レイチェル・ポートマン
  Rachel Portman

Date of Birth: 1960/12/11
Place of Birth: Haslemere, Surrey, England, UK
Mini Biography:
Rachel Mary Berkeley Portman is educated in classical music, in composition and orchestrating. She played various types of instruments from a very early age and started composing when she was about 13 - 14 years old. She is educated in music at the University of Oxford and began her musical career composing for TV movies and series on the BBC. She first came to prominence in 1989, when she won the British Film Institute's Young Composer of the Year Award for her work on the acclaimed TV mini-series "Oranges Are Not The Only Fruit", and scored her first Hollywood film "Used People" in 1992. She is the first female composer to win an Oscar (for "Emma" in 1996). She was awarded the OBE (Officer of the Order of the British Empire) in the 2010 Queen's New Years Honours List for her services to the film industry. She is married to film producer Uberto Pasolini and has three children.

 


ショコラ CHOCOLAT

作曲:レイチェル・ポートマン
Composed by RACHEL PORTMAN

指揮:デヴィッド・スネル
Conducted by DAVID SNELL

(米Sony Classical / SK 8947 2)

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「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」(1985)「やかまし村の子どもたち」(1986)「ギルバート・グレイプ」(1993)「愛に迷った時」(1995)「サイダーハウス・ルール」(1999)等のラッセ・ハルストレム監督が、ジョアン・ハリスの原作を映画化した作品。出演はジュリエット・ビノシュ、レナ・オリン、ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、アルフレッド・モリーナ、ピーター・ストーメア、キャリー=アン・モス、レスリー・キャロン、ジョン・ウッド、ヒュー・オコナー、ヴィクトワール・ティヴィソル、オールリアン・パラント=コーニッグ、アントニオ・ジル=マルティネス、エレーヌ・カルドナ、ハリソン・プラット他。脚本はロバート・ネルソン・ジェイコブス。撮影はロジャー・プラットが担当。本年度アカデミー賞の作品賞、主演女優賞、助演女優賞、脚色賞、音楽賞にノミネートされた作品で、人々に幸福をもたらす不思議なチョコレートを売る母娘(ビノシュとティヴィソル)が、因習に閉ざされたフランスの小さな村を幸せに導くというファンタジー風のストーリー(映画自体のレビューは「Quick! Film Review」をご参照)。

音楽はハルストレム監督の前作「サイダーハウス・ルール」も担当したイギリス出身のレイチェル・ポートマン「Main Titles」は、強風の中を赤い外套をまとった母と娘が村にやって来る冒頭のシーンにかかる少しミステリアスな雰囲気の音楽で、いかにも御伽噺の始まりといったタッチが良い。「The Story of Grandmere」で登場する第二主題も同様のタッチで、この印象的な曲は「Three Women」「Boycott Immorality」「Ashes to the Wind/Roux Returns」等でも現れる。主人公のヴィアンヌが店開きの準備をするモンタージュにかぶさる「Vianne Sets Up Shop」や、ヴィアンヌたちがパーティの料理を支度するシーンの音楽「Party Preparations」は、ギターやアコーディオンによる軽快な舞踏音楽風のスコアで、映像によくマッチしている。「Vianne Confronts the Comte」「Passage of Time」「Chocolate Sauce」といった曲は少しエンニオ・モリコーネの音楽に似たタッチで何故かイタリア風(物語の舞台はフランスだが)。「Fire」はジプシー達の船が火事になるシーンの悲劇調の音楽だが、劇中でもここだけ突然シリアスなトーンになり違和感がある部分。全体としてさほど強いドラマ性のあるスコアではないが、映画のファンタジー的な雰囲気にはよく合った小粋で上品な音楽になっている。

(2001年4月)

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オリバー・ツイスト OLIVER TWIST

作曲:レイチェル・ポートマン
Composed by RACHEL PORTMAN

指揮:デヴィッド・スネル
Conducted by DAVID SNELL

演奏:プラハ市フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the City of Prague Philharmonic Orchestra

(米Sony Classical / SK 96506)

