リチャード・アディンセル
  Richard Addinsell

Date of Birth: 1904/1/13
Place of Birth: London, England, UK
Date of Death: 1977/11/15

Mini Biography:
Educated at the Royal College of Music, Addinsell began his career contributing songs to revues and incidental music for the stage, forming a notable partnership with the playwright Clemence Dane. His career as a film music composer began in 1936, achieving early and widespread recognition with his score for the Oscar-winning "Goodbye, Mr Chips" in 1939. He went on to work in revue with the legendary comedienne Joyce Grenfell(1910--79), writing songs with her for West End shows like "Tuppence Coloured" in 1947 and "Penny Plain" in 1951. His most successful work was "Warsaw Concerto" for piano and orchestra from the film "Dangerous Moonlight"(1941). He was a match for many cinematic genres: historic drama ("Fire over England" in 1937, "Tom Brown's Schooldays" in 1950, "Beau Brummel" in 1954), psychological ("Gaslight" in 1940), contemporary ("Love on the Dole" in 1941, "Life at the Top" in 1965) or even comedy ("The Prince and the Showgirl" in 1957, "Waltz of the Toreadors" in 1962).

 


リチャード・アディンセル映画音楽集 THE FILM MUSIC OF RICHARD ADDINSELL

作曲:リチャード・アディンセル
Composed by RICHARD ADDINSELL

指揮:ラモン・ガンバ
Conducted by RAMON GUMBA

演奏:BBCフィルハーモニー管弦楽団
Performed by BBC Philharmonic

(英Chandos / CHAN 10046)

cover
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<収録曲>

1. チップス先生さようなら  Goodbye, Mr. Chips
2. (未公開)戦雲に散る曲  Dangerous Moonlight
3. (未公開)Love on the Dole
4. 陽気な幽霊  Blithe Spirit
5. 黒ばら  The Black Rose
6. (未公開)Scrooge
7. (未公開)Tom Brown's Schooldays
8. (未公開)The Admirable Crichton
9. (未公開)Out of the Clouds

「ワルソー・コンチェルト」(このアルバムにも収録されている)で知られるイギリスの作曲家リチャード・アディンセルが手がけた映画音楽を集めたコンピレーション。これまでにもアディンセルの映画音楽集はイギリスのASVレーベルやドイツのMarco Poloレーベルから出ていたが、今回イギリスのChandosレーベルからリリースされたアルバムは未発表曲を含む新録音盤となっている。

1. チップス先生さようなら  Goodbye, Mr. Chips

1939年製作のイギリス映画。監督はサム・ウッド。出演はロバート・ドーナット、グリア・ガーソン、ジョン・ミルズ、テリー・キルバーン、ポール・ヘンリード、ジュディス・ファース、リン・ハーディング、ミルトン・ロスマー、フレデリック・ライスター、ルイーズ・ハンプトン、ナイジェル・ストック他。ジェームズ・ヒルトンの原作を基にR・C・シェリフ、クローディン・ウェスト、エリック・マスクウィッツが脚本を執筆。撮影はフレディ・A・ヤング。ヒッチコック監督の「三十九夜」等で知られるイギリスの名優ロバート・ドーナットが主人公の学校教師チャールズ・チッピング(チップス先生)を演じて1939年度アカデミー賞の主演男優賞を受賞した作品。その他にも作品賞、主演女優賞(グリア・ガーソン)、監督賞、脚色賞、編集賞、録音賞にノミネートされている。ここではフィリップ・レインがリコンストラクトした3曲から成る組曲が演奏されるが、「Main Titles and School Song」は、フルオーケストラによる絢爛豪華なイントロからジェントルでリリカルなメインの主題へと展開し、後半はコーラス(歌詞はエリック・マスクウィッツ)が加わり感動的に盛り上がる。続く「In the Mountains」はサスペンス調のアンダースコア。「Finale」は、オーケストラとコーラスによるメインの主題のリプライズにより締めくくるフィナーレ。文句なしに素晴らしい偉大なドラマティック・スコア。

