エルンスト・ブランドナー
  Ernst Brandner

Date of Birth: 1921/7/4
Place of Birth: Graslitz, Bohemia
Mini Biography:
Brandner played the violin, clarinet, and his favorite instrument, saxophone when he was a child. He gave his first concert as a saxophone soloist at the age of 14. He travelled to Norway, Czech Republic, Switzerland, Italy and Denmark to perfom in the concerts as a "boy saxophonist" with his elder brother playing the piano. He started writing songs such as "Die kleine Fischerhutte von Lugano", "Wer war denn die Dame" and "Sailor's Boogie" in 1950s, and also composed music for many commercial films. His film music credits include "Carlos"(1971) directed by Hans W. Geissendorfer, "Schlos Hubertus"(1973) directed by Harald Reinl, and "Blut und Ehre: Jugend unter Hitler"(1982) directed by Bernd Fischerauer.

 


エルンスト・ブランドナー映画音楽集
DIE SCHONSTEN HEIMATFILM-MELODIEN VON ERNST BRANDNER

作曲・指揮:エルンスト・ブランドナー
Composed and Conducted by ERNST BRANDNER

(独Colosseum / CST 34.8070) 1997

これはドイツの映画音楽作曲家エルンスト・ブランドナーの作品を集めたコンピレーションで、この作曲家の映画音楽を収録した数少ないCDの1つだと思う(唯一かもしれない)。1921年生まれなので、かなりのベテランということになるが、彼の音楽に最初に触れたのはドイツからサントラLPが出ていた「(未公開)Carlos」(1971)「(未公開/TV)Blut und Ehre」(1982)「(未公開/TV)Christopher Columbus」(1985)等のスコアで、これらは1枚ものとしては現時点でCD化されていない。ここで紹介しているコンピレーションCDには、上記作品の一部を含む、以下の11の映画及びTV(全て日本では未公開・未放映だと思われる)の音楽(全18曲)が収録されている。

1.「Schlos Hubertus」:Titelmusik, Verfolgung und Jagertod(2曲)
2.「Die Kustenpiloten」:Titelmusik(1曲)
3.「Blut und Ehre」:Trauer, Ausflug in's Grune(2曲)
4.「Waldheimat」:Titelmusik, Abschied vom Elternhaus/Schlusmusik, Peter und das Kathele(3曲)
5.「Der Jager von Fall」:Titel/Schlusmusik(1曲)
6.「Carlos」:Titelmusik, Carlos reitet zu seinem Vater, Tanz im Saloon, Lisa erwartet Carlos(4曲)
7.「Das Schweigen im Walde」:Titel/Schlusmusik(1曲)
8.「Der Edelweisskonig」:Titel/Schlusmusik(1曲)
9.「Waldrausch」:Titel/Schlusmusik(1曲)
10.「Bastien und Bastienne」:Schaferspiel(1曲)
11.「Es war einmal」:Romantische Skizze(1曲)

 

各作品の詳細については不明なものが多いが、ルドウィック・ガンクホファーの小説を映画化した作品が多数含まれている。ブランドナーの音楽は、全体として優雅で親しみやすく、オーソドックスなドラマティック・スコアとなっている。

「Schlos Hubertus」(1973)は、ガンクホファーの小説を基にしたドラマ(英語題名は「Hubertus Castle」)で、監督はハラルド・ライン、出演はロベルト・ホフマン、カール・ランゲ、カールハインツ・ベーム、ゲルハルト・ライトマン、フォルカー・ボーネット、ゲルリンデ・ドベール他。脚本はウェルナー・P・ジバソ、撮影はエルンスト・W・カリンケ。ブランドナーの音楽は、華やかなファンファーレから荘厳で優雅なメインテーマへと展開していく。ピアノとオーケストラによるワルツ曲になっており、ドイツ/オーストリアの民族色を感じさせる。

