LP
Only
(Scores that I hope to be reissued in CD)
作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by Georges Delerue (仏WEA)
CD化:Universal Music(EmArcyレーベル)によりCD化!
フィリップ・ド・ブロカ監督、フィリップ・ノワレ、カトリーヌ・ドヌーヴ主演のフランス映画の音楽(1983年製作)。雄大な自然の中でのドラマを描いたスケールの大きいシンフォニック・スコア。ドルリューの作品中では、「(未公開)ワイルド・ブラック2/黒い馬の故郷へ(Black Stallion Returns)」「(未公開)ソフィー・マルソーの 愛、革命に生きて(Chouans!)」「ホースメン」「(未公開)La revolution Francaise」といったスペクタクル映画における男性的で力強いスコアの部類に入るものだが、メロディ・ラインの美しさと親しみやすさがこの作曲家らしい。
<CD情報@> (2000年5月追加)
・Dynasty / 2083/83(Bootleg)
・「L'Africain」より18曲収録
・「殺意の夏(L'ete meurtrier)」とのカップリング(16曲)
・音質はこもりがちでシャープさに欠ける
<CD情報A> (2003年9月追加)
・コンピレーションCD「Le cinema de Philippe de Broca / Musiques de Georges Delerue
1969-1988」(仏Universal / 980 988-5)に以下の2曲を収録
- Face to face, par Vivian Reed (3'41")
- African Suite
(7'48")
<CD情報B> (2012年6月追加)
・仏Universal/EmArcy / 370
479 0
・Complete Score(全18曲)
Universal
CDのレビュー
Georges Delerue
悪魔の棲む家
The Amityville Horror 作曲・指揮:ラロ・シフリン CD化: |
Aleph CD(輸入盤)を購入する |
1979年製作のステュアート・ローゼンバーグ監督によるホラー映画。出演はジェームズ・ブローリン、マーゴット・キダー、ロッド・スタイガー他。映画は駄作だが、シフリンのスコアは小編成のオーケストラにコーラスを加えた非常に効果的な恐怖音楽。ゴールドスミスの「ポルターガイスト」にも通ずる一種楽しげなコーラスに、ストリングスを中心としたオーケストラによる不協和音が重なり、神経を逆なでするような強烈な緊張感を出している。
<CD情報@> (2002年12月追加)
・米Aleph Records / 026
・ラロ・シフリン指揮チェコ国立交響楽団(The Czech National Symphony Orchestra)による新録音(2002年4月録音)
・全17曲
・サントラよりゆっくりとしたテンポの演奏で、やや印象が異なる。また、新録音にしては音質が良くない
<CD情報A>
(2016年1月追加)
・スペインQuartet Records /
QR200
・1000枚限定プレス
・Complete
Score(CD2枚組/全59曲)
Quartet Records
CDのレビュー
Lalo Schifrin
作曲・指揮:カール・デイヴィス
Composed and Conducted by Carl Davis (英Island)
演奏:フィルハーモニア管弦楽団
Performed by the Philharmonia Orchestra
CD化:
癌に苦しむ騎手を描いた実話に基づく感動ドラマ。ジョン・ハート、エドワード・ウッドワード、ベン・ジョンソン等が出演。デイヴィスの音楽は、イギリスの名門オーケストラをガンガンに鳴らし、これでもかとばかりに盛り上げる。冒頭の静かなホルンとピアノ・ソロからオーケストラが徐々に加わり、高らかにメイン・フレーズを奏でるタイトル音楽「Champions Theme」や、グランドナショナル障害物競走のシーンの音楽「Grand National」でのダイナミックなオーケストラの響きはデイヴィスの真骨頂である。日本盤LPにはタイトル・ソングが含まれており、その分オーケストラ曲が1曲削除されていた。
<CD情報@> (2000年5月追加)
・下記CDにカール・デイヴィス指揮ロイヤル・フィルの演奏によるメインタイトルのみ収録
・「Carl Davis: "The World at War" and Other Great Themes」(米Platinum /
2877)
<CD情報A> (2001年11月追加)
・英Movietrack Classics / MTC 4842
・全15曲(追加曲なし)
・音質はあまり良くない
作曲:ジャン・ミュジー
Composed by Jean Musy (仏Ariola)
CD化:Disques CinemusiqueレーベルによりCD化!
マリー=フランス・ピジエが女流デザイナーのシャネルに扮する1981年製作の米・仏合作映画。共演はティモシー・ダルトン、ルトガー・ハウアー、カレン・ブラック、ブリジット・フォッセー他。フランスの作曲家ジャン・ミュジーの音楽は、この映画の主人公にふさわしく華麗でスタイリッシュ。地味なスコアが多いミュジーの作品中では最も華やかでスケールが大きい音楽。ミレーユ・マチューが朗々と唄い上げるタイトル・ソングも印象的で、耳について離れなくなる。
Disques Cinemusique CDのレビュー
Jean Musy
(未公開)武器の選択
Le choix des armes 作曲:フィリップ・サルド 指揮:ピーター・ナイト 演奏:ロンドン交響楽団 CD化: |
このCD(輸入盤)を購入する |
「真夜中の刑事」(音楽はドルリュー)や「フォート・サガン」(音楽はサルド)で知られるアラン・コルノー監督による1981年製作の犯罪ドラマ。引退したギャング(イヴ・モンタン)とならず者(ジェラール・ドパルデュー)の対立を描く。共演はカトリーヌ・ドヌーヴ他。サルドの音楽は、シンフォニック・スコアにジャズの味付けをした極めて上質なもので、彼のベスト・スコアの1つだと思う。ロン・カーターとバスター・ウィリアムスによるベースのソロにロンドン・シンフォニーによる繊細かつ濃厚な音が重なり、複雑でドラマティックな展開を見せる。
<CD情報> (2001年6月追加)
・仏EmArcy / 014 115-2
・Complete Score(全9曲)
・24BITデジタル・リマスター
・「フォート・サガン(Fort Saganne)」とのカップリング
(未公開/TV)コロンブス Christoph Columbus
作曲・指揮:エルンスト・ブランドナー
Composed and Conducted by Ernst Brandner (独Condor)
CD化:未定
クリストファー・コロンブスを描くドイツ製TV映画の音楽。エルンスト・ブランドナーはドイツのベテラン作曲家で、少年兵達を描いたドラマ「(未公開)血と名誉(Blut und Ehre)」や、ドイツ製ウエスタン「(未公開)Carlos」等のサントラLPが過去にリリースされていた。作風にそれほど強い個性はないが、オーソドックスでしっかりとしたスコアを書く作曲家であり、このコロンブスの音楽は彼の作品中では最もスケールが大きく明快なスコア。
作曲・指揮:アーネスト・ゴールド
Composed and Conducted by Ernest Gold (英EMI)
CD化:
サム・ペキンパー監督による壮絶な戦争映画。東部戦線でロシア軍と戦うドイツ軍部隊における、歴戦の軍曹(ジェームズ・コバーン)と臆病な士官(マクシミリアン・シェル)との対立を描く。共演はジェームズ・メイソン、デヴィッド・ワーナー、センタ・バーガー他。ハイスピード撮影と細かいカッティングを組み合わせたペキンパー独特の戦闘シーンが凄まじい迫力。エンディングも非常に印象的だった。アーネスト・ゴールドは、「栄光への脱出」「渚にて」「ニュールンベルグ裁判」等の名作を手がけたオーストリア出身の名作曲家(1999年3月に惜しくも77歳で死去)。この映画ではドイツの民謡を使ったりしているが、何といっても名曲は冒頭に収められている「シュタイナーのテーマ」で、悲壮感とヒロイズムに満ちた極めて感動的な音楽。個人的にはゴールドのベスト・スコアだと思う。
<CD情報@> (2001年2月追加)
・英Artemis / ART-F 004
・Limited Collectors Edition(500枚限定プレス)
・全15曲(追加曲なし)
・LP音源によるCD化のため音質は良くない
<CD情報A> (2010年3月追加)
・米Kritzerland / KR 20014-9
・1000枚限定プレス
・全15曲(追加曲なし)
・「さよならミス・ワイコフ」とカップリング
<CD情報B> (2022年8月追加)
・スペインQuartet Records / QR493
・2000枚限定プレス
・全15曲(追加曲なし)/リマスター
王子と乞食
Crossed Swords 作曲・指揮:モーリス・ジャール 演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団 CD化: |
このCD(輸入盤)を購入する |
当時人気のあったマーク・レスターがマーク・トゥエイン原作の主人公を演じるオールスター・キャストのコスチューム・プレイ。共演はオリヴァー・リード、ラクエル・ウェルチ、アーネスト・ボーグナイン、ジョージ・C・スコット、レックス・ハリソン、チャールトン・ヘストン、デヴィッド・ヘミングス、ハリー・アンドリュース、シビル・ダニング他。「三銃士」等のアレクサンダー・サルキンドが製作しており、監督がリチャード・フライシャーで、撮影がジャック・カーディフ、音楽がモーリス・ジャールと超一流スタッフだが、映画はあまり知られていない。ジャールの音楽は、軽快でダイナミックな「Main Title」や、重厚でドラマティックな「The Prince and the Pauper」等、彼のベストのパターン。ナショナル・フィルの演奏も切れ味がよい。
<CD情報> (2005年9月追加)
・米Film Score Monthly / Vol.8 No.14
・全15曲(追加曲なし)
・デジタル・リマスター
ダイヤモンドの犬たち The Diamond Mercenaries (Killer Force)
作曲・指揮:ジョルジュ・ガルヴァランツ
Composed and Conducted by Georges Garvarentz (英Pye)
CD化:Music Box RecordsレーベルによりCD化!
