ラスト・カーチェイス THE LAST CHASE
(未公開/TV)JAMES
MICHENER'S DYNASTY
作曲・指揮:ギル・メレ
Composed and Conducted by GIL MELLÉ
(米Dragon's Domain Records / DDR840)
「アンドロメダ…」(1971)「夜の大捜査線/霧のストレンジャー」(1972)「SF最後の巨人」(1975)「エンブリヨ」(1976)「(未公開)スターシップ・インベーション」(1977)等のアメリカ人作曲家ギル・メレ(1931〜2004)が1970〜1980年代に手がけた2作品をカップリングにしたCD。限定500枚プレス。
「ラスト・カーチェイス(THE LAST CHASE)」は、1981年製作のアメリカ=カナダ合作映画。製作・監督は「パワープレイ」(1978)「(TV)バトル・オブ・シリコンバレー」(1999)「シルベスター・スタローン
ザ・ボディガード」(2002)等のカナダ人マーティン・バーク(1952〜)。出演はリー・メジャース、バージェス・メレディス、クリス・メイクピース、アレクサンドラ・ステュワルト、ダイアン・ダクィラ、ジョージ・トゥーリアトス、ハーヴェイ・アトキン、ベン・ゴードン、ヒュー・ウェブスター、デボラ・バージェス、トゥルディ・ヤング、モーゼス・ツネイマー、ダグ・レノックス、ポール・エイマート、ウォーレン・ヴァン・エヴェラ他。「デビルゾーン」(1983)「(TV)新・ヒッチコック劇場」(1985〜1989)「ラスト・オブ・モヒカン」(1992)「(TV)7デイズ/時空大作戦」(1998〜2001)「(TV)セキュリティ9.11」(2004)等のクリストファー・クロウ(C・R・オクリストファー)の原案を基に、「暗闇にベルが鳴る」(1974)等のロイ・ムーア、クリストファー・クロウとマーティン・バークが脚本を執筆。撮影はポール・ヴァン・デル・リンデン。
20年前に起こった石油資源の故渇と疫病のため、新体制の管理社会が築かれた21世紀初頭のアメリカ。自動車を持つことも禁止され、人々は自由な移動すらできなかった。大量輸送機関のスポークスマン、フランク・ハート(メジャーズ)は、かつて有能なレーサーだったが、妻子を疫病で失った上に大事故を起こして不名誉な引退をしており、今は絶望的な日々を送っていた。一方、学生のリング・マッカーシー(メイクピース)は、電子工学の天才で保安委員会のコンピューターをハッキングしたりしていた。学生たちの前で体制批判の演説をしたハートにリングは共感し、彼とともにアメリカ政府の管理を受けていない唯一の独立国家“カリフォルニア・フリーダム”を目指して逃走の旅に出た。ハートはかつての愛車917-10型ポルシェを分解し、秘かに保管していたのだった。政府の保安委員はただちに非常線を張り、元空軍パイロットで今は酒びたりの日々を送っているJ・G・ウィリアムズ大尉(メレディス)に声をかける。ウィリアムズはF86セイバー戦闘機を操縦して空から2人を追跡するが……。製作費は約490万ドル。
ギル・メレのスコアは、2001年に全10曲/約51分収録の海賊盤CD(Soundtrack
Archives LCCD-0001)が出ていたが、2025年7月にDragon's DomainレーベルがリリースしたこのCDは、初の正規盤で全16曲を収録。「Main
Title / The World Is Out of Gas」は、オーケストラとシンセサイザーによる大らかでドラマティックなタッチのメインの主題から、ダークでドラマティックかつダイナミックなタッチへ。「The
Hacker」「Native Land (Unused)」は、静かにドラマティックでサスペンスフルなタッチの曲。「Digging
Up the Porsche / The Nightclub」は、キーボードによるジェントルでリリカルなタッチからトランペットをフィーチャーした大らかな主題へ。「Ring
Vs. The Student Body」は、躍動的なサスペンス音楽。「Escape from Boston」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽から中盤ストリングスによるヒロイックな主題へ。「Back
