(TV)暗殺・サンディエゴの熱い日 PURSUIT
(未公開/TV)THE PEOPLE
NEXT DOOR
(TV)地下室の侵入者/抑圧された十代 CRAWLSPACE
作曲:ジェリー・ゴールドスミス
Composed by JERRY GOLDSMITH
指揮:アダム・クレメンス
Conducted by ADAM KLEMENS
演奏:プラハ市フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the City of Prague Philharmonic Orchestra
(米Intrada /
Intrada INT 7184)
ジェリー・ゴールドスミス(1930〜2004)が1960〜70年代に作曲したが、これまで未発表だったテレビ映画3作品のスコアを、リー・フィリップスがリコンストラクトし、プラハ市フィルの演奏により新録音したもの。Kickstarterによるクラウドファンディングにより実現したプロジェクト。
「(TV)暗殺・サンディエゴの熱い日(PURSUIT)」は、1972年製作のアメリカのテレビ映画(日本では劇場未公開でテレビ放映済)。監督は「アンドロメダ…」(1971)「電子頭脳人間」(1974)「ライジング・サン」(1993)「ジュラシック・パーク」(1993)「ディスクロージャー」(1994)「コンゴ」(1995)「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(1997)「スフィア」(1998)「13ウォーリアーズ」(1999)「タイムライン」(2003)等の原作や、「ウエストワールド」(1973)「コーマ」(1977)「未来警察」(1985)等の監督・脚本で知られるマイケル・クライトン(1942〜2008)で、これは彼の初監督作品。出演はベン・ギャザラ、E・G・マーシャル、ウィリアム・ウィンダム、ジョセフ・ワイズマン、ジム・マクマラン、マーティン・シーン、ウィル・クルヴァ、ハンク・ブラント、クィン・K・レデカー、コンラッド・バックマン、ジョー・ブルックス、ロバート・クリーヴス、ウォルト・デイヴィス、ダン・フェロン、シド・グロスフェルド他。マイケル・クライトンがまだ医学生だった頃にジョン・ラング名義で出版した原作『サンディエゴの12時間(Binary)』を基にロバート・ドジアーが脚本を執筆。撮影はロバート・L・モリソン。大統領が政府関係のコンベンションに出席する予定のサン・ディエゴで、反政府テロリストのジェームズ・ライト(マーシャル)が米軍から盗んだ極秘の神経ガスをばらまこうとしていることを察知した国務省は、捜査官のスティーヴン・グレイヴス(ギャザラ)たちを送り込み、ライトを阻止しようとする……。
ジェリー・ゴールドスミスは、マイケル・クライトン原作の「コーマ」(1977)「大列車強盗」(1979)「未来警察」(1985)「コンゴ」(1995)「13ウォーリアーズ」(1999)等も手がけているが、ここでは19人編成(金管楽器9、フルート、ハープ、キーボード2、フェンダーベース、アコースティックギター、エレクトリックギター、ドラムス、ヴァイブス、ティンパニ)のミュージシャンによるミニマルなサスペンス・スコアを展開。「Meet
Mr. Wright」は、ギターをフィーチャーしたリズミックでサスペンスフルなメインの主題で、犯罪ドラマ風のタッチ。「A
Little Scuba」は、メインの主題のバリエーション。「Get Me A Lawyer」は、フルートをフィーチャーしたリズミックな曲。「Known
Identity」「Stakeout」も、リズミックなサスペンス音楽。「A Paint Job」「The Find」「Get
The President」「The Arrest」「Gas Leak」は、抑制されたタッチのサスペンス音楽。「Breakout」「Breakout
(Alt)」は、メインの主題を織り込んだパーカッシヴでダイナミックなサスペンス音楽。「A Desperate Act」は、ダークなタッチの曲。「Get
the Sniffer」は、メインの主題を織り込んだリズミックなサスペンス音楽。「The Aftermath」は、キーボード、フルートをフィーチャーしたリリカルなタッチの曲。
「(未公開/TV)THE PEOPLE NEXT DOOR」は、1968年製作のアメリカのテレビ映画で、1967〜1970の期間に放送されたシリーズ「CBS
