Date of Birth: 1939/5/30
Place of Birth: New York, NY, USA
Date of Death: 2003/11/24
Mini Biography:
The son of a general manager for the Shubert Theaters, Small grew up going to Broadway first nights, and initially planned to utilize his talents in the musical theater. While in New Jersey, he took piano lessons as a child, and later while at Williams College in Williamstown, Massachusetts, began writing musical comedy shows. A return to New York City in 1962 found him receiving formal musical training with Meyer Kupferman who was head of the musical department at Sarah Lawrence College. In classic Hollywood "it's all in who you know" fashion, the director of the latter film, Carl Lerner, also a well-known editor, would eventually edit "Klute", and recommend Small to director Alan J. Pakula, thus launching the composer's career. The eerie, haunting style that characterized his score for "Klute" would become a Small signature, and earn him the sobriquet, "The Poet of Paranoia". He wrote the music for more than fifty films, including "The Stepford Wives", "The China Syndrome", "Night Moves", "Marathon Man", and "The Postman Always Rings Twice". He died in New York in 2003 from cancer at the age of 64.
作曲・指揮:マイケル・スモール
Composed and Conducted by MICHAEL SMALL
(プロモーショナル盤 / MSML 1001)
この映画の監督のジョセフ・サージェントは、過去に「サブウェイ・パニック」という傑作サスペンスを手がけている。出演者の1人、マイケル・ケインはアカデミー賞の助演男優賞を受賞し、英国王室からナイトの称号を授与されている名優で、私の大好きな俳優である。音楽のマイケル・スモールも、後述するように地味ながら優れたスコアを多数手がけているベテラン作曲家である。このような才能が結集して、一体どうしてまたこのようなくだらない映画を作ろうと考えるのだろうか?(ケインは「ハンナとその姉妹」でオスカーの助演男優賞を受賞した際、この映画の撮影のために授賞式を欠席していた!)
言うまでもなく、「JAWS/ジョーズ」(1975)「JAWS/ジョーズ2」(1978)「ジョーズ3」(1983)に続くシリーズ第4弾で、出演はロレイン・ゲイリー、マリオ・ヴァン・ピーブルズ、ランス・ゲスト、カレン・ヤング、ジュディス・バーシ、リン・ウィットフィールド他。脚本はマイケル・デ・ガズマン、撮影はジョン・マクファーソン。1、2作目で警察署長ロイ・シャイダーの妻だったゲイリーが、アミティを離れて息子のいるバハマへと移り住むが、執念深いサメはなんとそこまで追いかけてきて、彼女との一騎打ちとなる、というストーリー。
マイケル・スモールは「コールガール」(1971)「パララックス・ビュー」(1974)「マラソンマン」(1976)「オードリー・ローズ」(1977)「ザ・ドライバー」(1978)「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(1981)「密殺集団」(1983)「ブラック・ウィドー」(1986)「愛と野望のナイル」(1990)「モブスターズ/青春の群像」(1991)「隣人」(1992)等に効果的なアンダースコアを提供しているベテラン作曲家である。あまり強い個性のある音楽を書く人ではないが、特にミステリやサスペンス映画での微妙な心理描写が上手い。この「ジョーズ'87/復讐篇」でも、ジョン・ウィリアムス作曲の有名な「ジョーズのテーマ」を組込んだサスペンスフルでダイナミックなスコアを展開している。特に後半の「Alive or Dead」「The Shark」「Revenge & Finale」といったアクション音楽が聴きどころ。劇伴スコアに徹しており、少しメカニカルな印象があるが、ベテランらしい手堅い仕事である。