ヴァル・ゲスト監督のB級アクション映画。アメリカでは「Killer
Force」という更にB級臭いタイトルで公開された(このタイトルがプリントされたサントラLPもあり)。出演はピーター・フォンダ、テリー・サヴァラス、ヒュー・オブライエン、クリストファー・リー、モード・アダムス、O・J・シンプソン他。エンディングが唐突で見ていて唖然とさせられる。ガルヴァランツの音楽は、この稚拙なB級映画にはもったいないくらい華麗でリッチなアクション・スコア。
<CD情報> (2013年5月追加)
・仏Music Box Records /
MBR-026
・500枚限定プレス
・全10曲(追加曲なし)
・「大爆発(THE CORRUPT
ONES)」とのカップリング
作曲:リー・ホールドリッジ
Composed by Lee Holdridge (米Elektra)
指揮:ジャンフランコ・プレニツィオ
Conducted by Gianfranco Plenizio
演奏:ウニオーネ・ムジチスティ・ディ・ローマ、ローマ・サンタ・チェチュリア管弦楽団
Performed by Members of the Unione Musicisti di Roma & Santa Cecilia Orchestra
of Rome
CD化:
ジョン・スタインベックの原作を忠実に映像化したTVのミニ・シリーズ(1981年製作)。悪女役のジェーン・シーモアが極めて印象的だった。音楽はホールドリッジのベスト・スコアの1つ。このLPアルバムはTV放映時にリリースされたもので、ホールドリッジの劇伴音楽が収録されているが、何故かメイン・テーマ(これが素晴らしい)が完全な形で含まれていない。中盤でごく短いフレーズが登場するのとラストに少し現れるだけで、非常に中途半端な印象を受ける。後にチャールズ・ゲルハルトがロンドン交響楽団を指揮したホールドリッジのコンピレーションに、このスコアの抜粋が含まれており、ここではメイン・テーマが明確な形で演奏されている(ただしサントラとは全く異なるアレンジ)。このコンピレーション・アルバムはVarese SarabandeからCDがリリースされている。
<CD情報> (2007年4月追加)
・米Intrada / ISE 1012
・全33曲(サントラLP音源17曲+未発表曲15曲+ゲルハルト指揮新録音1曲)
・1000枚限定プレス
作曲・指揮:ジョン・スコット
Composed and Conducted by John Scott (英DJM)
演奏:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the London Philharmonic Orchestra
CD化:未定
1935年当時のナチス・ドイツを舞台にしたグレアム・グリーン原作のイギリス映画で、出演はピーター・フィンチ、マイケル・ヨーク、ヒルデガート・ニール他。監督はピーター・デュッフェル。イギリスのベテラン作曲家ジョン・スコットによる音楽は、オーケストラをベースにしたドラマティックなスコア。スコットの作品中では地味な存在だが、作風としては後の「(未公開)シューティング・パーティ(The Shooting Party)」等に通ずるタッチで、美しさの中にイギリス的な暗さを含んだ深みのある音楽。スコット自身が運営するJOSレーベルより1991年にリリースされた彼の自作自演集「John Scott Conducts His Own Favorite Film Scores」(米JOS / JSCD111)に、この作品の9分16秒の組曲が収録されている(演奏はベルリン放送コンサート管弦楽団)。
(未公開)さすらいの用心棒 E per tetto un cielo di stelle
作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by Ennio Morricone (伊Cometa)
CD化:
1968年製作。英語題名は「And For a Sky Full of Stars」。監督はジウリオ・ペトローニ、出演はジュリアーノ・ジェンマ、マリオ・アドルフ他。モリコーネのスパゲッティ・ウエスタン音楽は無数にあり、どれも極めて個性的な傑作揃いだが、この作品は数ある彼のウエスタン・スコア中でも非常に素朴で静かでしっとりとした雰囲気の美しい音楽。彼のトレードマークである意表を突くような奇抜さや、オペラティックな華麗さはないが、実にしみじみとしたタッチで、どこか懐かしさを感じさせる名曲。Cometaレーベルによるモリコーネのサントラには既にCD化されているものがあったと思うが、これは確かまだCDになっていないはず。LPのジャケットは単色で子供が描いたようなイラストのShabbyなものだった。
<CD情報> (2002年12月追加)
・英Hexacord / HCD-16
・全25曲(48分21秒)
・ジャケットはイタリア版ポスターのイラスト
・CDの20曲目の「Harry's Ranch - Main Theme」が上記レビューで紹介している主題曲
(未公開)暗闇からの脱出 Escape from the Dark
作曲・指揮:ロン・グッドウィン
Composed and Conducted by Ron Goodwin (英EMI)
CD化:Quartet RecordsレーベルによりCD化!
1977製作のディズニー映画(アニメではない)。別題名「The Littlest Horse
Thieves」。監督がチャールズ・ジャロットで、出演はアリステア・シム、ピーター・バークワース、モーリス・コルボーン他。20世紀初頭のイギリスを舞台に、3人の子供が炭鉱で虐待されている子馬を救出するというお話。音楽は、ミリタリー・マーチを得意とするロン・グッドウィンの個性が非常に強く出たもので、何と全編がブラスバンドによる劇伴音楽になっている。これがシンフォニックな響きを持っているから驚く。あまり大きな編成のブラスバンドではないので、重厚な音楽とはならないが、いかにもベテランらしいツボを押さえた見事なドラマティック・アンダースコアである。グッドウィンは極めて明快な音楽を書く作曲家で、この作品以外にもディズニー映画をいくつか担当しているが、サントラ・アルバムは殆どリリースされていないと思う。
<CD情報> (2014年1月追加)
・スペインQuartet Records /
SCE072
・1000枚限定プレス
・全17曲(追加曲なし)
Quartet Records
CDのレビュー
作曲・指揮:ラロ・シフリン
Composed and Conducted by Lalo Schifrin (セブンシーズ)
CD化:未定(シフリン自身によるAlephレーベルに期待?)
