(未公開)ARABELLA
作曲:エンニオ・モリコーネ
Composed by ENNIO MORRICONE
指揮:ブルーノ・ニコライ
Conducted by BRUNO NICOLAI
(スペインQuartet Records / QR578)
1967年製作のイタリア映画。監督は「狂った夜」(1959)「狂った情事」(1960)「汚れなき抱擁」(1960)「堕落」(1963)「愛すれど哀しく」(1971)等のマウロ・ボロニーニ(1922〜2001)。出演はヴィルナ・リージ、ジェームズ・フォックス、マーガレット・ラザフォード、テリー=トーマス、パオラ・ボルボニ、アントニオ・カサグランデ、ジャンカルロ・ジャンニーニ、ミレーナ・ヴコティック、エスメラルダ・ルスポリ、ヴァレンティノ・マッキ、レナート・ロマーノ、レナート・キアントーニ、ジュゼッペ・アッドバッティ、ストリンジャー・デイヴィス、ロデーレ・ヴァラディ。脚本はジョルジョ・アルロリオ、アドリアーノ・バラッコとブルネロ・ロンディ(英語のセリフはアラン・ハックニー)。撮影はエンニオ・ガルニエリ。1928年のイタリア。多額の税金を滞納している祖母イラリア王女(ラザフォード)を窮地から救うため、イタリア人のホテル支配人、イギリス人の将軍、イタリア人の公爵(すべてテリー=トーマスが一人三役で演じる)を誘惑して金を騙し取ろうとする妖艶なアラベラ(リージ)を描くロマンティック・コメディ。ジェームズ・フォックスが、アラベラの恋するミステリアスなジョルジョを、ジャンカルロ・ジャンニーニが公爵のゲイの息子サヴェリオを演じている。
音楽は「華やかな魔女たち」(1967)「さらば恋の日」(1969)「彼女と彼」(1970)「わが青春のフロレンス」(1970)「哀しみの伯爵夫人」(1974)「沈黙の官能」(1976)「(未公開)さらばモスクワ」(1986)「薔薇の貴婦人」(1986)「金曜日の別荘で」(1991)等、多くの作品でマウロ・ボロニーニ監督と組んでいるエンニオ・モリコーネ(1928〜2020)。このスコアは過去に出ていたモリコーネの無数のコンピレーション・アルバムに1曲も収録されていなかった貴重な音源で、これがコンプリートスコアの初リリース(2025年7月)。1500枚限定プレス。
「Main Titles (From Arabella)」は、メトロノームのリズムからブラス、パーカッション、バンジョー、コーラスによる様々なフレーズがメドレー風に展開する実にオリジナルなタッチのメインタイトル。「Giorgio's
Home」「Arabella Runs After Giorgio」「Arabella Talks to Granny」は、ストリングスによる繊細でしっとりとしたラヴ・テーマ。まさにモリコーネ節の名曲。「Arabella
Arrives Home」「Driving off with the Duke」「Visiting Filiberto」「The
Bedroom」「Arabella Prepares Graziella / The Attic」「Arabella and the Duke」「Giorgio
Affirms His Love」「Arabella Rehearses」「Arabella and the General
Swimming」「Arabella Leaves」「The Morning After / The Fire」は、バンジョーを加えた明るく軽快なチャールストン、フォックストロット風のダンスミュージック。「Tea-Room
Quartet」は、ヴァイオリン・ソロをフィーチャーしたややメランコリックな主題から後半ジェントルなワルツへ。「The
General」は、イギリス国歌の引用。「Emma Sees Ghosts / The Safe / Emma Meets
Saverio」は、ミステリアスなタッチの曲。「Manager Smashes Toilet / Saverio
Attacks Arabella」は、コミカルなタッチのタンゴ調の曲。「Arabella Installs Graziella
/ Saverio Appears」は、ヴァイオリン・ソロをフィーチャーしたジェントルでリリカルなタッチの曲。「Hotel
Orchestra」は、ストリングスによるジェントルなワルツ。「The Casino」は、ピアノによるジェントルなタッチの曲。「End
Titles (From Arabella)」は、明るく軽快なチャールストンによるエンドタイトル。映画の舞台となる1920年代のタンゴやチャールストンを含むレトロなダンスミュージックを中心としたスコア。
(2025年12月)
Ennio Morricone
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