女優ローラ・ブリュースター(ノヴァク)を伴ってパーティにやって来たが、マリーナとローラは犬猿の仲であり、2人の共演はトラブルを引き起こすと懸念されていた。そしてパーティの最中、戦時中にマリーナの慰問公演を見て感動したという村の婦人会幹事ヘザー・バブコック(ベネット)が突然倒れ、急死してしまう。パーティを手伝っていたミス・マープルの家政婦チェリー(モーガン)によると、ローラたちが現れた時、ヘザーはマリーナに一方的に退屈な思い出話をまくしたてており、その時なぜか急にマリーナは、階段に飾られた聖母子像を見つめて凍りついていたという。ヘザーの死因はカクテルに混入された毒によるものと判明し、そのカクテルはジェイソンが作り、マリーナが飲むはずのものだったとわかるが……。
現場でいがみ合う監督とプロデューサーを演じたロック・ハドソンとトニー・カーティスは、ともに1925年生まれで同い年だが、老婦人役のアンジェラ・ランズベリーもこの2人と同い年。日本でのテレビ放映時の吹替キャストは、アンジェラ・ランズベリー(高橋和枝)、エリザベス・テイラー(武藤礼子)、ロック・ハドソン(羽佐間道夫)、トニー・カーチス(広川太一郎)、キム・ノヴァク(小原乃梨子)、ジェラルディン・チャップリン(池田昌子)、エドワード・フォックス(納谷悟朗)、ウェンディ・モーガン(土井美加)、チャールズ・グレイ(田中康郎)等。出演した納谷悟朗によると「久し振りに往年のアテ師が一堂に会した作品」で「あんなキャスティングは二度と無かったし、もう無いでしょう」と語っていた。
音楽は「ケス」(1969)「ウィークエンド・ラブ」(1973)「キャッシュ」(1975)「サンバーン」(1979)「(TV)検察側の証人」(1982)「(TV)切り裂きジャック」(1988)「(TV)フランケンシュタイン」(1993)等のイギリスの作曲家ジョン・キャメロン(1944〜)。このスコアの初リリース。「Front
Titles」は、サックス・ソロとストリングスによる明るく優雅な主題からジェントルなワルツへと展開するメインタイトル。「Murder」は、ティンパニを加えたダイナミックなサスペンス音楽からダークでドラマティックな主題へと展開。「Ella,
Don't Spoil it」「Switched Drinks」は、サックスをフィーチャーしたジェントルなタッチの曲。「Memories...
Murder」「Rubella」は、不吉なタッチのサスペンス音楽。「The Gloved Hand」は、メインの主題を織り込んだ抑制されたサスペンス音楽。「Barbiturates」「The
Intended Victim」「Close-up on Ella」「The Inspector Calls」「Theme for Marina」は、サックスによるメインの主題。「Inspector
Craddock Drives」は、ストリングスによる明るく快活なタッチからワルツの主題へ。「Anonymous
Letters」「Why Should Anyone Want to Hurt Me?」は、不吉なサスペンス音楽から後半サックスによるメインの主題へ。「The
Coffee, It's Poisoned!」は、ビジーなサスペンス調からワルツの主題へ。「Ella Poisoned」も、ビジーなサスペンス音楽。「Marina's
Farewell Night Cap」は、ワルツの主題からダークでドラマティックなタッチ、サックスとストリングスによるメインの主題へ。「Of
Course, the Vicar!」は、ワルツの主題。「She's Given the Performance of Her
Life」は、メインの主題のバリエーション。「End Titles」は、ワルツの主題によるエンドタイトル。この後に代替テイク「Ella,
Don't Spoil it (alternate version)」「The Coffee, It's Poisoned! (alternate
version)」を収録。アルト・サックスはレイ・ウォーリー、テナー・サックスはダニー・モスの演奏。シンセサイザーは使わず、ウォーターフォンによって不吉なタッチを表現している。
最後に作曲家のジョン・キャメロンへのインタビュー音源「Conversation
between John Cameron and Stephan Eicke」が収録されているが、この中で本作の撮影に立ち会った彼が、著名な大スターが多数出演している映画ながら、比較的低予算で製作されており、極めて効率的に計画されスケジュールされた撮影で、とてもビジネスライクな現場だったと話しているのが印象的。
ジョン・キャメロンが手がけた作品には
「ケス(Kes)」(1969)
「(未公開)Every Home Should Have One」(1970)