「ランボー 怒りの脱出」「トゥームストーン」等のジョルジュ・パン・コスマトス監督による1979年製作の戦争アクション。主演はロジャー・ムーア(ドイツ軍人役)、テリー・サヴァラス、デヴィッド・ニーヴン、クラウディア・カルディナーレ、リチャード・ラウンドツリー、エリオット・グールド、ステファニー・パワーズ他。映画はギリシャの島々を捉えたヘリコプター・ショットによる長廻しで始まるが、この監督は前作の「カサンドラ・クロス」(音楽はゴールドスミス。名曲)でも同様のオープニング・ショットを使っていたので、これをトレードマークにするつもりだったのかもしれない(が、これ以降は挫折したのか使っていない)。この冒頭に流れるシフリンのメイン・テーマは、ギリシャ民謡風の味付けをしたダイナミックでスリリングなスコアで、彼のベストのパターン。中盤のアクション・シーンでのサスペンスフルな音楽や、ラストで流れるダンスの音楽も素晴らしい。「鷲は舞い降りた」と並ぶシフリンの傑作戦争アクション・スコア。このサントラは確か日本でしかLPがリリースされていない。
作曲・指揮:ビル・コンティ
Composed and Conducted by Bill Conti (米UA)
演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra
CD化:
1978年製作。「氷の微笑」でハリウッドのトップライターの1人となったジョー・エスターハスが初期に書いた脚本を、「夜の大捜査線」等のノーマン・ジュイスンが監督。シルヴェスター・スタローンが労働組合のリーダーに扮する。共演はロッド・スタイガー、ピーター・ボイル、メリンダ・ディロン、トニー・ロー・ビアンコ他。ビル・コンティは、「ロッキー」での大成功以来、スタローン主演映画の音楽を何度も担当しているが、その中でもこれは最も重厚で力強いシンフォニック・スコア。コンティのトレードマークである明快でエモーショナルな旋律を、ロンドン交響楽団がダイナミックに演奏。感動的なメイン・テーマ「Main Title」とストライキのシーンのパワフルな「The Big Strike」が印象的。
<CD情報> (2005年9月追加)
・米Varese Sarabande / VCL 0805 1039
・全14曲(追加曲なし)
・CD Club Release(Limited Collector's Edition of 2000 copies)
・「ふたりでスローダンスを」とカップリング
作曲:ビル・コンティ
Composed by Bill Conti (米Varese Sarabande)
指揮:ハリー・ラビノウィッツ
Conducted by Harry Rabinowitz
演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra
CD化:
1986年製作のサスペンス・アクション。監督がロバート・マンデルで、出演はブライアン・ブラウン、ブライアン・デネヒー、ダイアン・ヴェノーラ他。ブラウン扮する映画のSFXマンがマフィアの暗殺を特殊効果により擬装するが、実はこれは罠で、組織の陰謀に巻き込まれてしまう。ラストのオチが効いている。コンティの音楽は緊張感溢れるアクション・スコアで、このジャンルでは彼のベストの仕事だと思う。重厚なファンファーレで始まるメイン・タイトルがハードボイルドなタッチで実にかっこいい。延々と続くカーチェイス・シーンの音楽は猛烈に複雑かつスピーディでラストは殆どパニック状態だが、ロンドン交響楽団はこれを的確に歯切れよく演奏していて圧巻。
<CD情報> (2007年7月追加)
・米Varese Sarabande / VCL 0707 1064
・全22曲(ボーナストラック1曲)
・CD Club Release(Limited Collector's Edition of 2000 copies)
(未公開/TV)愛と叛乱の大地 The Far Pavilions
作曲・指揮:カール・デイヴィス
Composed and Conducted by Carl Davis (英Chrysalis)
CD化:未定
1983年製作のTV映画。ピーター・デュッフェルが監督し、ベン・クロス、エイミー・アーヴィング、クリストファー・リー、ロッサノ・ブラッツィ、オマー・シャリフ、サー・ジョン・ギールガッド他が出演。撮影はベテランのジャック・カーディフが担当。英国調の音楽を得意とするデイヴィスには珍しくエスニック・フレーバー(舞台はインド)を持ったドラマティック・スコア。全体的に抑えたトーンながら極めて正統派のオーケストラル・スコアによる映画音楽で、特に美しく情感豊かなメイン・テーマが感動的。
<CD情報> (2000年5月追加)
・下記CDにカール・デイヴィス指揮ロイヤル・フィルの演奏によるメインタイトルのみ収録
・「Carl Davis: "The World at War" and Other Great Themes」(米Platinum /
2877)
ガントレット
The Gauntlet 作曲・指揮:ジェリー・フィールディング CD化: |
クリント・イーストウッド監督・主演のポリス・アクション。1977年製作。当時イーストウッドと恋愛関係にあったソンドラ・ロックが、証人として喚問される娼婦を演じる。共演はパット・ヒングル、ウィリアム・プリンス他。主人公達の乗るバスが警官隊に包囲され無茶苦茶に銃弾を打ち込まれるシーンがこの映画のハイライトだが、全くリアリティがなく殆どギャグになっている(イーストウッドもギャグのつもりで作っている)。ジェリー・フィールディングのスコアはジャズの即興演奏がとにかくかっこいい。メイン・タイトルとラストに流れるスローテンポの「汚れた街の夜が明けて」も実にいい味を出しているが、アクションシーンでのダイナミックなジャズは、ラロ・シフリンとはまた違った独特のクールなタッチで素晴らしい。イーストウッド主演作品では、この他に「アウトロー」「ダーティ・ハリー3」「アルカトラズからの脱出」等にスコアを付けているが、どれも見事なスコアだった。このLPのジャケットはアメリカンコミックスで有名なフランク・フラゼッタによるマッチョなイラストである。
<CD情報> (2001年5月追加)
・仏Warner Bros. / 9362-47882-2
・Newly Remastered
・全10曲(追加曲なし)
・LPとは異なるジャケットデザイン
さよならミス・ワイコフ Good Luck, Miss Wyckoff
作曲・指揮:アーネスト・ゴールド
Composed and Conducted by Ernest Gold (ポリドール)
CD化:
1979年製作。監督マーヴィン・J・チョムスキー。出演アン・ヘイウッド、ドナルド・プレザンス、ロバート・ヴォーン他。ヘイウッドが生徒にレイプされる中年女教師を演じる。一応真面目なドラマなのだろうが、日本公開時にはレイプシーンを強調した宣伝をされたため、「キワモノ映画」的な印象ばかりが残っている。脇を固めているのプレザンスにヴォーンとB級アクション映画パターンなのがおかしい。映画はどう見ても凡作だが、巨匠アーネスト・ゴールドの音楽はオーケストラによる正統派ドラマティック・アンダースコアで、正に「もったいない」の一言。独特の悲哀感を帯びた感動的なメイン・テーマは、「戦争のはらわた」の「シュタイナーのテーマ」と並ぶ名曲。このサントラLPは確か日本でしかリリースされていないと思う。
<CD情報> (2010年3月追加)
・米Kritzerland / KR 20014-9
・1000枚限定プレス
・全17曲(追加曲なし)
・「戦争のはらわた」とカップリング
作曲・指揮:セルジュ・フランクリン
Composed and Conducted by Serge Franklin (仏Philips)
CD化:
1981年製作のフランス製クライムアクション。監督アレクサンドル・アルカディ。出演はロジェ・アナン、リシャール・ベリ、ジャン=ルイ・トランティニアン、アニー・デュプレー、ロベール・オッセン、クリオ・ゴールドスミス他。映画は未見なので出来は不明だが、セルジュ・フランクリンの音楽はメインテーマのハードボイルドでストイックなタッチが抜群にかっこいい! マカロニウェスタン風のギターのソロが渋い! フランクリンは最近のスコアが何枚かCDで出ているが、この作品を始め、初期の頃の「(未公開)Le grand carnaval」「(未公開)ホールド・アップ」等のサントラLPや、いくつかのシングル盤はまだCD化されていない。どれも優れたスコアばかりである。因みにこの映画には続編「流血の絆(Le grand pardon II)」(1992)があり、こちらの音楽はロマーノ・ムスマッラが担当しているが、重厚なサスペンスアクション音楽だった。
<CD情報@> (2001年3月追加)
・下記コンピレーションCDにメインタイトルのみ収録
・「Du rififi au cine Vol.3: Bandes originales de polars des annees 80」(仏Playtime
/ 3063652 PL2010057)
<CD情報A> (2011年10月追加)
・仏Music Box Records / MBR-005
・750枚限定プレス
・全24曲
テレマークの要塞 The Heroes of Telemark
作曲・指揮:マルコム・アーノルド
Composed and Conducted by Malcolm Arnold (米Mainstream)
CD化:IntradaレーベルによりCD化!
