ナック THE KNACK... AND HOW TO GET IT

作曲・指揮:ジョン・バリー
Composed and Conducted by JOHN BARRY

(スペインQuartet Records / QR577)

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1965製作のイギリス映画(日本公開は1966年2月)。監督は「ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!」(1963)「華やかな情事」(1968)「三銃士」(1973)「ジャガーノート」(1974)「ロビンとマリアン」(1976)「新・明日に向って撃て!」(1979)「さらばキューバ」(1979)「スーパーマン II/冒険篇」(1981)等のリチャード・レスター(1932〜)。出演はリタ・トゥシンハム、レイ・ブルックス、マイケル・クロフォード、ドナル・ドネリー、ウィリアム・デクスター、チャールズ・ダイヤー、マーゴット・トーマス、ジョン・ブルーサル、ヘレン・レノックス、ウエンズリー・ピシー、エドガー・レフォード、フランク・シーマン、ブルース・レイシー、ジョージ・キスホルム、ピーター・コプリー他。アン・ジェリコーの戯曲を基にチャールズ・ウッドが脚本を執筆。撮影はデヴィッド・ワトキン。

タイトルの“ナック(knack)”は“才能”“コツ”“要領”という意味だが、ここでは女子にもてるためのテクニックのことを指す。ロンドンにテラスハウスを所有する若い教師のコリン(クロフォード)は、3階を借している若い娘にモテモテのドラマー、トーレン(ブルックス)の部屋に、ひっきりなしに女子たちが訪れるのを羨ましく思っていた。1階に越して来たトム(ドネリー)の入れ知恵で、トーレンが持っているのと同じような大きなベッドを手に入れることにしたコリンは、彼と一緒に行った鉄屑屋で見つけたボロボロのベッドを買うことにするが、そこで変わった田舎娘ナンシー(トゥシンハム)と出会う。コリン、トムと意気投合したナンシーは、彼らのテラスハウスまで一緒にやって来るが、女に目のないトーレンが彼女をバイクで連れ出してしまう……。ジェーン・バーキン、ジャクリーン・ビセット、シャーロット・ランプリングが端役でデビューしている。1965年度カンヌ国際映画祭のパルム・ドールと青少年向映画国際批評家賞を受賞した他、同年の英国アカデミー賞の作品賞(総合)、作品賞(国内)、女優賞(国内)、脚本賞、撮影賞(モノクロ)、新人賞にノミネートされている。

音楽は「007/ドクター・ノオ」(1962)等初期の「007」シリーズや「野生のエルザ」(1966)「フォロー・ミー」(1972)「ダブ」(1974)「ある日どこかで」(1980)「白いドレスの女」(1981)「愛と哀しみの果て」(1985)「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990)等のイギリスの作曲家ジョン・バリー(1933〜2011)で、これは彼が「007/ゴールドフィンガー」(1964)「国際諜報局」(1965)「キング・ラット」(1965)「007/サンダーボール作戦」(1965)といった傑作を連発していた頃のスコア。監督のリチャード・レスターとは、何本かのCMの他、「華やかな情事」(1968)「ロビンとマリアン」(1976)でも組んでいる。このスコアは公開当時の1965年に米United Artistsレーベルより全11曲/約32分のサントラLP(United Artists UAS 5129)が出ており、その後1998年に米Rykoレーベルが全15曲/約34分半のCD(Rykodisc RCD 10718)、2011年にスペインのQuartetレーベルが1965年のLPと同内容のCD(Quartet Records QRSCE024)を出しているが、2025年3月に同じQuartetレーベルがリリースしたこの“60周年記念盤”CDは、全21曲/約60分収録で、新たに発見された音源からリマスターされている。

最初にサントラ盤の内容19曲、その後に映画で使われたバージョン8曲、ボーナストラック2曲が収録されている。冒頭の「The Knack – Main Theme」は、女声ヴォーカルを加えた幻想的なイントロからチェロによるメランコリックでホーンティングなタッチのメインの主題へと展開するメイン・テーマ。ジョン・バリーの個性が強く出た傑作主題で、イギリスのジャズ・オルガニスト、アラン・ヘイヴン(1935〜2016)の電子オルガンを加えたダイナミックなジャズベースの演奏。続く「Here Comes Nancy Now!」「Photo Strip」等、スコアの大半がこの印象的な主題のバリエーションとなっており、「Three on a Bed」は、ミュートトランペットをフィーチャーしたジャズ、「And How to Get It」は、女声ヴォーカルと電子オルガンをフィーチャーした演奏。「Blues and Out」は、電子オルガンを加えた気だるいタッチ。「Something's Up!」も、女声ヴォーカルと電子オルガンをフィーチャーしたサスペンスフルなタッチのジャズ。「Doors and Bikes and Things」は、軽快なタッチのメインの主題から後半女声ヴォーカルを加えた気だるいタッチに。「Ecstasy!」は、ミュートトランペットと電子オルガンを加えた明るくリズミックな曲。「End Title – The Knack」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。「The Knack Vocal: Johnny De Little」は、ジョン・バリーの弟子だったジョニー・デ・リトルのヴォーカルによるメインの主題。
ボーナストラックには、アラン・ヘイヴンのオルガンによる主題曲「The Knack Organ by Alan Haven」と、主演のマイケル・クロフォードのヴォーカルによる主題曲「The Knack Vocal: Michael Crawford」(作詞:レスリー・ブリッカス、編曲・指揮:デヴィッド・ホイテカー)を収録。
(2025年8月)

John Barry

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