警視の告白 CONFESSIONE DI UN COMMISSARIO DI POLIZIA AL PROCURATORE DELLA REPUBBLICA
作曲・指揮:リズ・オルトラーニ
Composed and Conducted by RIZ ORTOLANI
(スペインQuartet Records / QR566)
1971年製作のイタリア映画(英語題名は「CONFESSIONS OF A POLICE
CAPTAIN」)。監督は「禁じられた恋の島」(1962)「群盗荒野を裂く」(1966)「シシリアの恋人」(1970)「(未公開)ミスター・ノーボディ2」(1975)「(未公開)悪魔の棲む家PART2」(1982)「インクアイリー/審問」(1987)「地獄の女スナイパー」(1992)等のダミアーノ・ダミアーニ(1922〜2013)。出演はフランコ・ネロ、マーティン・バルサム、マリル・トロ、クラウディオ・ゴラ、ルチアーノ・ロルカス、ジャンカルロ・プレテ、アルトゥーロ・ドミニチ、ミケーレ・ガンミーノ、アドルフォ・ラストレッティ、ネロ・パッツァフィーニ、カリスト・カリスティ、ワンダ・ヴィスマラ、アデレ・モディカ、ダンテ・クレリ、ロイ・ボシアー他。ダミアーノ・ダミアーニとフルヴィオ・ジッカ・パリの原案を基にダミアーノ・ダミアーニとサルヴァトーレ・ラウラーニが脚本を執筆。撮影はクラウディオ・ラゴナ。
パレルモで建設業界を牛耳るマフィアの大物フェルディナンド・ロムンノ(ロルカス)は、闇の力により政財界の要人を意のままに操っていた。警察署長ジャコモ・ボナヴィア(バルサム)は、親友ジャンパオロ・リッツォ(プレテ)をロムンノに殺された過去があり、復讐を誓って数回にわたりロムンノを逮捕したが、強い権力を持つ彼には全く傷手を与えられなかった。ボナヴィアは、妹セレナ(トロ)を凌辱されたことで精神疾患に苦しむ殺し屋ミケーレ・リプーマ(ラストレッティ)を、ロムンノ殺害のための傀儡として刑務所から解き放った。リプーマはロムンノの事務所を襲撃するが、待ち伏せていた殺し屋たちに射殺されてしまう。地方検事のマルタ(ゴラ)が差し向けた若い検事補トライニ(ネロ)が事件を担当することになるが、ロムンノはボナヴィアを陥れるために犯罪の証拠を仕組み、これを信じてしまったトライニはボナヴィアを逮捕させる……。「十二人の怒れる男」(1957)「サイコ」(1960)「恐怖の岬」(1962)「キャッチ22」(1970)「サブウェイ・パニック」(1974)等の名バイプレイヤーであるマーティン・バルサム(1919〜1996)が、執念でマフィアを追い詰める主人公の警官を演じているが、この役は当初ベン・ギャザラにオファーされており、彼が断わったためバルサムが起用された。この役がキャリアにおける転機となったと考えていたバルサムは、後になってギャザラに謝意を表明している。
音楽は「世界残酷物語」(1962)「騎兵隊最後の砦」(1964)「第七の暁」(1964)「栄光の野郎ども」(1965)「虎の谷」(1966)「怒りの荒野」(1967)「バラキ」(1972)「ブラザー・サン
シスター・ムーン」(1972)「アマゾネス」(1973)「追憶の旅」(1983)等のリズ・オルトラーニ(1931〜2014)。このスコアは、公開当時の1971年にイタリアのRCAレーベルから全10曲/約30分収録のサントラLP(RCA
Records OLS 6)が出ており、その後、1992年に同じRCAレーベルがオルトラーニ作曲の「(未公開)NELLA STRETTA MORSA DEL
RAGNO」とカップリングになったCD(RCA Records OST
114)、2009年にイタリアのGDMレーベルが全20曲/約62分半収録で500枚限定プレスのCD(GDM CD Club
7073)を出しているが、2025年1月にQuartetレーベルがリリースしたこのCDは、全26曲/約74分半収録で、350枚限定プレス。
「Confessione di un Commissario (Titoli)」は、オルガンとエレキギターによるダークなイントロからオーケストラによるホーンティングでドラマティックな主題へと展開するメインタイトルで、オルトラーニが作曲した数多くのスコア中でも最も印象的な主題の1つだろう。一度聴くと耳にこびりついてはなれなくなる。この主題は「Visita
al manicomio」「Promessa di Giustizia」「Pedinamento e Agguato」「Colloquio
decisivo」「La morte del Commissario」等、スコア全体を通して様々なアレンジメントで繰り返される。「Il
ricordo di Serena」「Serena e Lomunno」「I travestiti」は、ライトなロック曲。「Ossessione
di un delitto」は、抑制されたサスペンス音楽。ここまでの10曲がオリジナルのLPの内容で、11曲目以降の「Ossessione
di un delitto (#2)」「Confessione di un Commissario (#2)」「Il ricordo di Serena
(#2)」「Promessa di Giustizia (#2)」「Pendinamento e Agguato (#2)」「Serena e Lomunno
(#2)」「Promessa di Giustizia (#3)」「I travestiti (#2)」「Pendinamento e Agguato
(#3)」「La morte del Commissario (#2)」「Confessione di un Commissario
(#3)」「Pendinamento e Agguato (#4)」「I travestiti (#3)」「Promessa di Giustizia
(#4)」「La morte del Commissario (#3)」「Promessa di Giustizia (#5)」は、これらの代替テイクとなっている。
(2025年5月)
Riz Ortolani
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