1965年製作のイギリス製戦争映画。アンソニー・マンが監督し、カーク・ダグラス、リチャード・ハリス、サー・マイケル・レッドグレーヴ他が出演。特殊部隊がノルウェーにあるドイツ軍工場爆破を図るという、ありがちなパターンのストーリー。イギリスのベテランでクラシック音楽の作曲家でもあるマルコム・アーノルドは、「戦場にかける橋」という名作戦争映画のスコアも担当しているが、この「テレマークの要塞」の音楽は、英国流のアドヴェンチャー・スピリットに満ち溢れた豪快なシンフォニック・スコア。勇壮なメインタイトル、美しいラブテーマ、ダイナミックなアクションスコアと、冒険活劇音楽の本流を行く見事な作品。サントラ盤の演奏は極めてエネルギッシュだが、録音が古いのでどうしても音に広がりがない。イギリスのクラシック・レーベルChandosがアーノルドの映画音楽(「戦場にかける橋」等)を新録音したスコア盤をリリースしているが、どうせならこういうサントラ盤が入手困難なスコアを完全な形で再録音してもらいたい。または、アーサー・ブリスやリチャード・アディンセル等のイギリス作曲家のスコア盤をリリースしているMarco Poloレーベルあたりに期待?
<CD情報@> (2002年3月追加)
・米Quality-Sound / CD-007(Bootleg)
・LPと同じ内容を4トラックの組曲として収録(全34:46)
・「さすらいの旅路(David Copperfield)」とのカップリング(27:38)
・音質劣悪
<CD情報A>
(2015年11月追加)
・米Intrada / Intrada Special Collection
Vol.333
・限定プレス
・全12曲(追加曲なし)
・「駅馬車(Stagecoach)」(ジェリー・ゴールドスミス作曲)との
Intrada CDのレビュー
Malcolm Arnold
作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by Georges Delerue (仏Pathe)
CD化:
フランスの女流監督ディアーヌ・キュリスによる1987年製作のラブ・ストーリー。出演はピーター・コヨーテ、グレタ・スカッキ、クラウディア・カルディナーレ、ジェイミー・リー・カーティス他。このアルバムのジャケットは全体に淡いタッチの絵画的なデザインだが、流れてくる音楽は正にこのジャケットのイメージそのものの情感たっぷり・悲哀感たっぷりのドルリュー節。極めてリッチな「Un homme amoureux (Generique)」や、トラジックな「Steve and Jane」、ジェントルな「Le Pont des jouissances」、流麗なタンゴ「Tango loupe」等、どの曲も素晴らしい。このスコアは1998年にリリースされたCD2枚組の作品集にフィナーレのみが収録されている(「Georges Delerue: 30 ans de musique de film」仏ODEON / 493538 2)が、是非とも全曲盤をCD化してもらいたいものである。
<CD情報@> (2002年9月追加)
・カナダDiscques Cinemusique / DCM 102
・全15曲(追加曲なし)
・音質良好
<CD情報A> (2022年9月追加)
・仏Music Box Records / MBR-208
・ソース曲1トラックを除く全14曲/リマスター
・「(未公開)PREMIER VOYAGE」とカップリング
・700枚限定プレス
戦略大作戦
Kelly's Heroes 作曲・指揮:ラロ・シフリン CD化: |
このCD(輸入盤)を購入する |
1970年製作の戦争アクション。「荒鷲の要塞」のブライアン・G・ハットンが監督し、クリント・イーストウッド、テリー・サヴァラス、ドナルド・サザーランド、ドン・リックルズ他が出演。イーストウッドとサヴァラス率いる米軍のはみだし者部隊が、戦争のどさくさにまぎれてドイツ軍陣地の銀行に保管されている金塊を盗み出す、というコメディタッチのストーリー。シフリンの音楽は劇伴にロックの要素を加えた抜群にセンスのいいスコア。口笛が軽快なマーチを奏でるメインタイトルや、主題歌の「燃える架け橋」、「リパブリック讃歌」をロックにアレンジした曲、ラストのタイガー戦車隊長との対決のシーンのマカロニウェスタン風の曲等、全体を通して実に楽しいアルバム。LPジャケットもカートゥーン風のデザインで面白い。音楽とは関係ないが、この映画は日本でTV放映した時の日本語吹替が絶妙だった(イーストウッド=山田康雄、サヴァラス=大平 透、サザーランド=宍戸 錠、リックルズ=永井一郎、他)。尚、主題歌の「Burning Bridges」と「All for the Love of Sunshine」のみ、「ベスト・オブ・マイク・カーブ・コングリゲーション」というCDにサントラと同じ演奏で収録されている(Curb Denon/COCB-83120)。
<CD情報@> (2001年4月追加)
・米Chapter III / CHA 1000-2
・「シンシナティ・キッド」(ラロ・シフリン作曲)とのカップリング
・全11曲(追加曲なし)
<CD情報A> (2005年2月追加)
・米Film Score Monthly / FSM Vol.7 No.20
・全30曲(サントラ音源 21曲+再録音アルバムトラック 8曲+ボーナス 1曲)
・3.000枚限定プレス
作曲・指揮:トレヴァー・ジョーンズ
Composed and Conducted by Trevor Jones (英Island)
CD化:
アムンゼンとスコットによる南極探検を描く1985年製作のTVミニ・シリーズ。監督はフェルディナンド・フェアファックス。出演はマーティン・ショー(スコット役)、スヴェレ・アンケル・オウスダル(アムンゼン役)、マックス・フォン・シドー、ヒュー・グラント、リチャード・トッド他。これはジョーンズが「ダーク・クリスタル」でオーケストラによる上質な劇音楽を聴かせたしばらく後に担当した作品で、没個性的なシンセ・スコアばかりを書き始める前に作曲した一大シンフォニック・スコアである。吹雪のSEに、シンセとオーケストラがかぶさってストイックなタッチのメインテーマが始まると、一気に南極大陸の厳寒の世界へと引きずり込まれてしまう。中盤の英国調のマーチ「The British Set Forth Across the Barrier」や、メインテーマをロック風にアレンジした曲「Heilberg's Assault on the Glacier」等、ジョーンズのオーケストラル・スコア中ではベストの1つ。
<CD情報> (2001年11月追加)
・英Movietrack Classics / MTC 4660
・全19曲(追加曲なし)
・音質はあまり良くない
わが命つきるとも A Man For All Seasons
作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by Georges Delerue (米RCA)
CD化:未定
1966年製作。「真昼の決闘」「地上より永遠に」「ジャッカルの日」等の名匠フレッド・ジンネマン監督が、ロバート・ボルトの戯曲を基に映画化したドラマ。オスカーの6部門を受賞。名優ポール・スコフィールドがサー・トマス・モアを演じる。共演はロバート・ショー、レオ・マッカーン、スザンナ・ヨーク、オーソン・ウエルズ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ他。ドルリューのスコアは、彼が得意とする中世のセッティングに、複雑な人間ドラマをサポートするドラマティック・アンダースコアを展開する、深遠かつ高尚な音楽。ただ、この2枚組LPには出演者によるセリフがかなり収録されている。
<CD情報> (2008年12月追加)
・コンピレーションCD「Le cinema de Georges Delerue」(仏Universal /
531 263-0)に以下の2曲を収録
- Opening credits
- Opening credits (alternate version)
(未公開)マリー・ウォード Marie Ward - Zwischen Galgen und Glorie
作曲・指揮:エルマー・バーンステイン
Composed and Conducted by Elmer Bernstein (米Varese Sarabande)
演奏:バヴァリア・ステート管弦楽団
Performed by the Bavarian State Orchestra
CD化:
ドイツの女流監督アンジェリカ・ウェバーによる1985年製作のドイツ映画。出演はハンネローレ・エルスナー、マリオ・アドルフ、アントン・ディフリング(ドイツ軍人役で有名な俳優)、ベルンハルト・ヴィッキ他。バーンステインの音楽は、彼の傑作スコアである「アラバマ物語(To Kill a Mockingbird)」や「サイレント・ボイス 愛を虹にのせて(Amazing Grace and Chuck)」等の延長線上にある極めてドラマティックなオーケストラル・スコアで、非常に感動的。彼は一時期「フライング・ハイ」や「サボテン・ブラザース」といったコメディばかりを手がけていたが、そんな中でシリアスな題材にベテランらしい正統派劇音楽を提供した力作。
<CD情報> (2001年11月追加)
・米Varese Sarabande / VCL 1101 1003
・全16曲(追加曲なし)
・CD Club Release(Limited Collector's Edition of 3000 copies)
作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by Georges Delerue (仏Milan)
CD化:Universal Music(EmArcyレーベル)レーベルによりCD化!
