(未公開)DO YOU LIKE HITCHCOOK? ドゥー・ユー・ライク・ヒッチコック? TI PIACE HITCHCOCK?

作曲:ピノ・ドナジオ
Composed by PINO DONAGGIO

指揮:ナターレ・マッサーラ
Conducted by NATALE MASSARA

演奏:ブルガリア交響楽団
Performed by the Bulgarian Symphony Orchestra

(スペインQuartet Records / QR576)

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2005年製作のイタリア=スペイン合作映画(英語題名は「DO YOU LIKE HITCHCOCK?」)。監督は「歓びの毒牙」(1969)「わたしは目撃者」(1970)「4匹の蝿」(1971)「サスペリア」(1977)「インフェルノ」(1980)「シャドー」(1982)「フェノミナ」(1984)「オペラ座/血の喝采」(1988)「トラウマ/鮮血の叫び」(1993)「ダリオ・アルジェントのドラキュラ」(2012)等のダリオ・アルジェント(1940〜)。出演はエリオ・ジェルマーノ、キアラ・コンティ、エリザベッタ・ロケッティ、クリスティーナ・ブロンド、イバン・モラレス、エドアルド・ストッパ、エレナ・マリア・ベリーニ、ホラチオ・ホセ・グリガイティス、ミルヴィア・マリリアーノ、ジャンピエロ・ペローネ、アントニオ・マッツァーラ、アンナ・ヴァレロ、カルラ・ガンビーノ、ロレンツォ・フェデリチ他。脚本はダリオ・アルジェントとフランコ・フェリーニ。撮影はフレデリック・ファサーノ。

トリノで映画を学ぶジュリオ(ジェルマーノ)には覗き趣味があり、向いのアパートに住むサシャ(ロケッティ)たち隣人の生活を双眼鏡でいつも観察していた。彼はレンタルビデオ店で偶然サシャを見かけるが、彼女はフェデリカ(コンティ)という別の女性と話しており、2人はどちらもヒッチコック監督作品の「見知らぬ乗客」のビデオを借りたがっているようだった。ある日、サシャのアパートで彼女の母親が何者かに殺害され、ジュリオはその葬式に出席する。彼はサシャとフェデリカが映画「見知らぬ乗客」の主人公たちのように、互いが殺したいと考えている相手を交換殺人しているのではないかと疑いはじめる……。「見知らぬ乗客」(1951)の他に、「ダイヤルMを廻せ!」(1954)「裏窓」(1954)「めまい」(1958)「サイコ」(1960)「マーニー」(1964)といったヒッチコック監督作品へのオマージュが含められている。

音楽は「キャリー」(1976)「殺しのドレス」(1980)「ミッドナイトクロス」(1981)「ボディ・ダブル」(1984)「レイジング・ケイン」(1992)「パッション」(2012)といったブライアン・デ・パルマ監督作品の常連作曲家であるピノ・ドナジオ(1941〜)。このスコアは2013年7月にQuartetレーベルが全24曲/約59分半収録(コンプリートスコア)のサントラCD(Quartet Records MS021)をリリースしていたが、同レーベルが2025年3月にリリースしたこのCDは、同じ内容の再発盤だが、別音源からリマスターされており、音質が改善している。500枚限定プレス。

「Prologue」は、静かに不吉なイントロからダイナミックで躍動的な主題、コーラスを織り込んだリリカルで不吉な主題、ダイナミックでビジーなサスペンス音楽へと展開するプロローグ。「Peeping Eyes」は、センシュアルな女声ヴォーカルを織り込んだリズミックでリリカルなタッチの曲。「Rainy Night」は、シンセサイザーを加えたダークで不吉なタッチのサスペンス音楽。「Bloody Hammer」は、不吉なタッチから後半ダイナミックなサスペンス音楽へ。「Young Lovers」は、ギター、フルートをフィーチャーしたリリカルでドラマティックな曲。「Runaway in the Rain」「Friends Can Kill」「Quotation」は、躍動的でスリリングなタッチのサスペンス音楽。「Try and Kill」は、リズミックなサスペンスアクション音楽。「Window on the Yard」「The Lift」は、不気味なタッチのサスペンス音楽。「The Yard」は、ギター、ヴァイオリンをフィーチャーした明るくジェントルな曲。「Wrong Key」「The Staircase」「Suspected」は、不吉なタッチのサスペンス音楽。「The Funeral」は、ジェントルでドラマティックなタッチの曲。「Homage to Hitchcock」は、バーナード・ハーマンがヒッチコック監督の「めまい」に作曲したスコアを意識したドラマティックなタッチの曲。「Look Down the Street」は、不吉なタッチから後半リズミックなサスペンス音楽へ。「Bad Dream」「Back on the Crime Scene」「The Roof」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Madness and Sensuality」は、静かにドラマティックなタッチの曲。「Exercise」は、明るく軽快でリズミックな曲。「Hollywood Memorabilia」は、センシュアルな女声ヴォーカルを織り込んだドラマティックなサスペンス音楽。かつてブライアン・デ・パルマ監督と組んでいた頃のピノ・ドナジオの作風に通ずるリッチなサスペンス・スコア。
(2025年8月)

Pino Donaggio

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