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2005年製作のイギリス=チェコ=フランス=イタリア合作映画。監督は「ローズマリーの赤ちゃん」(1968)「チャイナタウン」(1974)「テス」(1979)「フランティック」(1988)「ナインスゲート」(1999)「戦場のピアニスト」(2002)等のロマン・ポランスキー。出演はベン・キングスレー、バーニー・クラーク、リーニー・ロウ、マーク・ストロング、ジェイミー・フォアマン、ハリー・イーデン、エドワード・ハードウィック、イアン・マクニース、ジェレミー・ スウィフト、フランセス・キューカ、マイケル・ヒース、ジリアン・ハンナ、アラン・アームストロング他。チャールズ・ディケンズの古典的小説を基にロナルド・ハーウッドが脚本を執筆。撮影はパヴェル・エデルマン。養育院で育った孤児のオリバー(クラーク)は、浮浪児スリ団の親玉フェイギン(キングスレー)と知り合い、スリの手ほどきを受けて町に送り出される。慣れないオリバーは老紳士ブラウンロー(ハードウィック)の前で失敗して捕らえられ、正直に話したことで、彼の邸に引き取られることになる……。過去に何度も映画化されている名作で、1922年製作の「オリバー・トウィスト」(監督:フランク・ロイド、出演:ジャッキー・クーガン、ロン・チェイニー、ライオネル・バリモア)と、1947年に名匠デヴィッド・リーンが監督した「オリヴァ・ツイスト」(出演:アレック・ギネス、ロバート・ニュートン)が有名。

音楽は、「帽子を脱いだナポレオン」(2001)「(未公開)シャレード」(2002)「ジャスティス」(2002)「モナリザ・スマイル」(2003)「白いカラス」(2003)「クライシス・オブ・アメリカ」(2004)「(未公開)きいてほしいの、あたしのこと ウィン・ディキシーのいた夏」(2005)等を手がけているイギリスの作曲家レイチェル・ポートマン。冒頭の「Streets of London」は躍動的で明るい曲。続く「The Road to the Workhouse」は、ジェントルなタッチのメインの主題。この主題は「Oliver Runs Away」「Prelude to a Robbery」「Newgate Prison」等でも顔を出す。「The Artful Dodger」「The Game」等は、コミカルかつ不吉なタッチで、ディケンズの作品世界を上手く表現していると思う。「Fagin's Loot」「Oliver Learns the Hard Way」「The Escape from Fagin」「The Robbery」「Toby and the Wounded Oliver」「The Murder」「The Death of Bill Sykes」等、後半はダークなサスペンス調の曲が続く。古典文学の映画化にふさわしいクラシカルで上質なスコアを提供している。映画音楽の再録音を数多く手がけているプラハ市フィルの演奏も良い。

レイチェル・ポートマンは、女性作曲家として初めてアカデミー賞の音楽賞を受賞したことで知られるが、2003年5月には、彼女が作曲したサン・テクジュペリ原作のオペラ『The Little Prince』がヒューストンで初演されている。

