007/ムーンレイカー MOONRAKER

作曲・指揮:ジョン・バリー
Composed and Conducted by JOHN BARRY

(米La-La Land Records / LLLCD 1656)

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1979年製作のイギリス=フランス合作映画。監督は「ビスマルク号を撃沈せよ!」(1959)「戦艦デファイアント号の反乱」(1962)「第七の暁」(1964)「アルフィー」(1966)「007は二度死ぬ」(1967)「フレンズ/ポールとミシェル」(1970)「007/私を愛したスパイ」(1977)等のルイス・ギルバート(1920〜2018)。出演はロジャー・ムーア、ロイス・チャイルズ、マイケル・ロンズデール、リチャード・キール、コリンヌ・クレリー、バーナード・リー、ジェフリー・キーン、デスモンド・リュウェリン、ロイス・マクスウェル、菅俊朗、エミリー・ボルトン、ブランシュ・ラヴァレク、ジャン=ピエール・カスタルディ、ウォルター・ゴテル、ブライアン・キース他。イアン・フレミングの原作を基にクリストファー・ウッドが脚本を執筆。撮影はジャン・トゥルニエ。「(TV)サンダーバード」等のプロデューサーであるジェリー・アンダーソンがクレジットなしで製作、脚本に参加している。フレミング原作の“007/ジェームズ・ボンド”シリーズの第11作目で、3代目ボンド俳優のサー・ロジャー・ムーア(1927〜2017)にとって4本目の作品。

アメリカからイギリスへ空輸中のスペース・シャトル“ムーンレイカー”が、アラスカ上空で何者かにハイジャックされ、イギリス情報部はジェームズ・ボンド(ムーア)を捜査に派遣する。ボンドは、アメリカに独自の宇宙センターを設立し、NASAに協力して“ムーンレイカー”を開発・製造したドラックス・インダストリーズ社の創設者ヒューゴ・ドラックス(ロンズデール)が事件の背後にいると考え、彼に近づく。カリフォルニアのドラックス・インダストリーズを訪れたボンドは、そこでNASAの協力員として研究に従事する科学者ホリー・グッドヘッド博士(チャイルズ)に会うが、彼女はCIAがドラックスの調査のために潜入させたエージェントだった。2人は手を組み、イタリア、ブラジルへと飛びながらドラックスの陰謀の核心へ迫っていく……。前作「007/私を愛したスパイ」(1977)でもボンドを襲った鋼鉄の歯を持つ殺し屋ジョーズ(キール)が再登場する。製作費は約3400万ドル。全世界興行収入は約2億1031万ドル。「(TV)サンダーバード」等のデレク・メディングス他が視覚効果(ヴィジュアル・エフェクツ)を担当しており、1979年度アカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされている。

音楽は「007/ドクター・ノオ」(1962)「007/ロシアより愛をこめて」「007/ゴールドフィンガー」(1964)「007/サンダーボール作戦」(1965)等シリーズ前半の常連作曲家で、本作がシリーズ9本目の登板となるジョン・バリー(1933〜2011)。このスコアは公開当時の1979年に米United Artistsレーベルから全10曲/約30分収録のサントラLP(United Artists 5C 062-82696)が出ており、1988年にEMI Manhattanレーベルから同内容のCD(EMI Manhattan CDP 7 90620 2)、2003年にCapitol/EMI Recordsレーベルから同内容でリマスターされたCD(Capitol/EMI Records 72435-41425-2-9)が出ていた。La-La Landレーベルが2024年12月にリリースした全50曲/約118分収録の“45周年記念盤”CDは2枚組となっており、1枚目には初収録となるオリジナル・スコアと追加音楽、2枚目には過去のサントラLPの内容のリマスター版とボーナストラックを収録。5000枚限定プレス。

CD1枚目の冒頭「Gun Barrel and Hijackers」は、銃口の中に現れたボンドがこちらに向けて銃を発射するいつものオープニングに流れる“ジェームズ・ボンドのテーマ”(作曲:モンティ・ノーマン)から、重厚なサスペンス音楽へ。「Last Leg and Freefall Sequence」は、ドラマティックなイントロからボンドの主題、快活なマーチへ。「Main Title – Moonraker (Performed by Shirley Bassey)」は、ウェールズの歌手シャーリー・バッシー(1937〜)のヴォーカルによる大らかなタッチの主題歌(作曲:ジョン・バリー、作詞:ハル・デヴィッド))。バッシーは、このシリーズの「007/ゴールドフィンガー」(1964)「007/ダイヤモンドは永遠に」(1971)の主題歌も歌っている(作曲はいずれもジョン・バリー)。「California and the Drax Residence」は、大らかなタッチの曲。「Look After Mr. Bond and Chang's Entry」は、ダークなタッチのサスペンス音楽。「Centrifuge」「Bond Smells a Rat (Extended Version)」「Launch Program Commence and I Bid You Farewell」「Marines Get Ready and Emergency Stop」は、重厚なサスペンス音楽。「You Presume a Great Deal, Mr. Bond」「18-Carat」「It Could Have Its Compensations」「Jaws and Dolly Reunited and Jaws Lends a Hand」は、主題歌のインストゥルメンタルによるジェントルなタッチのバリエーション。「Corrine Put Down」「Snake Fight」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Venini Glass and Bond Follows Holly」は、抑制されたタッチのサスペンス音楽。「Funeral Barge – Venice Boat Chase」は、ボンドの主題のバリエーション。「Bond Arrives in Rio」は、主題歌のコーラス・バージョン。「Cable Car Fight」は、バリーの個性が強く出た重厚でダイナミックなサスペンス音楽。「Hello Dolly (Romeo & Juliet)」は、チャイコフスキー作曲のバレエ『ロメオとジュリエット』の引用。「The Magnificent Seven」は、エルマー・バーンステイン作曲の「荒野の七人」の主題の引用。「South American Boat Chase and Hang Glider Crash」は、「007」の主題を含むサスペンス音楽。「Bond Lured to Pyramid (Film Version)」「Flight into Space」は、コーラスを加えた大らかなタッチの曲。「Space Laser Battle」「Globes Destroyed」は、マーチ調の大らかでドラマティックなタッチの曲。「End Title – Moonraker (Extended Version) (Performed by Shirley Bassey)」は、シャーリー・バッシーのヴォーカルによるディスコ調の主題歌。この後に追加音楽として、代替テイクはソース音楽9曲を収録。

CD2枚目のボーナストラックには、アメリカのシンガーソングライターで俳優のポール・ウィリアムス(1940〜)のヴォーカルによる主題歌(歌詞が異なる)を2バージョン収録。
(2025年6月)

John Barry

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