(未公開)スターシップ・インベーション STARSHIP INVASIONS
作曲:ギル・メレ
Composed by GIL MELLÉ
(米Dragon's Domain Records /
DDR839)
1977年製作のカナダ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売・テレビ放映済/テレビ放映時の邦題は「未来からの挑戦!第四次宇宙戦争」「スペース・ウォーズ/UFO軍団大襲来!」)。製作・監督・脚本は「(未公開)殺人バクテリアM-3」(1979)「(未公開)ブラッディ・バースデイ/天使の顔をした悪魔の子供たち」(1980)「(未公開)スーパー聖戦士」(1986)「(未公開)ブレイン/鮮血の全国ネット」(1988)等のエド・ハント。出演はロバート・ヴォーン、クリストファー・リー、ダニエル・パイロン、ティーウ・リーク、ヘレン・シェイヴァー、ヘンリー・レイマー、ヴィクトリア・ジョンソン、ドリーン・リプソン、ケイト・パー、シェリ・ロス、リンダ・レンホファー、リチャード・フィッツパトリック、テッド・ターナー、ショーン・マッキャン、ボブ・ウォーナー他。撮影はマーク・アーウィン。
太陽の肥大化により母星が絶滅の危機にある宇宙人の司令官ラメセス(リー)は、地球人を調査した上で抹殺し、地球へ移住することを企んでいた。バミューダ海峡の海底に潜伏する宇宙人の警備隊は、ラメセスによる地球侵略が銀河系の規律を破るものであると警告するが、ラメセスは不意を突いて警備隊たちをせん滅し、地球に怪電波を送信して地球人たちが自殺や殺人により自滅するよう追い込もうとする。警備隊を率いる正義の宇宙人たちは、UFO研究者のアラン・ダンカン教授(ヴォーン)と、その友人のコンピューター専門家マルコム(ラマー)を仲間に引き入れ、ラメセスたちとの宇宙戦争に挑む……。このチープなSF映画が「スター・ウォーズ」と同年の1977年に製作されていることに、まず驚ろかされるが、こちらに出演したクリストファー・リーは、ピーター・クッシング演じるモフ・ターキンを見て「しまった!」と後悔したことだろう(リーは、後に「スター・ウォーズ
エピソード2/クローンの攻撃」(2002)等でドゥークー伯爵を演じている)。ロバート・ヴォーンが出演している地球でのシーンだけがまともで、あとはバラエティ番組のコントのような演出、演技、衣裳、美術、特撮の怪作。
音楽は「アンドロメダ…」(1971)「夜の大捜査線/霧のストレンジャー」(1972)「SF最後の巨人」(1975)「エンブリヨ」(1976)「ラスト・カーチェイス」(1980)等のアメリカ人作曲家ギル・メレ(1931〜2004)で、彼が作曲したサスペンスフルなスコアはこの映画の中での数少ない優れた要素の1つだろう。このスコアの初リリースで、500枚限定プレス。
「Main Title」は、シンセサイザーによる不気味でサスペンスフルな主題から後半ダイナミックでスリリングなタッチに展開するメインタイトル。「Abduction
of the Farmer」は、ピアノをフィーチャーした気だるいタッチのジャズから後半ダイナミックなサスペンス音楽へ。「Abduction
of the Family」は、ダークなサスペンス調から後半ダイナミックなタッチへ。「Suicides /
Underwater Alien Base」「New Allies Pursued Past the Moon」「Android Durbel Destroys
Rameses' Fleet」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Rameses Seizes Control」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽からパーカッシヴでスリリングなジャズに展開する曲。「Allan's
Close Encounter」「Outer Space War」は、不吉なタッチのサスペンス音楽。「Data Control
Center」は、パーカッシヴでダイナミックなサスペンス音楽。「Suicide Epidemic」「Betty's
Suicide Attempt」は、ドラマティックでメランコリックなタッチの曲。「Resolution and End
Titles」は、ダークなタッチのフルート・ソロからクールなジャズ、リリカルなフルートの主題へと展開するエンドタイトル。最後に代替キューの組曲「Alternate
Cue Suite」を収録。犯罪映画風のパーカッシヴなサスペンスアクション音楽が秀逸。
(2025年8月)
Gil Mellé
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