in Uniform / The Outbackers」は、ハーモニカをフィーチャーした躍動的でヒロイックな曲。「The
Last Jet」「The Wreck Of Eagle One / Into California」は、大らかでヒロイックなタッチの曲。「Roadblock」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Eagle
One in Flight」「Attacking the Laser」は、ヒロイックでダイナミックな曲。「The Last
Chase Begins」「Escaping the Jet Attack (Unused)」は、ダイナミックでスリリングなアクション音楽。「Aircraft
Boneyard / Escape into the Desert」は、大らかでドラマティックな主題から後半ダイナミックなサスペンスアクション音楽へ。「End
Title」は、大らかなファンファーレからハーモニカ、ピアノ、トランペットをフィーチャーしたヒロイックな主題へと展開するエンドタイトル。オーケストラとシンセサイザーの組み合わせによるヒロイックかつスリリングなサスペンス・スコアで、ギル・メレのベスト作の1つだろう。
「(未公開/TV)JAMES MICHENER'S DYNASTY」は、1976年製作のアメリカのテレビ映画。監督は「(TV)黒いジャガー/悪徳警官をあばけ」(1974)「ふたりだけの森」(1975)「(TV)続・明日に向って撃て!」(1976)「(TV)サムソンとデリラ/愛と裏切りの伝説」(1984)「(未公開)バーナム〜ショービズをきわめた男」(1986)等のリー・フィリップス(1927〜1999)。出演はサラ・マイルズ、ステイシー・キーチ、ハリス・ユーリン、ハリソン・フォード、エイミー・アーヴィング、グランヴィル・ヴァン・デューセン、チャールズ・ウェルダン、ゲリット・グレアム、スタンリー・ベネット・クレイ、トニー・スウォーツ、ジョン・カーター、ステファニー・フォークナー、レイフォード・バーンズ、サリ・プライス、ノーバート・シラー他。「第八ジェット戦闘機隊」(1954)「トコリの橋」(1954)「サヨナラ」(1957)「南太平洋」(1958)「ハワイ」(1965)「大洋のかなたに」(1970)「キャラバン」(1978)等のジェームズ・A・ミッチェナー(1907〜1997)の原案を基に「ハスラー」(1961)「テキサスの五人の仲間」(1965)「泥棒貴族」(1966)等のシドニー・キャロル(1913〜1988)が脚本を執筆。撮影はウィリアム・クロンジャガー。
1820年から1855年にかけてのアメリカ、オハイオ州を舞台に、裕福な開拓者ジョン(ユーリン)とマット(キーチ)のブラックウッド兄弟と、ジョンの妻ジェニファー(マイルズ)の葛藤のドラマを描く。マットがジェニファーをジョンから奪ったことで、兄弟は生涯を通しての熾烈なバトルを繰り広げることになる。当時34歳のハリソン・フォード(「スター・ウォーズ」の前年)、23歳のエイミー・アーヴィングが端役で登場。
これが初リリースとなるギル・メレのスコアは、冒頭の「Prologue
and Titles」が、バンジョーをフィーチャーしたジェントルかつ明るく快活なプロローグとメインタイトル。「The
Blackwoods」「The Years Pass」は、ハーモニカ、ギターをフィーチャーしたジェントルで快活なタッチの曲。「Going
to Work」は、ハーモニカをフィーチャーした明るく躍動的な曲。「A New Love」「A Family Divided」は、ハーモニカ、ギターをフィーチャーしたジェントルでリリカルな曲。「Finale」は、ジェントルでドラマティックなフィナーレ。「End
Credit」は、バンジョー、ハーモニカをフィーチャーした明るく躍動的なエンドタイトル。最後にバンパー集「Bumpers」を収録。アーロン・コープランド風の室内楽によるスコア。
(2025年12月)
Gil Mellé
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