2. (未公開)戦雲に散る曲  Dangerous Moonlight

1941年製作のイギリス映画(アメリカ公開題名は「Suicide Squadron」)。監督はブライアン・デズモンド・ハースト。出演はアントン・ウォルブルック、サリー・グレイ、デリック・デ・マーニイ、セシル・パーカー、パーシー・パーソンズ、ケネス・ケント、J・H・ロバーツ、ガイ・ミドルトン、ジョン・ローリー、フレデリック・ヴォルク、ロバート・ビーティ、マイケル・レニー他。脚本はロドニー・アックランドと“007”シリーズで知られるテレンス・ヤング。撮影はジョルジュ・ペリナル。第二次大戦中のポーランドで、アメリカ人のジャーナリスト、キャロル(グレイ)が、ポーランド人の空軍パイロットでピアニストでもあるステファン(ウォルブルック)と出会い、恋に落ちる・・。映画自体は平凡な出来なようだが、主題曲の「Warsaw Concerto」はアディンセルの作品中でも最も有名な曲で、これまでに100種類以上の演奏が録音され、300万枚以上のアルバムが売れているという。映画音楽史上に残るピアノ協奏曲の傑作で、個人的にも大好きな曲である。実にロマンティックで感動的な名曲。後にロイ・バッドが戦争アクション映画「シーウルフ」の主題曲としても流用していた(しかもマット・モンローの歌付き)。当初はラフマニノフが彼のピアノ協奏曲第二番を使用するか、あるいは全く新しい曲を書くことを依頼され、その後ミーシャ・スポリアンスキーにも作曲の依頼が行ったが、いずれも断ったためにアディンセルに仕事が回ってきたという。尚、主役を演じたアントン・ウォルブルックは自身もピアニストで、劇中では本人がピアノを弾いている。

3. (未公開)Love on the Dole

1941年製作のイギリス映画。監督はジョン・バクスター。出演はデボラ・カー、クリフォード・エヴァンス、ジョージ・カーニー、メアリー・メルロール、ジェフリー・ヒバート、ジョイス・ハワード、フランク・セリアー、マーティン・ウォーカー、ケネス・グリフィス他。ウォルター・グリーンウッドの原作とロナルド・ゴウの戯曲を基にバーバラ・K・エマリー、ローロ・ギャンブルとグリーンウッドが脚本を執筆。撮影はジェームズ・ウィルソン。1930年代の大恐慌期のイギリスを舞台に、ランカシャー出身の若い女性(カー)が金持ちの愛人になることで失業中の家族を助けようとする・・。アディンセルの音楽は、「Main Titles/Sally Awakes」がロマンティックな主題によるメインタイトル。「Courting Couples」はジェントルで感動的な曲。「Blackpool Outing」は陽気で躍動的。「End Titles」はメインの主題のリプライズによるエンドタイトル。実に洗練された音楽。

4. 陽気な幽霊  Blithe Spirit

「アラビアのロレンス」等の名匠デヴィッド・リーンが1945年に監督したイギリス映画。出演はレックス・ハリソン、コンスタンス・カミングス、ケイ・ハモンド、ジョイス・ケアリー、マーガレット・ラザフォード、ヒュー・ウエイクフィールド、ジャクリーン・クラーク他。ノエル・カワードの原作を基にアンソニー・ハヴロック=アラン、ロナルド・ニームとリーンが脚本を執筆。撮影はロナルド・ニーム(彼は後に「ポセイドン・アドベンチャー」「メテオ」等を監督する)。1946年度アカデミー賞の特殊効果賞を受賞。作家チャールズ(ハリソン)とその妻ルース(カミングス)は、霊媒師アーカティ(ラザフォード)を招いて降霊会を催すが、その後チャールズの先妻エルヴァイラ(ハモンド)の霊が彼に取りついてしまう・・というブラックコメディ。アディンセルの音楽は、「Prelude」が躍動的でコミカルなタッチの前奏曲、「Waltz」はエルヴァイラを描いたロマンティックでゆったりとしたワルツ。

5. 黒ばら  The Black Rose

1950年製作のアメリカ映画。監督はヘンリー・ハサウェイ。出演はタイロン・パワー、セシル・オーブリー、オーソン・ウェルズ、ジャック・ホーキンス、マイケル・レニー、ハーバート・ロム、ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス、フィンレイ・カリー、ロバート・ブレイク、ローレンス・ハーヴェイ、ピーター・セラーズ他。トーマス・B・コステインの原作を基にタルボット・ジェニングスが脚本を執筆。撮影はジャック・カーディフ。1950年度アカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされている。13世紀のイギリスを舞台にサクソン人の学者(パワー)の活躍を描く冒険活劇。ここに収録されたアディンセルのスコアは活劇調ではなく、「Main Titles and Opening Scene」はジェントルでドラマティックな曲。「The Black Rose Theme」もリリカルで非常に感動的。

6. (未公開)Scrooge

チャールズ・ディッケンズの有名な小説「クリスマス・キャロル」を題材にした1951年製作のイギリス映画。監督はブライアン・デズモンド・ハースト。出演はアラステア・シム、キャサリン・ハリソン、メルヴィン・ジョンズ、ハーマイオン・バッデレー、マイケル・ホーダーン、ジョージ・コール、パトリック・マクニー他。脚本はノエル・ラングレー。撮影はC・M・ペニントン=リチャーズ。ここではアディンセル作曲の14分程の組曲「Suite from 'Scrooge'」が演奏されるが、ダークなタッチのイントロからクリスマス・ソング、ジェントルな主題、サスペンス調の曲等へとカラフルに展開していく。

