ブルーノ・ニコライ
  Bruno Nicolai

Date of Birth: 1926/5/26
Place of Birth: Rome, Lazio, Italy
Date of Death: 1991/8/16
Mini Biography:
Bruno Nicolai studied under Aldo Manitia for piano, Antonio Fernandi and Goffredo Petrassi for composition, and Ferruccio Viganelli for organ at the Conservatory of Santa Cecilia. His friendship there with fellow student Ennio Morricone led to a long professional relationship, with he acting as music director and occasional conductor on many of Morricone's scores. He entered into film music scoring in 1964 when he wrote the score for "Mondo cane 2". After this, he scored a number of films at Cinecitta. In 1965, he was asked to conduct Morricone's score for the film "For a Few Dollars More", which was followed by many conducting assignments. He also conducted scores by Carlo Rustichelli, Luis Bacalov and Nino Rota. During the 1970s, he established his own record label called Gemelli and released his own film soundtracks as well as a few non-film music works. The label still operates under the name of Edi-Pan, managed by his daughter Julia.

 


荒野の10万ドル  CENTOMILA DOLLARI PER RINGO

作曲・指揮:ブルーノ・ニコライ
Composed and Conducted by BRUNO NICOLAI 

(伊EDIPAN / PANCDS2501)

★TOWER.JPで購入(Octave in Lounge国内盤) 

1966年製作のイタリア映画(英語題名は「Ringo Came to Fight」)。監督はアルベルト・デ・マルティーノ(マーティン・ハーバート)。出演はリチャード・ハリソン、フェルナンド・サンチョ、ジョン・バラクーダ、エレオノラ・ビアンキ、マッシモ・セラート他。脚本はアルフォンソ・バルカザールとジョヴァンニ・シモネッリ。撮影はフェデリコ・ララーヤ。メキシコ軍に10万ドル相当の武器を密売しようとする3人兄弟と闘う男を描くマカロニウエスタン。イタリアで作られた西部劇のことを“マカロニウエスタン”と呼が、アメリカではこれを“スパゲッティウエスタン”と呼ぶ(発想は大して変わらない)。1964年にセルジオ・レオーネ監督がアメリカからクリント・イーストウッドを連れてきて、黒澤 明監督の「用心棒」のストーリーを拝借して作った「荒野の用心棒」が世界的な大ヒットとなり、これをきっかけに無数のマカロニ(またはスパゲッティ)ウエスタンが製作された。私自身はジョン・フォードやハワード・ホークス監督による正統派アメリカンウエスタンも好きだが、セルジオ・レオーネ監督の諸作品のファンでもある。と言っても、レオーネが監督した西部劇はわずか5本のみで、彼以外の監督が作ったマカロニウエスタンには低予算で稚拙なものが少なくない。

映画自体はともかくとして、マカロニウエスタンの音楽には優れたものが多い。その代表選手はエンニオ・モリコーネであるが、ここで紹介しているのはモリコーネの指揮者として彼と名コンビを組んでいたブルーノ・ニコライによるスコアである。ニコライとモリコーネはある事をきっかけに訣別し、二度とコンビを組んでいないが、ニコライ自身は「純粋に個人的な問題で音楽に関することではない」と語っている。彼はモリコーネの影に隠れている印象が強く、作風もモリコーネのコピーのように思われがちだが、これは大きな間違いで実際に彼が手がけた多くの作品を聞いてみると、全く独自の優れた音楽センスの持ち主であることがわかる。手がけた作品は低予算のB級映画ばかりだが、「荒野のドラゴン」「大西部無頼列伝」「(未公開)地獄の荒野」といった西部劇や、「熱砂の戦車軍団」等の戦争映画、「(未公開)吸血のデアボリカ」等のホラー映画、「愛のアンジェラス」等の恋愛映画等、あらゆるジャンルの作品に、映画自体の出来に比べてもったいないくらい優れた音楽を提供している。この「荒野の10万ドル」でのブルーノ・ニコライの音楽も、冒頭のオーケストラによるスペクタキュラーなメインタイトルからその剃刀のような緊張感に圧倒される。極めてダイナミックでリッチなスコア。
(1995年5月)
(2006年4月)

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熱砂の戦車軍団 LA BATTAGLIA DEL DESERTO

