(未公開)青い喪失 JUILLET EN SEPTEMBRE
続・個人教授 LES MAL PARTIS

作曲・指揮:エリック・ドゥマルサン
Composed and Conducted by ÉRIC DEMARSAN

(仏Music Box Records / MBR-243)

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「さらば友よ」(1968)「雨の訪問者」(1970)「狼は天使の匂い」(1972)「O嬢の物語」(1975)「殺意の夏」(1983)「ロング・エンゲージメント」(2004)等の原作、脚本を手がけたセバスチャン・ジャプリゾ(1931〜2003)が監督・脚本を担当した2作品に、エリック・ドゥマルサン(1938〜)が作曲したスコアをカップリングにしたCD。300枚限定プレス。

「(未公開)青い喪失(JUILLET EN SEPTEMBRE)」は、1988年製作のフランス映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済/英語題名は「JULY IN SEPTEMBER」)。出演はレティシア・ガブリエリ、アンヌ・パリロー、エリック・ダマン、ダニエル・デマール、ジゼル・パスカル、ジャン・ガヴァン、カティ・エスポジト、パスカル・ペレグリン、フランス・ドゥーニャック、エリック・ドゥニーズ、リディア・アンドレイ、アルノー・ラコスト、フロランス・ジアンティ、ダニエル・ラングレ、リザ・ブラコニエ他。脚本はセバスチャン・ジャプリゾ。撮影はエドモン・リシャール。

“7月”の愛称で呼ばれるカミーユ(ガブリエリ)は、幼い子供だった20年前に母親に捨てられた海辺のリゾート地に帰ってくる。ドゥワッケル夫人が経営する不動産会社で働きながら、自分の出生の事情を調べようとするカミーユは、夫人の別荘に住むことになり、隣人の夫婦マリー(パリロー)、ジャック(ダマン)と仲良くなるが……。

エリック・ドゥマルサンのスコアは、2005年に仏Universalレーベルから出ていた彼の映画音楽集「Le Cinéma d'Eric Demarsan」(Universal Music France 983 260-1)に1曲(Nostalgie de Juillet)のみ収録されていたが、Music Boxレーベルが2025年2月にリリースしたこのCDには全20曲/約44分を初収録。

「Juillet en septembre (Générique début)」は、パトリック・ブールゴワンのサックスをフィーチャーしたダークでミステリアスな主題からベースギターを加えたスリリングなタッチに展開するメインタイトル。「Première victime」「Juillet sur la plage」「Juillet et Domino」は、ピアノとストリングスによるジェントルなタッチの曲。「L'étrangleur」は、ドラマティックでリズミックなサスペンスフル音楽。「Domino」は、ジェントルでリリカルなタッチの曲。「La voisine」「Les adieux」「En route pour l'Amérique」は、ギターをフィーチャーしたジェントルな曲。「Deuxième victime」は、気だるいサックスにベースギターを加えたミステリアスなタッチの曲。「Marche américaine」は、快活なマーチ。「Coucher de soleil」「Face à face」は、サックスとストリングスによるジェントルな曲。「Reflets dans le miroir」は、サスペンスフルなタッチ。「Le phare」は、 ベースギターを加えた気だるいタッチ。「Bord de mer」は、明るくリズミックな曲。「La dispute」は、ピアノとベースギターを加えたジェントルな曲。「Femme fatale」「Deux solitaires」は、ベースギターとストリングスによるスリリングなタッチ。「Juillet en danger」は、サックスとピアノを加えたサスペンス音楽。華麗でハードボイルドなタッチのサスペンス・スコア。

「続・個人教授(LES MAL PARTIS)」は、1976年製作のフランス映画(日本公開は1977年1月/英語題名は「THE FALSE START」)。出演はフランス・ドゥーニャック、オリヴィエ・ジャヤジア、マリー・デュボワ、ジャン・ガヴァン、リシャール・ルデュック、パスカル・ロベール、ベルナール・ヴェルレー、マルク・レッセル、イヴ・ダンジェルフィールド、マルティーヌ・ケリー、フレッド・ペルソンヌ、ルネ・モラール、モニーク・メリノー、ルネ・アヴァール、オスカー・フライタグ他。原案・脚本はジャン=バティスト・ロッシ(セバスチャン・ジャプリゾの本名で、監督のクレジットもこの名前になっている)。撮影はエドモン・リシャール。

第二次大戦下のフランス。14歳の学生ドゥニ(ジャヤジア)は、病院を慰問で訪れ、そこで美しい修道女クロチルド(ドゥーニャック)と出会った。病院で彼女に会うたびに想いがつのるドゥニには、自分の家と帰る方向が違う彼女を送ったり、彼女のボタンを手に入れて大切にしまっておくぐらいしかできなかった。ドゥニよりも10歳年上のクロチルドは、神に生涯を捧げている身であり、彼がどんなに想いを寄せてもそれに応えるわけにはいかなかったが、彼女にはドゥニの心が愛おしかった。彼女は「ラテン語の教科書を持って寮へいらっしゃい」とドゥニを誘ってしまう。そんな優しい思いやりが、いつしか恋に変わっていく……。ジャプリゾが17歳の時に書いた自伝的小説の映画化。

エリック・ドゥマルサンのスコアはこれが初リリースで、全9曲/約26分を収録。「Thème Denis」「Denis et Clotilde」「Thème Denis #2」は、ミシェル・ガノの口笛とハーモニカをフィーチャーした軽快でブリージーなタッチのドゥニの主題。「Thème Clotilde」「Thème Clotilde #2」は、ギターをフィーチャーしたジェントルなクロチルドの主題。「Thème d'amour」「Thème d'amour #2」は、ピアノ、ストリングス、サックスによるジェントルでリリカルなラヴ・テーマ。「Les Mal Partis」は、ピアノをフィーチャーしたジェントルなタッチの曲。「Thème Les Mal Partis」は、ピアノとストリングスによるジェントルな曲で、この曲のみダリー・カウル作曲、ジャン=ミシェル・ドゥファイエ編曲となっている。
(2025年7月)

Éric Demarsan

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