「(未公開)The Rise and Rise of Michael Rimmer」(1970)
「(未公開/TV)ITV Saturday Night Theatre」(1969)
「(未公開)The Ruling Class」(1972)
「(未公開)ロザリー 残酷な美少女(The Strange Vengeance of
Rosalie)」(1972)
「(未公開)Made」(1972)
「(TV)プロテクター電光石火(The Protectors)」(1972〜1974)
「(未公開)サイコマニア(Psychomania)」(1973)
「(未公開)Charley-One-Eye」(1973)
「ウィークエンド・ラブ(Weekend Love)」(1973)
「(未公開)Scalawag」(1973)
「夜をみつめて(Night Watch)」(1973)
「(未公開)Baksmälla」(1973)
「(未公開)Robo Man」(1974)
「(未公開)Moments」(1974)
「(未公開)Sex Play」(1974)
「(未公開)危険な愛の季節(Out of Season)」(1975)
「キャッシュ(C.A.S.H.)」(1975)
「ダイアン・キートン/可愛い女(I Will... I Will... For Now)」(1976)
「(未公開)Come una rosa al naso」(1976)
「(未公開)グレート・サム/サギ師と令嬢(The Great Scout & Cathouse
Thursday)」(1976)
「(未公開)森の怪人(The Man from Nowhere)」(1976)
「(未公開)Nasty Habits」(1977)
「(未公開/TV)Spectre」(1977)
「(未公開/TV)BBC2 Play of the Week」(1977)
「(未公開/TV)1990」(1977〜1978)
「バグダッドの盗賊(The Thief of Baghdad)」(1978)
「(未公開)魔のバミューダ三角地帯(The Bermuda Triangle)」(1979)
「ロンドン・コネクション(The London Connection)」(1979)
「(未公開/TV)Disneyland」(1979)
「(未公開)ロスト・アンド・ファウンド(Lost and Found)」(1979)
「サンバーン(Sunburn)」(1979)
「クリスタル殺人事件(The Mirror Crack'd)」(1980)
「(未公開)Jimmy the Kid」(1982)
「(TV)検察側の証人(Witness for the Prosecution)」(1982)
「(TV)私立探偵フィリップ・マーロウ(Philip Marlowe, Private
Eye)」(1983)
「(未公開)ジグソーマン(The Jigsaw Man)」(1983)
「(未公開/TV)The Optimist」(1983〜1985)
「(未公開)The Young Visiters」(1984)
「(TV)秘密の花園(The Secret Garden)」(1987)
「(未公開/TV)Mister Corbett's Ghost」(1987)
「(未公開)この命尽きるまで(Hawks)」(1988)
「(TV)切り裂きジャック(Jack the Ripper)」(1988)
「(TV)ファントム(Jekyll & Hyde)」(1990)
「(未公開/TV)Perfect Scoundrels」(1990)
「(未公開/TV)The World of Eddie Weary」(1990)
「(TV)フランケンシュタイン(Frankenstein)」(1992)
「(未公開/TV)Alaska Kid」(1993)
「ドリフトウッド/硝子の檻(Driftwood)(1997)
「エンド・オブ・オール・ウォーズ(To End All Wars)」(2001)
「(TV)大草原の小さな家(Little House on the Prairie)」(2005)
「(TV)9.11への道(The Path to 9/11)」(2006)
「(未公開)After...」(2006)
「(未公開)Drift」(2011)
「(未公開)The Hatching」(2014)
「(未公開)Kara」(2020)
「(未公開)Irlande Cahier Bleu」(2023)
等がある。
ジョン・キャメロンは1973年の「ウィークエンド・ラブ」でアカデミー賞の作曲賞にノミネートされている。
(2025年9月)
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