Playhouse」の中の1話(第2シーズンの第1エピソード)。監督は「原子力潜水艦浮上せず」(1978)「(TV)殺しのリハーサル」(1982)「(TV)消えた花嫁」(1986)「アパッチ」(1990)等のデヴィッド・グリーン(1921〜2003)。出演はロイド・ブリッジス、ナイルズ・ブラウン、ハーパー・カーター、マーク・キャヴェル、ロバート・デュヴァル、ピーター・ガルマン、キム・ハンター、フィリス・ニューマン、スキップ・パーキンス、ネヘミア・パーソフ、ドン・スカーディノ、フリッツ・ウィーヴァー、ジェイソン・ウィングリーン、デボラ・ウィンターズ。脚本はJ・P・ミラー。ニューヨーク郊外に住む中流階級の夫婦、アーサー・メイソン(ブリッジス)と妻ジェリー(ハンター)は、非の打ち所がないと思っていた16歳の娘マキシー(ウィンターズ)が麻薬中毒になっていることを知り、彼女は病院に搬送される。短絡的なアーサーは17歳の息子アーティ(ガルマン)が妹に麻薬を使わせたと疑い、彼を家から追い出してしまう。混乱して取り乱したジェリーは、隣人で学校の校長であるデヴィッド・ホフマン(ウィーヴァー)に相談に行くが、デヴィッドの妻ティナ(ニューマン)はアルコール中毒で、息子サンディ(スカーディノ)も問題を抱えていた……。
ジェリー・ゴールドスミスのスコアは、「Main
Title」が「チャイナタウン」風のトランペット・ソロをフィーチャーしたジェントルでドラマティックなタッチのメインタイトル。「No
Respect」「Sleepless Night / The Stethoscope」は、フルートをフィーチャーした不吉なタッチのサスペンス音楽。「A
Bad Time」「The East Village」「STP Overdose」「The Stash」は、抑制されたサスペンス音楽。「A
Difficult Choice」は、フルート、ピアノをフィーチャーしたジェントルなタッチから、後半不吉なサスペンス音楽へ。「Recognition」は、フルートをフィーチャーした静かにドラマティックな曲。「A
Father's Rage」は、犯罪ドラマ風のリズミックでダイナミックなサスペンス音楽。「End Credits」は、トランペット・ソロをフィーチャーしたメインの主題のリプライズによるエンドクレジット。
「(TV)地下室の侵入者/抑圧された十代(CRAWLSPACE)」は、1972年製作のアメリカのテレビ映画(日本では劇場未公開でテレビ放映済)。監督は「(TV)世にも不思議な物語」(1959〜1961)「0011ナポレオン・ソロ/消された顔」(1965)「(TV)地下室の魔物」(1973)「(TV)新・世にも不思議な物語」(1982)等のジョン・ニューランド(1917〜2000)。当初は、「消えた拳銃」(1966)「戦うパンチョ・ビラ」(1968)「暴動」(1969)「シェイマス」(1972)「ハンター」(1980)等のバズ・キューリック(1922〜1999)が監督する予定だったが、ニューランドにリプレースされた。出演はアーサー・ケネディ、テレサ・ライト、トム・ハッパー、ユージン・ロッシュ、マシュー・カウルズ、ダン・モーガン、ロジャー・サーバギ、ルイーズ・キャンベル、フリート・エマーソン、ディーン・テイト。ハーバート・リーバーマンの原作を基にアーネスト・キノイが脚本を執筆。撮影はウルス・ファーラー。若い電気技師リチャード・ロイ・アトリー(ハッパー)が失業して故郷のニューイングランドに戻り、子どものいない初老の夫婦アルバート(ケネディ)とアリス(ライト)の家の暖房を修理した後、その家の地下室に棲みついてしまう。当初はリチャードの存在に戸惑ったアルバートとアリスだったが、彼を養子のように受け入れ、彼のために食事を用意し、服を買ってやり、仕事も探してやる。夫婦はリチャードに寝室をあてがうが、彼は地下室から出てこようとしない。やがて、地元のエミール・バージ保安官(ロッシュ)がリチャードのことを知り、用心するように夫婦に警告するが……。
ジェリー・ゴールドスミスのスコアは、ハープシコード、ハープ、木管楽器、弦楽器、ピアノによる演奏。「Main
Title」は、ピアノ、ハープシコード、ストリングスによるメランコリックなタッチのメインタイトル。「Uninvited
Guest」「The Box」は、メインの主題のバリエーション。「Open Door」は、フルート、ハープシコードをフィーチャーした躍動的でドラマティックな曲。「Investigation」「The
Grocery Store」「Angry Richard / Quiet Night」は、抑制されたタッチのサスペンス音楽。「Locked
Out」「Broken Loom」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Return Home」は、ピアノ、ストリングスによるメランコリックなタッチの曲。「A
Little Advice / Christmas Dinner」「Not Guilty」は、ピアノをフィーチャーした静かにジェントルな曲。「More
Lies」「The Note」は、静かにドラマティックなタッチ。「The Woods」「The Captives」は、躍動的なサスペンス音楽。「Bumper
to Bumper」は、パーカッシヴでダイナミックなサスペンス音楽。「The Axe」は、ダークなタッチの曲。「Final
Act」は、メランコリックなタッチのピアノの主題から大らかトランペットの主題へと展開するエンディング。
(2025年10月)
Jerry Goldsmith
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