1984年製作のフランス映画。監督は「シシリアン」等の犯罪映画で知られる名匠アンリ・ヴェルヌイユ。出演はジャン=ポール・ベルモンド、ジャック・ヴィルレ、ミシェル・コンスタンタン、マリー・ラフォレ他。ベルモンド主演のアクション映画というと、エンニオ・モリコーネやウラジミール・コスマが音楽を担当したサントラLPが、一時期フランスのGeneral Musicレーベル等から多数出ていたが、この映画は珍しくドルリューがアクション・スコアを書いた作品。メインタイトルからブラスを利かせた軽快かつ勇壮なマーチで、いつものドルリューとはちょっと違った作風が面白い。映画がコメディタッチなのか非常に明るいスコアで、ドルリューの陽の部分が楽しめるアルバム。これはLPがMilanレーベルなのでCD化の可能性はある(予定はないが)。
<CD情報@> (2008年12月追加)
・コンピレーションCD「Le cinema de Georges Delerue」(仏Universal /
531 263-0)に以下の曲を収録
- Les morfalous
(generique)
<CD情報A> (2013年2月追加)
・仏Universal/EmArcy /
372 086 1
・全9曲/「太陽の下の10万ドル(CENT-MILLE DOLLARS AU SOLEIL)」とカップリング
Universal CDのレビュー
Georges Delerue
(未公開/TV)ガンジーと総督/自由への長い道 Mountbatten - The Last Viceroy
作曲・指揮:ジョン・スコット
Composed and Conducted by John Scott (米Varese Sarabande)
演奏:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the Royal Philharmonic Orchestra
CD化:
1985年製作のイギリスのTV映画。「エクスカリバー」等の名優ニコル・ウィリアムソンが最後のインド総督マウントバッテン卿に扮する。共演はジャネット・サズマン、イアン・リチャードソン他。監督はトム・クレッグ。スコットの音楽は個人的に彼のベストスコアの1つだと思う。冒頭とエンドクレジットに流れるマーチ「Mountbatten(Main Title)」「The Last Viceroy(End Titles)」は、サー・ウィリアム・ウォルトンの「Crown Imperial」や「Orb and Sceptre」といった名曲の流れを汲んだ、優雅で格調高い音楽で実に素晴らしい。「Independence Day」等、どの曲にも英国紳士であるスコットの個性が非常によく出ており、荘厳かつ情感豊かでリッチなスコア。
<CD情報@> (2001年11月追加)
・英Movietrack Classics / MTC 4389
・全21曲(追加曲なし)
・音質はあまり良くない
<CD情報A>
(2016年2月追加)
・米Varese Sarabande / VLE 9200-11
・「LP to CD Subscription
Series」の1枚としてリリース
・全21曲(追加曲なし)
ニコライとアレクサンドラ Nicholas and Alexandra
作曲:リチャード・ロドニー・ベネット
Composed by Richard Rodney Bennett (米Bell)
指揮:マーカス・ドッズ
Conducted by Marcus Dods
演奏:ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
Performed by the New Philharmonia Orchestra
CD化:
ロシア皇帝ニコライ二世の生涯を描いた1971年製作のイギリス映画。「パピヨン」「パットン大戦車軍団」等の名匠フランクリン・J・シャフナーが監督。出演はマイケル・ジェイストン、ジャネット・サズマン、ジャック・ホーキンス、サー・ローレンス・オリヴィエ、サー・マイケル・レッドグレーヴ、クルト・ユルゲンス他。シャフナー監督は何といってもジェリー・ゴールドスミスとのコラボレーションが有名だが、この作品についてはゴールドスミスの都合がつかなかったため、イギリスのベテラン作曲家であるリチャード・ロドニー・ベネットに音楽を依頼したもの。ベネットは「オリエント急行殺人事件」「レディ・カロライン」等の上質な映画音楽を手がけている名手だが、ジャズ・ピアニスト/ヴォーカリストとしてのアルバムも数枚出している才人。このスコアはベネットの作品中でも最も深遠かつ美しい音楽で、シャフナー監督をして「いつも組んでいるゴールドスミスと同等の水準の素晴らしいスコアを得ることができた」と言わしめ、ゴールドスミス自身もそれに同意したというお墨付きの名作。
<CD情報> (2001年5月追加)
・英Artemis / ART-F 007
・Limited Collectors Edition(500枚限定プレス)
・全22曲(追加曲なし)
・「レディ・カロライン(Lady Caroline Lamb)」とのカップリング
・LP音源によるCD化のため音質は良くない
ハンカチのご用意を Preparez vos mouchoirs
作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by Geroges Delerue (仏Deesse)
CD化:Music Box RecordsレーベルによりCD化!
1978年製作のフランス映画で、アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した作品。「バルスーズ」等のベルトラン・ブリエが監督。出演はジャラール・ドパルデュー、カロル・ローレ、パトリック・ドヴェール、ミシェル・セロー他。人妻と13歳の天才児との愛を描くコメディで、映画自体はかなりきわどい内容だが、ドルリューの音楽は実に繊細で美しく、心を洗われるようなGentleなスコア。ゆったりとしたテンポのストリングスとピアノによるメインテーマは、クラシック音楽のような上質な響きを持っており、最もドルリューらしい作風の音楽といえる。このスコアは、Milanレーベルから出ていたセザール賞受賞作品を集めたコンピレーションCDにメインテーマが収録されていたが、全曲盤のCDはリリースされていない。
<CD情報> (2016年3月追加)
・仏Music Box Records /
MBR-081
・全14曲(「La poursuite (version
inedite)」を追加)
・限定プレス
Music Box
CDのレビュー
Georges Delerue
作曲・指揮:カール・デイヴィス
Composed and Conducted by Carl Davis (英Decca)
演奏:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the Royal Philharmonic Orchestra
CD化:未定
1978年製作のコスチュームプレイ。監督はマイケル・シンプソン。出演はピーター・イーガン、ナイジェル・ダヴェンポート、スザンナ・ヨーク他。デイヴィスが最も得意とするクラシカルなシンフォニック・スコア。勇壮かつ優雅な前奏曲が素晴らしい。因みにサントラではないが、'88年にリリースされたデイヴィス自作自演の下記CDにこのスコアの組曲が含まれている。
「Carl Davis: The Glenlivet Fireworks Music」
Carl Davis conducts Scottish Chamber Orchestra(英EMI / CD-CFP 4542)
includes Napoleon (2曲), Pickwick Papers (5曲) and Price Regent (4曲)
これはシングルモルトのスコッチウィスキー「グレンリヴェット」がスポンサーの花火イベント用にデイヴィスが作曲したファンファーレを収録したCDで、表題曲以外に上記のようなデイヴィスのフィルムスコアも含まれている。演奏は例によって素晴らしい。
サウスダコタの戦い The Return of a Man Called Horse
作曲・指揮:ローレンス・ローゼンタール
Composed and Conducted by Laurence Rosenthal (米UA)
CD化:
インディアンに捕らわれ拷問を耐え抜いたイギリス人を描く「馬と呼ばれた男(A Man Called Horse)」の続編(1976年製作)で、監督はアーヴィン・カーシュナー(スター・ウォーズやロボコップ・シリーズ等で続編ばかり撮っている職人監督)、出演はリチャード・ハリス、ゲイル・ソンダーガード他。前作の音楽はレナード・ローゼンマンだったが、こちらの続編は同じくハリウッドのベテラン、ローレンス・ローゼンタールがスコアを担当。雄大で叙情的なメインテーマ「Main Title: The Return of a Man Called Horse」が非常に美しく、彼のベストスコアの1つだと思う。ダイナミックな「The Massacre」「Battle at the Fort」や躍動的な「Gifts for the Yellow Hands」「The Buffalo Hunt」等も秀逸。ローゼンタールの作品は、「スナイパー/狙撃者」「ロマノフ王朝・大帝ピョートルの生涯」「アナスタシア/光・ゆらめいて」「女帝キャサリン」といったTV映画に書いた華麗なオーケストラル・スコアのサントラがCDでリリースされているし、「ベケット」「ドクター・モローの島」「メテオ」「タイタンの戦い」といった旧作も作曲家自身のプロモーション盤としてCD化されている。また、TVや映画に書いた主要な作品のコンピレーションCD(これもプロモーション盤)もリリースされており、この「サウスダコタの戦い」の音楽も一部収録されている。