作曲・指揮:ブルーノ・ニコライ
Composed and Conducted by BRUNO NOCOLAI

(伊Digitmovies / CDDM049)

cover
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1969年製作のイタリア映画(英語題名は「Desert Battle」/日本公開は1971年2月)。監督は「禁じられた夜と女」(1963)「世界残酷2000年」(1970)等のミーノ・ロイ。出演は ロベール・オッセン、ジョージ・ヒルトン、フランク・ウォルフ、リック・バッタリア、イヴァノ・スタッチオリ、ゴッフレード・ウンガー、ファブリツィオ・モローニ、ラウラ・ベッリ、イヴリン・スティワート、ロバート・ダルバン、ジャック・カステロ、ルチアーナ・アントネッリ、イリオ・ファンティーニ、ミレッラ・パンフィーリ他。脚本はエルネスト・ガスタルディ。撮影はフェデリコ・ザンニ。第二次大戦中の北アフリカ戦線を舞台に、ブラッドベリ大尉(ヒルトン)率いるイギリスの部隊が、捕虜にしたドイツ軍のハインツ大尉(オッセン)たちと一台の戦車に同乗し、やがて友情で結ばれていく様を描くドラマ。

音楽はイタリアのベテラン作曲家ブルーノ・ニコライ。戦争映画とは言え、同じイタリア人作曲家のエンニオ・モリコーネやフランチェスコ・デ・マージがこのジャンルに書いたスコアと異なり、ニコライは スパゲッティウエスタン調のストイックなタッチのスコアを展開しているところが面白い。「La battaglia del deserto」は、ヒロイックなメインタイトルで、この“マカロニ風”の主題は「Ultimo miglio」「Verso l'ignoto」「Sosta」「Red blues」「Reminiscenze」「Prima della battaglia」「Avanzamento」とアレンジを変えて何度も登場するが、特に静かなアレンジメントの曲が良い。「Vite in pericolo」等はサスペンス調。「Nancy」はメランコリックなタッチ。「Sogno d'amore」はリリカルで美しい愛のテーマ。「Valzer souvenir」は優雅なワルツ。「Suicidio」はストイックな主題。最後の「La battaglia del deserto」はメインタイトルの長いバージョンで、過去にリリースされていたサントラLPの冒頭に収録されていた曲。このスコアは、ブルーノ・ニコライ自身が運営していたGemelliレーベルからモノラルのサントラLPが出ていたが、今回DigitmoviesレーベルがリリースしたサントラCDは、未発表曲を追加したステレオによる完全盤(全30曲)となっている。
(2006年4月)

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(未公開)地獄の荒野 LAND RAIDERS

作曲・指揮:ブルーノ・ニコライ
Composed and Coducted by BRUNO NICOLAI

(イタリアDigitmovies / CDDM190)

 ★TOWER.JPで購入

1969年製作のアメリカ映画(イタリア語題名は「BRUCIATELO VIVO!」/日本では劇場未公開でTV放映済み)。監督は「(未公開)地球へ2千万マイル」(1957)「シンバッド七回目の航海」(1958)「(未公開)ジャックと悪魔の国」(1962)「(未公開)H.G.ウェルズのS.F.月世界探険」(1964)等のネイザン・H・ジュラン。出演はテリー・サヴァラス、ジョージ・マハリス、アーリーン・ダール、ジャネット・ランドガード、ガイ・ロルフ、ポール・ピサーニ、フィル・ブラウン、ジョージ・カラーリス、ジョスリン・レイン、フェルナンド・レイ、ロバート・カリカート、ジョン・クラーク、チャールズ・スタルメイカー、マルセラ・サン=アマン、グスターヴォ・ロホ他。ジェシー・L・ラスキー・Jr、ケン・ペッタスとパット・シルヴァーの原案を基にケン・ペッタスが脚本を執筆。撮影はウィルキー・クーパー。製作は「世紀の謎・空飛ぶ円盤地球を襲撃す」(1956)「シンバッド七回目の航海」(1958)「(未公開)ガリバーの大冒険」(1960)「(未公開)SF巨大生物の島」(1961)「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)「シンドバッド黄金の航海」(1973)「シンドバッド虎の目大冒険」(1977)「タイタンの戦い」(1981)等のレイ・ハリーハウゼン作品で知られるチャールズ・H・シニア。アリゾナの町フォージ・リヴァーを支配する冷酷な地主ヴィンス・カーデン(サヴァラス)と、その弟で、ルイザ(レイン)という女を殺した罪を着せられて町を追いやられたポール(マハリス)との対立を描くアクション西部劇。

