（未公開）PAR OU T'ES RENTRE… ON T'A PAS VU SORTIR
作曲・指揮：アラン・シルヴェストリ
Composed and Conducted by ALAN SILVESTRI
（仏Music Box Records / MBR-249）
1984年製作のフランス映画（英語題名は「HOW DID YOU GET IN? WE
DIDN'T SEE YOU LEAVE」）。監督はフランスのコメディ俳優として知られるフィリップ・クレール（1930〜2020）。出演はジェリー・ルイス、フィリップ・クレール、マルト・ヴィヤロンガ、ジャッキー・サルドゥー、フィリップ・カステリ、コニー・ニールセン、ラミーヌ・ナーディ、フィリップ・カロワ、ジェス・ハーン、アンリ・アタル、ドミニク・ザルディ、ムスターファ・アドゥーアニ、ベルナール・アトラン、ロベール・バール、カトリーヌ・バレッス他。脚本はフィリップ・クレール、ダニエル・サン＝タモンとブリューノ・タルドン。撮影はアンドレ・ドマージュ。
私立探偵のクロヴィ・ブレアロー（ルイス）は、富豪の実業家プロスペル・ドゥ・クールタブッフ（クレール）の妻ナデージュ（ヴィヤロンガ）から、夫と離婚したいので、夫が別の女と不倫している現場の証拠を押さえてほしいと依頼される。クロヴィは旧友のふりをしてプロスペルに近づいて仲良くなり、彼の不倫の証拠を掴もうとするが、なかなかうまくいかない。そうこうするうちに、2人はマフィアの殺し屋たちから追われるはめになるが……。「グラディエーター」(2000)「閉ざされた森」(2003)「ワンダーウーマン」(2017)「グラディエーターII
英雄を呼ぶ声」(2024)等のデンマーク人女優コニー・ニールセンのデビュー作。主演であるアメリカ人のベテラン・コメディ俳優ジェリー・ルイスは、この映画のあまりの出来の悪さに「アメリカでは絶対に公開しないこと」と契約に明記させたという。
音楽はアメリカの作曲家アラン・シルヴェストリ（1950〜）で、彼がスコアを手がけた「ロマンシング・ストーン／秘宝の谷」(1984)を見た監督のフィリップ・クレールが、カンヌ国際映画祭で偶然出会ったシルヴェストリに熱心にアプローチして作曲を依頼したという。シルヴェストリは、本作の後に「ファンダンゴ」(1985)「（未公開）キャッツ・アイ」(1985)、そして「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985)を手がけている。このスコアは公開当時の1984年にフランスのPolydorレーベルから全12曲／約36分収録のサントラLP（Polydor
825141）が出ていたが、Music
Boxレーベルが2025年5月にリリースした全28曲／約64分のこのCDは、前半にリマスターされた過去のサントラ盤の内容（主題歌を除く）、後半にボーナストラックとしてモノラル音源によるコンプリートスコアを収録。1000枚限定プレス。
「Les Inspaghettibles contre le Front de résistance du couscous」は、リズミックでダイナミックなロック調のメインの主題で、シルヴェストリが2年後に作曲した「デルタ・フォース」(1986)のメインタイトルに通ずるタッチ。「Aérobic
poids lourds」「Le laveur de vitres」「Les filles à la piscine」は、ライトなロック曲。「Kasbah
City」「La fuite à Orly」は、ダイナミックなタッチのロック曲。「Règlement de comptes à
Kasbah City」は、シルヴェストリの個性が強く出たオーケストラによる豪快な西部劇音楽。「Les
Inspaghettibles reçoivent leur parrain」は、オーケストラによる静かにストイックかつドラマティックな主題から後半ダイナミックなアクション音楽へ。「Soirée
Jet Society」は、オーケストラによるジェントルでリリカルな主題からリズミックなロックへ。「Le PDG des
chiffons est menacé」は、ダイナミックでリズミックなアクション音楽。「Fin de la guerre
des gangs」は、ミリタリスティックでパーカッシヴなマーチ。続くボーナストラックでの「Call-girl」「Attaché-case」「À
la poursuite de Prosper et Clovis」は、メインの主題を織り込んだダイナミックなサスペンス音楽、「Chambre
des tortures」「Prosper et Clovis déguisés」「Les partisans du couscous」「La fosse
aux lions」「Assaut chez Ben Burger」も、オーケストラによる重厚でダイナミックなサスペンス音楽。
（2025年9月）
Alan Silvestri
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