レイチェル・ポートマンが手がけた作品には
「(未公開)オックスフォード・ラヴ(Privileged)」(1982)
「(未公開)Experience Preferred... But Not Essential」(1982)
「(未公開)Reflections」(1984)
「(未公開/TV)Sharma and Beyond」(1984)
「(未公開/TV)Four Days in July」(1984)
「(未公開/TV)Last Day of Summer」(1984)
「(未公開/TV)Good as Gold」(1986)
「(TV)小公女(A Little Princess)」(1986)
「(TV)1914 輝ける夏の思い出(1914 All Out)」(1987)
「(未公開/TV)The Falklands War: The Untold Story」(1987)
「(未公開)90 Degrees South」(1987)
「(TV)ジム・ヘンソンのストーリーテラー(The Storyteller)」(1987〜1988)
「(未公開/TV)Screenplay - Cariani and the Courtesans, - Loving Hazel, - Antonia and Jane」(1987〜1990)
「(未公開/TV)The Short & Curlies」(1988)
「(未公開/TV)Young Charlie Chaplin」(1989)
「(未公開/TV)Nice Work」(1989)
「(未公開/TV)The Woman in Black」(1989)
「(未公開/TV)Precious Bane」(1989)
「(TV)ジム・ヘンソン アワー/モンスター・メーカー(The Jim Henson Hour - Monster Maker, - Garbage, - Living with Dinosaurs)」(1989〜1990)
「(未公開/TV)Oranges Are Not the Only Fruit」(1990)
「(未公開/TV)Shoot to Kill」(1990)
「ライフ・イズ・スイート(Life Is Sweet)」(1990)
「(未公開/TV)The Widowmaker」(1990)
「(未公開/TV)Screen Two - Sometime in August, - Flea Bites」(1990〜1990)
「(TV)ジム・ヘンソンの新ストーリーテラー/ギリシャ神話(The Storyteller: Greek Myths)」(1991)
「(未公開)天使も許さぬ恋ゆえに(Where Angels Fear to Tread)」(1991)
「(未公開/TV)The Cloning of Joanna May」(1992)
「(未公開/TV)Elizabeth R」(1992)
「(未公開)Rebecca's Daughters」(1992)
「(未公開/TV)Mr. Wakefield's Crusade」(1992)
「迷子の大人たち(Used People)」(1992)
「哀愁のメモワール(Ethan Frome)」(1993)
「妹の恋人(Benny & Joon)」(1993)
「(未公開)Friends」(1993)
「ジョイ・ラック・クラブ(The Joy Luck Club)」(1993)
「泉のセイレーン(Sirens)」(1994)
「(未公開)Great Moments in Aviation」(1994)
「草原とボタン(War of the Buttons)」(1994)
「オンリー・ユー(Only You)」(1994)
「ケロッグ博士(The Road to Wellville)」(1994)
「スモーク(Smoke)」(1995)
「(未公開)恋する放火犯(パイロマニア)(A Pyromaniac's Love Story)」(1995)
「パルーカヴィル(Palookaville)」(1995)
「3人のエンジェル(To Wong Foo Thanks for Everything, Julie Newmar)」(1995)
「Emma エマ(Emma)」(1996)
「ピノキオ(The Adventures of Pinocchio)」(1996)
「マイ・ルーム(Marvin's Room)」(1996)
「恋におぼれて(Addicted to Love)」(1997)
「(OV)美女と野獣/ベルの素敵なプレゼント(Beauty and the Beast: The Enchanted Christmas)」(1997)
「(未公開)100万回のウィンク(Home Fries)」(1998)
「(未公開)愛されし者(Beloved)」(1998)
「カーラの結婚宣言(The Other Sister)」(1999)
「ボクと空と麦畑(Ratcatcher)」(1999)
「サイダーハウス・ルール(The Cider House Rules)」(1999)
「クローサー・ユー・ゲット(The Closer You Get)」(2000)
「バガー・ヴァンスの伝説(The Legend of Bagger Vance)」(2000)
「ショコラ(Chocolat)」(2000)
「(未公開)帽子を脱いだナポレオン(The Emperor's New Clothes)」(2001)
「ジャスティス(Hart's War)」(2002)
「(未公開)シャレード(The Truth About Charlie)」(2002)
「(未公開)ディケンズのニコラス・ニックルビー(Nicholas Nickleby)」(2002)
「(未公開/V)The Truth About 'The Truth About Charlie」(2003)
「白いカラス(The Human Stain)」(2003)
「モナリザ・スマイル(Mona Lisa Smile)」(2003)
「クライシス・オブ・アメリカ(The Manchurian Candidate)」(2004)
「(未公開)Lard」(2004)
「(未公開)きいてほしいの、あたしのこと ウィン・ディキシーのいた夏(Because of Winn-Dixie)」(2005)
「(未公開/TV)Define Normal」(2005)
「オリバー・ツイスト(Oliver Twist)」(2005)
「(未公開/V)Twist by Polanski」(2006)
「(未公開/V)It's a Happy Movie: The Children's Making-of」(2006)
「イルマーレ(The Lake House)」(2006)
「(未公開)Infamous」(2006)
「ミス・ポター(Miss Potter)」(2006)
「旅するジーンズと19歳の旅立ち(The Sisterhood of the Traveling Pants 2)」(2008)
「ある公爵夫人の生涯(The Duchess)」(2008)
「(TV)グレイ・ガーデンズ 追憶の館(Grey Gardens)」(2009)
「(未公開)National Theatre Live: London Assurance」(2010)
「わたしを離さないで(Never Let Me Go)」(2010)
「(未公開/TV)Über die Anden bis ans Ende der Welt」(2010)
「(未公開/TV)His Way」(2011)
「(未公開)Snow Flower and the Secret Fan」(2011)
「ワン・デイ 23年のラブストーリー(One Day)」(2011)
「君への誓い(The Vow)」(2012)
「ベラミ 愛を弄ぶ男(Bel Ami)」(2012)
「(未公開)兵士ピースフル(Private Peaceful)」(2012)
「(未公開)Paradise」(2013)
「おみおくりの作法(Still Life)」(2013)
「(未公開)ベル 〜ある伯爵令嬢の恋〜(Belle)」(2013)
「(未公開)The Right Kind of Wrong」(2013)
「(未公開)イルカと少年2(Dolphin Tale 2)」(2014)
「(TV)BESSIE/ブルースの女王(Bessie)」(2015)
「(未公開)愛の亡命(Despite the Falling Snow)」(2016)
「栄光のランナー/1936ベルリン(Race)」(2016)
「人生はシネマティック!(Their Finest)」(2016)
「(未公開)Remembering Christmas ("With Love")」(2016)
「僕のワンダフル・ライフ(A Dog's Purpose)」(2017)
「(未公開)See the Silence」(2018)

等がある。

レイチェル・ポートマンは1999年の「サイダーハウス・ルール」でアカデミー賞の音楽賞(オリジナル・ミュージカル/コメディ)にノミネートされ、1996年の「Emma エマ」で同賞を受賞している他、2000年の「ショコラ」で同賞の作曲賞と同年のゴールデン・グローブの音楽賞にノミネートされている。

(2005年10月)
(2018年10月)

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