SFファンタジーを得意とするプロデューサーと監督が組んで製作したアメリカ製西部劇だが、スパゲッティウエスタン的な造りのためか、このジャンルのベテランであるイタリア人作曲家ブルーノ・ニコライがスコアを担当。「Bruciatelo vivo! - Titoli di testa」は、静かなイントロから、カントーリ・モデルニ・ディ・アレッサンドローニの合唱とフランコ・デ・ジェミニのハーモニカをフィーチャーしたストイックなメインの主題へと展開し、中盤からダイナミックに盛り上がるメインタイトル。ニコライのスタイルが明確に表れた傑作で、実にかっこいい。「Cacciatori di scalpi」「Luisa Rojas 1852-1870」等は、ストイックなタッチのギター曲。「Pablo」「Dopo l'assedio」等は、サスペンス音楽。「Ricordi di Luisa」「Kate」等は、ジェントルなタッチの曲。「Saloon」「Rissa al Saloon」は、サルーン・ピアノ曲。「Il grande attacco」「Segnal di morte」は、ストイックでダイナミックなタッチ。「Bruciatelo vivo! (Gli indiani)」は、メインの主題のダイナミックでスペクタキュラーなアレンジメントで、スコア全体のハイライト。「Costruzione del forte」は、抑制されたサスペンス音楽からメインの主題、ジェントルな主題と展開。「La mandria」「Attacco alla diligenza」は、ビジーでダイナミックなアクション音楽。「Attimi d'amore」は、メインの主題のジェントルなアレンジメント。「Battaglia al campo Apache」は、サスペンス調から後半ビジーなアクション音楽へ。「Assedio e morte di Vince」は、ストイックなギターの主題からサスペンス音楽、ビジーなアクション音楽へ展開。「Bruciatelo vivo! - Titoli de coda」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。最後にボーナストラックとして「Bruciatelo vivo! (Gli indiani)」の別バージョンを2曲収録。

このスコアは公開当時に米Beverly HillsレーベルからサントラLPがリリースされており、後にベルギーのPrometheusレーベルが1993年にCDをリリースしているが、今回イタリアのDigitmoviesレーベルがリリースしたCDはニコライ財団が保存していたマスターテープを基に追加トラックを加えた拡張盤となっている。