このCDは作曲家のプロモーション用として2000年にプレスされたものだが、おそらくジョン・ウィリアムスの「JAWS/ジョーズ」の特別盤サントラCDの発売に便乗してリリースされたものであろう。
(2000年8月)
作曲・指揮:マイケル・スモール
Composed and Conducted by MICHAEL SMALL
(米Intrada / Intrada Special Collection Vol.29)
1986年製作のアメリカ映画。監督は「ファイブ・イージー・ピーセス」(1970)「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(1981)「お気にめすまま」(1992)「ブラッド&ワイン」(1996)等のボブ・ラフェルソン。出演はデブラ・ウィンガー、テレサ・ラッセル、サミー・フレイ、デニス・ホッパー、ニコル・ウィリアムソン、テリー・オクィン、ジェームズ・ホン、ダイアン・ラッド、D・W・モフェット、ロイス・スミス、レオ・ロッシ、ダニー・カメコナ、ルタンヤ・アルダ、メアリー・ウォロノフ、ウェイン・ヘッフリー、ラリー・ボンド、デヴィッド・マメット他。脚本はロナルド・バス。撮影はコンラッド・L・ホール。独身で初老の資産家たちを誘惑して結婚し、相手を殺して遺産と共に姿を消す謎の女キャサリン・ピーターソン(ラッセル)と、彼女の正体を暴こうとする司法省の職員アレクサンドラ・バーンズ(ウィンガー)の駆け引きを描くサスペンス。
音楽は、ボブ・ラフェルソン監督と「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(1981)「愛と野望のナイル」(1990)「(TV)マーロウ 最後の依頼」(1999)でも組んでいるアメリカの作曲家マイケル・スモール。ヴァイオリン×22、ヴィオラ×10、チェロ×10、バス×4といったストリングス主体の構成により、バーナード・ハーマンの「サイコ」のスコアにも通ずる心理サスペンス音楽を展開。「The Widow」は、不気味な弦のピッチカートによるイントロから、ストリングスによるややトラジックな主題へと展開。「Ondine's Curse」「Investigation」「She's Deadly」「The Truth」等は、ストリングスにシンセサイザーを加えた不吉なタッチ。「Chasing After Phantoms」「No Air」は、ハイテンションなサスペンス音楽。「No Evidence」「Hawaii」「Seduction」はドラマティックなタッチ。「Knowing When to Stop」はトラジックなタッチのエンドタイトル。女性同士の頭脳戦を描いたサスペンス映画だが、ジェリー・ゴールドスミスの「氷の微笑」のようなセンシュアルな味付けはあまりなく、全体に明確な主題のないストレートなサスペンス音楽となっている。マイケル・スモールは1970〜80年代にサスペンス映画の音楽を多数手がけたベテラン作曲家だが、過去にサントラ盤は殆ど出ておらず、今回の米IntradaレーベルによるCDは貴重なリリースと言える。1200枚限定プレス。
マイケル・スモールが手がけた作品には、「(未公開)青春の渚(Out
of It)」(1969)「愛の贈りもの(Jenny)」(1970)「(未公開)Light」(1970)「(未公開)終りなき戦いの詩(The
Revolutionary)」(1970)「ルーという女(Puzzle of a Downfall Child)」(1970)「(未公開)スポーツクラブ(The
Sporting Club)」(1971)「コールガール(Klute)」(1971)「(未公開)Dealing: Or the
Berkeley-to-Boston Forty-Brick Lost-Bag Blues」(1972)「(未公開)Child's
Play」(1972)「(未公開)Love and Pain and the Whole Damn Thing」(1973)「パララックス・ビュー(The
Parallax View)」(1974)「ステップフォード・ワイフ(The Stepford Wives)」(1975)「ナイトムーブス(Night
Moves)」(1975)「ハーパー探偵シリーズ/新・動く標的(The Drowning Pool)」(1975)「マラソン マン(Marathon
Man)」(1976)「アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男(Pumping Iron)」(1977)「オードリー・ローズ(Audrey
Rose)」(1977)「ザ・ドライバー(The
Driver)」(1978)「ガールフレンド(Girlfriends)」(1978)「(未公開)カムズ・ア・ホースマン(Comes a
Horseman)」(1978)「(未公開)Going in Style」(1979)「(未公開/TV)The Lathe of
Heaven」(1980)「(未公開/TV)The Boy Who Drank Too Much」(1980)「(未公開)Those Lips, Those
Eyes」(1980)「郵便配達は二度ベルを鳴らす(The Postman Always Rings
Twice)」(1981)「Oh!ベルーシ絶体絶命(Continental
