007/黄金銃を持つ男 THE MAN WITH THE GOLDEN GUN

作曲・指揮:ジョン・バリー
Composed and Conducted by JOHN BARRY

(米La-La Land Records / LLLCD 1655)

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1974製作のイギリス映画。監督は「007/ゴールドフィンガー」(1964)「パーマーの危機脱出」(1966)「空軍大戦略」(1969)「007/ダイヤモンドは永遠に」(1971)「007/死ぬのは奴らだ」(1973)「ナバロンの嵐」(1978)「クリスタル殺人事件」(1980)「レモ/第1の挑戦」(1985)等のガイ・ハミルトン(1922〜2016)。出演はロジャー・ムーア、クリストファー・リー、ブリット・エクランド、モード・アダムス、エルヴェ・ヴィーユシェーズ、クリフトン・ジェームズ、リチャード・ルー、スーン=テック・オー、マーク・ローレンス、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、マーン・メイトランド、デスモンド・リュウェリン、ジェームズ・コシンズ、ヤオ・リン・チェン他。イアン・フレミングの原作を基にリチャード・メイボームとトム・マンキーウィッツが脚本を執筆。撮影はテッド・ムーアとオズワルド・モリス。フレミング原作の“007/ジェームズ・ボンド”シリーズの第9作目で、3代目ボンド俳優のサー・ロジャー・ムーア(1927〜2017)にとって2本目の作品。

イギリス情報部の“M”(バーナード・リー)のオフィスに「007」と彫られた1発の黄金の弾丸が届けられた。送り主は“黄金銃を持つ男”と呼ばれる殺し屋の帝王フランシスコ・スカラマンガ(クリストファー・リー)だった。ボンド(ムーア)は、先手を打ってスカラマンガを倒すべく、数カ月前にベイルートで同僚の「002」の殺害に使われたと思しき黄金の弾丸を手に入れる。そして、マカオで弾丸を製造したラザール(メイトランド)という男から、スカラマンガの愛人であるアンドレア・アンダース(アダムス)が香港に弾丸を運んでいることをつきとめる。アンドレアからスカラマンガがボトムアップ・クラブにいると教えられたボンドは、スカラマンガがクラブで太陽エネルギーの研究家ギブソンを射殺し、彼が開発した「ソレックス・アジテイター」という装置を奪ったことを知る。ボンドはギブソンの殺害を命じたと考えられる中国人実業家ハイ・ファット(ルー)に会うためにバンコクへと向かうが……。製作費は約700万ドル。全世界興行収入は約2097万ドル。スカラマンガがゴールドのシガレットケース、万年筆、ライター等をテーブルに並べ、さりげなく話しながら組み立てていき、いつの間にか完成した黄金銃を相手に突きつけるシーンが秀逸。スカラマンガを演じたサー・クリストファー・リー(1922〜2015)は、原作者イアン・フレミングのいとこで、元々「007/ドクター・ノオ」(1962)で悪役ドクター・ノオを演じるはずだった。またリーは実際にイギリス情報部員として活動していたことがあり、複数の言語を流暢に話すことができた。

音楽は「007/ドクター・ノオ」(1962)「007/ロシアより愛をこめて」「007/ゴールドフィンガー」(1964)「007/サンダーボール作戦」(1965)等シリーズ前半の常連作曲家で、本作がシリーズ8本目の登板となるジョン・バリー(1933〜2011)。このスコアは公開当時の1974年に米United Artistsレーベルから全12曲/約43分収録のサントラLP(United Artists UA-LA358-G)が出ており、1988年にEMI Manhattanレーベルから同内容のCD(EMI Manhattan CDP 7 90619-2)、2003年にCapitol/EMI Recordsレーベルから同内容でリマスターされたCD(Capitol/EMI Records 72435-41424-2-0)が出ていた。La-La Landレーベルが2024年12月にリリースした全45曲/約118分半収録の“50周年記念盤”CDは2枚組となっており、1枚目には初収録となるオリジナル・スコアと追加音楽、2枚目には過去のサントラLPの内容のリマスター版を収録。5000枚限定プレス。

CD1枚目の冒頭「Gun Barrel / The Island」は、銃口の中に現れたボンドがこちらに向けて銃を発射するいつものオープニングに流れる“ジェームズ・ボンドのテーマ”(作曲:モンティ・ノーマン)から、抑制されたサスペンス音楽へ。「Scaramanga's Fun House」は、抑制されたサスペンス調からサルーンピアノのメインの主題、デキシーランド風のメインの主題へと展開。「Main Title: The Man with the Golden Gun (Performed by Lulu)」は、スコットランド出身の歌手ルル(ルル・ケネディ=ケアーンズ、1948〜)のパワフルなヴォーカルによるキャッチ−な主題歌(作曲:ジョン・バリー、作詞:ドン・ブラック)から、ダイナミックなサスペンス音楽へ。「Getting the Bullet」は、気だるいサックス・ソロからサスペンス音楽へ。「Macau / Forever Hold Your Piece」は、ボンドの主題からメインの主題、オリエンタルなタッチの主題へ。「Following Andrea」「Scaramanga Strikes」「Moments」「Goodnight Goodnight」「Absolute Zero」「Slow Boat From China」は、メインの主題の静かなタッチのバリエーション。「Hip's Trip」は、ダークなタッチのサスペンス音楽からメインの主題へ。「Chew Me」「J.W. Pepper / Bond Rides Off」は、オリエンタルなタッチの主題からボンドの主題へ。「Quite Titillating」「Kung Fu Fight」も、オリエンタルなタッチからメインの主題へ。「Grisly Land」は、ボンドの主題から抑制されたサスペンス音楽へ。「Take Mr. Bond to School / Chula / Escape」「Let's Go Get'Em」「Flying Car」「In Search of Scaramanga's Island (Film Version)」は、メインの主題のバリエーション。「20,000 Baht」「You Must Be Good / In the Boot / Car Keys」「Bond's Arrival / The Solex Agitator / The Sun / Solar Power」は、抑制されたサスペンス音楽。「The Death of Hai Fat / New Chairman」「Retrieving the Solex Agitator」は、ダークで重厚なサスペンス音楽。「Return to Scaramanga's Fun House」は、抑制されたサスペンス調からサルーンピアノによるメインの主題、重厚なサスペンス音楽へ。「End Title: The Man with the Golden Gun – Reprise (Performed By Lulu)」は、メインの主題の静かなバリエーションからルルのヴォーカルのリプライズへ展開するエンドタイトル。この後に追加音楽としてソース曲、代替テイク、メインの主題のデモを収録。
(2025年6月)

John Barry

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