(未公開/TV)ヒュー・グラントの浪漫騎士 THE LADY AND THE HIGHWAYMAN

作曲・指揮:ローリー・ジョンソン
Composed and Conducted by LAURIE JOHNSON

(米Dragon's Domain Records / DDR816)

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1988年製作のイギリス=イタリア合作のテレビ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。製作・監督は「ドラキュラ血のしたたり」(1971)「ヘルハウス」(1973)「ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー」(1974)「星の国から来た仲間」(1975)「呪われた森」(1980)「(未公開)ビグルス・時空を越えた戦士」(1985)「アメリカン・ゴシック」(1986)「(未公開)サイコパス」(2002)等のジョン・ハフ(1941〜)。出演はヒュー・グラント、リセット・アンソニー、エマ・サムズ、オリヴァー・リード、マイケル・ヨーク、ロバート・モーレイ、ジョン・ミルズ、クレア・ブルーム、クリストファー・カズノーヴ、イアン・バネン、バーナード・マイルズ、ゴードン・ジャクソン、ギャレス・ハント、ステファニー・ピット、ジェームズ・ブース他。イギリスのロマンス小説家で、生涯に723もの作品を執筆し10億部以上の販売を記録しているのバーバラ・カートランド(1901〜2000)の原作『Cupid Rides Pillion』(1952)を基にテレンス・フィーリイが脚本を執筆。撮影はテレンス・コール。

1660年代のイギリス。パンシア・ヴァイン(アンソニー)は、処刑されかかっている兄を救うと約束してくれた狡猾な徴税業者のクリスチャン・ドリスデイル(バネン)と結婚するが、ドリスデイルは妻となったパンシアを虐待し、彼女の愛犬を踏み殺してしまう。そこに“シルヴァー・ブレイド”と名乗る覆面の怪盗ルシアス(グラント)が現れ、パンシアがドリスデイルに騙されており、彼女の兄は既に処刑されていると告げる。ドリスデイルを公正な決闘で倒したルシアスは、彼の家に税金との名目で騙し取られた大量の黄金を発見するが、それをそのままパンシアに託していく。一方、パンシアは叔母のエマ・ダーリントン(ブルーム)に連れられて国王チャールズ二世(ヨーク)の宮廷を訪れるが、美しい彼女は男たちの注目の的となり、国王の元愛人バーバラ・キャッスルメイン(サムズ)の嫉妬を買う。バーバラは、パンシアの家にドリスデイルが所有していた黄金が保管されていることを証拠として、彼女をドリスデイルの殺人犯として逮捕させる。パンシアの処刑が迫る中、ルシアスはなんとかして彼女を救おうとするが……。当時28歳だったヒュー・グラントは、2023年のインタビューで「自分の出演作リストから1本だけ削除することができるとすれば本作を選ぶ」と答えている。監督のジョン・ハフ、脚本のテレンス・フィーリイのコンビは、本作以外にもバーバラ・カートランド原作の「(未公開/TV)A Hazard of Hearts」(1987)「(未公開/TV)A Ghost in Monte Carlo」(1990)「(未公開/TV)Duel of Hearts」(1991)の映像化を手がけている。

音楽は「追いつめられて…」(1959)「博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」(1964)「欲望の終着駅」(1964)「(未公開)H.G.ウェルズのS.F.月世界探険」(1964)「(TV)おしゃれ(秘)探偵」(1966〜1969)「(未公開)キャプテン・クロノス/吸血鬼ハンター」(1974)「(TV)特捜班CI☆5」(1977)等のイギリスの作曲家ローリー・ジョンソン(1927〜2024)。このスコアの初リリースで、500枚限定プレス。

「Opening Credits」は、荘厳なファンファーレに続いて明るく大らかなメインの主題へと展開するオープニング・クレジット。「Opening Narration」は、ミリタリスティックで不吉なタッチから後半躍動的な主題へ。「Chasing Lucius」は、躍動的なサスペンス調から後半ジェントルで大らかな主題へ。「Lady Panthea Vyne」は、静かにドラマティックなタッチのパンシアの主題。「Silver Blade Appears and the Duel」は、ファンファーレに続いてメランコリックなタッチ、スリリングなアクション音楽、ジェントルな主題へ展開。「Panthea and Emma」は、明るく優雅なタッチの曲。「Fanfares for the King」は、荘厳なファンファーレから、ジョン・スコットの作風に似た英国調のマーチへ。「Court Intrigue」は、サスペンス調からファンファーレ、ジェントルなタッチの主題へと展開。「Silver Blade at Work」は、ヒロイックなマーチの主題。「Where Is He Hiding」は、ダークなサスペンス調からマーチの主題、抑制されたサスペンス音楽へ。「Panthea and Lucius」は、ヴァイオリン・ソロをフィーチャーした静かにジェントルでリリカルな曲。「This Is My Home」は、抑制されたサスペンス調からファンファーレへ。「The Truth About Lady Panthea Vyne」「Awaiting Execution」は、静かにドラマティックなタッチの曲。「The Verdict and Attempted Escape」は、重厚なサスペンス音楽。「Battle at the Gallows and the Wedding (Finale)」は、サスペンス調からジェントルでリリカルな主題、ヒロイックな主題を織り込んだダイナミックでパーカッシヴなサスペンスアクション音楽、大らかなメインの主題へと展開。「Closing Credits」は、ヒロイックなマーチと大らかなメインの主題によるクロージング・クレジット。最後に短いバンパー集「Bumpers」を収録。英国調のエレガントなタッチのアドヴェンチャー・スコアだが、音質がこもりがちなのがちょっと残念。
(2025年8月)

Laurie Johnson

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