<CD情報> (2003年4月追加)
・米Varese Sarabande / VCL 0403 1020
・全16曲(未発表の7曲を追加)
・CD Club Release(Limited Collector's Edition of 3000 copies)
大列車強盗団
Robbery 作曲・指揮:ジョニー・キーティング CD化: |
このCD(輸入盤)を購入する |
1967年製作のイギリス映画。郵便列車強盗を描いたクライム・サスペンスで、監督はピーター・イエーツ、出演はスタンリー・ベイカー、ジョアンナ・プティット、フランク・フィンレイ、バリー・フォスター、ジェームズ・ブース他と渋い。監督のイエーツはマックィーン主演の「ブリット」(1968)で映画史上に残るスペクタキュラーなカーチェイス・シーンを見せたが、その前年にイギリスで撮ったこの作品でもハイテンションなカーチェイスを展開している。ジョニー・キーティングの音楽はクールなジャズをベースとした緊張感溢れるサスペンス・スコアで、「Breaking Into the Mail Van」「Passing the Mail Bags」でのメイン・テーマや、強奪シーンのサスペンス音楽「Diamond Robbery」「Robbery!」等が実にかっこいい。「Kate's Theme」「Robinson - Portrait of a Loser」「Paul's Goodbye」等でのジェントルでリリカルなタッチや、ジャッキー・リーのパンチの効いたヴォーカルによる主題歌「Born to Lose」も良い。シフリンやロイ・バッドとも少し違う重厚さを持ったジャズが素晴らしい。ジョニー・キーティングが手がけた映画音楽は、この「大列車強盗団」と「ホテル」(1967)「国際殺人局K/ナンバーのない男」(1972)の3作品のみで、「ホテル」は米Film Score MonthlyレーベルよりサントラCDがリリースされている。
<CD情報> (2008年7月追加)
・英Vocalions / CDSML 8439
・Newly Remastered
・全10曲(追加曲なし)
シーウルフ
The Sea Wolves 作曲・指揮:ロイ・バッド 演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団 CD化: |
このCD(輸入盤)を購入する |
1980年にイギリスで製作されたWW2もの。監督アンドリュー・V・マクラグレン=脚本レジナルド・ローズは、「ワイルド・ギース」と同じコンビであり、4人のベテラン戦争プロフェッショナルが活躍するという設定も同じ。ここでの4人組はグレゴリー・ペック、ロジャー・ムーア、デヴィッド・ニーヴン、トレヴァー・ハワードで、ペックとニーヴンはこれより20年程前の「ナバロンの要塞」でも共演している。初老の退役軍人がもう一花咲かせるといった設定のストーリーなので、アクションはそれほど激しくなく(第一身体がついていかない)、全体におっとりした雰囲気。音楽は「ワイルド・ギース」で豪快な戦争アクション・スコアを聴かせたロイ・バッドで、演奏も同じくナショナル・フィル。真に映画音楽的な響きを持ったリッチな序曲や、明るく切れ味の良いマーチ、サスペンスフルなアクション音楽と、バッドのシンフォニック・スコアの魅力に満ち溢れた傑作。主題歌の「Precious Moments」を「ロシアより愛をこめて」等で有名なマット・モンローが歌っているが、この曲はリチャード・アディンセル作曲の「ワルソー・コンチェルト」(個人的に大好きな曲)にレスリー・ブリッカスが歌詞を付けたもの。このサントラはイギリスと日本でLPがリリースされていたが、ジャケットのデザインは全く異なっている。
<CD情報>
・英Cinephile / CIN CD 023
・「Warsaw Concerto」の別Versionを1曲追加(全16曲)
・Newly Remastered
・ジャケットデザインはイギリス盤LPと同じ(裏面が公開時ポスターになった折たたみジャケット)
シャーロック・ホームズの素敵な挑戦 The Seven-per-cent Solution
作曲・指揮:ジョン・アディスン
Composed and Conducted by John Addison (米Citadel)
CD化:
シャーロッキアンで映画音楽ファンでもあるニコラス・メイヤーが自身のパスティーシュ小説を脚色し、ハーバート・ロスが監督した作品(1976年製作)。重度のコカイン中毒(原題名は「7%のコカイン溶液」という意味)に苦しむシャーロック・ホームズがウィーンでジークムント・フロイト博士の治療を受けつつ、事件に巻き込まれるというストーリー。ホームズをニコル・ウィリアムソン、ワトソン博士をロバート・デュヴァル、フロイト博士をアラン・アーキン、モリアーティ教授をサー・ローレンス・オリヴィエが演じた。共演はヴァネッサ・レッドグレーヴ、チャールズ・グレイ他。UCLAでの映画音楽に関する公開講座にニコラス・メイヤーがゲストスピーカーとして登場し、この作品の音楽について語ったところによると、彼の第一希望はバーナード・ハーマンだったらしい。映画のラストにオーストリアからハンガリーに向かう列車の屋根での決闘のシーンがあるが、ハーマンはメイヤーに国際電話をかけてきて、「いいアイデアがある。決闘のシーンでオーストリア民謡を使いたい」と言ったという。が、ハーマンがこの世を去ったためにこれは実現せず、第二希望のジョン・アディスンにスコアを依頼したところ、「いいアイデアがある。ラストの決闘のシーンにハンガリー民謡を使いたい」と言い出したので、似たようなことを考えるものだと思ったらしい。ホームズ映画の音楽には傑作が多いが、このアディスンのスコアも、ホームズのトレードマークであるロマンティックなヴァイオリン・ソロや、舞踏音楽風の管弦楽等、実にカラフルな内容。このLPは作曲家のプロモーション盤としてリリースされたもので、ジャケットは味気ないデザインだった。
<CD情報> (2020年8月追加)
・スペインQuartet Records / QR414
・全48曲/1:39:49
・2,000枚限定プレス
作曲:アーネスト・ゴールド
Composed by Ernest Gold (米RCA)
演奏:アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス管弦楽団
Arthur Fiedler conducting the Boston Pops Orchestra
CD化:
1965年製作。スタンリー・クレイマーが監督し、ヴィヴィアン・リー(遺作)、オスカー・ウェルナー、シモーヌ・シニョレ、ホセ・フェラー、リー・マーヴィン、ジョージ・シーガルといった国際色豊かなスター達が出演した、第二次大戦前夜における客船上での「グランド・ホテル」形式のドラマ。音楽はクレイマー監督とのコラボレーションが多いアーネスト・ゴールドだが、このアルバムは故アーサー・フィードラー率いるボストン・ポップスの演奏によるアルバム(といってもテーマ曲ばかりを集めたコンピレーションではなく、ゴールド自身がボストン・ポップス用にアレンジした劇伴音楽が収録されている)。ボストン・ポップスといえばジョン・ウィリアムスが常任指揮者として有名だが、フィードラーは彼以前に永年このポップス・オーケストラを指揮して多数のアルバムを残しおり、今でもボストン・ポップスといえば「アーサー・フィードラーの」といった印象がある。このスコアも冒頭の軽快なリズムによる明るいシンフォニック・サウンドがいかにもフィードラー=ボストン・ポップスらしい。メインタイトルの中盤で現れる物悲しいタッチの「ゴールド節」によるテーマも非常に感動的で、このメインテーマをタンゴ風にアレンジした曲も素晴らしい。
<CD情報> (2000年12月追加)
・英Artemis / ART-F 002
・Limited Collectors Edition(500枚限定プレス)
・全12曲(追加曲なし)
・LP音源によるCD化のため音質は良くない
作曲・指揮:アルフィ・カビリョ
Composed and Conducted by Alfi Kabiljo (米Varese Sarabande)
演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the National Philharmonic Orchestra
CD化:
このアルフィ・カビリョという作曲家はこれまでに30本程の映画の音楽を担当しているようだが、サントラ・アルバムが出ているのはおそらくこの作品だけである。ユーゴスラビアの映画を中心に作曲活動を行っており、メジャーな映画ではシャロン・ストーン主演の「(未公開)シザース/氷の誘惑 Scissors」(1991)がある(というか、それくらいしかない)。が、この「ガンバス」の音楽は大傑作である。大編成オーケストラをガンガンに鳴らした血湧き肉躍るアドヴェンチャー・スコアで、正に痛快そのもの。ミリタリーマーチ風の音楽やウエスタン風の音楽があったりして、非常にカラフルな内容だが、何といっても猛スピードで駆け抜けていくようなエンド・タイトルが実にかっこいい。ナショナル・フィルの一糸乱れぬシャープな演奏も見事。こういう素晴らしいスコアのアルバムがたった1枚LPでポツンと存在していて、しかも1994年以降何の作品も担当していない(らしい)というこの作曲家は一体何者なのだろう?