7. (未公開)Tom Brown's Schooldays

1951年製作のイギリス映画。監督はゴードン・パリー。出演はジョン・ハワード・デイヴィス、ロバート・ニュートン、ダイアナ・ウィンヤード、ハーマイオン・バッデレー、キャスリン・バイロン、ジェームズ・ヘイター、ジョン・チャールズワース、ジョン・フォレスト、マイケル・ホーダーン他。トーマス・ヒューズの原作を基にノエル・ラングレーが脚本を執筆。撮影はC・M・ペニントン=リチャーズ。アーノルド博士(ニュートン)が校長を務めるラグビー校を舞台に、主人公トム・ブラウン(デイヴィス)の上級生との確執を描いたドラマ。アディンセル作曲の序曲「Overture: 'Tom Brown's Schooldays'」は軽快で親しみやすい曲だが、ラストは感動的に盛り上がる。

8. (未公開)The Admirable Crichton

1957年製作のイギリス映画(アメリカ公開題名は「Paradise Lagoon」)。監督はルイス・ギルバート。出演はケネス・モア、ダイアン・シレント、セシル・パーカー、サリー・アン・ホウズ、マルティータ・ハント、ピーター・グレイヴス、ジェラルド・ハーパー他。J・M・バリーの戯曲を基にヴァーノン・ハリスとギルバートが脚本を執筆。撮影はウィルキー・クーパー。イギリスの上流階級の一家が乗ったヨットが難破して無人島にたどり着き、そこでは一家の主(パーカー)と執事クライトン(モア)の立場が逆転してしまう、というコメディ。アディンセルは、陽気で優雅なポルカ「Polka and Galop」と繊細で美しいワルツ「Waltz Sequence」のみを作曲して、その他の劇伴音楽は当時彼のアシスタントだったダグラス・ガムリーに任せてしまったため、映画ではガムリーだけが音楽の担当としてクレジットされている。

9. (未公開)Out of the Clouds

1955年製作のイギリス映画。監督はベイシル・ディアデンマイケル・レルフ。出演はアンソニー・スティール、ロバート・ビーティ、デヴィッド・ナイト、マーゴ・ロレンツ、ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス、バーナード・リー、メリッサ・ストリブリング他。脚本はジョン・エルドリッジ、マイケル・エルドリッジ、レックス・レイニッツとマイケル・レルフ。撮影はポール・ビーソン。ロンドンの空港を舞台に、乗務員と乗客たちのドラマを描く。アディンセル作曲の「The Flame Tango」はスタイリッシュで華麗なタンゴ。

 

リチャード・アディンセルが手がけたその他の映画音楽には「無敵艦隊」(1937)「間諜」(1937)「情熱の友」(1948)「(未公開)山羊座のもとに」(1949)「黒ばら」(1950)「騎士ブランメル」(1954)「地獄の喝采」(1955)「二都物語」(1957)「王子と踊子」(1957)「ローマの哀愁」(1961)「女になる季節」(1961)「戦う翼」(1962)等がある。

また、イギリスのASVレーベルから以下の2枚のコンピレーションCDがリリースされている。

「MUSIC OF RICHARD ADDINSELL」
 Composed by RICHARD ADDINSELL
 Conducted by KENNETH ALWYN
 Performed by Royal Ballet Sinfonia
 (英ASV / CD WHL 2108) 1997
 
・Dangerous Moonlight (Warsaw Concerto) 戦雲に散る曲(ワルソー・コンチェルト)
  ・Sea Devils
  ・The Day Will Dawn
  ・Blithe Spirit 陽気な幽霊
  ・Highly Dangerous
  ・Greengage Summer 女になる季節
  ・Invocation
  ・The Lion Has Wings
  ・The Passionate Friends 情熱の友
  ・Under Capricorn 山羊座のもとに
  ・Out of the Clouds
  ・March of the United Nations

「RICHARD ADDINSELL FILM MUSIC」
 Composed by RICHARD ADDINSELL
 Conducted by KENNETH ALWYN
 Performed by Royal Ballet Sinfonia
 (英ASV / CD WHL 2115) 1999
 
・Blithe Spirit 陽気な幽霊
  ・Encore
  ・Gaslight
  ・The Passionate Friends 情熱の友
  ・Parisienne
  ・Scrooge
  ・Southern Rhapsody
  ・Waltz of the Toreadors
  ・South Riding
  ・Wrns March
  ・Fire Over England 無敵艦隊

(2003年4月)

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