「Die Kustenpiloten」はカナダ=ドイツ合作によるTVシリーズで、ブランドナーによるメインテーマはハーモニカが主題を奏でるロマンティックなタッチ。

「Blut und Ehre: Jugend unter Hitler」(1982)は、第二次大戦中のドイツの少年兵(ヒトラー・ユーゲント)を描いたTV映画(米国でのTV放映時のタイトルは「Blood and Honor: Youth Under Hitler」)で、ナチス・ドイツのプロパガンダがいかにドイツの家庭を侵食していくかをリアリスティックに描写している。監督はベルント・フィシュラウアー、出演はマシュー・ベイダー、ジェフリー・フランク、ギュンター・マイスナー、ジーラ・フォン・ヴァイターシャウセン他。過去に出ていたサントラLPには勇壮なマーチ等も含まれていたが、このCDに収録されている2曲は、「Trauer」がトラジックなタッチの音楽で「Ausflug in's Grune」は牧歌的で陽気な音楽。LP全体としてはなかなか聞き応えがあったので、この2曲しか入っていないのはちょっと残念。

「Waldheimat」はペーター・ローゼッガー製作のTVシリーズで、音楽は牧歌的で美しいタッチ。

「Der Jager von Fall」(1974)は、ガンクホファーの小説を映画化したドラマで、監督はハラルド・ライン、出演はゲルリンデ・ドベール、アレクサンダー・ステファン、ジークフリード・ライヒ、クラウス・ロヴィッチ、ハンシ・クノテック、ヴィクター・シュタール他。ブランドナーの音楽は、優雅でスケールの大きいオーケストラル・スコア。

「Carlos」(1971)はハンス・W・ガイゼンドルファーが監督・脚本を担当したドイツ製ウエスタンで、出演はジェラルディン・チャップリン、ベルンハルト・ヴィッキ、ゴットフリード・ジョン、アンナ・カリーナ、ホルスト・フランク、トーマス・フンター他。撮影はロビー・ミューラー。この作品もサントラLPが出ていた(銃を構えたジェラルディン・チャップリンのジャケットだった)が、ブランドナーのスコアは、ストイックなタッチのメインテーマがなかなかカッコ良く、このアルバム中の聴きどころだろう。ここでは4曲が収録されているが、サルーン音楽がウエスタンというよりウィーン風なのがちょっと可笑しい。

「Das Schweigen im Walde」(1976)は、ガンクホファー原作のミュンヘンの上流階級を舞台にしたメロドラマで、監督はアルフレッド・フォーラー、出演はマリウス・アイヒャー、ヴォルター・ブッシュホフ、スカイ・デュモン、ゲオルク・アイナーディンガー、ベルンハルト・ヘルフリッヒ、カティ・ライトナー、セップ・ロフラー、ベリンダ・メイン、ファーディ・メイン他。脚本はウェルナー・P・ジバソ、撮影はエルンスト・W・カリンケ。ブランドナーのメインテーマはジェントルなタッチの美しい曲。

「Der Edelweiskonig」(1975)もガンクホファー原作のドラマで、監督はアルフレッド・フォーラー、出演はマック・ベアー、モニカ・ダールベルク、ロベルト・ホフマン、アドリアン・ホーフェン、モニカ・ローフラー、クリスティナ・ネル他。撮影はエルンスト・W・カリンケ。メインテーマはオーケストラによる壮大で華麗な音楽。

「Waldrausch」(1977)も同じくガンクホファー原作で、監督・脚本はホルスト・ハヒラー、出演はウスシ・グラス、アレクサンダー・ステファン、ジークフリード・ライヒ、クリスティナ・ネル、ベルンハルト・ヘルフリッヒ、アントン・ディフリング他。ブランドナーによるメインテーマはドラマティックなオーケストラ音楽。

「Bastien, Bastienne」(1979)はミシェル・アンドリューが監督・脚本を担当したフランス映画。出演はジュリエット・ベルト、アンナ・プルクナル、ベアトリス・ブリューノ、オラーヌ・デマジズ他。音楽は明るく爽やかなポップ調。

「Es war einmal」(1992)はサビーヌ・デルフリンガーとベルンハルト・ポッチャーが監督した作品。ピアノによるロマンティックな音楽。

エルンスト・ブランドナーが手がけたその他の映画音楽には「(未公開)Der Teufel mit den drei goldenen Haaren」(1955)「(未公開)Das Schlos in Tirol」(1957)「(未公開)Zwei himmlische Dickschadel」(1974)「(未公開)Fruhling auf Immenhof」(1974)「(未公開)Gotz von Berlichingen mit der eisernen Hand」(1979)「(未公開/TV)Tatort - Roulette mit 6 Kugeln」(1983)「(未公開/TV)Christopher Columbus」(1985)等がある。
(2002年10月)


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