<CD情報> (2006年7月追加)
・米Varese Sarabande / VCL 0706 1053
・全23曲(追加曲なし)
・CD Club Release(Limited Collector's Edition of 1000 copies)
Varese CDのレビュー
作曲・指揮:ジョン・アディスン
Composed and Conducted by John Addison (米Columbia)
CD化:
1972年製作。ベテランのジョセフ・L・マンキーウィッツ監督(遺作)が、アンソニー・シェーファー作の舞台劇の戯曲を基に映画化したものだが、最初から最後まで二転三転するどんでん返しの連続で、知的なミステリドラマの醍醐味が堪能できる傑作。サー・ローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインという英国演劇界の名優2人がデリシャスな演技合戦を見せる。ゲーム感覚に満ち溢れたケン・アダムによるプロダクション・デザインも素晴らしい。後に製作された、アイラ・レヴィン脚本=シドニー・ルメット監督の「デストラップ 死の罠」や、リチャード・レヴィンソン=ウィリアム・リンクのコンビの脚本による一連のミステリTV映画は、この「探偵<スルース>」の影響を強く受けていると思う。ジョン・アディスンの音楽は、シリアス+コミカルな実にお洒落なミステリ・スコア(?)で、彼の個性が最もよく現われている作品。アディスンのベストスコアの1つだろう。サントラLPには、主演2人のセリフがかなり収録されており、その分音楽の収録時間が短いのが残念。因みに、この映画は日本でTV放映した時の日本語吹替がこれまた絶妙だった(オリヴィエ=島 宇志夫、ケイン=羽佐間道夫)。
<CD情報> (2011年5月追加)
・米Intrada / Intrada Special Collection Volume 165
・全16曲(追加曲なし/LPと同内容)
・1,500枚限定プレス
ふたりでスローダンスを Slow Dancing in the Big City
作曲・指揮:ビル・コンティ
Composed and Conducted by Bill Conti (米UA)
CD化:
1978年製作。「ロッキー」等のジョン・G・アヴィルドセンが監督し、ポール・ソルヴィノ、アン・ディッチバーン他が出演。中年コラムニストのソルヴィノと病に苦しむバレリーナの恋愛を描くメロドラマ。映画は駄作らしい(未見)が、コンティの音楽は力のこもったドラマティックスコアで、なんといってもバレエのシーンの「Balletto」という長めの曲がこのアルバム中の白眉。重苦しい低音の弦の響きで始まり、静かなフレーズから一転して激しく力強いフルオーケストラのセッションとなり、最後は猛烈なパワーでフィナーレを締めくくるクラシカルな力作。その後に続く「The Ovation」という曲も、ピアノソロによるメインテーマがフルオーケストラへと発展する感動的なエンドタイトル。このバレエのシーンの音楽は、海外でのフィギュアスケートのコンペティションの際にBGMとして頻繁に使われていた(映画音楽が使われることは多い)。
<CD情報> (2005年9月追加)
・米Varese Sarabande / VCL 0805 1039
・全9曲(追加曲なし)
・CD Club Release(Limited Collector's Edition of 2000 copies)
・「フィスト」とカップリング
作曲:フィリップ・サルド
Composed by Philippe Sarde (仏Pema)
演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra
CD化:
1978年製作のフランス映画(日本では'88年に公開)。監督はサルドとのコラボレーションが多いアンドレ・テシネ。イザベル・アジャーニ、マリー=フランス・ピジエ、イザベル・ユペールが、「嵐ヶ丘」「ジェーン・エア」等の原作者として知られるブロンテ姉妹を演じる。音楽はサルドがロベルト・シューマンのクラシック音楽を編曲したもので、ブロンテ姉妹の悲劇的な生涯をドラマティックに表現している。サルドは故ジョルジュ・ドルリューと並ぶフランスのベストコンポーザーの1人だが、ドルリューのように本格的なハリウッド進出をしていないせいか、未だに地味でマイナーなイメージがある。が、実力的には文句無しにゴールドスミス、モリコーネと並ぶ名手だと思う。このスコアは、仏Milanレーベルから出ているアンドレ・テシネ=サルド作品集に組曲のみ収録されている。
<CD情報> (2021年11月追加)
・スペインQuartet Records / QR448
・全6曲
・500枚限定プレス
ビッグ・マグナム77 Strange Shadows in an Empty Room(Blazing Magnum)
作曲・指揮:アルマンド・トロヴァヨーリ
Composed and Conducted by Armando Trovaioli (伊Beat)
CD化:
1976年製作のカナダ=イタリア合作映画。モントリオールを舞台に、連続殺人事件を追う市警察の刑事を描くクライム・アクション。監督はマーティン・ハーバート(本名アルベルト・デ・マルティーノ)で、出演はステュアート・ホイットマン、マーティン・ランドー、ジョン・サクソン、ゲイル・ハニカット、ティサ・ファロー、カロル・ローレ他。延々と続く派手なカー・アクションや、44マグナムでヘリコプターを撃墜(?)するシーン等が見せ場。トロヴァヨーリはイタリアのベテランで、エットーレ・スコラ監督とのコンビ作品や、「黄金の7人」「星空の用心棒」等いかにもラテン的な明るくバイタリティ溢れるスコアを得意とする作曲家だが、この「ビッグマグナム77」はハードボイルドなタッチのジャズをベースとしたクールな音楽。イタリアのサントラに特有のリアルだがチープなタッチのイラストによるジャケットが面白い。同種のスコアで、キャロル・ブーケ主演のサスペンス映画「アバンチュールはデュエットで(Mystere)」という作品も良かった。
<CD情報@> (2001年3月追加)
・下記CDにメインタイトルのみ収録
・「世界トンデモ映画劇場:トホホB級マカロニ&アクション大全」(King
Records / KICP 769)
<CD情報A> (2008年3月追加)
・伊Beat / CDCR 78
・全12曲(追加曲なし)
作曲・指揮:ジョン・スコット
Composed and Conducted by John Scott (米Roulette)
CD化:
シャーロック・ホームズが切り裂きジャックと対決するというストーリーの1965年製作のミステリ。監督はジェームズ・ヒルで、ホームズにジョン・ネヴィル、ワトソン博士にドナルド・ヒューストン、シャーロックの兄マイクロフト・ホームズにロバート・モーレイが扮した。共演はアンソニー・クエイル、フランク・フィンレイ、ジュディ・デンチ、セシル・パーカー他。音楽はジョン・スコットでこれは彼の初期の傑作である(長編デビュー作)。彼独特の優雅なスタイルを確立する以前の非常にオーソドックスなドラマティックスコアだが、ヴァイオリンで奏でられる繊細なメインテーマが物憂げなタッチで良い。「グレイストーク」のBootleg盤CDにBonus Trackとしてこのスコアのメインテーマのみが収録されている。因みにホームズが切り裂きジャックと対決するというテーマの映画には、クリストファー・プラマーがホームズ、ジェームズ・メイスンがワトソン博士を演じた「(未公開)黒馬車の影 Murder by Decree」という作品もある。こちらの映画は演出、脚本、音楽ともに凡庸だが、キャストはトップクラス。
<CD情報> (2002年3月追加)
・米HSO / HSO 333
・ジョン・スコット指揮ハリウッド交響楽団(The Hollywood Symphony
Orchestra)による新録音
・全17曲(52:21)
作曲・指揮:ジョン・アディスン
Composed and Conducted by John Addison (米MCA)
CD化:
