ダニー・ザ・ドッグ

Danny the Dog


■ストーリー:

薄暗い倉庫を、うつむきながらとぼとぼと歩いてくる男。着古した粗末な服をまとい、首には銀色の輪が嵌められている。白いスーツを着た恰幅の良い男が彼の耳元に「殺せ!」と囁き、首輪を外す。その瞬間、解き放たれた彼の目は鋭く輝き、目の前に立ちはだかる男たちを圧倒的な強さで次々と倒していく。白いスーツの男は「よくやった!」と言い、彼が最後に追い込んだ相手から金をむしり取る。そして、再び首輪を嵌められた彼は、うつむきながら薄暗い倉庫を後にした。

 

彼の名はダニー。白いスーツを着た男――悪徳高利貸しバートに育てられた。5歳の時に誘拐され、闘う犬として首輪と共に生きてきたダニー。彼は日々バートに連れられ、借金の取立てに向かう。闘いに明け暮れ、アジトの地下牢で冷えた缶詰をむさぼる毎日。彼のそばには、ぼろぼろのサンドバッグと古びた熊のぬいぐるみ、そして読み込まれた絵本。ダニーは、なぜか何百回とめくった絵本に載っているピアノに心を惹かれるのだった。

 

 

ある日、ダニーは取立てのために行った骨董品倉庫で絵本でしか見たことのなかったピアノに遭遇する。ダニーが鍵盤に触れようとした瞬間、部屋に一人の男が入ってきた。そして、ピアノに座った男は落ち着いた面持ちでダニーを呼び寄せる。彼の名はサム。その昔プロのピアニストを目指したが、事故で盲目となり、ピアノの調律師となった。「君の名は?」サムは尋ねる。人間としての感情の無いダニーは、答えることが出来ない。しかし、鍵盤の叩き方を習い、調律を手伝ううちに、二人の心は少しずつ触れ合っていく。

   

数日後、借金の取立てに向かうバートとダニーが乗る車に、トレーラーが猛スピードで突っ込んできた。ぐちゃぐちゃとなった車体にさらに銃弾が雨あられと撃ちこまれる。血を流し倒れたままのバートを絶命したと考えたダニーは命からがら脱出、行方を定めぬまま街をさまよう。いつしか無意識のうちに、ダニーはサムと出会った倉庫に辿り着く。サムに再会したダニーは出血がひどく、意識を失ってしまう。気がついたダニーは暖かいベッドの中にいた。そこはサムの家で、ピアニストを目指す18歳の義理の愛娘ヴィクトリアとサムは二人で暮らしていた。最初は警戒を解かなかったダニーだが、次第にヴィクトリアから大好きなピアノを教わり、色々なことを話しはじめる。そんなある日、ヴィクトリアはゆっくりとダニーの首に手を伸ばし、そっと首輪を外すのだった……。

      

 


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