Divide)」(1981)「華麗なる陰謀(Rollover)」(1981)「(未公開)La donna giusta」(1982)「密殺集団(The Star
Chamber)」(1983)「(未公開/TV)Chiefs」(1983)「(未公開)Kidco」(1984)「家族の絆(Firstborn)」(1984)「ターゲット(Target)」(1985)「(未公開)ドリーム・ラバー(Dream
Lover)」(1986)「(未公開/TV)Nobody's Child」(1986)「(未公開)想い出のブライトン・ビーチ(Brighton Beach
Memoirs)」(1986)「ブラック・ウィドー(Black Widow)」(1987)「ジョーズ'87/復讐篇(Jaws: The
Revenge)」(1987)「(未公開)オーファンズ(Orphans)」(1987)「(未公開)Heat and
Sunlight」(1987)「1969(1969)」(1988)「(未公開)いくつもの朝を迎えて(See You in the
Morning)」(1989)「愛と野望のナイル(Mountains of the Moon)」(1990)「(未公開)American
Dream」(1991)「モブスターズ/青春の群像(Mobsters)」(1991)「隣人(Consenting
Adults)」(1992)「ビッグ・ランニング(Wagons East)」(1994)「(未公開)Into My Heart」(1998)「(TV)マーロウ
最後の依頼(Poodle Springs)」(1998)「(TV)ゴールデン・スパイダー/グルメ探偵ネロ・ウルフの事件簿(The Golden Spiders:
A Nero Wolfe Mystery)」(2000)「(未公開)The Endurance: Shackleton's Legendary
Antarctic Expedition」(2000)「(TV)南太平洋(South Pacific)」(2001)「(TV)グルメ探偵 ネロ・ウルフ(A
Nero Wolfe Mystery)」等がある。
(2006年3月)
コールガール KLUTE
作曲・指揮:マイケル・スモール (英Harkit Records / HRKCD 8007) |
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1971年製作のアメリカ映画。製作・監督は「大統領の陰謀」(1976)「ソフィーの選択」(1982)「推定無罪」(1990)「隣人」(1992)「ペリカン文書」(1993)「デビル」(1997)等のアラン・J・パクラ。出演はジェーン・フォンダ、ドナルド・サザーランド、ロイ・シャイダー、チャールズ・シオッフィ、ドロシー・トリスタン、リタ・ガム、ヴィヴィン・ネイザン、モリス・ストラスバーグ、バリー・スナイダー、ネイザン・ジョージ、ロザリンド・キャッシュ、ジーン・ステイプルトン、ケヴィン・ドブソン他。脚本はアンディ・ルイスとデイヴ・ルイス。撮影はゴードン・ウィリス。突如失踪した友人の科学者を探すためニューヨークにやって来た私立探偵のジョン・クルート(サザーランド)は、彼がコールガールに宛てた手紙だけを頼りに独自の調査を始める。彼は、受取人の友人で売れっ子のコールガール、ブリー・ダニエルズ(フォンダ)に協力を請うが……。1971年度アカデミー賞の主演女優賞と脚本賞にノミネートされ、ジェーン・フォンダが主演女優賞を受賞している。
音楽はアラン・J・パクラ監督と「パララックス・ビュー」(1974)「(未公開)カムズ・ア・ホースマン」(1978)「華麗なる陰謀」(1981)「(未公開)ドリーム・ラバー」(1985)「(未公開)オーファンズ」(1987)「(未公開)いくつもの朝を迎えて」(1989)「隣人」(1992)でも組んでいるマイケル・スモールで、この「コールガール」は彼らの初コラボレーション作品。「The
Tape - Main Title」は、不吉なタッチのピアノが効果的なメインタイトル。アブストラクトでミニマルなサスペンス音楽で、“パラノイアの詩人”と呼ばれたスモールの個性が強く感じられる。「Rooftop
Intruder」「The Watcher」「Alone in the Night」「Waiting in the Loft」等は、ピアノに女声を加えたセンシュアルなタッチ。「Love
Theme」は実にハードボイルドなタッチのラヴ・テーマで、この印象的な主題は「Street Market/Love Scene」「Love
Montage」「Leaving the City - End Title」でも登場する。「Goldfarb's Fantasy」は、ややトラジックなワルツ。「Checking
Leads」「Old Friends」はサスペンスフルなジャズ。「Bree's Abandon (Take It Higher)」「Club
Scene」は70年代を感じさせるファンク。「Bree Flees John」「Cable's End」はストレートなサスペンス音楽。これは過去にリリースされていたサントラLPを2006年に英HarkitレーベルがCD化したもの。
(2006年6月)
<2008年2月追記>
米Film Score
Monthlyレーベルより、全29曲収録の完全盤CDがリリースされている。デヴィッド・シャイア作曲の「大統領の陰謀」とのカップリングで、3000枚限定プレス。収録曲は以下の通り。