「探偵<スルース>」と並ぶアディスンのベスト・スコアの1つ。大編成オーケストラによるパワフルかつエキサイティングなスワッシュバックリング・スコア。映画は1976製作の海洋冒険活劇で、監督は「レーサー」(1969)「エリックの青春」(1975)「ジェット・ローラー・コースター」(1977)「世界崩壊の序曲」(1980)等のジェームズ・ゴールドストーン。出演はロバート・ショー、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド、ピーター・ボイル、ボー・ブリッジス、アンジェリカ・ヒューストン他。18世紀のカリブ海を舞台に、暴虐な総督(ボイル)に立ち向かうブラーニー・コック号船長レッド・リンチ(ショー)の活躍を描く。これだけ個性的な濃いキャストを集め、派手なチェイスシーンやスウォードファイト・シーンがふんだんにある割には、あまり緊迫感のない、なんだかぼーっとした作品で、どう考えても監督の演出力不足。アディスンのスコアは、明るく大らかな「Swashbuckler Main Theme」や、陽気でダイナミックな「The Coach Robbery」「Derring-Do!」、ロマンティックな「Love Theme」、コミカルな「The Fencing Lesson; Ned and Jane」「The Incredible Chase」等、実にカラフルで楽しい。同じ海洋冒険活劇でもかつてのコルンゴルトやアルフレッド・ニューマンのクラシックフィルムスコアの影響を全く受けていないところがアディスンらしい。
<CD情報@> (2008年3月追加)
・米Intrada / Intrada Special Collection Volume 56
・全13曲(追加曲なし)
・3,000枚限定プレス
<CD情報A> (2020年9月追加)
・スペインQuartet Records / QR424
・Expanded盤(CD2枚組/全42曲/1:38:01)
・2,000枚限定プレス
作曲・指揮:ジョルジュ・ガルヴァランツ
Composed and Conducted by Georges Garvarents (仏Barclay)
演奏:Grand Orchestre Symphonique Cinematographique de Moscou
CD化:未定
旧ソ連製作のスパイ映画。監督がアレクサンドル・アロフとウラジミール・ナウモフ、出演がナタリア・ベロコヴォスティコヴァ、イゴール・コストルフスキー他、といっても誰のことだかさっぱりわからないが、何故かフランスからアラン・ドロン、ドイツからクルト・ユルゲンスがゲスト出演している。音楽はギリシャ出身(1931年生)のジョルジュ・ガルヴァランツで、主題歌の「Une
vie d'amour」をフランスの歌手シャルル・アズナヴールが熱唱している。編曲は「ココ・シャネル」等のジャン・ミュジーが担当。映画の内容は謎だが、音楽は非常に華麗かつ重厚なシンフォニック・スコア。
ガルヴァランツの後期のベストスコアの殆どはCDになっていない。この「Teheran
43」以外にも、「(未公開)La lumiere des justes」(仏Barclay/主題歌「Etre」をまたもシャルル・アズナヴールが熱唱。編曲はなんとガブリエル・ヤレ)や、「(未公開)Les
Galets d'etretat」(仏Barclay/主題歌は例によってアズナヴールが熱唱)、「(未公開)Le
paria」(仏WEA/豪快なシンフォニック・スコア!)、「ハンボーン
Hambone and Hillie」(ポリドール/日本でのみLPリリース。犬を主人公にした動物ものファミリー・ピクチャーだがスコアは立派なシンフォニーでバカにしてはいけない)、「(未公開)Yiddish
Connection」(仏Milan/アズナヴールが今度は脚本と主演)等、どのスコアもエモーショナルでリッチな響きが素晴らしい。遺作の「Petain」は仏MilanレーベルからCDがリリースされている(1993年3月19日死去)。
<CD情報> (2001年8月追加)
・下記CDに「Une vie d'amour」「Teheran 43 (ouverture)」「Paris, ma ville」「Souvenirs」の4曲のみ収録
・「CHARLES AZNAVOUR / CHANSONS DE FILMS / MUSIQUES GEORGES
GARVARENTZ」(仏Play Time / PL 210 3060)
テス
Tess 作曲:フィリップ・サルド 指揮:カルロ・サヴィーナ 演奏:ロンドン交響楽団 CD化: |
このCD(日本盤)を購入する |
トーマス・ハーディの小説「Tess of the d'Urbervilles」をロマン・ポランスキー監督が映像化した1979年製作の英仏合作映画。主役の少女を演じたナスターシャ・キンスキーはこの映画でスター女優となった(が、最近はあまりパッとしない)。共演はジョン・コリン、トニー・チャーチ、ピーター・ファース他。オスカーの撮影、衣装デザイン、美術賞を受賞。フィリップ・サルドの音楽は、いつもの繊細で抑制されたタッチとは異なり、明快なメロディラインをもった正統派のドラマティックスコアで、非常に堂々としたシンフォニーになっている。運命に弄ばれる主人公の生きざまを象徴するような悲劇的なメインフレーズが、サルドらしく美しい。日本盤のLPにはフランス盤等にはないピエール・ポルト作曲による主題歌が2曲含まれているが、はっきり言っていらない。
<CD情報> (2000年11月追加)
・フランス盤:EmArcy / 159 898-2、日本盤:EmArcy / UCCM-1004
・Complete Score(全13曲)
・24BITデジタル・リマスター
・「テナント/恐怖を借りた男(Le Locataire)」とのカップリング
フレンチ・シネマ・ミュージック・コレクション パート1(リリース情報)
作曲・指揮:モーリス・ジャール
Composed and Conducted by Maurice Jarre (米UA)
CD化:
1964製作のWW2戦争アクションで、ジョン・フランケンハイマー監督のベスト作の1つ。出演はバート・ランカスター、ポール・スコフィールド、ジャンヌ・モロー、ミシェル・シモン、ヴォルフガング・プライス他。ドイツ軍占領下からの開放を間近にしたパリの美術館から名画の数々を列車に積んで持ち出そうとするドイツ軍将校(スコフィールド)と、それを阻止しようとするフランス鉄道員(ランカスター等)との虚々実々の駆け引きを描く。列車をドイツに行かせないために密かにポイントを切り替えて迂回させ、その先の駅の表札を全てすり替えてあたかもドイツに向かっているように見せかけるあたりのトリックが、見ていてワクワクする。この手のサスペンスは鉄道や列車のメカニカルな描写をリアルに精密に描くほど迫力が増す。モーリス・ジャールの音楽は冒頭から彼の得意とするパーカッションを効果的に使用したダイナミックなスコアで、パワフルかつエキサイティング。
<CD情報> (2007年8月追加)
・米Film Score Monthly / FSM Vol.10 No.8
・「レマゲン鉄橋」(エルマー・バーンステイン作曲)とのカップリング
・全17曲(ステレオ・サントラ音源 13曲+ボーナス 4曲)
・3,000枚限定プレス
料理長殿、ご用心 Who Is Killing the Great Chefs of Europe?
作曲・指揮:ヘンリー・マンシーニ
Composed and Conducted by Henry Mancini (米Epic)
演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the National Philharmonic Orchestra
CD化:Varese SarabandeレーベルによりCD化!
ナン&アイヴァン・ライオンズの原作小説(大したことない)を、「シャレード」「サブウェイ・パニック」等の名手ピーター・ストーンが脚色(素晴らしい)し、「ランボー」「地獄の7人」等のテッド・コッチェフが監督した1978年製作のミステリー。主役の元夫婦のカップルをジョージ・シーガルとジャクリーン・ビセットがお洒落に演じ、辛辣なグルメ評論家をロバート・モーレイがコミカルに演じる。更にフランスの名優フィリップ・ノワレ、ジャン・ロッシュフォール、ジャン=ピエール・カッセル等が一流シェフに扮するという豪華なキャスティング。ベテランのヘンリー・マンシーニによる音楽は、彼の都会的な洒落たセンスに、シンフォニーオーケストラの華麗な響きを加えたとてもデリシャスなスコア。モーレイ扮する美食家のとぼけたテーマや、ビセット扮するヒロインの美しいテーマがいかにもマンシーニらしくて良いが、軽快なマーチ風のメインタイトルが特に素晴らしい。個人的にはマンシーニの作品中で最も好きなスコア。
この映画の冒頭で、食べ過ぎ太りすぎで苦しむモーレイがかかりつけの医者の診察を受けるシーンのセリフがおかしい。
医者「率直に言ってあなたの健康状態は最悪です」
モーレイ「だから花屋に行かずにここに来たんだ。私はあとどれくらい生きられるのかね?」
医者「それは全くあなた次第です」
モーレイ「君次第ではないと知ってホっとしたよ」
<CD情報> (2014年5月追加)
・米Varese Sarabande /
302 067 268 8
・全13曲(追加曲なし)
・限定プレス
Copyright (C) 1999 - 2022 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.