ブルーノ・ニコライが手がけた作品には
「続・世界残酷物語(Mondo cane 2)」(1963)
「地球のうぶ毛(Il pelo nel mondo)」(1964)
「(未公開)Giulietta e Romeo」(1964)
「荒野の10万ドル(Centomila dollari per Ringo)」(1965)
「(未公開)K.O. va e uccidi」(1966)
「(未公開)El Cisco」(1966)
「アッパー・セブン/神出鬼没(L'uomo da uccidere)」(1966)
「(未公開)キスキス・バンバン(Kiss Kiss... Bang Bang)」(1966)
「077/地獄の挑戦状(Missione speciale Lady Chaplin)」(1966)
「(未公開)復讐のジャンゴ・岩山の決闘(Django spara per primo)」(1966)
「(未公開)The Christmas That Almost Wasn't」(1966)
「(未公開)I giorni della violenza」(1967)
「(未公開)Da Berlino l'apocalisse」(1967)
「ドクター・コネリー/キッドブラザー作戦(OK Connery)」(1967)
「(未公開)Agente speciale L.K.」(1967)
「続・復讐のガンマン〜走れ、男、走れ〜(Corri, uomo, corri)」(1968)
「(未公開)電撃!秘宝強奪指令/地獄のシンジケート(Fenomenal e il tesoro di Tutankamen)」(1968)
「(未公開)Dデイ特攻指令・V2基地を爆破せよ!!(Giugno '44 - Sbarcheremo in Normandia)」(1968)
「俺はプロだ!(Roma come Chicago)」(1968)
「(未公開)L'ultimo mercenario」(1968)
「(未公開/TV)Geminus」(1969)
「(未公開)Flashback」(1969)
「(未公開)Gentleman Jo... uccidi」(1969)
「(未公開)99 Women」(1969)
「マルキ・ド・サドのジュスティーヌ(Marquis de Sade: Justine)」(1969)
「(未公開)地獄の荒野(Land Raiders)」(1969)
「(未公開)Femmine insaziabili」(1969)
「(未公開)Uccelli d'amore」(1969)
「(未公開)女戦士ゼナベル(Zenabel)」(1969)
「熱砂の戦車軍団(La battaglia del deserto)」(1969)
「(未公開)Sex Charade」(1970)
「(未公開)Robin Hood, el arquero invencible」(1970)
「(未公開)Les cauchemars naissent la nuit」(1970)
「(未公開)Buon funerale, amigos!... paga Sartana」(1970)
「(未公開)Il trono di fuoco」(1970)
「(未公開)吸血のデアボリカ(Il conte Dracula)」(1970)
「(未公開)America cosi nuda, cosi violenta」(1970)
「(未公開)アリゾナ無宿・レッドリバーの決闘(Arizona si scateno... e li fece fuori tutti)」(1970)
「悪徳の快楽(Eugenie)」(1970)
「(未公開)Uomo avvisato mezzo ammazzato... Parola di Spirito Santo」(1971)
「(未公開)Paolo e Francesca」(1971)
「(未公開)Gli fumavano le Colt... lo chiamavano Camposanto」(1971)
「(未公開)I due maghi del pallone」(1971)
「愛のアンジェラス(El cristo del Oceano)」(1971)
「大西部無頼列伝(Indio Black, sai che ti dico: Sei un gran figlio di...)」(1971)
「サルタナがやって来る〜虐殺の一匹狼〜(Una nuvola di polvere... un grido di morte... arriva Sartana)」(1971)
「(未公開)La coda dello scorpione」(1971)
「(未公開)La notte che Evelyn usci dalla tomba」(1971)
「X-312(X312 - Flug zur Holle)」(1971)
「(未公開)皆殺しのガンファイター/1対30(Un uomo chiamato Apocalisse Joe)」(1971)
「シー・キルド・イン・エクスタシー(She Killed in Ecstasy)」(1971)
「(未公開)Tutti i colori del buio」(1972)
「荒野のドラゴン(Il mio nome e Shanghai Joe)」(1972)
「(未公開)Domani passo a salutare la tua vedova... parola di Epidemia」(1972)
「(未公開)Canossa」(1972)
「(未公開)Los buitres cavaran tu fosa」(1972)
「行け、野郎、撃て!(Anda muchacho, spara!)」(1972)
「(未公開)Casa d'appuntamento」(1972)
「(未公開)Una bala marcada」(1972)
「(未公開)Il tuo vizio e una stanza chiusa e solo io ne ho la chiave」(1972)
「美女連続殺人魔(Perche quelle strane gocce di sangue sul corpo di Jennifer?)」(1972)
「(未公開)La dama rossa uccide sette volte」(1972)
「(未公開)Quel gran pezzo dell'Ubalda tutta nuda e tutta calda」(1972)
「(未公開)三大怪人・史上最大の決戦(Dracula contra Frankenstein)」(1972)「(未公開)Un bianco vestito per Mariale」(1972)
「(未公開)Quando le donne persero la coda」(1972)
「(未公開)マフィア・コネクション(L'onorata famiglia)」(1973)
「(未公開)Lo chiamavano Tresette... giocava sempre col morto」(1973)
「(未公開)Una giornata spesa bene」(1973)
「(未公開)Defense de savoir」(1973)
「(未公開)Die Blutigen Geier von Alaska」(1973)
「(未公開)Ci risiamo, vero Provvidenza?」(1973)
「(未公開)バージン・ゾンビ/悪魔の死霊軍団(Christina, princesse de l'erotisme)」(1973)
「(未公開)La vedova inconsolabile ringrazia quanti la consolarono」(1974)
「レディ・イポリタの恋人/夢魔(L'anticristo)」(1974)
「女刑務所発情狂(Quartier de femmes)」(1974)
「(未公開)Un capitan de quince anos」(1974)
「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」(1974)
「(未公開)Lettere dal fronte」(1975)
「(未公開)Gatti rossi in un labirinto di vetro」(1975)
「(未公開)L'uomo della strada fa giustizia」(1975)
「(未公開)Maestro di violino」(1976)
「(未公開)Due Magnum .38 per una citta di carogne」(1976)
「(未公開)La trombata - quattro ladroni a caccia di milioni」(1979)
「(未公開)Il cappotto di Astrakan」(1979)
「(未公開)Caligola」(1979)
「(未公開/TV)La dama dei veleni」(1979)
「(未公開)Cammina, cammina」(1982)
「(未公開/TV)Parole e sangue」(1983)
「(未公開/TV)La vigna di uve nere」(1984)
「(未公開)ブガッティ・ロワイヤルの女(Rebus)」(1989)
等がある。

(2011年7月)

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