KLUTE
Music Composed and Conducted by Michael Small
(米Film Score Monthly / Vol.10 No.16)
1. Love Theme From Klute (3:44)
2. Main Title (2:03)
3. I Want to Speak to You (3:04)
4. Phone Call Play Back (0:42)
5. Walk to Casting Office (0:32)
6. Casting Office (3:11)
7. Goldfarb's Record (4:16)
8. Cable After Goldfarb (0:19)
9. On the Roof (3:11)
10. Cable's First Office (2:07)
11. Tea With Madame (1:28)
12. First Disco (2:55)
13. Skylight (0:28)
14. Search for Arlyn Page (1:19)
15. Drive From Arlyn's (0:31)
16. Laguran's Disco (3:12)
17. Moonwall (0:49)
18. Nightmare (1:25)
19. Takes Care of Me (1:15)
20. Dead Arlyn (0:37)
21. Hand on Fence (0:33)
22. Fruitmarket (1:27)
23. Down Building (1:09)
24. Helicopter (0:22)
25. Bree Followed on Street (2:15)
26. Cable in Loft (1:30)
27. Down the Alley (1:17)
28. Final Flight (0:47)
29. End Title (1:10)
Total Time: 48:51
ザ・ドライバー THE DRIVER
作曲・指揮:マイケル・スモール
Composed and Conducted by MICHAEL SMALL
(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 33)
最近になって過去の作品のサントラ盤リリースが続いている故マイケル・スモール(2003年11月没)の犯罪サスペンス映画2作品のスコアをカップリングにしたアルバム(1200枚限定プレス)。
「密殺集団」は1983年製作のアメリカ映画。監督は「カプリコン・1」(1977)「アウトランド」(1981)「カナディアン・エクスプレス」(1990)「エンド・オブ・デイズ」(1999)「ヤング・ブラッド」(2001)「サウンド・オブ・サンダー」(2004)等のピーター・ハイアムズ。出演はマイケル・ダグラス、ハル・ホルブルック、ヤフェット・コットー、シャロン・グレス、ジェームズ・B・シッキング、ジョー・レガルブート、ドン・カルファ、ジョン・ディサンティ、ドウェイン・ジェシー、ジャック・ケホー、ラリー・ハンキン、ディック・アンソニー・ウィリアムス、マージー・インパート、ダナ・グラッドストーン他。ロデリック・テイラーの原案を基にロデリック・テイラーとピーター・ハイアムズが脚本を執筆。製作はフランク・ヤブランズとカート・ニューマン、撮影はリチャード・ハンナ。法的証拠が無いという理由で野放しになっている犯罪者たちに憤りを覚える判事のスティーヴン・R・ハーディン(ダグラス)は、同僚の判事ベンジャミン・コールフィールド(ホルブルック)から、私設裁判により自らが制裁も行う影の法廷“Star Chamber”に参加することを勧誘される……。
マイケル・スモールのスコアは、「Main Title」が抑制されたミステリアスなタッチの主題で、この主題は「Andujar Trial」「Another Little Boy」「The Chamber」「Rescue」「End Credits」等で繰り返し登場する。「Star Chamber」は、どちらかといえばジェントルなタッチの曲だが、これ以外は「Monk and Coombs」「Hardin」「Dawson Tried」「Flowers」「Lowes and Hardin」「What Happened?」「Shafts of Light」「Hardin Kicks Coombs」と、全編を通して緊張感のあるサスペンス音楽が連続する。「Judged」「Warehouse Run」は、激しいアクションを伴ったサスペンス音楽。スモールが得意とする劇伴に徹したスコア。
「ザ・ドライバー」は1978年製作のアメリカ映画。監督・脚本は「ウォリアーズ」(1979)「ロング・ライダーズ」(1980)「48時間」(1982)「ストリート・オブ・ファイヤー」(1984)「ダブルボーダー」(1987)「トレスパス」(1992)「ラストマン・スタンディング」(1996)「デッドロック」(2002)等のウォルター・ヒルで、これは彼の初期の傑作の1つ。出演はライアン・オニール、イザベル・アジャーニ、ブルース・ダーン、ロニー・ブレイクリー、マット・クラーク、フェリス・オーランディ、ジョセフ・ウォルシュ、ルディ・ラモス、デニー・マッコ、フランク・ブルーノ、ウィル・ウォーカー、サンディ・ブラウン・ウェイス、タラ・キング、リチャード・ケアリー他。製作はローレンス・ゴードンとフランク・マーシャル、撮影はフィリップ・H・ラスロップ。犯罪者の逃亡を引き受けるプロのゲッタウェイ・ドライバー(オニール)と、彼を執拗に追う刑事(ダーン)との駆け引きを描くハードボイルド・アクション。フランス人のアジャーニがミステリアスな女ギャンブラーを演じる。主要な登場人物に役名がなく、“The Driver”(オニール)“The Detective”(ダーン)“The Player”(アジャーニ)“The Connection”(ブレイクリー)等、職業名(?)で統一されているところにエクジステンシャルなこだわりを感じる。夜間のロス・アンジェルスでの、精密なカット割りにより延々と続くカーチェイス・シーンのスタイリッシュさも見事。ルイ・レテリエ監督/ジェイスン・ステイサム主演の「トランスポーター」シリーズの原点とも言える作品。
マイケル・スモールのスコアは、アブストラクトなタッチの「No
Names」から始まり、「The Man」「The Woman」と、ジャズをベースとした冷たいサスペンス音楽が連続する。「The
Detective」で登場するトランペットの短いアブストラクトなフレーズや、「Mercedes Prelude」でのスライド・ギターも印象的。「The
Challenge」は、トランペットをフィーチャーしたアクション音楽。「Sucker's Game」では、中盤にヒロイックな主題が登場。「The
Driver」「Cat and Mouse」もサスペンス調。ラストの「Finis」は、ヒロイックなタッチからピアノによるジェントルなジャズに。この映画は監督の意図としてセリフが極端に少ないが、スモールのスコアも最終的に大半がカットされてしまった。このCDではその全貌を聴くことができる。
(2006年7月)
チャイナ・シンドローム THE CHINA SYNDROME
作曲・指揮:マイケル・スモール
Composed and Conducted by MICHAEL SMALL
(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 110)
1979年製作のアメリカ映画。監督は「受胎の契約/ベビー・メーカー」(1970)「ペーパー・チェイス」(1973)「(未公開)ジェームズ・ディーンにさよならを」(1978)「アーバン・カウボーイ」(1980)「(未公開)マイクス・マーダー」(1984)「パーフェクト」(1985)「再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ」(1988)等のジェームズ・ブリッジス。出演はジェーン・フォンダ、ジャック・レモン、マイケル・ダグラス、スコット・ブラディ、ジェームズ・ハンプトン、ピーター・ドーナット、ウィルフォード・ブリムリー、リチャード・ハード、ダニエル・ヴァルデス、スタン・ボーマン、ジェームズ・カレン、マイケル・アレイモ、ドナルド・ホットン、カーリラ・アリ、ポール・ラーソン他。脚本はマイク・グレイ、T・S・クックとジェームズ・ブリッジス。撮影はジェームズ・クレイブ。ヴェンタナ原子力発電所を取材中だったKTLAテレビのリポーター、キンバーリー・ウェルズ(フォンダ)とカメラマンのリチャード・アダムス(ダグラス)は、事故の現場に偶然立ち会うが、上司からの圧力によってそのニュースはもみ消されてしまう。一方、原発の欠陥に気付いた技師のジャック・ゴデル(レモン)は、発電所のコントロールルームに拳銃を持って篭城し、ウェルズたちに原発の脅威を生中継させようとする……。1979年3月28日に発生したスリーマイル島原子力発電所事故の直前の3月16日に全米公開されたことが、作品に迫真性を与えた。タイトルの「チャイナ・シンドローム」とは、アメリカで原発事故が起きれば核が地中を溶かして地球の裏側の中国まで達するとの言い伝えのこと。1979年度アカデミー賞の主演男優賞(ジャック・レモン)、主演女優賞(ジェーン・フォンダ)、脚本賞、美術監督・装置賞にノミネートされている。
この映画にはマイケル・スモールによるアンダースコアが作曲されていたが、プロデューサーのマイケル・ダグラスたちが完成した映像にスコアを付けたところ、「ドラマティックだったものがメロドラマ調になってしまった」とのことで、最終的にスモールのスコアは全て削除され、音楽のない形で公開された。このCDは、ソニーに保管されていたスモールによる未使用スコアの録音を初収録したもの。「The
Plant」は、オーケストラとシンセサイザーによる抑制されたサスペンス音楽。「News at 6:00」「News at 11:00」は、ダイナミックなタッチのニュース番組のテーマ音楽。「Ticking
Time Bomb」「Hot Rods」「The China Syndrome」は、スモールが得意とするパラノイア的なサスペンス音楽。「Meltdown!」は、ハイテンションなサスペンスアクション音楽。「The
Truth and Finale」は、アップビートなタッチのフィナーレ。最後にスモール作曲のソース音楽の組曲「Source Suite
#1」「Source Suite #2」を収録。1000枚限定プレス。
(2009年10月)
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